あれからしばらくしてヒトカゲとピカチュウの治療が終わり、ジョーイさんから2匹を返された。
2匹をボールから出して元気な姿を見た俺は、すぐにニビシティを後にした。
そして苦労して、なんとかオツキミ山まてこれた。
野生のポケモンを倒したり、黒色の綺麗な石を拾ったりして、順調に進んでたんだけど。
……なんか、変な格好した2人の奴らに行く手を遮られてる。
そいつらの服装は真っ黒な服に真っ黒なベレー帽、そして服の何処かに赤いRの文字があるんだ。
大の大人がそんな服装なんだぜ。
こいつら……恥ずかしくないのかなぁ?
「ねぇ、そこ通してくれない。先に進めないんだけど」
「おいおい、ぼうや。誰にものを言ってんだい?」
「俺たちは、泣く子も黙るロケット団だ。怪我したくなきゃ、引き返した方が身のためだぜ」
なんだこいつら、俺が子供だからってバカにして。
だいたい、ロケット団ってなんだよ!
「へっ、その顔からして……俺たちの事を知らないのか」
「はっはっはー!いいねぇお子ちゃまは、お気楽でなぁ」
「なんだよ。俺が子供だからって、バカにするなよ!あと、早くどけよ!」
なんなんだよ、こいつら! 大の大人なのに、タケシさんとはえらい違いだな。
「ふぅー。どうやら、痛い目みねえと分かんねえみたいだな。……出て来い、ラッタ!」
「ラッタ」
2人の内の1人が、いきなりポケモンを出してきた。
これはひょっとして……ポケモンバトルを挑まれたのかな?
……まぁともかく、ラッタか。よく知らないし、ちょっと図鑑で調べてみよう。
「おいおい、こんなガキ相手にするのか」
「へっ、社会の厳しさを教えてやるのさ。お前は手を出すなよ、こんなガキは俺1人で十分だからな」
なるほどなるほど〜、ラッタはこんなポケモンなのか。
「おいおい、ビビっちまったか? それとも、僕ちゃんはポケモンを持ってねぇのか?」
おっと。ラッタの事を調べるのに夢中で、コイツのことを忘れてた。
しかし、やっぱりバトルを挑まれたのか。
理屈はよくわからないけど、挑まれたバトルはちゃんと受けないとな。
「出番だ、ピカチュウ!」
「チュウ」
「おっ、ピカチュウか。珍しいポケモンだな」
「へっへっへ、ラッキーだぜ。いい、手柄に成りそうだな」
手柄?なに言ってんだコイツら?
まぁいい。先制攻撃であっという間に倒してやる。
「行け、ピカチュウ!ラッタに10まんボルトだ」
「ピーカー、ヂュウーー!」バリバリ
「避けて、ひっさつまえばだ!」
ラッタは素早い動きでピカチュウの10まんボルトをかわして、前歯を伸ばしてピカチュウに飛び掛かってきた。
「ピカチュウ、避けろ!」
ピカチュウは素早やく左に避けて、ラッタの攻撃を回避した。
ラッタは勢いそのまま、ピカチュウがいた場所に激突した。
そしてその場所にはラッタの歯型が出来ていた。
なんて威力だよ。あんなの1発でもくらったらおしまいだ。
「ピカチュウ、でんきショックだ!」
「チュウー」ビリビリ
「ラッター!」ビリビリ
でんきショックはしっかりとラッタに命中した。
よし、でんきショックは早く出せる技だから、ラッタも避けきないな。
「大したダメージじゃねぇ。ラッタ、もう一度、ひっさつまえば!」
「ラッッタ!」
「ピカー!」
ラッタの至近距離からのひっさつまえばは、ピカチュウに命中した。
ひっさつまえばの威力は凄まじく、ピカチュウは吹っ飛ばされて壁に激突した。
「チュ…チュウー」
ピカチュウはなんとか立ち上がってはいたけど、全身が小刻みに震えていてかなりキツそうだ。
これは……戻した方がいいな。
「くっ、ピカチュウ戻れ。……行け、ヒトカゲ!」
「カゲカゲー!」
「今度はヒトカゲか。ラッタ、でんこうせっかで突っ込め!」
「ラッタ!タ!タ!」
ラッタは素早い動きで、どんどんとヒトカゲに迫ってきた。
多分ここでかえんほうしゃを撃っても避けられるきがする。
十分に引きつけて……
「今だ! ひっさつまえば!」
よし、今だ!
「ヒトカゲ、その場でジャンプをしてかわせ! そして、かえんほうしゃだ!」
「カゲ!……カーーゲー!」ボォォー
ヒトカゲはジャンプしてラッタの攻撃をかわした。
そして地面に着地してラッタにかえんほうしゃをお見舞いした。
「ラッターー!!」
やった、成功した!
