蛇が行くのは空の世界   作:狐目

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遅くなってしまいました。申し訳ありません!なかなか執筆する時間が取れず時間がかかってしまいました。これからも、遅れてしまうかもしれませんが何卒ご容赦ください。
では第7話です。どうぞお楽しみください。


第7話 魔導士の少女

大公の行方を追うために情報を集めるギン達。一通り情報を集めた後、情報交換をすることにした。

「判ったのは大公が鋼の職人であり魔法使いでもある、ってことくらいやね」

「こっちも同じ様なことばかりだったよ。これ以上の情報集めは意味が無いかもしれない」

ギンとグランはそう結論付け、次にどうするかを考えているとカタリナが提案した。

「なら、次はアーセナルに行ってみないか?」

「アーセナル?」

ギンは疑問符を浮かべる。

ラカムが説明する。

「アーセナルは《プラント》ー工場のことだ」

「なるほど、ザカ大公は職人でもあるってことはアーセナルにも何かあるかもしれへんね」

かくして一行はアーセナルを目指すこととなった。

 

〜朽者旅道〜

アーセナルに向かう一行は、朽者旅道を歩いていた。街道の名前としてはこれほど悲愴感の漂うものはないだろう。だが、それ以上に、

「暑い……」

そう、とにかく暑いのだ。フレイメル島は砂漠がほとんどを占めるため日中はもう嫌になるくらいに暑い。荒れ果てた風景のなかカタリナは地図を見ながら言った。

「振り返るなよ」

カタリナの真剣な声にグランはいぶかしむ声をあげた。

「どうかしたんですか、カタリナさん?」

カタリナはラカムとギンを見た。

「気づいているか?」

「うん。誰かは知らんけどつけてきてるのがおるみたいや。さてさて、いったい何者やろうね」

ギンは霊圧感知をあげ、辺りを探る。すると一行から少し離れたところに比較的大きな霊圧を感知した。正体を探ると、子供の様だったので放っておいても問題ないと判断した。

「どうやら姿を隠す魔法か何かでつけてるみたいやけど敵意や悪意の様なものは感じない。放置して問題ないやろ」

そうギンは伝えると、彼らは気づかないふりをすることに決めたらしい。しばらく歩いていると、ラカムが一行を止めた。

「おい。ちょっと待った」

「なんだ?」

「なんか聞こえねぇか?」

耳を澄ませると獣のうなり声がきこえる。その咆哮に混じって聞こえるのはー悲鳴だ。

真っ先にグランが駆け出し、その後をギン達が追う。そこで目にしたのは、女の子と大柄な二頭の獣。多頭の魔犬ー《ヘルハウンド》とゴブリンだった。

「その子から離れろぉぉぉ!」

グランが全力で地を蹴り、斬りつける。その攻撃は魔犬を地面に叩きつけたが致命傷にはならなかったようだ。だがグランはそのことに気づいていない。その隙をつき魔犬はグランに襲いかかる。ギンは、グランと魔犬の間に飛び込み魔犬の攻撃を受け止める。

「ほらほら、油断したらあかんで。もっと注意せんと」

「あ、ありがとうございます…」

そこにカタリナが駆けつける。

「グラン。どうやら君の剣では相性が悪いようだ。一度下がるんだ。ギン、君は右の奴を頼む。私は左だ。ゆくぞ!」

宣言と同時に二人は魔犬の前へと飛び込んだ。ギンは動きを加速させすれ違いざまに魔犬を斬った。ほっと息をついていると、

「は〜な〜せぇええ〜!」

という叫び声が聞こえ振り向く。ゴブリンが少女の腕を掴み、剣で脅していたが、

ガァァァァン!

凄まじい轟音と共にラカムの銃が火を吹いた。ゴブリンが少女の腕を離したところを、グランが救出し、カタリナが立ち塞がる。ゴブリンは背中を向けて逃げだした。

「野郎、逃がすか!」

「待てラカム!深追いするな!」

カタリナが止める。

「今はその子を連れてここを離れるのが先だ」

ラカムはちっと吐き捨てたが、おとなしく銃をしまった。少女は持っていた長い杖を握りしめたまま、気を失っていた。

 

街道を戻り見つけた岩陰で一行は休息を取った。カタリナが手当を終え言った。

「どうやらこの子が私達の後をつけていたようだ。それにこの杖は魔法使いが持つものだ」

「確か魔法は年齢は関係なく素質が物をいうんでしたよね」

ジータも頷く。ほどなくして、少女が目を覚ました。彼女はゆっくりと辺りを見回して一行にかこまれていることに気づくと固い表情になった。

「心配しないでほしい。私達は君に危害を加えるつもりはない」

カタリナが笑顔を作りながら言った。ビィが偉そうに胸をそらす。

「むしろ助けてやったんだぜ!」

「なに、このトカゲ。やだ、近寄んないで!」

「オイラはトカゲじゃねえ!」

「まあ、それは置いといて」

ビィの文句をききながしてギンが問いかける。

「キミ、なんで僕らの後をつけたん?」

「……」

少女は何も答えない。

「ダンマリか…。けど子供がこんな危険なところを一人であるくのはよくないで」

「子供じゃないわ」

少女は言い返す。

「君がハーヴィン族なら、信じても良かったんだが。まあ、君は魔法を使えるようだし、優秀な魔法使いなのかもしれないが…」

やれやれとカタリナがため息をつく。

「違うわ」

「ん?」

「魔法使いじゃないわ。あたしは魔導士だから」

「そうか。ともあれ、目が覚めてよかった。どこか調子の悪いところはあるかい?」

カタリナの問いかけに対し、少女は首を横に振る。

少女は立ち上がると頭を下げてお辞儀をした。

「ごめんなさい」

「で、私達の後をつけていた理由は話してくれるのかな?」

カタリナが繰り返すが、少女は頑として話そうとしなかった。

 

町に戻った一行は、少女にそれぞれ自己紹介した。少女も名乗る。

「あたしは、イオ・ユークレース……イオだよ」

少女ーイオは一行にあることを教えた。そのことは、一行を驚愕させるものだった。それは、

『大公は帝国と共同研究していた』

ということだった。そのことを告げ、イオは背中を向け、走り去っていった。

これが一行と小さな魔導士イオ・ユークレースの出会いだった。

 

その日の夜、ギンは一人机に向かっていた。黒騎士やドランクたちへの定期報告を書くためである。

【定期報告】

本日、大公の行方の捜索中に魔導士の少女と接触した。大公と帝国の共同研究を知っていたことから大公の行方を知っている可能性あり。引き続き捜索を行う。

 

ギンは、その報告書を伝書鳩の足にくくりつけ放った。鳩は、あっという間に夜の闇に消えていった。




いかがだったでしょうか?
あとこれは私事ですが、先日誕生日を迎えました。これからも頑張って書いていこうと思います。
それでは次のお話でお会いしましょう。
See you next time

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