ならば、ヒトとは、人という一つのカテゴリとしての存在なのだろうか。答えはノーだ。俺達人間は動物という枠組みの中に属している、ホモ・サピエンスとも呼ばれる存在だ。突き詰めてみれば、俺達は動物というのが正しい解なのだろう。
しかし、いつからか、人類は「ヒト」と呼ばれる存在と「動物」を区別するようになった。それは人の進化の一つの結果であると思う。人間は自分達より、動物の方が劣っていると判断し、そして区別するようになったのだろう。しかし、もしかすると、それはただの恐怖心からくるものだったのかもしれない。
いつの時代も人類は動物という存在に脅かされてきた。腕力に、脚力に、咀嚼力に勝る彼らに、人は知恵という力で道具を作り、武器を作り、檻を作り、対抗してきたのだ。あらゆる身体的能力で劣っている人が唯一持ち合わせていたのが、知恵だった。
しかし、もしも、動物のように、強靭な肉体や腕力に、脚力に、咀嚼力を持ち、さらに人の知恵を持つ存在がいるとしたら、俺達はその存在をどのように定義付けるのだろうか。人狼?怪物?悪魔?それとも....。
もしも、それが、人と同じ様に暮らし、感情をもち、文化を持つ存在なのだとしたら、ヒトとそれは相容れない存在で、その世界に待ち受けるのはきっと....
....悲劇だ。
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「はっ....はっ、はあっ!」
東京20区。その夜の街を俺は駆けていた....。
「ぐ…ぅッ!クソ…!なんだって、こんな事に…!」
走りながら悪態をつく、今俺は人生最大の危機に立たされていた。「彼女」に噛まれた....いや齧られた肩が酷く痛むが、今はそんな事を気にしてはいられない。それほどまでに俺は追い込まれていた。
「ふふふ、女の子からにげるだなんて....。ひどいね。比企谷くん....。」
ビルの角を曲がった時だった、目の前に後ろにいたはずの「彼女」がたっていた。
「な....んで....っ!」
声が酷く枯れている。嗚呼....わかってしまうこれからの自分の運命が....。
「比企谷君は....私のお気に入り。ホントはもったいないし、雪乃ちゃんにはわるいけど....しょうがないよねぇ....だって....」
そういい彼女は微笑む。俺は、こんな時だというのに....月明かりに照らされる彼女の姿に見蕩れてしまった。きっと俺はこれから彼女に殺されるのに....、こんなにも恐ろしくてたまらないのに....
「我慢できないんだもん。」
彼女がそういった瞬間、腹に感じる違和感。
腹を、なにかで貫かれたっ?!
「....ンッ!?ゴフッ....」
声はでない。口から出るのは大量の血....。
「いたい....?比企谷クン?ごめんねぇ....?比企谷クンは私のお気に入りだったから...すぐに.楽に逝かせてあげるね?」
そんな彼女の言葉を聞きながら....薄れゆく意識の中で....俺は彼女と再会したあの日の事を思い出していた....。