ヨルムンガンド~十人目の私兵~   作:アスラ

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7 新入り、飲酒、大騒動

ヘクマティアル分隊に新しい仲間が加わった。

 

 

警察組織出身のルツと、イタリア軍出身のアールだ。

 

 

俺はすぐに彼らと意気投合した。

 

 

ノリもいいし、話も合う。

 

 

「なあなあ、トール。お前はいつからお嬢といるんだ?」

 

 

アールが質問してくる。

 

 

「そうだな。俺がココと出会ったのは11の頃だから、もう六年になるな」

 

 

「まじかよ!お前、少年兵だったのか!?」

 

 

「いいや、ただの一般人だったよ。ま、いろいろあってけどね」

 

 

「嘘だぁ!!自販機ぶん投げられるお前が一般人なわけねえよ!!」

 

 

「ウルセー、とにかく一般人だったよ」

 

 

パクリ、と朝食のトーストを口に入れる。

 

 

「それより、今日は仕事ないのか?」

 

 

「ないな。今日はオフだ」

 

 

「じゃあさ。お嬢もいないことだし、俺達といいモン観ねえか?」

 

 

「いいモノ?」

 

 

 

 

 

 

 

「あはははは!!すげぇ!!女のあんな所にまで入るのかよ!!」

 

 

一人馬鹿騒ぎするアール。

 

 

俺達三人は備え付けのテレビであるDVDを観ていた。

 

 

画面に映っているのは、白人女性と大柄な男。

 

 

男は腰を振り、女は喘ぎ声を上げている。

 

 

いわゆる、AVだった。

 

 

「…………」

 

 

「なんだトール?お前、なんか感想ないのか?こーいうのに興味津々なお年頃だろ?」

 

 

「いや、このAV女優、俺の好みじゃないし、ココのほうがスタイルいいし」

 

 

「なにッ!?お前、お嬢の裸を見たことあるのか!?」

 

 

「え、えぇ。一度だけ」

 

 

「どんなの?どんなのだった?」

 

 

「えっと……」

 

 

ココの裸を思い出す。色白の肌、しっかりと締まったくびれ、形のいい胸……ぼふん!!

 

 

「うおっ!!トールの頭から煙が出てきやがった!!」

 

 

「それくらい魅力的な身体、という訳か……」

 

 

話はいったん終わり、AV鑑賞を続ける。

 

 

70分後……。

 

 

「「お、お、おぉ、おおーーーー!!」」

 

 

クライマックスを迎えたAVに興奮したルツとアールはイスから立ち上がる。

 

 

かくいう俺は、黙ったまましっかりと見ている。

 

 

好みではないと言ったが、興味はある。アールの言ったとおり、俺もこういうのに興味があるお年頃なのだ。

 

 

その時、バン!!と勢いよく扉が開く。

 

 

「皆さん大変です!!ココが!!」

 

 

「「「ってうおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」」」

 

 

現れたのはココを背負ったバルメ。

 

 

「隠せーーー!!」

 

 

「いや、それよりも電源切れ!!」

 

 

「ナイスだトール!!」

 

 

「? 何やってるんですか?」

 

 

慌ただしく動く俺達に呆れるバルメ。

 

 

「ッ!!それよりも皆さん!!ココが大変なことに!!」

 

 

「落ち着けバルメ!!いったい何があった!!」

 

 

ちょうど帰ってきたレームがバルメを諫める。

 

 

後ろには、買い物を終えたワイリ、マオ、トージョ、ウゴがいる。

 

 

「ココが……、ココが……」

 

 

 

 

「お酒を飲んでしまったんです!!」

 

 

 

 

「「「「「「な、なにいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」」」」」」

 

 

状況を解っていないルツとアール以外全員が叫ぶ。

 

 

「まずいぞ!!ココが暴れる!!」

 

 

「何で酒飲ませたんですかアネゴ!!」

 

 

「仕方ないんですよ!!ちょっと目を離したらいつのまにか飲んでいて……」

 

 

「それより逃げろーー!!ココに捕まるなーー!!」

 

