ヨルムンガンド~十人目の私兵~   作:アスラ

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前回のあらすじ

キャスパーとチェキータに会った。


10 池袋

今回、俺達は日本のヤクザと商談を進める為に日本に来ていた。

 

 

「でも、まさか商談場所が池袋になるとはね」

 

 

池袋といえば、真っ先に思い出すのは前世にあったラノベ『デュラララ!!』。

 

 

移動中、黄色いバンダナとかを身につけているやつらを見たが……偶然だよな?

 

 

「おい、そこの君」

 

 

思考の海に潜っていると、ココの商談相手……組の若頭らしい……が俺に話し掛けてきた。

 

 

「どこかで会ったことはないか?そんな気がするのだ」

 

 

あっちゃ〜、とココが頭に手を置く。

 

 

実は今回の商談相手であるヤクザは、鶴谷財閥と繋がりがあった。

 

 

だから、ココは取引に来る人員の中に俺と面識がある人間が来るのではないかと危惧していた。

 

 

おそらく、彼とは子供の時に会ったことがあるのだろう。

 

 

「いえ、人違いでは?」

 

 

「そうか……そうだな。すまない、勘違いだったようだ」

 

 

何とか誤魔化すことができ、俺達はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし。じゃあみんな解散!!各自好きな場所を巡ってもいいよ!!」

 

 

おおー。と歓声が上がる。

 

 

「では、私がココの「護衛はトールに任せるわ。日本人だからね」チッ!!」

 

 

バルメ、あからさまに舌打ちしないでくれよ。

 

 

「さあ、行くわよトール!!」

 

 

「アイアイ」

 

 

ずんずん歩くココに着いていく。

 

 

俺は池袋についてココに説明する。

 

 

「ここは池袋といって東京の中でも大きいほうの街なんだ」

 

 

「ふむふむ」

 

 

「それに、ここには全国展開している、サブカルチャー専門店、『Ani〇ate』の本店がある。漫画からコスプレ衣装まで何でも揃ってるんだ」

 

 

「ほお〜」

 

 

感心するようにココは返事をする。

 

 

しかし、内心俺は焦っていた。

 

 

(ヤバい、これ以上は知らないぞ。今世では池袋なんて行かなかったからな……。移動中に店舗を見つけたからよかったものの、これ以上は……)

 

 

その時、幸か不幸か。とんでもない人物が声をかけてきた。

 

 

「へーい、カノジョ。俺とデートしない?」

 

 

訂正、ココをナンパしてきた。誰だ、そんな不届き者は。

 

 

声がした方向を見ると、茶髪の高校生がいた。

 

 

「楽しいよ〜。俺は池袋のことよ〜く知ってるしさ」

 

ほお、俺がいるのにいい度胸してるな宮野真守ボイスの高校生……って宮野真守ボイス!?

 

 

「だ、だめだよ正臣。ほら、彼氏さんもいるし」

 

 

次は豊永利行ボイスだと!?

 

 

「そ、そうだよ紀田くん!!」

 

 

極めつけの花澤香菜ボイスだと……!?

 

 

よく見ると、特徴も一致している。

 

 

間違いない。こいつらは『デュラララ!!』の主要人物達。竜ヶ峰帝人、木田正臣、園原杏里だ。

 

 

「うおッ!?マジだ。では、俺はこれで……」

 

 

「待て」

 

 

そそくさと離れようとする紀田をココが腕を掴んで引き止める。

 

 

「トールに目もくれず私をナンパした実行力、褒めてやる。この街を案内しろ」

 

 

「はいぃ!喜んで!!」

 

 

ビシィ!と敬礼する紀田。

 

 

まぁ、いいか。俺はこの街のこと知らないからな。

 

 

しかし、彼らがいるということはやつらもいそうだな……。まぁ、会ってから対処法を考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

「あの、トールさん?」

 

 

「ん?何かな竜ヶ峰」

 

 

「あ、帝人でいいです」

 

 

街を歩いて数分。

 

 

帝人が俺に話し掛けてきた。

 

 

「ココさんとの関係は?」

 

 

ちなみに、もうお互い自己紹介を済ませている。

 

