ぐらんどおーだー 人理の天地 カルデア脇役録   作:七⭐

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アガルタCMを見て、


「ふむ、FGOもアイドルなマスターを始めたか。確かにアトラスぐだ男は名うてのプロデューサーだからな!(違)」





その過去は既にーーー(ぶらり冬木途中下車の旅 旅情編)

ピンポーン

 

間延びした間抜けな音がする。

時間にしてPM1:00。

俺にしては"早い"起床時間。

 

ピンポーン

 

再び鳴るインターホン。

待たせると意味不明のモールス信号に成るのは目に見えているので、名残惜しい寝床の温もりにさよならを告げ、冷たいフローリングへと足を下ろす。

 

「冷た‥」

 

季節は冬、比較的暖かいこの街も今年ばかりはよく冷える。

それは、なかなか作らなくなった一から出汁を取った味噌汁や、ベッド派の俺が使うことの無い片付けたままの布団や、数だけ多いスリッパなんかが関係してるのかも知れない。

 

ピンポーン

 

「はいはい、出ますよー」

 

せっかちな来客に、ぺったんぺったんっとやる気の無い足どりで玄関へと足を向ける。

遅い?仕方がないんだ。

重力が、寝起きの重力が俺を阻むんだ‥!

等と、半年の休みを二年半にまで伸ばせそうなワードと共に仕方なく鍵をあける。

どうせ相手はわかっている。

休日であることを良いことに殴り込んできたバカチビに違いない。

地元球団のペナントレース優勝の際に、未遠川へ橋から飛び込んだ仲だが、先にパートナーを作った怨敵でもある。

毎夜藁人形に放っているダーツの成果も確認したいところであるが、俺は眠いのだ。

どうせ勝手知ったるなんとやらで夕方まで居着くだろうし、もう一眠りといきたい。

はい、オープンセサミ。

 

「はいはい、はえーし、うるせーよ。君にとってはお昼でも俺にとっては…」

 

「工藤少年、こん‥にち………」

 

oh…

 

扉の向こうにいたのは鼠色髪の眼鏡美人。

彼女の目に写るのは工藤人理、寝るときは下半身パンツ一丁派である。

 

 

 

 

 

「…………………………………すいません」

 

数分後、工藤宅のリビングにあったのは消えてしまいたい男の(マンションから)消えたくないが為の土下座であった。

当然ながら下は新たに部屋着のスウェットを履いている。

 

「まぁ、突然伺ったのは此方だ。気になさるな」

 

「ははぁ」

 

突き刺さるフローリングの冷気をしびれ始めた脛で感じつつも、頭は上げない。

いかに咄嗟の事とは言え、普段から色々とお世話になっている相手である。

親しき仲にも礼儀はあり、それが目上の相手であるならなおの事であるのは当然で、更に言えば、幼い頃からの"姉貴分"ともなれば畏まるには十分であった。

 

「そう縮こまるな、幼い日など、こうオムツや地図の描かれた布団等をだな…」

 

「お許しください!ドクター○ル‼(ガンガン)」

 

キツツキムーヴで額を一発、二発。

うふふ、お家帰りたい。

あ、ここか。

なら、森だ。山だ。自然に帰ろう。

 

「待て、落ち着け工藤少年。そのピッケルの生えたリュックをどこから出したのかは知らんが、まず落ち着け。冬木の森は樹海レベルの魔境ぞ」

 

止めないでください。

ほとぼり冷めるまで幻の城を探しにいくのです。

そして、噂のメイド二人に癒されるんだい!ぐへへ。

 

「…一瞬で俗に染まったな。おじ様もそうだったが、血は濃いな。…………黙っていればモテそうなものを(ッボソ)」

 

う!…………ふぅ。(最低)

思わずトリップしてしまった。

淑女の前ではしたない。

ん?ところで、

 

「ところで、今日はなんのご用でしょうか?」

 

電気ケトルからお湯を調達しながら、ティーポットとカップを温めていく。

普段飲むティーバックの安物とは違い、来客用のダージリンはセカンドフラッシュの一等品である。

ゴールデンルールを守るのが最善であるのは間違いない。(と、言っても電気ケトルを使った時短の時点で相応の味にしかならないのだが)

 

「ありがとう。……だが、何をと言うには心当たりがないとは言わせんぞ」

 

と、淹れたての紅茶を受け取りながら、彼女はその懐から茶封筒を取り出した。

 

「………あー」

 

それがなんなのかは明白で、だからこそ気まずい。

 

「工藤少年。私が記憶している限り、ここの家賃は●●円だったはずだが?」

 

ようは家賃問題である。

あぁ、頭が…

 

ピンポ、ピンポンポ、ピンーポン!(ガンガン!ガンガン!)

