虚栄の国、城内。ベクセルMK5とその腹心が、準備をしていた。
周りには大量のかぼちゃが置かれているが、ベクセルMK5が呪文を唱えるとそれが出来の悪い人形の姿に変身する。一旦作業を止め、報告に来ていたカボチャ騎士へと向き直る。
「で、新しい冒険者が来たと?」
「は、はい。なんでも紅いコートを纏って、肉斬り包丁のような大剣をもった男が一人・・・・・・」
「映像を写せ」
報告を遮り、城下の映像を映すように指示を出す。
『せやあぁぁぁぁぁ!』
『ふん!』
「・・・・・・なにこれ。こいつら仲間じゃないの?」
新しくやってきたばかりの冒険者、キーパーと銀髪の大剣使い、ヒロインが戦っていた。お互い大剣を振りかぶりぶつかり合う。そのまま鍔迫り合い、ヒロインが後退しながら回り、横に薙ぐ。それをキーパーが大剣を縦に構えて防ぐ。
「な、なんでもカボチャ騎士を殺したことで揉めているそうです」
「ええ。一番相性悪い奴を引き合わせちゃった?」
引き合わせたといっても、彼らを作ったわけではない。
「いくら俺の妄想の世界だからって、主役級の登場人物を一から作るなんて無理だからなあ」
で、どうしよう?と、腹心を見る。
「そうですね、都市郊外へと誘導して、大砲でどかんと」
「却下。彼らには城内へと来て貰わねばならないの」
そう言いながら戦っている二人を見る。
『【
大剣を薙ぐと、大剣よりも少し小さい剣が射出される。が、それをキーパーは容易く受け流す。
「うん、ちゃんと機能してるや」
「え?それって・・・・・・」
千の牙。大剣の刃そのものを千本の剣で構成させ、必要時に応じてサイズの違う剣で戦うための装備だ。
「とりあえず適当に城まで誘導しておいて」
~~~
「退屈だ」
プラチナカボチャの前で呟くMK5。
キーパー達が戦っている姿を見てから2時間。カボチャのゴーレムやその他の兵士を作り尽くし、材料であるカボチャも尽きかけている。
「ああ、待つ者はいつも憂鬱だ」
退屈そうに目を伏せ、ため息を吐く。いっそのこと冒険者をもてなす為に料理でも作ろうかと本気で悩んだが、やめておいた。
(そもそもカボチャエネミーを倒せば菓子やら料理やら財宝やら手に入るな)
「た、大変です!」
「ん?」
突然入り込んできたカボチャ騎士を見る。
「何?城門でも消し飛んだ?」
「は、はい!城門どころか、城壁も一部・・・・・・」
待て、それはおかしい。MK5は即座に考える。一体どれほどの威力があれば、自動修復する城壁を溶かすことができるだろうか。千の牙ではそんなに威力は出ないはずだ。
「まあいい。出迎える準備をしろ!」