 

「ああ。ココとの関係は雇い主と労働者、って関係かな。護衛をしてるんだ」

 

「ええ!?そうなんですか!?」

 

 

「ああ、そうだよ」

 

 

そんなに驚くことか?普通。

 

 

「護衛。って言うと、ボディーガードですか?」

 

 

園原が質問する。

 

 

「そんな感じかな。園原」

 

 

「あ、わたしも名前でいいです」

 

 

「解った」

 

 

そのまま歩きつづける。

 

 

「あの、トールさん?」

 

 

「何だ、帝人?」

 

 

「トールさんって、日系アメリカ人ですか?僕から見たら日本人としか思えなくて……」

 

 

「いや、生粋の日本人だよ。トールってのはコードネームみたいなものでね」

 

「はあ、そうなんですか」

 

 

納得、といった表情をする帝人だった。

 

 

「それでですね。ここ池袋には絶対に敵に回してはいけない人物がいるんです」

 

 

「ほお。どんなやつだ?」

 

 

「平和島静雄って言いましてね」

 

 

おいおい、そいつもいるんなら、例の首なしライダーもいそうだな。

 

 

「とにかく身体能力が凄いんですよ。自販機を五メートル以上投げ飛ばせるし、車をサッカーボールみたいに蹴り飛ばすし、致死性のスタンガンを受けてもピンピンしてました」

 

 

「ほお、そいつは凄いな。トールと喧嘩でもさせるか?」

 

 

「やめといたほうがいいですよ!!死んじゃいますって彼氏さん!!」

 

 

「いや、正臣。俺はココの彼氏ではないぞ」

 

 

「ええ!?そうなんですか!?」

 

 

もう彼も名前で呼べと言われそうなので、名前で呼ぶことにした。

 

 

「うん。まあね。彼は私の護衛だよ」

 

 

しょんぼりするココ。何故だ?

 

 

「ええ!?ということはココさん、お嬢様なんですか!?」

 

 

「そうよ」

 

 

まぁ、海運の巨人。フロイド・ヘクマティアルの娘だしな。あながち間違いじゃないだろう。

 

 

「話を進めますね。ここ池袋には都市伝説がありまして、その名も首なしライダー!!」

 

 

「首なしライダーか。首なしといえば、デュラハンを思い出すが……」

 

 

「首なしライダーはナンバープレートを付けていない漆黒のバイクに乗って池袋に現れるんです。……あ、噂をすれば」

 

 

前方から黒のライダースーツに黄色いヘルメットを付けた女性がバイクに乗って現れた。

 

 

うん、確定だな。

 

 

「お久しぶりです。セルティさん」

 

 

杏里が挨拶する。どうやら、すでに知り合っているようだ。

 

 

[久しぶりだね、杏里ちゃん。おや?そちらの方々は?]

 

 

「外国から来たココさんとトールさんです。今、池袋を案内しています」

 

 

[そうなのか。初めまして、私の名前はセルティ・ストゥルルソンだ]

 

 

「初めまして、セルティさん。俺の名前は「ねえねえ!首がないってホント!?もしかしてデュラハン?」ちょ、ココ!!失礼だろ!!」

 

 

俺を押しのけてセルティさんに迫るココ。

 

 

[あ、ああ。その通りだ。しかし、よく私の正体が解ったな]

 

 

おかげでセルティさんがたじたじになっている。

 

 

え?何故彼女をさん付けするかって?知り合ってばっかだし、俺より遥かに年上そうだからだ。

 

 

「ココ。それくらいにしとけ。彼女が困っている」

 

 

「あ、ごめんなさいね〜。まさかこんなところで妖精に出会えるなんて思ってもみなかったから」

 

 

[構わないよ。気にしてないから]

 

 

セルティさん。まさにあなたは大人な女性です。心が広い!