 

『ひゃっほー!開けろー、ぐだぐだ人理にぃ!穂村の黒獅子のお通りだぁ!世間様はとっくにランチタイムですぞー!』

 

頭が…痛い。物理で。

 

「「はぁ…」」

 

重なる溜息。

無駄にシンクロ召喚してしまった生物(ナマモノ)は初手からモールス信号を発信。

内容は"腹減りへりはら。かゆうま"と、食欲と情熱の間な内容であった。

 

『午後のまったりシエスタに映画も借りてきた!チェーンソーでサメさばいて、ダイナマイトでトルネード吹き飛ばす最新作だぞ!』

 

問題なのは、コレが幻聴ではない現実であることだろうか。

更に言うなら何気に顔見知りが集まっていることも拍車をかける要因なのだろう。

 

「…はぁ、青春時代を思い出すな…。ノリが母娘で変わらない…」

 

「天災って避けようがないから天災なんですよね…」

 

言うが早いか、すたすたと玄関へ向かう姉御。

ライブばりのパーカッションを鳴らす黒獅子さんの母君とは同世代の親友であるらしく、面倒を見たり、面倒を見たり、面倒を見た仲らしいので、この後のオチは想像するだけ無駄である。

 

げぇーーー!メカネおば、あ、あぁーーーー‼

 

無駄だった。

 

 

 

 

 

「なんだよー、遊びに来ただけじゃんかよー。年下の幼なじみなんて、業界じゃご褒美だろー」

 

「警察に叩き出すぞ、歩く騒音発生機」

 

頭にたんこぶを作り、唇を尖らせるこの浅黒少女は、立場的には申告通りの幼なじみであるがどこからどう見てもご褒美ではなく、罰ゲームの類いであり、先日年上の俺を差し置いて、

 

『私告られっちったー、へへへ悪いな人理にぃ。コレ二人のりなんだ!』

 

等と報告してきた、宿敵である。

"穂村の黒獅子"を名乗り、『私より速い女は200Mより先にはいねー』がうたい文句であり、おおむね正しい。

大人も、プロも入り乱れる市民マラソンで入賞の偉業は伊達ではない。

因みに200M以内では"黒豹"より遅いらしく、市内で度々起こるチキチキ親子(デス)レースでは、いかに距離を稼げるかでオッズが決まっているらしい。

胴元としては将来性を見据えて長距離に伸びて欲しいところである。

 

「つーか、家(ここ)に来るくらいなら、デートでもしろよお前。男の家に入っていくなんざ相手見たら泣くぞ」

 

「?なんだ、女でもできたのかチビ蒔の字」

 

「え、いや、アレは…って、私、女ですー!なんでメカネおばさんは私の性別変えたがるんだよ!」

 

それが自然に見えるから仕方がない。

こいつに必要なのは実家の反物である。

 

「お前の母君が、学生時代、後輩からチョコを手にいれてたからだろうな。本人はその日がバレンタインなのを忘れて食べていたが」

 

なんという武勇伝。

その後のホワイトデーも完全に忘れていたところまで想像が容易い。

 

「他にも、チョコには因縁があってだな?弓道部の部室から…」

 

「ギャー!それだけは言わせねー‼ビックベンエッジは奴だけの勲章だぁー‼」

 

ところがどっこい既にそのネタは仕入れている。

その大会の、どころか、その年のインターハイ"最速"記録も樹立しているので、バカにする気にもなれないのだが。

 

「ちゃう、ちゃうねん!私はあの人(母)の血を引いてはいるが、其処に止まるつもりもない!