ひっさつまえばは凄い威力だけど、前歯を使った攻撃だから攻撃範囲が狭い。
だからしっかりと見極めれば避けれるんじゃないかって思ったけど、大成功だ!
「ラッタ!しっかりしろ!」
「ラ……ラッタ」
よし、今のかえんほうしゃでラッタはひるんだみたいだ!今がチャンスだ!
さっきヒトカゲが、野生のポケモンとバトルしてる最中に覚えた2つの技をお見舞いしてやる!
「チャンスだヒトカゲ!ラッタの尻尾にかみつけ!」
「カゲー!」ガブ
「ラッター!」
ラッタがひるんでいたので、ヒトカゲは尻尾にかみつく事に難なく成功した。
「よし!そのまま、ちきゅうなげだ!」
「カゲ! カゲ、カゲ、カゲー!」
ヒトカゲはラッタの尻尾を噛んだまま首を起用に回して、ラッタをブンブンと振り回した。
そして何回か回したあと、ラッタを地面に力いっぱい叩きつけた!
「ラッタ!!……ラッタ〜」戦闘不能
「なっ、そんな!俺のラッタが!こんなガキに」
「うわ、ダッセー」
「い〜、やったー!良くやったぞヒトカゲ!」
「カゲカゲー」
「ク、クソーー!」
おじさんはよほど悔しかったのか、地団駄を踏んでいた。
へっへッへ〜、いい気味だぜ。
「さんざん俺の事をガキだガキだってバカにしてたけど。そのガキにあんたは負けたんだよ!ねぇ、今どんな気分」
「ガキが舐めやがって……おい!お前もポケモンを出せ!2人がかりで、ボコボコにするぞ」
「へっへっへ、そうこなくっちゃな」
「なっ、俺に負けたのが悔しかったからって、2体1なんて卑怯だぞ!」
「カゲー!」
「バカめ!ロケット団は金儲けのためなら、どんな手でも使うんだよ」
「へっへっへー、そういうことだ。諦めな」
くそ〜。コイツらは本気で2体1でやるつもりだな。
ヤバイな俺のピカチュウはひっさつまえばをくらって、かなりのダメージを受けてるのに。
だいたいあのおじさんは、なんで戦闘不能のラッタを戻さないで違うポケモンを出そうとしてるんだ?
早く戻してあげなくちゃ、ラッタが可哀想だ。
そもそも、おじさんたちが言ってる事が全然理解出来ない。
「なんだよ。俺に勝つことと金儲けと、一体なんの関係が有るんだよ!?」
「おいおい、マジで言ってんのか? お前、そうとうなバカだな」
「俺たちにボコボコにされれば、嫌でも分かるぜ」
「はっはっは〜、違いねぇ」
うぅー、どうしよう?こうなったら、傷ついてるピカチュウを出すしかないのかな?
いや、ここは……戦わずに逃げよう!
そうだよ!そもそもこんな不利なバトルを受ける理由なんてないし。
ニビシティまで戻って、ジュンサーさんに来て貰おう!
それが一番だ!
そうと決まれば、なんとしてでも逃げないとな!
「頼んだぞ、ピカチュウ」
俺はヒトカゲのボールに、おじさんたちに聞こえる声で語りかけた。
これできっとおじさんたちは、俺がピカチュウを出してバトルすると思ったはず。
俺の作戦はこうだ。
ピカチュウを出すふりをしてヒトカゲを戻す!そして全速力で逃げる!
うん、これならきっと上手くいく!
そう決心してヒトカゲを戻そうとした時だった。
「ゼニガメ、ロケットずつき! 二ドリーナ、にどげり!」
「えっ?うわー!」バコン
「ぎゃあー!」ベジ、バシ
技の命令と共にいきなり現れた2匹のポケモンが、おじさんたちに一瞬の内に技を命中させていた。
おじさんたちは両方共、技をくらって気絶していた。
い、いったい何が起こったんだ?
「ふぅ、これで全員かな。……いや〜、やっぱり僕って凄いな〜」
混乱していると2匹のポケモンのトレーナーだと思われる人物が近づいて来た。
「あっ!お、お前は……」
そいつは俺が知っている人物だった。
「おや、そこに居るのは。……やぁ、カズト。……いや、か〜ずとくん。久しぶりだな」
こんな風に俺の名前を呼ぶ奴は1人しかいない。
「シゲル!」
「はっはっはー、君もくんをつけたまえよ」
目指せポケモンマスター!
ヒトカゲ……かみつくとちきゅうなげを覚える。