みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
私としては珍しく更新頻度が開きましたが、なんと風邪の話を書いてる最中に風邪を引くという前代未聞のミスを犯しまして更新が遅れました。
完治はしたので今日からまたもとのペースで更新を再開しようと思います。
まだ薄暗い道を急ぎ足で駆け、近所のコンビニへと到着した。明け方という時間帯のということもあって客は俺以外いない。レジに立つ店員さんが入店を知らせる音でこちらを見たのを横目に入り口に近く設置しているかごを一つ取り、商品を見ていく。さすがに独り言をつぶやきながら買い物をする癖はないので淡々と店内を歩き。ひとまず使い捨てのマスクとのど飴、なぜか電池の横に売られている冷えピタをかごに放り込み、奥の食品が売ってる売り場に移動する。
千歌から頼まれたパンを追加で放りこみ、朝の補充前でスカスカの弁当の棚から、肉が乗っていて量が多めな弁当かごに入れてレジに向かう。弁当を温めてもらう時間すら今は惜しいのでそのまま袋に詰めてもらい、財布から1万を出して会計を済ませると、さっきほどより少し明るくなりつつある道を弁当を崩さないように、走っていく。
マンションに戻り曜の部屋をそっと開ける。
ベッドの横に千歌が座っている。机に開かれた昨日買ったノートパソコンの画面が暗くなっているからきっと、つきっきりで見守っていたのだろう。
「あっ、真樹君おかえり」
曜を起こさないように扉を閉めると千歌が首をこちらに向けて小声で声をかけて来た。
「曜はどんな様子だ?」
「さっきから苦しそうにしてるけど、こういう時は、やっぱり冷やした方がいいのかな?」
「ひとまず、辛さを取った方がいいだろうからこれを貼って様子を見よう」
袋から冷えピタを取り出すと、そのまま千歌に手渡す。
「これって冷やさなくて効果あるのかな?」
確かに冷えピタといえば冷蔵庫で長く居座ってるイメージがあるけど、買ってすぐに使って効果があるかを実験したことはない。というかこういう風邪対策グッズは基本各家庭で常備されているものだし普段そんなこと考えたこともなかったな。親元離れて暮らすのは難しい。
「貼ってみて、効果があるか試してみよう。だめだったらコンビニに氷売ってたしもう一回走って行って来るさ」
「うん。とりあえず貼ってみよう。……よーちゃんちょっと冷たいかもしれないけど我慢してねー」
方針を決めると千歌は持ち前の思い切りの良さで、冷えピタを袋から出して、ついてるフィルムをはがし声をかけながら曜の額に貼った。袋から出した時に冷えピタ独特の湿布に似た匂いが微かに鼻を通り抜ける。
曜は声を発することはなかったが冷えピタを貼られた瞬間身体がピクッっと反応した。貼ってしまうとしばらく俺たちにできることはないので、曜の部屋で少し早めの朝食をとることにした。
コンビニ袋から頼まれた品を千歌に渡し、俺の自分の弁当を袋から出した。
「頼まれてたパンな」
「そういえば頼んでたね。よーちゃん心配で忘れてた」
「昨日の疲れが出たんじゃないか? 人も多かったし……あっ、箸入ってないし」
俺が買って来た豚丼はどう頑張っても素手食べることは叶わないものだ。仕方ないがキッチンに向かい、箸をとって来ることにした。
部屋に戻り食事を再開してすぐ、曜が起き上がる。少し騒がしかったのだろうか?
「あれ? 二人ともどうして私の部屋にいるの?」
「風邪ひいたみたいだから看病しようかと」
「えっ……いいよ千歌ちゃんも真樹君も移したら悪いし、それに二人とも課題まだあるでしょ?」
「私はあとちょっとで終わるし、真樹君はどんなずるしたかわからないけどもう終わらせたって」
「ずるは余計だ。まぁそんなわけで、特に影響はない!」
「せっかくのゴールデンウイークを私の看病なんて……別に大したことじゃないし」
曜はどうも申訳ないと言う気持ちが強いのか強がりを言って平気なふりをしてくる。基本的に面倒を見る側の事が多いのでたぶん戸惑っているんだろう。
「どう見ても大したことある風邪だろ。顔さっきよりはましだけど全然赤いし、それに鼻声になってるぞ」
「え……でも」
「どうしてもって言うなら力づくで追い出せばいいんじゃないか」
普段から筋トレ趣味としている本調子の曜なら俺と千歌ぐらいなら部屋から叩き出すくらい簡単なことだろう。がそれをしてこないということは風邪はかなり重いやつだということだ。
「そうだよ。よーちゃん」
こういうとき千歌のわかってるんだかわかってないんだかよく分からない同調で曜が折れることが多い。これはもらった。俺はそう確信して曜の返事を待つ。
「じゃあお願いね」
曜は諦めたようにそれだけ言うとまた横になってしまった。やっぱり相当つらかったんだろうな。上半身起こして少し会話しただけなのに汗で髪がストレートになっていた。
多少強引ではあるが俺と千歌の看病が始まった。