ぬらりひょんの孫~才に愛された者~   作:ほにゃー

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秋斗&奴良組VS旧鼠組

準備を終え、俺はリクオの家、奴良組へと向かう。

 

敷地内に入り、リクオに会おうと歩いてるとある一室で声が聞こえた。

 

「ワシら妖怪を破滅させる気か!!」

 

「しかたないだろ!妖怪が悪いからいけないんじゃないか!」

 

リクオとぬらりひょんか。

 

失礼を承知で話を聞かせてもらおう。

 

そう考え、お俺はこっそりその話を盗み聞きした。

 

どうやら元々一番街は化猫組と言う奴良組の妖怪が仕切っていたらしいが、旧鼠が突如現れ、街を支配されたそうだ。

 

「若!あいつらに街を自由にさせていたらもっと酷いことになる!どうかあの街を……救って下せぇ!」

 

「そんな……でも……僕に何が出来るって言うんだ……僕は人間なんだぞ!だから回状を回して二人を助けることしか出来ないんだ!」

 

どうやらリクオもゆらと家長の二人が捕まったことは知ってるようだな。

 

「若!奴等の言う事を信じちゃダメだ!奴等は自分らの欲望でしか考えねぇ奴等だ!回状を回したら最後、ご友人は殺されちまう!あんたぁ、いいように利用されてるだけだ!」

 

「そう言う事だよ、リクオ」

 

良太猫の話をそこまで聞き、俺は部屋の中に入る。

 

「しゅ、秋斗君!?」

 

「昼間の陰陽師か」

 

リクオは俺の登場に慌てだすが、ぬらりひょんの方はと言うと、まるで居るのは分かっていたと言わんばかりに見て来る。

 

「初めましてだな、ぬらりひょん。“式羽流”の花開院秋斗だ。よろしくな」

 

ぬらりひょんに挨拶絵をして、俺はリクオを見る。

 

「リクオ、これがお前のやり方か?」

 

「え?」

 

「お前、言ったよな。人に仇成す真似はしないし、させもしないって。だが実際はどうだ?人に仇成す妖怪が現れた。お前は俺との約束を破った」

 

「た、確かに僕はそう言ったよ!でも、旧鼠組なんて奴等がいるなんて知らなかったんだ!知らないんじゃ、抑え様にどうにもしょうがないじゃないか!」

 

「知らなかったですむと思ってるのか?」

 

俺はリクオの胸倉を掴み、引っ張りよせる。

 

「貴様!若に何を!」

 

良太猫が立ち上がり、俺に掴みかかろうとするが、それをぬらりひょんが止めた。

 

「総大将!?」

 

「まぁ落ち着け。あの二人の会話に割って入るのは無粋だ」

 

そう言ってぬらりひょんは話を続けろと言わんばかりに俺を見る。

 

「俺はな………約束を守らない奴は嫌いだが、それ以上に自分でしでかしたことにケジメを付けないような奴も嫌いだ」

 

「しゅ、秋斗君………!」

 

「リクオ。今回の話はお前の責任だ。責任を感じてるなら、ケジメを付けろ」

 

「………そんなこと……そんなこと言われたって僕には力なんてないんだ!」

 

リクオはそう叫び、俺の手を振りほどいて、外へと飛び出す。

 

「………それで、お前さんはどうすんだ?」

 

ぬらりひょんはキセルを吹かしながら聞いて来る。

 

「……リクオが動かないって言うなら、俺だけで動く。ゆらと家長を救う」

 

「出来るのか?旧鼠はそこまで強くない妖怪だが、数は多い。一人じゃキツイぞ」

 

「それでも、俺はやるさ。例え、一人でもな」

 

拳を握り、俺は屋敷を出て行こうとする。

 

振り返り、庭へと繋がる戸を開けようとすると、突如戸が開き、鋭い目付きに棚引く長髪の男が現れた。

 

