きまぐれ ぶらっどろーど   作:外道男

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ゆるく行こう。

気楽に読んでってくださいな。


あなた と わたし
たべてもへらない すごいひと


やあやあ諸君。こんばんは。

ぼくは不死身の吸血鬼さんだよ。

 

特に不死身である事に理由は無いよ。

生まれた瞬間からそうだったとしか言えないからね。

 

念の為に言っておくと吸血鬼は不死身ではありません。

高い身体能力や変身能力を持ち合わせていても穴はあるのです。

 

大抵は十字架だとかの弱点があって、それを使われると再生も出来ずにやられます。

実際ぼくも何度かやられました。

あれはそう、生まれたばかりの頃に吸血鬼狩りにあったのです。

 

でも普通に蘇ってしまったのです。ものの数秒で。

身体が灰になる事もなく、弱体化するでもなく。

 

実質僕には吸血鬼の弱点が存在しないのです。とは言っても流石に日光は不快になりますが。

敢えて弱点として挙げるなら吸血鬼のわりに人を襲う欲が無いところでしょうか。

 

この体質のおかげで何不自由なく生活できましたが、同じ吸血鬼からは良い顔をされませんでした。

同胞から見ても僕という存在は異質だったようで。

吸血鬼も1種族なので派閥なんて物もありますが、僕は何処にも入れてもらえなくて悲しい思いもしました。

 

 

 

長い年月が経ってそこそこ認められるようになった僕ですが未だに孤高の存在であることは変わりません。

 

ですが、こうも長く1人でいると寧ろそれが当たり前になり、今では1人の方がのんびりできて良いなと思ってもいます。

 

さて、少し自分語りが長かったですが、そんな僕が今何をしているかと言うとーーー

 

 

 

「もぐもぐ」

 

「うわー」

 

 

喰い殺されています。

 

 

 

本日はお日柄も良く夜の散歩には絶好の日和でした。

町の外れを散策していたぼくは新たに墓場を発見します。

 

そこで趣味の一つである墓荒らしを行うことに決めたのでした。

お墓を掘り起こして自分の気に入った物を持ち去るのですね。

良い日・良い月・盗人気分で土をディグディグしていたのですが。

 

 

綺麗な女の子の遺体が出てきたのです。

こちらの国ではよく見る金茶色の髪の毛に服はシンプルな白のワンピース。

若干土で汚れていましたが血の通っていない顔は尚も綺麗で、生前の輝きが容易に想像出来るようでした。

 

その顔に見惚れて冷静な思考は出来ていなかったと思います。

暫くの間、女の子の顔に触れて、眺めていました。

 

 

そして、気付いた時には目が合っていました。

女の子が目を開けていたのです。

 

「じーっ」

 

「ええと、こんばんは?」

 

「がぶり」

 

「うわー」

 

女の子はゾンビだったのでした。

 

そこからは、ちいさな体に見合わぬとんでもない怪力で引き倒され、バラバラにされてしまいました。

女の子はそれはもう淡々と僕の身体を齧ります。

 

不死身なので再生はするのですが、その度に千切っては食べ千切っては食べ。

予想だにしなかった奇妙な惨劇に、僕は逃げる事もせず半ば放心していました。

 

2時間以上は経ったでしょうか。

噎せ返るような濃厚な血の臭いに段々と意識が戻ります。

血はもちろん全て僕のもので、もう吸血鬼とは何ぞやとばかりに出血を繰り返したような気がします。

 

僕が我に返った時には女の子は左手の人さし指を齧っていました。

 

「まだ食べてる!?」

 

「もぎゅ?もぎゅもぎゅ」

 

「いやあの食べながら話さないで痛いから」

 

10分くらい食べる方に集中されました。

 

 

「君の名前は?」

 

「・・・わからない」

 

落ち着いたのかゾンビちゃん(仮)は無表情で僕を見ています。

どうしよう。長い間ひとりぼっちだったから何を話せば良いのか判断できません。

 

「ねえ」

 

「はい?」

 

僕の服を掴んだゾンビちゃんはその顔をゆっくりと近付けてきます。

これはまさか。人の世で噂のキスというやつでは?

好きな人同士がするというあの?

 

「わたしね」

「は、はいっ」

 

か、顔がすぐそこまで接近してします。

心臓が強く脈打っている。これは、

 

「おなかすいた」

「ひえっ」

 

命の危機でした。

喉元目掛けて口をパクパクさせているゾンビちゃんを押しとどめます。

この状況で放置すれば確実にさっきの二の舞になってしまう。

 

「ええとですねえ!ぼくの家に来ませんかっ?」

「おうち」

「そうですそうです」

「いく」

 

おお、まさかの即答でございますか。

異種とはいえ家に誰かを呼べる日が来るとは、感激です。

 

「嬉しいですね。ささ、こちらです」

 

「わたしも、うれしい」

 

これはまさかの好感触。

ゾンビちゃんも僕と同じく寂しかったのでしょうか。

何だか彼女とは仲良く出来そうな気がしてきました。

 

「たべても、へらない、すごい」

 

 

何だか仲良く出来るか不安になってきました。




文字数は控えめで行こうと思います。
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