みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活   作:すいーと

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ゴールデンウイーク話その1

 楽しい曜の誕生日から早くも2週間が過ぎ、黒歴史がネタにされなくなった頃。俺たちに、最初の大型連休がやってきていた。しかし楽しいものではない。

 

「何でこんなに課題があるのーっ」

 

 パソコンのキーボードを叩き続けていた千歌が叫びを上げた。目の下にはうっすらとクマができている。千歌俺も気持ちは同じだよ。

 

「仕方ないだろ、曜の誕生日パーティーの間にたまった課題をここまで後回しにしてた俺らが悪い」

 

 リビングにノートパソコンをもってきて並んで課題を処理しているのだが、ゴールデンウイークのうち丸1日も家に籠りっきりで課題をこなしていればストレスがたまって叫びたくもなる。ああ、高校の時の宿題が可愛く見えるぜ。なんだよこのレポートってセーブするってことですか? 全く知らないことの自分の考えたなんてあるわけないだろ。髪の薄い教授顔を思い浮かべるながら、恨み事を頭の中で履き続ける。

 

「そうだけど、せっかく休みなのになんか損した気がする」

 

「これ以上損したくないならさっさと手を動かせ」

 

「むぅー、しょうがない――ってああ」

 

「なんだいきなり大声出して」

 

「画面消えてる、というか動かないの」

 

「は? まさかこんなタイミグよく壊れるわけないだろ、ちょっと貸してみろ」

 

 千歌と場所を入れ替えて電源ボタンを押すが、千歌のノートパソコンは黒い画面のまま動くことはない。接触が良くないのかと思い連打をするが結果は変わらず。コードも外れていない。

 

「ね? 動かないでしょ?」

 

 後ろに移動していた千歌が抱き着いて来た。俺の肩顔を出し、腕を前で交差させて来た。部屋着越しにあたる胸がむにゅっと、形を変えながら背中にくっついて来るにがわかる。声が上ずりそうになるのを何とか耐えながら会話を続ける。

 

「みたいだな、ちなみにこれいつから使ってるんだ?」

 

「中学の時からだけど」

 

「ならたぶん寿命だろうな、買い替えだな」

 

 一説によればノートパソコンの寿命は5年という話がある。もちろん使い方次第で変わって来るが、あくまで目安として5年らしい。それに家電ってほんと突然壊れたりする。昔、電子レンジを連続で使うことがあったんだが、1回目使った後壊れたなんて悲しい思い出があるぐらいだ。

 

「じゃあ今から行こう」

 

「俺は課題があるから無理だな」

 

「私もあるんもん、真樹君の倍ぐらい」

 

「曜に借りればいいだろ」

 

「でも曜ちゃんも課題があるんじゃない?」

 

曜は一人の方が集中できるといって自分の部屋籠って課題に取り掛かっている。

 

「それもそうだな」

 

「だめじゃん」

 

「しかし買いに行くにしても安いやつでもけっこう値段するよな?」

 

「ちょっと志満ねぇちゃんに電話してみる」

 

 俺から離れるとそのままテーブルにあった須保を手に取り、しばらく何やら話した後、ため息をつきながらスマホテーブルに置いた。背中にあたっていた感触が少し名残惜しい。

 

「だめだったんだな」

 

「急に言われても無理だって」

 

「確かに金額少なくないもんな。うーん、仕方ない貸してやろう」

 

「え? 真樹君ってそんなにお金持ってるの?」

 

「ああ、高校時代は使う機会がほぼなかったからな」

 

 主な出費はライトノベルの新刊ぐらいで、それも毎月1~3冊間。ゲームも受験が始まると息抜きソシャゲぐらいしかやらなくなった。もちろん無課金だ。

 

「なんかごめん」

 

「気にするな、だいたい進学校の成績優秀者なんてそんなもんだ」

 

きっとそうに決まっている。いやそう信じている。

 

「うそっ、真樹君のくせに」

 

「小テストで三回ほど名前書き忘れただけだろ。点数自体は取れるんだよ。」

 

「仲間だと思ってたのに、裏切り者」

 

「いやいや、俺がいつバカキャラだったのか聞きたいね」

 

「ほら、小学校の学習発表会の時――」

 

 

「もうバカキャラでいいからその話はやめてくれ」

 

 やっと最近できた黒歴史の傷が癒えてきたのにまた傷を開かれてはたまったもんじゃない。それに今、千歌が離そうとしているのは黒歴史の中の黒歴史。離せば災いが起こるだろう。俺の心に。

 

「やったー仲間だねっ」

 

テンションの高い千歌をスルーして着替えに向かうと、ちょうど部屋から曜が出てきた。

 

「課題おわったの?」

 

「千歌のパソコン壊れやがってさ、これから買いに行くんだ」

 

「私もついてっていい?」

 

「課題は終わったのか?」

 

「私だって息抜きぐらいしたいよ」

 

「まぁ、いいんじゃないか」

 

そんなわけで、曜がパーティーに加わった。

 

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