私は今、ギルギルとマリアさんと知り合いがやっている飲食店にて駄弁っていた。 この様な集会じみた事はβ時代からやっている、いつだってどのプレイヤーよりも先に進んでいた私達は、こんな風に集まって情報交換をしていた。 今日は何人か来れないらしい。 ジャックは来れるらしいが、今はお仕事中、つまりPKにいそしんでいるらしい。 珍しく複数人で。 そのため遅れるらしい。
今日の議題は『私の藍くん』についてである。
「あ゛あ゛〜〜心配だなぁ〜〜!」
「まあまあ、戻って来るって言ってたんだろ? なら待っててあげようよ。」
「そうよ、あの子なら大丈夫だと思うわ。 だって赤ちゃんの妹だもの!」
「…そーですかねー。」
待つ。 ただこれだけの事がどうしてこんなに苦しいのか、このゲームでは神に仕える死神の見習い候補ではあるが、マウント取ってお聞きしたい。
『神よ、何故こんな苦痛を授けなさったのか』と。
そりゃあ神様だって分からないだろう、こちらの神様がどんな宗教でどんな性格なのかは知らないけども。 大仰な事を言ってはいるが、詰まる所藍くんが心配で心配で、それはもう心配なだけだ。
今回藍くんがこんな状態になってしまった理由は一体なんだったのだろう。
厨二騎士と何やら揉めていた事か
人の大勢いるところに連れて来てしまったからだろうか
大会に藍くんが出る事を前提にされたからだろうか
藍くんが変わろうとして無茶したのだろうか
それとも、私が、このゲームに、誘ったからだろうか。
「私のせい、なのかな…。」
「バカかお前、そんな訳ねーだろうがよ。」
私が悶々と悩んでいると、PKが一段落したらしいジャックが私の前に乱暴に座った。
「は? バカとは何よ、こちとらそっちのクラフト馬鹿とは比べ物にならないくらい可愛い弟がゲーム続けるかどうかの瀬戸際なんだからね! わかる?」
「確かに俺の弟はクラフト馬鹿だがなぁ、別に根拠もなしに言った訳じゃねーよ!」
このバトルジャンキーは何やら訳があるらしい。 聞いてやろうではないか。
「確かに今回、厨二騎士がやらかして、あいつは深く傷ついたかもしれん。 しかしだな、あいつも恐らく、いや間違いなく、このゲームにハマってる。 俺たちみたいにな。」
「そりゃまあ、ハマってくれないと私も困るというか…。」
「そもそもあんな大量のアンデッドを管理するのも大変なんだ。 投げやりにプレイしてる風には思えん。」
それもそうかもしれない、嫌なら嫌って言えない子だけども、代わりに顔に出ると表現すればいいのか、顔は動かないけど雰囲気が変わるというのか。 兎に角そんな感じにわかるので、あの時、楽しいと言ってくれたのは本心だろう。
「じゃあジャックはさ、弟くんのこと連れ戻す案はあるかい?」
「無い、というよりどうすればいいか分からん。 なにせ殺してないからなぁ!」
「あんたの謎の殺せば解る理論も良くわかんないわねぇ。」
でも、そうか、結局は信じて待つしかないのか。
辛いなぁ。