 

 

「あれ〜、なんであなた達がこんなところに?」

 

 

その時、いやに耳に残る声が聞こえた。

 

 

振り返ると、そこには黒いパーカーを来た男性がいた。

 

 

「あ、臨也さん」

 

 

帝人が名前を呼ぶ。どうやら、俺の想像通りらしい。

 

 

「それより臨也さん。さっきの言葉の意味って?」

 

 

「知らないのかい?女の方の名前はココ・ヘクマティアル。海運の巨人と呼ばれるフロイド・ヘクマティアルの娘で武器商人さ」

 

 

「武器商人……!!」

 

 

「そして、男の方は鶴谷徹。かの有名な鶴谷財閥の一人息子さ。あ、今はトールだったね」

 

 

「貴様、何故私達の正体を……」

 

 

「僕は何でも知っているのさ。情報屋だからね」

 

 

しかし、恐ろしいほどの情報網を持っているな、こいつは。

 

 

「ココさん。本当ですか?武器商人って?」

 

 

「ええ。そうよ。ここにも商談に来た訳だし」

 

 

[意外とあっさり認めたな]

 

 

「もうばれたしね。彼によって」

 

 

「いやー、人聞き悪いこと言わないでよ。僕は事実を言ったまでだし」

 

 

やはり、性格が気に入らないな。

 

 

「軽蔑した?君達。私は武器商人だ。いわゆる悪だ」

 

「……いえ、軽蔑しません。ココさんはいい人そうですし」

 

 

「俺も」

 

 

「わたしも」

 

 

[私もだ]

 

 

「そう。みんな、ありがとね」

 

 

ココが微笑む。

 

 

その時、

 

 

「イ〜ザ〜ヤ〜!!」

 

 

叫び声と共に、自販機が物凄いスピードで飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

街を散策してると、憎い相手がいた。

 

 

「イ〜ザ〜ヤ〜!!」

 

 

迷わず自販機を投げ飛ばす。

 

 

しかし、気づいていたのか、やつはサイドステップで避けやがった。

 

 

それだけなら、まだいい。

 

 

問題は、自販機の飛んでいった先に女がいたことだ。

 

 

(まずい!!何とか避けてくれ!!)

 

 

内心焦る。何の関係もない女を巻き込む訳にはいかない。

 

 

しかし、彼女は避けるそぶりも見せない。

 

 

それどころか。

 

 

(余裕の表情だと!?周りのガキ共は慌ててるってのに!?)

 

 

そして、俺はその余裕っぷりの理由を知ることになる。

 

 

側にいた男が、自販機をおもいっきり蹴り上げたのだ。

 

 

ゆうに十メートルは上昇する自販機。

 

 

(はっ、面白れぇ。イザヤを殺すつもりだったかま、まさか俺と同じくらいの力を持ったやつと会えるとは)

 

 

そんな感慨に耽っていると、

 

 

「おい、貴様」

 

 

氷のような冷たい声が、俺を貫いた。

 

 

「なんだ?」

 

 

「今、ココに怪我させようとしたな」

 

 

「偶然だ、偶然。イザヤが避けたのが悪いんだ」

 

 

「それでも、だ。今から貴様を潰してやる」

 

 

「ほお、ケンカか?いいぜ、相手になってやるよ」

 

 

「ケンカ?貴様、勘違いしてるな。今から俺が行うのは制裁だ。覚悟しろ」

 

 

そして、俺が今まで体験したことのない激戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うおらあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」

 

 

拳を握りしめ、互いに頬に突き刺さる。

 

 

それだけで爆音が鳴り響き、二人の態勢が大きく崩れる。

 

 

「お前、結構力あるな!!」

 

 

「貴様もな」

 

 

いったん距離を取るトールと静雄。

 

 

いつの間にかギャラリーができて、写真撮影している輩もいる。

 

 

「ココさん。トールさんって、いったい何者ですか?」

 

 

そんな中、帝人がココに質問する。

 

 

「彼は私が雇っている私兵の一人だ。力が飛び抜けて強くてな。軽自動車を投げ飛ばしたこともある」

 

「うわぁ、平和島静雄並の力じゃないですか」

 

 

「でも、それじゃ決着が付かないんじゃ?」

 

 

「大丈夫だ。言っただろう。彼は私の私兵だ。戦い方は知っている。ただ力を振り回すやつになんか負けはしないよ」

 

 

「ぐあぁぁぁッ!!」

 

