Possibility   作:Sometimes

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故郷へ

広大な世界。

ここは大きな丘が一つだけあるだだっ広い異世界だ。

 

右を見ても左を見ても緑の草原と地平線。他には、不思議な月が四つほど空に浮いている。どういう訳か赤、青、黄、黒と色鮮やかで見ていて飽きない。

 

「クマさん、クマさん、こちらにおいでー。今日は四色の月が見えるよ、お団子の食べどきだよー」

 

私は後ろを向かずに、数メートル離れた場所にいる部下に声をかける。

 

「……隊長、いい加減その呼び方やめませんか? 最近、部下からもクマさんと呼ばれて困っているんです」

 

「えー、いいじゃん。私クマ好きだよ? 大きいし、かっこいいし、美味しいし」

 

正直な私の気持ちを述べて見たが、クマさんはため息をつくだけで答えなかった。どうやら、お気に召さないらしい。次はグリズリーさんとでも呼んでみようか?

 

「それより隊長。本部から正式な辞令が届きました。例のジジイどもの意見が議会の中で通ったようです」

 

「あー、あれ本気だったんだ。てっきり時間稼ぎだと思ったのに」

 

私は後ろを振り返って見た。予想通り、グリズリーさんの表情は優れない。私の辞令に関する事が不満のようで露骨に口を尖らせている。まあ、一般人の視点からでは殺し屋の一瞥と大差はないのだが。

 

「はいはい、嫌そうな顔しないの。三年間の休暇だと思えばいいって」

 

「しかし隊長、これは明らかな我々に対する嫌がらせ行為ではありませんか。隊長の功績は軍の中でもトップです。彼らも恩義があるはずなのに、こんな仕打ちは……」

 

「アームレック中尉」

 

わざと声音を変え、言葉を選んだ。

その意味をしっかりと理解できているアームレック中尉(旧クマさん)は姿勢と表情はを正す。これはもはや条件反射だ。それを利用して話を無理やり止めたことを心の中で謝りながら、第十三部隊隊長として話始める。

 

「どんな裏があろうと、私に下された辞令は本物であり、軍人として私がやる事は一つである。これは分かるな?」

 

「…はい」

 

アームレック中尉は首を縦に振る。

 

「よろしい、私は明日の朝にはここを発つ。しかし、その前に一つ命令を下そう」

 

「なんなりと」

 

先ほどの渋りも無くなり、彼は軍人としての顔になる。凛々しく強いが目の中には優しさを残した軍人てあり、人の目だ。私はそれを少し眩しく思いながら、

 

「第十三部隊隊長代理は任せた。私が帰ってくるまで部隊を死守しろ」

 

「了解しました」

 

「そして、自分も部隊の一員である事を忘れるな。必ず生き残れ」

 

「ラジャー! 隊長もご武運を」

 

「私は問題ない。常に同志がいる」

 

私はそのまま大きな丘を後にした。

彼には私も出来るか分からないような難しい命令を下した。誰かを救うのは軍に所属してからは少しは簡単に出来るようになった。しかし、誰かを救いながら自分を救うのは難しい。

 

だが、私にとって隊長という役職はそういう仕事だ。私の部隊を任せるなら私と同等以上の覚悟を持って欲しかった。

賢い彼なら意味に気づいている。後は祈るだけだ。

 

「さあ数年ぶりに帰ろう」

 

私の故郷だった日本へーーー

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