俺は
三十路という大きな壁を超え、
《確認しました。エクストラスキル『魔術師』を獲得・・・成功しました》
そんな俺は、現在死にかけている。
暗い夜道を一人で歩いていたら、物陰から飛び出してきた通り魔にグサリとやられてしまった。
ああ、くそ。傷が熱い。
《確認しました。対熱耐性獲得・・・成功しました》
しかしアレだ。血を流しすぎると身体は寒く感じるってのはホントだったんだな。
《確認しました。対寒耐性獲得・・・成功しました。対熱対寒耐性を獲得したことにより『熱変動耐性ex』にスキルが進化しました。続いて血液が要らない身体の作成に入りま………エラー、エラー。別種の魔法の介入を確認。
さっきからいろいろ煩いな。
もう死ぬんだから静かにしててくれよ。
薄れる思考と視界の中で、自分の周りの空間が歪んでいることに、俺は気づくことはなかった。
「ようこそ、婿殿。まずは───、は?」
赤い髪と小麦色の肌を持つ美女は、目の前に現れた死にかけの男を見て一瞬呆けたが、すぐさま
「──治癒の宝玉を持て! あとすぐに医者を! この者を死なせてはならんぞ!」
と周りの者にその男の治療を指示したのだった。
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「──ん?」
ここが、死後の世界?
なんだか高級なベッドで寝ているかのような感触だ。
暑くもなく寒くもなく、快適な感じ。
「んー…!」
思いの外重い瞼を上げると、そこはどこかのホテルの一室のようだった。
まだぼんやりとしか見えないが、どうやら天蓋付きのベッドに寝かされているらしい。
視線を彷徨わせていると、部屋の隅の椅子に座っているご老人と目が合った。
「………」
「──お目覚めになられましたか。すぐに陛下をお呼びいたしますので、そのままお待ちくだされ」
そう言うとご老人は部屋から出て行った。
とりあえず、その『陛下』とやらを待つとしよう。
数分後。
はっきりとしてきた視界に映る部屋の様子に首を傾げていると、
「待たせたな、婿殿。まずは謝罪を。断りもなく『この世界』に呼び出したことを謝らせてもらう。しかし驚いたぞ。『呼び出した』はいいが、いきなり死にかけていたのだからな」
「はあ……」
「ん、混乱するのも無理はない。そなたの疑問を解消するためにも説明をさせてもらいたいのだが、いいだろうか?」
俺は目の前に現れた褐色美人にときめきながら、絞り出すように
「はぃ」
と返事をするのが精一杯だった。
これは、数年後に