街に入った瞬間、カボチャが出迎えた。広場にはカボチャで出来た塔が建てられており、その周りをカボチャ頭のゴーレムが徘徊していた。
「いやいやおかしい」
この街は落ち着いた雰囲気があり、日々の疲れを癒すのにもってこいの場所だと聞いたのだが、今では見る影もなくカボチャで出来たゴーレムやらカボチャ色のドラゴン(翼を畳むとカボチャに偽装できる)やら、カボチャを被ったエネミーや人間が、カボチャと斧や、鉈やら調理用とは思えないナイフを手に冒険者とカップルを追い掛け回しているのか、わからなかった。
「冒険者、余所者、カボチャ被れ!」
「オイテケ、オイテケ!タマシイとか、タマシイとかオイテケ!」
「アクリョータイサン、アクリョータイサン!」
「酢豚喰えよ」
「訳が分からん」
最初の二体はまだわかる。だが、最後の二体に至っては意味があるのかすらわからなかった。
訳の分からないことを口走りながら襲いかかってくるカボチャ軍団をどうしようかと思っていたら。
「危ない!」
と、言いながら大剣を投擲してきた銀髪のアホ毛の少女がいた。大剣を、こちらが当たることを前提に、投擲してきた。何とか上へと跳んで回避したものの、あのままいたら自分ごと真っ二つだっただろう。
「いやぁ、私がいなかったらどうなっていたことやら。大丈ぶ!」
「おめえ、俺ごと始末するつもりだっただろ?」
「ま、まさかぁ。私はただ大剣を投げただけですよ?」
豪奢な銀と黒のアーマードレスを着た少女の胸倉を掴み、釣り上げる。
「い、いいじゃないですか!私なんて、義手に大砲仕込んだ大剣使いの切り込み隊長とか、星の聖剣を持っている美少女騎士王とかに憧れて冒険者になっただけだから」
「おい、それ憧れてなれるような相手じゃないぞ?」
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「つまり、ダンジョンと化したこの国の城の中にあるプラチナカボチャを手に入れればこの騒動は収まると?」
「はい!あ、自己紹介が遅れました。私はヒロインです!貴方は?」
「キーパー。曰く、ゲートキーパーらしい」
「そうなんですか」
大剣使いことヒロインに街の情勢を聞いたあと、街の酒場『首無しの聖騎士亭』で話をしていた。
「おい、ここに紅いコートを纏った男と銀と黒の大剣使いが来た・・・・・・いたぞ~!いたぞ~!」
「おい、なんだ?あのカボチャを被った騎士は?」
「まずいですカボチャ騎士です!」
「そのままだな」
酒場から出ると、カボチャ騎士達が包囲していた。
「こいつらを倒せば、カボチャ畑から帰れる」
「絶対倒せ!囲んで倒せ!」
「アンブッシュ!アンブッシュ!」
はあはあと息を荒げながら、虚ろな目で睨みつけてくるカボチャ騎士達。
「なあ、なんでこいつらカボチャ畑で働らかされてるんだ?」
「恋人が居たそうなんですよ」
「なるほど」
と、同情的な視線を送っていると三人同時に襲いかかってきた。
それと同時に走るキーパー。そして、キーパーがカボチャ騎士の頭上を飛び越えた瞬間、
「「「え?」」」
カボチャ騎士のカボチャだけが切り落とされた。
「退職祝いだ。受け取りな」