 

大騒ぎし、あたふたと逃げ回る俺達。

 

 

それは、まるでコメディ映画のようだった。

 

 

「おいトール。こりゃいったいどうなってるんだ?」

 

 

状況を理解できないアールが俺に説明を求める。

 

 

「ココは酒を飲むとな、「痛てててててててててて!!」あんな感じに動いている人間全員にプロレス技をかけるんだ」

 

 

ココはウゴに関節技をかけていた。

 

 

「だけどねぇ、その話には続きがあってね」

 

 

「レーム。言わなくていい」

 

 

「そのプロレス技をくぐり抜けるとココの裸踊りが見れるんだ」

 

 

俺の制止を聞かず、レームが暴露する。

 

 

「おおっ!そいつはすげぇ。俺行ってくる!!」

 

 

「ちょ、待て!!」

 

 

意気揚々とココへと突撃するアール。

 

 

「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

案の定、完璧にアキレス腱固めを極められアールは叫び声を上げる。

 

 

「ったく、いい加減止めるか。ココ!」

 

 

「ん、なぁにトール?」

 

 

「プロレス技をかけたいのなら俺にかけろ」

 

 

「了~解」

 

 

ウフフフフー、と上機嫌に笑うココは容赦なく膝十字固めをかける。

 

 

「じゃ、寝室に戻るぞ」

 

 

痛みに耐えながら両手を地面につき、逆立ちをしながら寝室へと移動する。

 

 

「おー。さすがトール。そのまま寝かせてくれよ」

 

 

「了解です」

 

 

逆立ちした男の右足に女性がしがみついている光景。

 

 

それはとても奇妙だった。

 

 

 

 

 

 

「ココ~。寝室に着いたぞ」

 

 

「う~ん」

 

 

すれ違うボーイに奇異の視線を向けられながらも、ようやく寝室に辿り着く。

 

 

「全く。これからは酒を飲むなよ?俺達が迷惑するんだから」

 

 

「以後、気をつけま~す」

 

 

間延びした返事を聞きながら、俺はココをベットに寝かせる。

 

 

「ト~ル~」

 

 

「何だ?」

 

 

「えい」

 

 

「ってうお!?」

 

 

ありのままを話す。ココが俺を押し倒した。

 

 

「何するんだ、ココ!」

 

 

「んふふ~」

 

 

にっこり笑う彼女は、自らの唇を俺のに押し当てた。

 

 

「~~~~~~~ッ!!」

 

 

あまりに突然の出来事に、目を白黒させる。

 

 

「……ぷはぁッ!」

 

 

俺がココにキスされた時間、実に20秒。

 

 

「ココ、何故俺にキスを……」

 

 

ココは、とろけるような表情で俺を見つめる。

 

 

「だって、私はトールのことが……」

 

 

俺のことが、何だ?

 

 

しかし、その先は聞けなかった。

 

 

目を閉じた彼女は、そのまま眠りについてしまったからだ。

 

 

「寝たか」

 

 

安堵し、ベットから抜け出す。

 

 

「おやすみ、ココ」

 

 

扉を静かに閉め、廊下を歩く。

 

 

ココは何を言いたかったんだろうか?

 

 

グルグルと思考が回る。

 

 

考えが浮かび、消し去る。また考えが浮かび、また消し去る。

 

 

彼女の表情は、今まで見たことがないほどにとろけきっていた。

 

 

それに、キキ、キ、キスもされた……。

 

 

もしかして、彼女は……。

 

 

いいや、ありえない。酔いが回ってあんな行動を取っただけだ。

 

 

この事は忘れよう。

 

 

俺は自分の部屋に戻り、眠りについた。

 

 




今回はココの飲酒による騒動+その後がメインです。ぶっちゃけルツとアールはおまけwww
トールが関節技かけられても大丈夫なのは、デュラララ!!の平和島静雄が痛みに対する耐性が強すぎるのを参考にしたからです。トールも同じかなぁ、と思いまして。

これからも、よろしくお願いします。
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