「一夏くんの容態は?」
「えぇ。峠は越えましたが……」
あの後、一夏はすぐさまIS学園にある大学病院並の設備の整った所で治療を受け、無事にその命を繋いだ。
しかし、真耶は一夏に起きた出来事に疑問を感じていた。
「心臓は確かに撃ち抜かれていました……しかし、あんなことが可能なのでしょうか」
一夏の心臓は加奈の剣によって撃ち抜かれ、穴が空いていた。
しかし、一夏がIS学園に着いた時には、撃ち抜かれた所にた膜が出来ており、失血がされていたのだ。
「ISが自らの意思で操縦者を生かす……」
「はい。もし、そんなことが可能なら大きな発見ですよ」
今までにない光景に真耶と楯無は息を呑む。
ただでさえ、男性操縦者である一夏がそんなことに巻き込まれていると上が知ったら……。
「報告はしない方がいいわね。一応、織斑先生にもお願いしておきます」
「はい。よろしくお願いします」
真耶と楯無は戦争の引き金を上に報告しないことにした。
未だに意識が戻らない一夏。
「亡国機業の事でも精一杯だというのに……」
楯無は「はぁ……」と溜め息を吐きながら生徒会室へと向かった。
◇
「ようやく開眼できたわね」
変わって亡国機業のメンバーがいるホテル。
幹部のスコールはワイングラスに口を付け、加奈の眼を見る。
「後は、時を待つだけ」
加奈は撫でるように右目に触れる。
全てのピースが揃い、後はある物の出現を待つだけだった。
「これで……全てが終わる」
この世界から争いが無くなる。平和が約束される。加奈のような者を生み出されることはない。
「さてと、最後の仕上げに入りましょう」
スコールの言葉に加奈は頷き、立ち上がる。
そして、世界の最後が訪れようとしていた。
◇
それは突然のことだった。
亡国機業が世界に向けて、宣戦布告をおこなったのだ。
もちろん、その放送はIS学園にいる生徒全ての耳に届き、不安が生まれる。
「ついに来た……」
楯無も亡国機業がこう来るとは思ってもいなかったが、特に変更する気はなかった。
「最後の戦いを始めましょう」
しかし、その戦いに参加したのはただ一人でけだった。
それは、IS学園生徒会長、更識楯無でない。
では、箒? セシリアだろうか? それとも鈴? またはラウラ? シャルロット? 織斑千冬? 山田真耶だろうか? それとも……世界中にいるIS操縦者? いやいや違う。この戦いに参加した者は誰もいないのだ。
だけど、この戦いは終戦した。なら、勝者がいるはずだ。しかし、その勝者を誰も知らない。
何故なら、この戦いの詳細を知っている者は誰もいなかったからだ。
だって、勝者は誰も予想しなかった人物だったのだから。