事件が起きる少し前。
二年一組ではいつもの様に授業が行われていた。
クラスメイトはそのまま上がっただけなので、クラスには箒、セシリア、シャルロット、ラウラといつものメンバーが揃っている。
(一夏……お前は一体何処にいるのだ)
一夏が行方不明になってから既に一年が経った。
亡国機業の戦いに参加したが、敵の罠に嵌り、結局その後は戦争が終決してしまったのだ。
箒たち一夏と関わりを持つ者たちは一夏の生還を望んでいるが、一向にその連絡はなかった。
ドンッ!!
「!?」
それは突然のことだった。
近場で何かの爆発音が聞こえ、クラスメイトたちは動揺が走る。
そして、アリーナ近くの区画で黒い煙があがっていたのだ。
「まさか!」
セシリアたち国家代表候補生は、この事態を直ぐに察したのだ。
各国を騒がせているIS襲撃事件。
それが、今起きたのだと。
「生徒の皆さんは速やかに避難を」
担当教員が避難勧告を発令し、セシリアたちを除く生徒たちは避難していく。
「わたくしたちは、対応にまいりますわ」
「はい。よろしくお願いします」
そして、彼女らは廊下を駆け抜ける。
◇
「待て!」
「どうしたのだ」
「誰かが来る」
突如、ラウラが急停止しする。
箒以外は前から何か嫌な感じを感じ取っていた。
そして、ラウラの言う通り、前からフードを被った誰かが近づいて来る。
「貴様がこれをやったのか!!」
箒がフードを被った者に呼びかけるが、何も返さなかった。
全員、部分展開でISを呼び出す。
「相手は国家犯罪者ですわ。慎重に……」
「はぁあああ!!」
「箒さん!?」
セシリアの注意を無視して、箒が先陣をきる。
フードを被った者は箒の剣捌きを避け、カウンターを入れた。
「ぐっ!」
箒の腹に一発決まり、後ろへと飛ばされる。
「ちっ、相当なやり手のようだな」
ラウラは先程の一撃を見て、予想以上のやり手だと判断する。
「バックアップは任せて」
「あぁ。鈴と私で奴を叩くぞ」
「いいわよ」
セシリアとシャルロットがバックに付き、鈴とラウラがアタックに付くことになった。
ラウラと鈴が突っ込み、避けた所をセシリアが狙撃する。
「もらいましたわ」
セシリアのレーザーはフードの頭部を捉えていた。
しかし、レーザーはその頭部を通り抜ける。
「!?」
流石にそれは予想外の出来事に全員が驚いた。
タイミングは確かに完璧だったのだ。
セシリアが外すとは思えない距離で。
「ラウラ……今の見た?」
「あぁ。あれは完全に通り抜けていた」
一時下がり、先程起きた出来事を考える。
(通り抜けるなんて聞いたことがないぞ。あれが本当の等身ではないのか?)
ラウラは目の前にいる者は最も背が小さい者であり、ホログラムで身長を偽っているのだと仮説を立てる。
「須佐能乎」
フードの者は一言呟く。
そして、蒼い炎が起ち、骸が現れ始める。
その光景は一度見たことがあった。
「ま、まさか!?」
一年前のキャノンボール・ファストの時にあの女が使った、あれが再び前に現れたのだ。
「裡覇……加奈」
驚きの余りに回避が遅れる。
須佐能乎は教室の壁を壊しながら、セシリアたちを薙ぎ払った。
「キャアアア!!」
室内では狭すぎて完全展開できないことが仇となり、彼女らは大きくダメージを受けた。
フードの者は須佐能乎を解除し、セシリアたちに近づく。
「隙ありだぁ!!」
最初にダウンした箒が起き上がり、雨月を突き立てる。
箒の雨月はフードの中へと入り、それを破った。
そして、その者の顔が姿を現す。
「な!?」
箒がその者を見て、驚きを隠せなかった。
そして、その隙に箒の首を掴み、持ち上げる。
「な、なんで……」
箒は持っていた雨月を思わず落としてしまうが、その者の腕にしがみ付く。
「なんでだ……何故お前が……」
意識が戻り始めたセシリアたちがフードの者を見て、言葉を失った。
フードの者の正体が……
「答えろ……一夏ァ!!」
行方不明の織斑一夏だったのだから。