その時、全ての者の時間が止まった。
一夏の胸から背に目掛けて突き出した剣。加奈の一撃を防ぐことすらできず受けてしまったのだ。
「一夏……」
箒はその光景から目が離せなかった。
「一夏ァアアア!!」
加奈は何も言わない一夏から剣を抜き、眼鏡に手をかける。
「これは、返してもらうわ」
どさ、と一夏はその場に倒れ伏せる。
その横から箒が加奈めがけて突き進んでいた。
「貴様ァ!!」
箒が加奈めがけて剣を振り下ろすが、加奈はその場から動こうとしなかった。
まして、急過ぎて動けなかったとではない。
加奈はあえて動かなかったのだ。
「!?」
箒の剣は加奈の身体を通り過ぎ、地面に当たった。
確かに当たった。しかし、箒の手からは当たった感触がなかったのだ。
「これが、万華鏡写輪眼か」
加奈の眼は先程までの紅眼の形が変わっていた。
一夏を殺したことにより開眼したことが証明されたのだ。
「箒下がれ! そいつは先程までの奴ではない!」
ラウラは本能的に加奈の異変に気付いた。
「この力の実験相手になってくれる?」
まるで新しい玩具を手に入れた子供のように加奈は笑い、箒の方に向き直る。
箒はその笑いに背筋が凍った。
「
加奈の身体から炎と思わしき物が現れ、形を成していく。
巨大な人の骸。
それは誰もが言葉を失った。
そして、骸は箒たちを巻き込むようい薙ぎ払う。
「がッ!」
何も出来ず箒、ラウラ、シャルロットは骸の薙ぎ払いを受けた。
「あははは! 素晴らしいわ! この力! これで……」
だが、すぐに加奈に異変が現れた。
「ぐっ!」
眼から血が流れたのだ。
(これだけしか使っていないのに?)
文献にはあった力を少し使っただけだというのに、加奈はこの力の代償を思い知った。
(まぁいいわ。もうこの力を手に入れた以上、ここにいる必要はないね)
加奈は万華鏡写輪眼を解除し、下がった。
「目的は果たしたわ。帰投する」
加奈はそう言い残して、飛翔する。
「M。撤退するわよ」
「…………」
Mは加奈の言葉に何も反応しなかったが、加奈と共に飛び去った。
その後を追う者は誰もいない。
◇
「一夏しっかりしろ! おい!」
心臓を撃ち抜かれた一夏を揺する箒。
しかし、一夏は何も反応しない。誰もが一夏の今の状況を見ても生きているとは思っていない。誰もがそう諦めた時だった。
「待て!」
ラウラが一夏の胸付近に耳を付ける。
そこから僅かながら鼓動を感じたのだ。
「まだ生きている! 医療班!!」
心臓を打ち抜かれたのにかかわらず一夏は生きていたのだ。