 

彼女の言葉通り。押されているのは静雄だった。

 

 

「嘘……。静雄さんが押されてる?」

 

 

(しかし、これで終わるとも思えん。言うなれば彼は獣。何もなければいいが……)

 

 

そして、彼女の心配は的中する。

 

 

「このやろ……ナメんじゃねえ!!」

 

 

近くにあった自販機を掴み、投げ飛ばす静雄。

 

 

それを蹴り飛ばすトール。

 

 

しかし、自販機の陰に隠れて接近してきた静雄に反応できず、一発顔面に拳が叩き込まれる。

 

 

「チッ!やるな、貴様」

 

 

「テメーもな」

 

 

そして、再び激突しようとしたその時。

 

 

「両者、そこまでだ!!」

 

 

凛とした声が響き、二人の動きが止まる。

 

 

「……何故止めたんだ、ココ」

 

 

「これ以上やる必要がないからよ。被害が拡大されるのも避けたいし。だから、ここは引きなさい。平和島君もそれでいいよね?」

 

 

「まあ、きっかけはこっちだったんだ。構わないぜ」

 

「よーし!じゃ、美味しいものを食べて仲直りしましょ!!紀田君。何処か美味しい店知らない?」

 

 

「それなら、露西亜寿司っていう美味しいお寿司の店がありますよ」

 

 

「寿司か!?初めて食べるな。なら、仲間も全員呼ぼう。少し待っていてくれ」

 

 

「解りました」

 

 

こうして、二人のケンカは終わり、寿司を食べることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「寿司か〜。久しぶりに食べるね」

 

 

「僕は結構食べてましたね」

 

 

「私は初めてです」

 

 

「俺もだな」

 

 

「俺も」

 

 

「私も」

 

 

「私もだ」

 

 

あれから10分も経たないうちに集まったレーム達を引き連れ、静雄の案内で露西亜寿司へと向かっていた。

 

 

「ト、トールさん。あの人達は?」

 

 

怯えたような表情で質問する帝人。まぁ、みんな歴戦の猛者だしな。

 

 

「俺達の仲間だよ。大丈夫。みんないい人だ。あ、正臣。バルメには手を出すな。ぶっ飛ばされるぞ」

 

「ご、ご忠告ありがとうございまーす」

 

 

こいつ、絶対にナンパしようとしてたな。

 

 

ちなみに、セルティさんは帰った。恋人が家で待っているらしい。

 

 

うん。絶対に彼だな。

 

 

「さあ、着いたぞ」

 

 

ようやく店へと着く。

 

 

「イラッシャイマセー。……オオ!!ココサンジャナイデスカー。レーム、バルメ、ワイリ、トールモ!!」

 

 

入店すると、懐かしい人物達に再会した。

 

 

「おぉー。サーミャじゃないか!!それにデニスも!!」

 

 

「久しぶりだな。ココさん」

 

 

「なんだ。知り合いなのか?」

 

 

「ああ。昔、ロシアの武器商社で会ってね。ココが気に入って仲良くなったんだ。今まで音信不通だったが、まさか池袋で寿司屋をやっていたとはな」

 

「ミンナオ座敷ニ座ッテー。スグニメニュー用意スルヨー」

 

 

「お願いね、サーミャ」

 

 

俺達は奥のお座敷へと向かう。

 

 

「じゃあみんな!!今日は私の奢りよ!!何でも食べていいわよ!!」

 

 

「よし、じゃあ……」

 

 

「「「「「「「「「「「「「一番高いのを頼む」」」」」」」」」」」」」

 

 

「……貴様ら、遠慮というものを知らんのか……ッ!?」

 

 

結局、ココの奢りでかなりの量の寿司を食べた。

 

 

値段は、六桁を超えたとか。

 

 




今回は悪ふざけしすぎたかもしれません。でも、後悔はしてません。
とりあえず、トール無双はさせたくないので平和島静雄とは互角にさせていただきました。

次からついに原作突入!……なんですが、明日から14日までキャンプに出かけますので、投稿が遅れるかもしれません。今日中に投稿出来たらします。

これからも、よろしくお願いします。
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