「久しぶりね。一夏」
加奈はオータムのIS《アラクネ》の上に乗りながら、一夏を見下ろす。
「久しぶりじゃねぇよ……」
一夏はあの日から変わらない加奈を見る。
しかし、そこで違和感を感じた。
「なぁ……」
「ん?」
「その足、どうしたんだ」
「あぁ……」
一夏が疑問に覚えていたのは、加奈の足だった。
ドイツの時に加奈は一夏を助ける為に、その両足を失ったはずだったのだ。
しかし、今一夏の目の前にいる加奈には両足があった。
「もちろん、義足よ」
加奈は履いていた靴を捨てると、そこにあったのは金属製の足が出て来る。
「ISなどに使われている金属だから、ある程度の強度があるわ」
一夏の《雪片弐型》を蹴り止めたり、蹴り飛ばしたことによる説明をする加奈。
「ちょっと待ちなさいよ! 加奈、なぜあんたがここにいるのよ。そいつはテロリストなのよ!!」
「うん。知っているよ、鈴ちゃん」
鈴は何故、加奈がテロリストである亡国機業と共にしていることに疑問を感じていた。
「私は元々、こっち側の人間だもの」
「!?」
「あれ? もしかして、一夏から聞いていないの?」
「っ!」
一夏は加奈の言葉に何か苦虫を齧ったかの様な顔をする。
どうやら、あの日の出来事は誰にも喋っていなかったようだ。
「どう言うことよ、一夏……」
「…………」
「そのままの意味さ。一夏は私の正体を知りながら黙っていたのさ。まぁ、私たちも人選選びが甘かったから色々と大きな傷を残してしまったからね」
何も言わない一夏に代わって加奈が説明する。
お互いにあの日、大きな傷を負った。一夏は右目を、加奈は両足を。
「お話はここまでだね……」
加奈のその言葉と同時に上空からビーム兵器特有のレーザーが降り注ぐ。
「くっ!!」
完全に油断していた専用機持ち目掛けてレーザーが降り注ぎ、脱出する隙が出来てしまった。
「オータム、X……迎えに来た」
「ちっ! M!!」
頭上には一機のISが居た。
「新手か!!」
「あ、あれは!!」
セシリアはMが乗っているISに見覚えがあった。
あれは、先月イギリスから強奪したIS《サイレント・ゼフィルス》なのだから。
まさか、早速使って来るとは加奈も思っていなかったが、どうやらそのインパクトが結構効いていて、今一夏に接触するチャンスが来てしまった。
(これで、私の目的を果たせる……)
油断した専用機持ちはMの方に注意が行く。
もちろん一夏もMの方を振り向いていた。
「一夏……私の一生のお願いを聞いてくれる?」
「え?」
加奈が一夏の目の前まで来ており、加奈は懐からある物を取り出す。
「世界平和の為に……死んでくれる」
パンッ……!
銃声。
一夏の耳にはそれだけ聞こえた。