ぐらんどおーだー 人理の天地 カルデア脇役録   作:七⭐

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喪服はいきなりは着れない(サイズ変更的な意味で)


亜種特異点 絶対双滅必定都市 冬木
ゴールデンウィークに地元に帰るメリットは多分無い


自分が不幸だと、そう言われる人生だったことは分かっていた。

 

物心つく頃に両親は事故に遭い、唯一の肉親だった祖母も中学の卒業式を待たずに他界した。

親戚と呼べるような関係もなく、文字通りの天涯孤独。

それでも、生きてこれたのはひとえに良縁に恵まれたからだ。

 

バカをやれる友人に、後見人をかってくれた大家さん。

必死に進学の道を探ってくれた恩師に、怖くも実は色々な後押しをしてくれた極道さん(何でも祖母の知り合いらしい)まで、天涯孤独と言いながらも、おおよそその言葉からは遠いところで生きてきた。

 

仕事(バイト)も、家も、定時制の高校も、人のススメ、人の助け、人の救いがあったからにすぎない。

 

だから、不幸ではあっても、辛くはなかった。

 

寂しくなかったから、悲しいことよりも、楽しいことが多かったから、

 

「あんた、青春無かったねぇ。」

 

昼間のバイトの休憩時間。

些細なことから始まった身の上話。

窓の外、試験明けなのか着ることのなかった穂村原の制服を見かけた俺に、茶化すようにバイトのおばちゃん達が笑う。

全く、べそかく位なら言わなきゃいいのに…。

 

そんなことはない。

どんなにどん底の人生でも、確かに救いはあったのだ。

 

大丈夫。思い出せるのは何時だって幸せの記憶だけ、都合の悪い事と折り合いをつけるのは慣れている。

 

世界はいつも望むままに確かに"ここ"にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言うわけでここ俺の実家なんです。ホントなんだって、使えそうな道具とか自分の持ち物持ってきただけなんだってばー」

 

「…………思いがけず重い話になりましたが、それにしたって布団一式は持ちすぎです!レイシフトはそんな大荷物を持ち帰れはしません!」

 

以上、里帰りついでに部屋の荷物を持ち帰ろうとする工藤とキャパ的な問題と見た目(盗)の為に止めようとするマシュの会話であった。

基本「感動を返せ」でこのシリーズは出来ている。

 

「ううぅ。苦労したんだねぇダーリン…」

 

割りとシリアスな空気に涙するバカップル(女)。ほんの数日しかカップル成立からたっていないはずだが、その目に輝く雫とまさかのダーリン呼びには月の女神クラスの年季すら感じる。

 

「泣かないでくれハニー!俺は今が一番幸せなんだ!…だってほら、君という家族に出会えたんだから…!(ッキラ)」

 

「‼…ダーリン!(抱き)」

 

ひどく古いコミックでも見ているようである。

あまりのテンプレートに"…っけ!"とマシュはやさぐれ、ついてきていたエミヤは"酷い話だ…古い鏡を見ている。…こういう(感じの)男が居たのだったな"と自身の女性遍歴にグロッキー気味だ。一体どのルートだろうか。

 

「しかし、マスター個人で住まれていたにしては立派なマンションですねえ」

 

「全くじゃ、実は坊は金持ちか?」

 

「まさか、大家さんが、祖母のこれまた知り合いでね?祖母の生前から色々と譲歩してくれたんだ。立派な方でさ、頭が上がらないよ。…と、いってもこの頃は両親が逝ってすぐ位だからなぁ、部屋見たら懐かしい物とか一杯あってついね。

 

 

…だから落ち着いて振り上げた盾を降ろして欲しい。マシュ後輩。分かったから、こっそり持って帰ろうとしていたおそらくオヤジのピンクな本は元の位置に返すから」

 

さすが親子、趣味は似ていたらしい。

 

とる

→もどす

 

クドーは、そっと宝箱(ベッド下)にもどした。

 

「もぅ、ダーリンたら!…………部屋にあったのも燃やしといたからね‼」

 

( Φ口Φ )<エロ本焼却式ぐだ子! Σ(゜Д゜)

 

といった顔で固まった工藤とぐだ子を尻目に建物を隈無く見るサーヴァント達。

工藤の生家であることも確かだが、それをおいても特異点の中であることに違いはない。

警戒は解けないし、貴重な物資が無いとも限らない。

最も、粗方探し終わった初期の特異点である以上、新な発見は厳しいだろう。

事実上、探索のていで行われる、お宅訪問であった。

 

「あー、でも落ち着くわー、カルデアの(故)マイルームも落ち着いたけど、実家はレベルが違うわー、お外燃えてるけど落ち着くわー」

 

「それは君だけだ。大抵の人間は近場が火事になったら逃げるし、慌てる」

 

説得力絶大な冬木のアーチャーの一言に「そう?」と返す工藤。

天災が起きたら逃げ遅れるタイプである。

平行世界かつ時代が違えば教会か墓の下にいることだろう。

そう言えば金ぴかの王さまが行き際、気まずそうに幾つかアメちゃんをくれたのはなんだったのだろう?フラグである(即答)。

そんな人類最古のアメちゃんをぐだ子やマシュと一緒にコロコロしながら、床の上をゴロゴロローリングしていると、ノートンが隣の部屋、ーーキッチンから戻ってきた。

 

