生まれ変わっても私は"私"   作:*Alice*

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第4話

 

彼女がこの家に来たのはホントにいきなりの事であった。

 

「あら、こんにちはお嬢さん。良ければ私のところに来ないかしら?」

 

........ホントいきなりである。

 

 

 

 

 

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー

 

 

私はいつの間にか3歳になっていた。

まぁいつの間にかとか絶対無いんだけどね、あの川に落ちた事件のあとは特に目立った出来事もなく、寝て起きて、本を読んでもらって、また寝てを繰り返していた。

司馬の家系は代々文官の家系なのでこんなのんびりダラダラ生活をしていても誰も咎めたりはしない....まぁまだ幼女だしね。

しかし私と真逆に成長してしまったのが姉上である火憐ちゃん。昔から身体を動かすのがとても好きだったけど気付けば司馬家では滅多にみれない筈の脳筋に.....幼女なのに残念である。幼女らしく無邪気ではあるが口を開けば「私が相手の軍隊を全滅させるわ!(物理で)」といった始末......。いや(物理で)じゃねぇよ。司馬郎は脳筋キャラじゃ無いでしょうに....頭使ってくれよ...。まぁ、「お父さんは私が守ってあげる!月火ちゃんが作戦考えて、私が敵を吹っ飛ばすの!!」....嬉しいこと言ってくれるじゃないか...まったく..

 

某怪異が出てくる物語のファイヤーシスターズよろしく私と火憐ちゃんは1歳差があり、もちろん火憐ちゃんが上である。ただ1歳差があるにも関わらず火憐ちゃんが脳筋なので私達が一緒にいるとよく私が姉だと勘違いされ火憐ちゃんの機嫌は少し悪くなってちょっとめんどい。

 

私は前世だったときでも基本喋る事はしないようにしていた。理由は特に無いけど極力喋らず喋っても一言で済ましてしまう。そのせいでか私が心を開いた者としか喋らず私と会話出来ると私付きの侍女として一人前になる、と変な風習が我が家で出来た.....何故だし。べ、別にみんな認めてるもん....ただ前世は理沙と助手君以外は喋らなかったからちょっと人見知りと言うか喋りかけるのに勇気がいるだけだもん.....本当だもん...

ちなみに今までの喋りかけるのに掛かった最短日数は.....8日である、8日で...ある。

こ、これでも頑張ったんだよ!?毎日おはようございますとか毛布取っ手来てくれたりとかお片付け手伝ってくれたりとかしてくれる良い人でとっても良い人だったから.....何て声掛けたらいいのかわからなかったんです。でもやっとの思いで喋り掛けたら号泣して、二度と人には喋り掛けないと誓いそうになるくらいビックリして大変だったんです.....ホントに大変だったんです。

 

そんなこんながあった私はとうとう3歳になり、日がな1日ゴロゴロしながら過ごしている時にやって来たのです.....あの方が。

 

 

 

「こんにちは、此度の訪問かなり急であったにも関わらずお許しいただき誠にありがとうございます。私の名前は曹操、字は孟徳。本日参ったのは、先の書簡でもしたためましたがとても私的な事で名門司馬家に何でも歴代に類を見ない程の象棋の天才が現れたと聞き及んだもので、ちょうど私が通っている大学が休みに入ったので是非1局お願いしたく訪問させていただきました。」

 

「いやいや、此方も初めは訪問を断るつもりではあったが書簡を読んで我が司馬家随一の象棋の名手と指したいとなれば断るのも無粋というもの........ただ1つ問題.....と言って良いのか分かりませんが、まぁ問題がありまして」

 

「あら?問題?何かしら?」

 

「いやなに、急な来訪でまだ曹操殿と象棋を指しても良いか許可も何もとっていないのですよ。象棋事態はとても好きなので嫌とは言わないと思うが....」

 

「断らないと思っているのでしょう?何が問題なのかしら?」

 

「曹操殿が求めている我が司馬家の象棋の名手は....我が娘の司馬懿でして.....今お昼寝の最中なのです...」

 

「お、お昼寝?それに象棋の天才は司馬防殿の娘......失礼ですが確かあなたの娘さんって確か.....」

 

「はい.......先日3歳になりました...」

 

「唖然とはこの事を言うのでしょうね、まさか私が知る中でも十指に入る程の象棋の実力者であるあなたがそんな世迷い言の様な身内贔屓をするなんて.....」

 

「確かに私は娘達に弱く多少の贔屓があったかもしれないのも事実ですが.......娘の司馬懿は今の私の実力では何度挑んでももう勝てないでしょう...」

 

