「大丈夫か! ラウラ、シャルロット!!」
一夏はすぐさま壁に突撃した二人の元に駆けつけ、雪羅のエネルギーシールドを展開する。
次の瞬間、BTライフルの攻撃が降り注いだ。
「先走らないでよ。M」
「ッ!」
聞き覚えのある声を聞いた一夏は表を上げる。
サイレント・ゼフィルスの隣にもう一機いたのだ。
バイザーで顔を隠され、両方の腰付近に付けられた二本の刀の白いIS。
一夏はその操縦者が誰なのかすぐに分かってしまった。
「……加奈」
バイザーで顔を隠されていたが、間違いなく裡覇加奈であった。
「知らん」
「まぁいいわ。お客さんが来たようだし……あちらは任せたよ」
「…………」
加奈は一夏の方を直視し、笑みを浮かべ、一夏の元へと向かっていく。
Mはセシリア、鈴に合わせるかのように、飛翔した。
◇
「久しぶりだね。一夏」
加奈が一夏の前に降り立つと、友人の様に語りかけてきた。
目元が隠れるタイプのバイザーで口元から彼女の肌が見えている。
ISを纏っていながらも、加奈は手を後ろに回し、普通の女子高生にしか見えなかった。
だけど、今ここは平和とはかけ離れた存在……ISとISが戦いを繰り広げる戦場。
「一つ教えてくれ」
「なに?」
「何で……亡国機業と共に行動しているんだ。あいつらは、テロリストだぞ。人を殺すことだって躊躇しない悪人なんだぞ!? 何でお前はあいつらと……」
加奈は一夏の言いたいことは分かっていた。
平凡を装って生活していた加奈には、一夏はこっち側にいることが知りたかったのだと。
「簡単なことよ」
加奈が何故、亡国機業にいるのか……その答えを口にした。
「私の両親はね……世界に殺されたからよ」
「え?」
一夏は加奈の言葉の意味が分からなかった。
両親、世界、殺された?
「私の両親は、反女尊男卑の人たちでね。と言ってもそれ程深入りはしていない程度だったからね」
加奈は語りだした。自分が何故亡国機業にいる理由を。
「だけど、世界は私の両親に牙を剥いたのよ。ただ、反女尊男卑だと言う理由だけで」
加奈の両親は反女尊男卑思想を持っている。ただそれだけの理由で全てが一変してしまった。
そして、加奈が帰宅した時に……二人は自殺していたのだ。
会社をクビにされ、職を失った加奈の両親。再就職も望めない。世界は……加奈の生活を壊した。
「反女尊男卑持ちである私を引き取ろうとする者は誰一人いなかったわ。あの人以外は……」
誰が言い出したのかは分からないが、加奈を引き取れば、制裁が下る。そんな噂で不吉な娘を引き取ろうとする親戚は誰もいなかった。
一人で生活するにはまだ若く、そのまま施設に入れられることになろうとした時だった。一人だけいたのだ。
「亡国機業の幹部、スコールさんが私の引き取り手になってくれたのよ」