「よぉ、秋斗」

 

「……まさか、リクオなのか?」

 

「この姿で会うのは初めてだな。ワリィな、昼間の俺が情けなくてよ。もう大丈夫だ。今の俺は迷わない」

 

そう言ってリクオは不敵に笑う。

 

「あの約束、ちょっと付け加えてもいいか?」

 

「どんなことだ?」

 

「人に仇成す真似はしないし、させもしない。そして、仇成す奴が現れたら、その時は俺が斬る。今からそれを証明してやる。これが、俺のケジメだ」

 

「なるほど。悪くない」

 

「それで……どうだ、秋斗。これから一緒に夜明けまでの鼠狩りに行かないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ん…うん…」

 

ゆらは頬に当たる木屑のような感触で目を覚ました。

 

「な…ここは…!?」

 

慌てて周りを見回すと金属の格子に覆われていた。まるで檻のように…

 

(いや、これは檻というより…カゴや…)

 

壁の一面には回し車があり、まるでハムスターを飼うようなカゴだった。

 

「う、うん…」

 

「家長さん!?」

 

一緒に閉じ込められていたカナもようやく目を覚ましたようだ。

 

「こ…このカゴは一体…それに外?」

 

そう呟くゆらに檻の外から声がかかった。

 

「よう、陰陽少女」

 

ゆらがそちらを見ると旧鼠が悪趣味で派手な椅子に座っていた。

 

「どうだ…?ネオンの光の中…処刑される気分は…?」

 

「な…処刑…?」

 

「そうだ…あの三代目のガキが約束を破ったらな…」

 

旧鼠配下の取り巻きたちがニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる。

 

(一体今何時や!?あれからどれだけ時間が経った!?武曲は!?秋斗の元に辿り着けたんか?)

 

夜空を見上げ、今の時刻が夜明け前であることを知り、長い間気絶していたことも知った。

 

「(とにかく時間を稼がんと!)三代目…?何のことや…?旧鼠…!アホなことはやめるんや!!ええかげんにしい!!」

 

ゆらは格子を掴んで叫んだ。

 

きっと秋斗が助けに来てくれる。

 

武曲が辿り着けていなかったとしても、秋斗ならきっと異常事態だと察して、動いてるとゆらは考えた。

 

だからこそ、秋斗が来るまでの時間を稼ごうと、旧鼠に向かって叫ぶ。

 

そんなゆらを旧鼠は無言で睨みつけた。

 

「おい女…その名で呼ぶなや。この街ではな…」

 

配下の一人がゆらの胸ぐらを掴みあげる。

 

「星矢さんって呼べや!!!」

 

配下の鼠はそのままゆらの制服の胸元を引きちぎられた。

 

「な…!」

 

「ゆらちゃん…!」

 

ゆらは咄嗟に崩れ落ちた。

 

式神もってないてめーはただの女だよ」

 

その様子を取り巻き達は嘲笑する。

 

「さて…そろそろ時間だな。ま…来ないなら来ないで俺はかまわんがな…」

 

旧鼠は腕に巻いている時計を見ながらそう言った。

 

「知ってるか…?人間の血はなぁ…夜明け前の血が一番ドロッとしててうめぇのよ。ちょうど今くらいのなぁ…」

 

その旧鼠の言葉と同時にカゴの中へ取り巻きの鼠どもが入って来る。

 

「ひっ…!」

 

「いやっ…!」

 

ゆらとカナは必死でそいつらから距離をとる。

 

(…こ、これが妖怪…こん前の付喪神なんかとちゃう…)

 

「へへ…オレこっちが好みだな~」

 

ホストの姿をした鼠の下品な笑いが響く。

 

(倒さな…私は陰陽師なんやから…)

 

ゆらは必死で己を叱咤した。

 

しかし、身体は鼠から離れようと後ずさる。

 

その様子を、旧鼠は冷ややかな笑みで見つめ、その目はゆらを射ぬいた。

 

