みかん少女とヨーソローな幼馴染が部屋にいる生活 作:すいーと
次は1万で記念をかけたらいいなぁー。
ではどうぞ。
あれから数日たった。
荷ほどきはすべて終わり、つぶされたダンボールが部屋の一角を埋め尽くしている。昨日捨てようとしたら管理人に燃えるごみは出すなと怒られしまい、一番広い俺の部屋に二人の分まで集められている。資源ごみの日が待ち遠しい。
俺たちは3人はリビングでくつろいでいた。俺は食材の買い出し用のリストを作成。曜は趣味の筋トレをしていて時々声が聞こえてくる。そして千歌はというと。
「う~~~~~っ」
やることがないらしく俺たち二人を交互に見ては唸り声のようなものを上げていた。リストがあらかた片付くと集中力がきれて途端に唸り声が気になってきた。
「さっきからうるさいぞ」
「だって~暇なんだもん。外には出られないし、」
「あのなぁ、暇だからってむやみに外に出てまた騒ぎになっても困るだろ?」
先日の事件がきっかけで千歌と曜の二人が外に出るときは変装して出る決まりになったが、ばれない変装は意外と手間がかかるらしく、ほとぼりがさめるまでは買い出しは俺の担当になった。曜が料理で千歌が掃除と洗濯。
「でもずーっと家にいるのも、えーと、なんていうかほら……たまには外の空気を吸いたいってみたいな?」
「俺はインドア派だからその感覚は理解できないな。外の空気ならベランダから吸えばいいし」
「えーっ!? ちょっと試してみる」
窓を開けてベランダに出た千歌を見ながら入って来る暖かい風を浴びる。アホ毛が風を受けて風見鶏のように動く。ちょっと面白い。
「あれ? あんなところのコンビニなんてあったっけ?」
千歌のアホ毛に注目してしていると、指をさしながら俺に話を振って来る。ベランダに出て千歌の横に並ぶ。
「どこだ?」
「ほらあそこのビルの下」
「あ~あれなあったんじゃない? ほら都会だしさ」
「そうだ。コンビニに行こう」
「え?」
「一度やってみたかったんだよね。ちょっとコンビニ行ってくるわってやつ」
「まああの距離なら大丈夫だろ」
「じゃあ行ってくるね」
嵐のように自室に戻って準備を始める千歌。俺は窓を閉めると先ほどから端のほうで筋トレを続けている曜に声をかけた。
「曜は千歌みたいに外に出ようとしないんだな」
「うん。筋トレなら室内でもできるし、家にいた方が落ち着く気がするんだっ真樹君がいるから」
後半は再開した腹筋でよく聞こえなかったが、特に気に留めなかった。しばらくすると千歌の部屋の扉が開いて中から黒髪ロングの子が出てきた。面影は残っているが、黒ぶちのメガネを装着すると全くのわからない。愛らしい顔がメガネで凛とした印象を与え大人っぽく見える。
「どう?」
「どうって言われてもな」
「これならばれない?」
「全然ばれないと思うぞ?」
数日前とは比べものにならないほどクオリティは上がっていた。さすが中途半端が嫌いな女の千歌だ。
「じゃあちょっと行ってくるね~」
玄関の扉が閉まると静けさに包まれる。なんというか少し寂しい気持ちになる。そんな俺の心情を悟ってか曜が筋トレをやめて近くによって来た。ふわっと近づいたことで起こった風が柑橘系の匂いを俺に運んでくれる。さっきまで筋トレして汗かいてはずなのに不思議だ。
「千歌ちゃんの事心配?」
「こどもじゃないんだし、そんなにはしてないぞ」
「ふーん。じゃあさ今日も買い出し私に任せてよ」
対抗心か、外に出たくなったのか曜はいきなりそんなことを言い出した。
「俺の役割だしさすがに料理と買い出し両方任せるわけにはいかないだろ」
「なら一緒に行くならいいでしょ?」
「それぐらいなら」
「約束だよっ。ちょっとシャワーを浴びってこよ」
立ち上がると、自分の部屋に戻っていく曜を何となく目で追って見えなくなるとテレビに集中するが、ニュースしかやってなくてスマホをいじり始めた。しばらくして玄関が開く。
「ただいま~」
「おかえり」
「これ買ってきたの。すごくない? このオレンジジュース」
袋から取り出してきたの缶に入ったオレンジジュース。見たこのないものだったのできっと都会にでしか売っていないものなのだろう。
「三人で飲もうと思って買ってきたんだ。って曜ちゃんは?」
「シャワー浴びにいった」
「じゃあ千歌も着替えてくるね。置いとくけど勝手に飲んじゃだめだよ」
「はいはい」
千歌をあしらうとまたスマホの画面に集中する。しばらくして、二人がほぼ同じタイミングでリビングにやって来た。曜の髪が渇くのを待って、千歌が買って来たオレンジジュースを手に取る。
「曜ちゃん見てこれ珍しくない?」
「なにこれみたことなーい」
テーブルを囲むよう座り、千歌が俺と曜にオレンジジュースを手渡す。
「じゃあ行くよ」
「ああ」
「うん」
「せーの」
千歌の号令に合わせてプルタブを開ける。何となく息が合ってしまうことへの少しむず痒さを覚えながらも一口口に含む。柑橘系の酸味混じってする苦い味に俺は缶を見返す。
「カシスオレンジ? ってこれ酒じゃねーかよ」
丁寧にもお酒って缶の表面に書いってあったのだが、このみかんバカがそんなに注意深く見るはずないか。というかよく変えたなこれ、年齢確認とかあったはずがだ、まあ女の年齢ほど見た目でわかりずらいものはない。あの変装だと疑われなくても仕方ないか。
「二人ともだいじょうぶか?」
「え? 何が?」
「曜は平気きそうだな」
「二人とも~な~にを内緒話をしてるの」
「こっちは手遅れだったか」
「だから何が?」
「曜。これ珍しいオレンジジュースじゃなくて軽い酒だ」
「ええ!?」
「てなわけで飲むのはやめって――おい千歌! 抱きつくな」
一口でやめた俺は当然酔っていないのだが、外に出て喉が渇いていたのか千歌は一気に飲み干して酔ってしまったみたいだ。
抱き着いて来た千歌はそのまま俺に全体重を預けてくる。突然のことで支えきれなくなって床と背中がついた。千歌は俺のその上に乗ると、顔を近づけてそのままチュッと俺の唇を奪った。アルコールが回ってか恥ずかしさからか千歌の顔は赤い。目は眠そうにトロントしている。身体にあったている胸の感触がとてもやわらかく抵抗する力を奪っていく。
「曜、助けっ――」
俺のセリフは最後までいうことなく千歌の唇へと溶けていった。数秒すると離れる。糸を引く千歌の唇は妙に大人びていて、エロい。赤くなった顔がより引き立てる。普段とのギャップに思い切りやられてしまった俺は千歌が寝落ちするまで、されるががままだった。幼馴染を女として意識した瞬間でもあった。
その間曜はただ笑って面白がっているだけだった。