「マスター、近場に酒屋はありますかな?」

 

「え?あー、うん。あるよ。ここからだとネコさんとこのコペンが一番近いかな?」

 

でもなんで?と聞き返すと、

 

「いや、この通り、良い肴を見つけましてな」

 

と手にするは二キロ程のベーコンである。

冷蔵庫のチルドを独占していたらしい。

しかも薫る匂いは通常のものとは違う。

ラップにくるまれ、値札(バーコード)もついてないとこを見るに、手作りくさい。

家主的には止めるべきなのかもしれないが、心は既に美味しそうなそれを分厚くカットの後に炙りたくて仕方ない。

 

「そんなもの(宝)が我が家に…!」

 

「薫りからして、胡桃?いや、リンゴの甘い臭いもある、色付きも良い。独自のブレンドと見た。…………炙る?パスタ?いやさシチューや、グラタンというのも…」

 

「エミヤは主夫というか、オカンというか…」

 

「でも美味しそうです!」

 

こらこら女の子がヨダレはダメですよ?

あ、シェフ。ピザ追加でお願いします!

 

「ふむ。生地は薄目だ。これは譲れん」

 

なんの問題があろうか!

完璧な返しである。

 

「青年。今戻ったぞ」

 

「只今戻りましたマスター(ぐだ子)」

 

と、玄関から聞こえてくるのは外を回っていたガトーと、"探索は数だよ!兄貴!ーー君に決めた‼"と、ぐだ子の謎発言により選出された百貌のハサンのものであった。

 

「お帰りなさいガトーさん、百貌の姐さん。なんか目ぼしいものはありました?」

 

「いえ、特には」

 

「こちらも特にはなぁ、元より川縁の石像の群れが気になっての事。ここに呼ばれたランサーの仕業とのことだが、一つだけ念入りに砕かれておったワカメ男子には経の一つでもあげておかねば不憫と言うものよ」

 

そうなのだ、人っこ一人見当たらないこの冬木で、何故か石化された人の群れが川縁にある。

街に同様の被害が見えない事から、あの人々は人理焼却の"前"に被害にあったのだろうとはダヴィンチちゃんの推察である。

 

「あぁ、マシュや所長と逃げてたあの時の…、そういえば確かに見事なワカメだったなぁ…でも、あの人何者なんだろう?たまに礼装に描かれてるよね?」

 

「「………言われてみれば」」←マシュ&工藤

 

何者なんだワカメヘヤー。

英雄、悪漢入り乱れる礼装の表紙に度々登場するなんて…まさか、俺たちの知らない英雄なのだろうか?

こう、髪に潤いと艶を与え、ハゲに希望を囁く事で霊基登録に至った的な?

ん?なぜ後ろ向いて震えているんだシェフ?シンジ?はて?サードチルドレンはいないが?マギーだろうか?むしろ立ち位置的(マシュファースト、ぐだ子セカンド)には俺だが?

 

まぁ、いい。

兎に角、全員集合かましたわけだし、酒屋でアルコール(俺等はジュース)調達してカルデア食堂で打ち上げじゃー!

 

あ、アーサー顔は出禁で。

 

 

 

 

等と、はしゃいでいたのが間違いだったのか、

 

ーーーーートゥンクーーーー

 

何か、大切なものを、見落とした気がした。

 

 

 

 

「?どうした工藤青年?」

 

いざカルデアと、家を出ようとする皆を尻目に部屋を見返す。

 

"ここ"は正確には実家ではない。…ないが、確かな自己証明ではあった。

ここにいたと、そう言える、いつか帰る場所"だった"。

 

「?」

 

不意にわいた違和感に首をかしげる。

別段何が変わったわけでもない。

つい数ヵ月前迄あった日常/過去が確かに…

 

「ダーリン?」

 

っ、

 

「あ、あれ?あーごめんよハニー、凶骨狩りで疲れたのかな?ははは、さぁ、カルデアに帰ろう」

 

「え、うん」

 

 

 

 

そうして、"暗く長い廊下"を歩き出す。

ぎしりとフロリーングが軋み、重い鉄製のドアが開かれる。

そのタイミングで

 

『……………って!工藤くん、"振り返るな"‼』

 

カルデアのロマンから通信が入った。

 

「「え?」」

 

何をという前に、衝撃が体を揺さぶる。

次の瞬間、世界は闇に包まれた。スイーツ。

 

 

それが、件の事件の始まり。

俺がまともに関わる初めての特異点にして、故郷での忘れ物。

それを取り戻すための物語。

 

亜種特異点、絶対双滅必定都市 冬木(ダ・ヴィンチちゃん命名)のプロローグだった。

 

 

 

 

 

終わった後だから云う。ダ・ヴィンチちゃんにネーミングセンスは、うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp

 

 

 




この話を書いてる最中に祖母が逝きました。
ほんの少し、本当に少しだけゲーティアの気持ちがわかってしまった気がします。

我が儘で落ち着きなくて、約束の時間より勝手に早く来たくせに"待たされた!"と怒るような理不尽な人だったけど、やっぱり大切な家族/日常でした。





メルト?引いたさ(ドヤァッ)
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