(式神さえあれば…こんな奴ら…)

 

追い詰められたゆらの目に涙が滲む。

 

「いやぁぁああ…(誰か…助けて……秋斗!)」

 

自分よりも強く優秀で、信頼し、いつも傍にいた幼馴染である秋斗の顔が浮かんだ。

 

「へへ……叫んだって誰も助けに来やしねぇよ」

 

そう言って鼠妖怪の前に一枚の紙が飛んでくる。

 

「あん?なんだ?」

 

そして、その紙が鼠の顔に触れるや否や、突如、鼠の顔は膨れ上がり、そして、そのまま頭が弾け飛んだ。

 

「なっ!?」

 

その光景に他の鼠や旧鼠までもが目を見開き、驚いた。

 

「おい、俺の幼馴染に手ェ出してんじゃねぇぞ………!」

 

声が夜の街に響く。

 

その声の主にゆらは顔を向けた。

 

来てくれると信じていた。

 

ゆらの目から涙が溢れ。

 

だが、それは恐怖の涙ではなく、安堵の涙だった。

 

「秋斗!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間一髪って所か。

 

間に合ってよかったぜ。

 

「な、何モンだ、テメー!?」

 

鼠の一匹が俺に向かって叫ぶ。

 

「花開院秋斗。陰陽師だよ」

 

「お、陰陽師だと!?」

 

「二人もいるなんて聞いてねぇぞ!?」

 

「狼狽えるな!」

 

狼狽える配下に旧鼠は一喝する。

 

「陰陽師だろうと、所詮は一人だ!一斉に掛かれば簡単に殺せる!」

 

「そ、そうだ!」

 

「たかが人間一匹じゃねぇか!」

 

「引き裂いて殺してボロ雑巾の様にしてやる!」

 

配下の鼠が声を荒げ、突っ込んでくるが、その瞬間、霞が流れてき、そこからある一団が現れる。

 

妖怪変化したリクオを先頭に百鬼夜行が現れた。

 

「星矢さん!!こ、これは!?」

 

「化猫組の奴らがいますぜ!!」

 

その圧倒的威圧感に動くことができなかった鼠たちは再び慌てて動き出す。

 

化猫組よ…あいつらか?」

 

良太猫に首無と呼ばれる妖怪が訊ねる。

 

「あぁ…憎い…ねずみどもだ」

 

「うそ…(なんで…百鬼…夜行?まさか…じゃあ…あの男が…妖怪の…総大将?でも……なんで秋斗がその男の隣に立ってるんや……)」

 

ゆらの戸惑いに関わりなく、話が進んで行く。

 

「またせたな…ねずみども…」

 

「何者だぁ!?テメー!」

 

「本家の奴らだな…三代目はどーした!?」

 

「いや…あんなガキはどーでもいい…回状はどうした!ちゃんと三代目を終生継がないって回したんだろうな!」

 

「……ああ、アレか。あんなもん破っちまったよ」

 

リクオは旧鼠にそう言う。

 

「ならば約束通り殺すまでよ!」

 

窮鼠はカゴを叩いてそう言う。

 

「行け。式神“青龍”!」

 

だが、旧鼠が手を下す前に俺が先に動いた。

 

俺が使役する式神を使い、カゴを破壊し、ゆらと家長を助ける。

 

「すまないな、ゆら。助けに来るのが送れた」

 

「……ううん、秋斗なら絶対来てくれると信じとった……」

 

「そうかい。なら、その信頼に応えてやろうか!」

 

そう言って俺は旧鼠を見る。

 

「青龍、やるぞ」

 

「御意!拙者の名は“青龍”。十二神将の一角を担い、四神の一人でもある!我が主、秋斗様の命により、貴様らを滅する!我が名、その心に刻みつけよ!」

 

青い着物を身に纏い、手には二本の青龍刀を携えた青龍がそう言う。

 