「もうって事は最初は勝てていたのよね?」

 

「あたりまえですよ。いくら娘といって手加減していたと言っても戦術も駒の動かし方すら知らない初心者に負けるほど私も手は抜いていませんよ」

 

「.....それが今では...ね..」

 

「...はい。娘の成長は嬉しいのですがね、今一つ喜べない自分がいるのもまた事実....」

 

「では、しばらく待って起きたら1局指させて貰うよようにお願いしましょうか」

 

「大学の休暇はいつまでで?良ければ暫くの間我が家で過ごすと良い。宿代も浮かせられるし食事もそれなりの物を用意できると思うよ」

 

「あら、じゃあお言葉に甘えて世話になるわ。よろしくお願いします」

 

「娘の司馬懿が起き次第知らせるから客間で休んでてくれ......まぁ素直に頷いてくれれば今日中に指せると思うぞ」

 

「....?その言い方だと起きても今日中に指せない可能性があるのかしら?」

 

「あぁ、曹操殿を我が家で過ごすよう誘ったのにも理由があってね、司馬懿は.....その...何て言うか..人見知りがとっても激しくてね....」

 

「まぁ人見知りくらいはどうにでもなるものじゃなくて?」

 

「司馬懿の人見知りそんじょそこらの人見知りとは訳が違くてね....我が家の家族以外で司馬懿と会話が出来た最短日数は.....8日だ」

 

「.....はい?私の耳がおかしくなったのかしら?会話出来るようになるまで8日?その冗談は面白くないわよ司馬防殿?」

 

「はははっ、冗談ならどれだけ周りに披露できるか.....はぁ...」

 

「....ホントのようね....確かにあなたが家で過ごすよう誘ってくれなければ下手したら宿代と食事代だけで私の小遣いの大半が無くなるところだったわ」

 

「いや、ホントに面目無い」

 

「良いのよ、それにしても8日ね、認められたって証は会話以外に無いのかしら?」

 

「正確には本を読んでとせがんできたら認められているよ」

 

「本?」

 

「あぁ、1歳頃から寝る前には絶対読んでとせがむ本があるんだよ、『胡蝶の夢』という荘子が書いた物の絵本版だ。君も勿論知っているだろう?」

 

「えぇ勿論知っているわ。でも象棋がそんなに強いなら自分で読める頭はあるのでしょ?」

 

「あぁ、はっきり言って司馬懿は象棋に留まらず司馬家始まって以来の天才だ。成長すれば歴代随一の頭脳になること間違いなしだ」

 

「あの司馬防がそこまで認める才....欲しいわ..」

 

「私は基本的に将来は本人に任せるつもりだから勧誘は上手くやってくれよ。た・だ・し!無理やりは絶対ダメだからね!!」

 

「それはわかって....」

 

 

 

「旦那様、お話し中申し訳ありません。お嬢様がお目覚めになられました。こちらにご案内致しますか?」

 

「そうしてく..」

 

「いえ、こちらから出向きます。象棋とお茶の準備をお願いしても?」

 

「は、はい!かしこまりました!!」

 

「曹操殿.....まぁいいか。では行くとしよう」

 

「えぇ」

 

 

 

 

ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー

 

 

「月火ちゃ~ん、入りますよぉ~」

 

「司馬防殿...あなた....はぁ...」

 

 

ん?パパじゃん.....って女の人の声がしたけど知らない声だ。

扉から入ってきたのはパパとドクロの髪留めをした金髪クルクルのお姉さん.....誰?そう警戒していた私だが不思議とこのお姉さんには安心感が感じられた。

 

 

「おはよう月火ちゃん、よく眠れたかな。今日は月火ちゃんと象棋をやりたいってお姉さんが来てくれてね.....どうかな?やってくれないかな~?」

 

 

象棋?まぁ良いけど....それより..

 

 

.....トテトテ...ギュッ..

 

「.....ヨンデ...」

 

私は自然とお姉さんの服の裾を掴んでそう言っていた。

お姉さんは暫く目をパチパチさせてから優しい笑みを浮かべていた。

 

「えぇ、私で良ければ。私の名前は曹操、よろしくね可愛いお嬢さん」

 

「......ツキヒ....」

 

「....それはあなたの真名でしょ?」

 

「.....イイ...」

 

「...そう、私の真名は華琳よ。よろしくね月火」

 

「....ウン!...」

 

私は華琳の足にしがみつきながらそう強く返事を返した。

 

 

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