そう、いつか全てを越える!ミレニアムな技を引き下げて‼」

 

「だがあの技に似たのは、王位争奪編のロビンマ○クがマン○スマンにだな…」

 

「アレはロープワークだよぅ!発想の変換なんだい!」

 

どうせなら、その前の友情のトライアングルで決めるべきだったよね。

サムライの正体もアレだったのに、二世ではあーなっちゃったし。次世代守りたかったんじゃないのかと(以下略)。

 

「ん?そういや、なんでメカネおばさんは人理にぃの部屋に?……………まさか」

 

「?」

 

「あぁ、何となく読めたぞこの後の展開が…」

 

なら、止めてほしい。

この歩く公害は、マイク克つスピーカーであり、その伝播たるや一日で街中に広がる叫び声を発するのだ。マジ迷惑。

 

「な、納得いかねー‼何時だって古き物は新しき物に破られるサダメなんだぜ!若者よ!目を覚ませー!」

 

言うや否やシェイキングスタート。

震える両手が襟元を伸ばします。

えぇい、手を離せ!揺らすな!そして耳元で叫ぶな!

酔う!主に三半規管が、俺のカタツムリが揺れるー⁉

 

「…ほぅ、私が"古い"だと?」

 

そして迸る青いイナズマ、瞬間色を失う世界!ザ・ワールド!そして時は動き出す…!

あ、急に止めないで、それはそれで、っうぷ!

 

「この情報化社会にて、常にイノベーションを続け、末は市長とも言われるこの私を…"古い"と?」

 

「は、はわわわわわわ…」

 

震える黒獅子(にゃんこ)。

弱った姿は何時になく可愛らしくあるが、これもまた一つの摂理。

知るが良い、革新を続けるが人の業と唄うものよ。極めたが故に越えれぬ伝統もまたあるのだと。

曰く、『兄より優れた弟など存在しねぇ!』

 

「に、にゃーーー‼」

 

 

 

 

 

 

見事に二段目を産み出したたんこぶに、鏡餅を連想した俺は、もうそんな季節かと、ミカンを箱買いすることを決めた。

 

「炬燵も出さなきゃなぁ…」

 

「お、おおぉ…」

 

ラグーンシティーの住民のごとく痙攣スタイルで地を這う黒にゃんこ。

イノベイターのトランザムの前に無惨に散ったその姿は別の意味で、不死身の異能生存体である。

何?そっとしておいてくれ?

 

「ふむ、しかし"そこ"に反応するという事は…」

 

「!は、いや、あの、その!」

 

「ふむ、ふむふむふむ。……若いな」

 

?十代前半ですからね。

どうした黒獅子。赤獅子になっとるぞ。

 

「はぅ、はぅ(混乱)」

 

「虚言はほどほどにな(小声)。

 

 

…さて、私がここに何故いるか、だが、そう言えば話の途中だったな工藤少年」

 

あ、やべぇ。

 

「え?何?人理にぃ、なんかやっちまったの?」

 

「やっちまったのだ。見ろこれを」

 

と、再び登場の茶封筒の口を開けて見せる。

 

「おおぅ!諭吉さんが二枚三枚、おぉ!まだ出る!何?ちょっとした小金持ちじゃん!しーすー行っちゃう?行っちゃう?」

 

やめい。

あ、いやそれも悪くはないのだが…。

 

「何コレ、早めのお年玉か?」

 

「いや、家賃の"過払い"金だ」

 

ぴたり、と笑顔が軋む。

あー、コレは本格的にやばい。

 

「以前も同じ事を言った筈なのだがな、どうも彼は学習が苦手らしい。今日も今日とて説教に来たのだ」

 

「いや、でもですね?払えるのに御厚意に預かるのはこう、良心が痛むと言いますか」

 

「では聞くが、昨日は何時に床についた?」

 

やべぇ、顔が笑顔だと安心しきってた。

あれは威嚇の表情だと教えてくれたのは目の前の人ではなかったか…!

