インフィニット・ストラトス 仮名   作:ぬっく~

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第9話

パァンッ!!

 

「なっ……!?」

 

弾丸が一夏に向かって真っ直ぐ飛んで来る。

何故かゆっくりと、そして明確にそれが見えた。

 

「ちっ」

 

加奈が舌打ちする。次の瞬間、一夏へと向かっていた弾丸はその軌道を止められていた。

弾丸が空中で静止している。

 

「更識……楯無」

 

間一髪、楯無がIS《ミステリアス・レイディ》のアクア・ナノマシンを一夏の正面に張り、加奈が撃ち込んだ弾丸を止めたのだ。

 

「失敗したわ。撤退よ」

 

加奈は一夏の暗殺に失敗し、いくつか撃ち込み下がる。

そして、Mの《サイレント・ゼフィルス》に掴まり、そのまま高度を上げた。

 

「一夏……次はちゃんと殺してあげるから」

 

加奈がそれを言い残して、飛びった。

 

「待って! どうしてだ!!」

 

一夏が追跡しようとするが、他の者たちによってそれは止められた。

 

 

 

 

亡国機業の襲撃を受けてから、数時間が経った。

一夏は自室のベットの上に座りながら、頭を垂らしている。

その一夏を楯無は壁に寄りかかりながら、見守っていた。

 

「…………」

 

一夏は今日、今までにない絶望を経験した。

優しかったあの加奈が、牙を剥き一夏を殺しにかかったのだ。

 

「あの時は、私が居たから良かったものの……一歩間違えれば死んでいたのよ」

 

楯無は一夏に向けられて撃たれた弾丸を弾きながら話す。

一夏に向けられて撃たれた弾丸はAIS弾と呼ばれる特殊弾だった。

正式名称は《アンチ(Anchi)インフィニット(Infinite)ストラトス(Stratos)》と呼ばれる物だ。

ISが何故最強と呼ばれるのは、主にシールドエネルギーで出来たバリアーに戦闘機以上の機動力を有しているからである。

だが、この特殊弾はその常識を覆す物だった。

 

「AIS弾は製造、使用が禁じられた禁忌の副産物。この世界の常識を一変させてしまう物よ」

 

AIS弾は……ISのシールドエネルギーをいとも簡単に突破させてしまう力があったのだ。

製造方法などは既に抹消されている為、この弾丸がどの様に作られているのかは楯無も知らない。

ISの最強の盾など、この弾丸の前では無意味。

その為、政府はこの弾丸の製造、使用を禁じた。

 

「速めに気持ちを切り替えておきなさい、一夏くん」

 

一夏も楯無の言うことには、馬鹿でも解る。

加奈の取った行動は、決して許されることではない。

超えてはならない線を加奈は超えてしまったのだ。

 

「…………」

 

未だに無言の一夏。

楯無も考える時間を一夏に与え、部屋から退室した。

 

「なんでだよ……なんで」

 

一夏はもう訳が分からなかった。

加奈と過ごした四年間が嘘に思えなかったのだ。

 

「なんだよ……この気持ち。分からねぇよ……」

 

無性に胸が苦しい一夏は、腕で顔を隠す。

それが……恋だと一夏が知るのは、再び加奈に会った時だった。

 

 

 

 

「失敗したそうね」

 

高層マンションの最上階。豪華な飾りで溢れかえっている部屋で、スコールは加奈に話しかける。

 

「まぁ、楯無が常に付きまとっている以上、失敗する方が大きいわよ」

 

加奈は自分の右脚を整備しながら答える。

 

「まぁ、一夏も随分と強くなっていたしね」

 

《零落白夜》を受け止めた右脚の裏に大きな亀裂が入っており、加奈は「取り替えた方が早いな……」と溜め息を吐く。

 

「そう。あぁ……そうだ。本部から貴女にアレが支給されることになったわよ」

 

「……やっとですか」

 

加奈は右脚を外し、新しい右脚をスコールから手渡される。

 

「流石の私でも、IS相手では骨が折れるわよっと!」

 

神経接続のレバーを思いっ切り回す。

 

「ぐっ!?」

 

激痛が走り、加奈は歯を食いしばる。

数分もすれば激痛は収まり、加奈は右脚のチェックの為に立ち上がった。

 

「ようやく専用機がもらえるんだし、最初のデートは一夏がいいわね」

 

加奈は窓側まで歩き、一夏がいるであろうIS学園の方向に視線を向ける。

 

「私は貴方の命が欲しいわ。一夏」

 

真紅の瞳で加奈は口元を歪ませるのだった。

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