 

「いや、昨日は臨時のバイトが…お陰で羽振り良くてですね!」

 

「あぁ、三日ほど連続だな?」

 

「…ほら、年越し近くなると稼ぎ時ですし」

 

「未成年が、深夜帯にか?」

 

「…………ちょうど、暇な時期と重なってですね」

 

「先週はテスト期間だったはずだな?」

 

「「……………」」

 

ドツボ。

逃げ場など無い。

 

「はぁ、何が嫌なのだ?君にとって、今が一番大切な時期なのは分かっているだろう?

後ろめたさか?コレは大家どころか、このマンションの皆の総意だと知っているだろう?」

 

「人理にぃ、そんなことしてたのか?なんで!良く見たら、ひどい隈じゃん!ちゃんと寝てる?」

 

寝てないわけではない。

"たかが"二徹したくらいだ。

今日は特に何もないし、寝貯めておけばそう問題ではない。

 

「…納得してないようだからはっきり言うぞ、君は自分を過信している。若さで誤魔化せるのは今だけだ。悪いことは言わない。休め」

 

「そういや、私来るとき大体寝てるよな?ぐだぐだしてるなぁって思ってたけど…一体いつからそんな生活してんだよ!」

 

「…もう、大袈裟ですよ。言われた通りテストも終わって暇だったからシフトを増やしただけです。あぶく銭、ではありませんが、俺一人なら食べていけるだけのお金はあります。どうか気にせず納めてください」

 

「人理にぃ…、なんで…」

 

なんで、といわれても困る。

言うなら、皆がいい人だからだ。

ばーちゃんと二人暮らしの頃から、なにかとお世話になってきたのに、これ以上はバチが当たる。

優しさに救われたのだから、誠実さで返したいのだ。

 

「…………………分かった」

 

「!メカネおばさん‼」

 

「それで君が納得するならしよう。ただし、学業に影響の出ない範囲でだ、少しでも成績が落ちるようなら、即刻今の生活は辞めてもらう」

 

有言実行の人がここまで釘をさすということはこれが最大限の譲歩という事。

でも、

 

「……分かりました。約束します」

 

それが、ばーちゃんとの、いや親父やお袋。

家族との"誓い"だから…

 

 

 

 

 

「すいません。寝起きなんで、少し顔洗ってきますね」

 

顔色の悪い表情で彼は洗面所へと向かっていく

 

「あ、人理にぃ!キツイなら寝てなよ!…おばさん!」

 

「…そう、おばさんと連呼しないでくれ。まだ若いつもりなんだ」

 

「だって、あれじゃあ…」

 

そう嘆く幼子の手も声も震えていた。

自由奔放に見えて、いつの間にやら人を気遣う心が芽生えていたのか。

そうか、あの小さな子が、あの小さな手が、いつの間にか誰かを思えるようになったのか…。

くしゃり、と癖のない艶髪を撫でる。

母親に似て指通りの良いそれを懐かしく感じた。

…膝を曲げて腰を落とし、目線を"彼女"に会わせる。

 

「若い頃、私も君の母君や友人たちと少しばかり無理をした。

 

…人の為だとそう信じて、学生の範疇を越える事をした。

回りにいくつもの迷惑や、借りを作って。

 

だが、それが今の私の大切な財産なんだ。

彼があんなに頑なな訳は知らない。

知らないが、理解したいとは思う。

 

だって、…ああ見えて優しい子なんだ。私の弟分は」

 

「…知ってるよ。バカとかチビとかいつも言うけど、人理にぃいつも助けてくれるもん」

そう例えば、…数年に一度有るかどうかのイベントで騒ぐ回りをよそに、巻き込まれて川に落ちた子供を助けようと夜の川に飛び込むような、そんな奴なのだ。

 

「それに、

 

 

 

"納めてくれ"と言われたからな。あぁ、納めてやるさ、お婆様から預かってる彼の通帳にな」

 

「え?」

 

「別に嘘はついていないだろう?私は大家だが、同時に彼の"後見人"なんだから」

 

急ぐ必要はないさ。

君はまだ"子供"なのだから。

 

 

 

 

 

そう、思って/願って、いた。

 

 

 






ふー、



二度とオリキャラなんざ作らねーぞ!(超☆今更)


え?名前?

楓からだから紅葉とかでよくね?
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