「さて、どうする、夜の帝王。人質が逃げちまったぜ?」

 

「な、舐めやがって……全員皆殺しだ!」

 

旧鼠の言葉が開戦の合図となった。

 

青田坊は鼠をその剛腕で叩き潰し、黒い僧衣を纏って者は袖から剣や槍を無数に出して倒す。

 

毛倡妓は髪で絞殺し、首無も紐で絞殺していた。

 

雪女は鼠を凍らせ、砕いていた。

 

俺は呪符を投げつけながら滅し、青龍は青龍刀で鼠を次々と斬り殺していた。

 

鼠の数は減り、とうとう旧鼠は追い詰められる。

 

「てめーら誰の命令で動いてやがる!百鬼夜行は主にしか動かせねーんじゃ…!」

 

パニックになり、旧鼠は叫ぶ。。

 

「何言ってんだ。目の前にいるじゃねーか」

 

その様子を良太猫は蔑むように睨みつけた。

 

「この人こそが!ぬらりひょんの孫!!妖怪の総大将になるお方だ!!」

 

「そいつが…あのガキの覚醒した…姿…!?………やっぱり…あんとき殺しときゃよかったじゃねーか!」

 

絶叫と共に旧鼠が本性を現す。

 

鋭い牙と爪を有した巨大な鼠。

 

先程までの配下と比べれば体格は二周りほど大きい。

 

旧鼠はリクオ目掛け走って来る。

 

俺は一枚の呪符を取り出す。

 

すると呪符から一本の刀が現れる。

 

妖刀“神羅”

 

俺が作った妖刀だ。

 

それを手に旧鼠へと向かい、左前脚と後ろ右脚を切り落とし、旧鼠を動けなくする。

 

「がっ!?」

 

旧鼠はその場に無様に転んで動けなくなる。

 

「追い詰められて牙を出したか…だが」

 

リクオは酒を湛えた深紅の杯に息を吹きかける。

 

「たいした牙じゃないようだ」

 

その言葉と同時に旧鼠の身体を青い炎が覆った。

 

「ガッ…」

 

旧鼠はその身を焦がす灼熱の炎に耐えきれず身をよじる。

 

「てめぇらが向けた牙の先…本当に闇の王になりてぇんなら…歯牙にかけちゃならねぇ奴らだよ。…おめぇらは俺の“下”にいる資格もねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奥義・明鏡止水“桜”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんじゃこりゃあああああ!!?」

 

「その波紋鳴り止むまで、全てを燃やし続けるぞ。夜明けと共に塵となれ」

 

旧鼠はそのまま燃え尽きて、後には灰すら残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助かったぜ。ありがとうな、ぬらりひょん」

 

「礼を言うのはこっちの方だぜ。ありがとな、秋斗」

 

旧鼠を倒し、残党も倒した後、俺はリクオに礼を言った。

 

陰陽師と妖怪が肩を並べて一つの敵を倒すか。

 

本家の人間が見たら驚くだろうな。

 

「じゃ、俺らは帰るぜ。またな秋斗」

 

「ま、待ってぇ!お前が妖怪の主か!」

 

去ろうとするリクオにゆらが声を投げ掛ける。

 

「私はお前を倒しに来たんや!次に会う時は絶対倒す!」

 

「………せいぜい気を付けて帰れ。秋斗、後は任せた」

 

そう言ってリクオは百鬼夜行と共に去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家長さん、本当に一人でいいのか?」

 

「うん、家までそう遠くないし、家族には友達の家に泊めてもらったって誤魔化すよ」

 

「そうか。気を付けてな。これ魔除けのお守り」

 

「ありがとう。じゃ、学校でね、ゆらちゃん、秋斗君」

 

家長さんを見送って、俺はゆらを見る。

 

「ゆら、お疲れさん」

 

だが、ゆらは何も言わなかった。

 

「どうした…ゆら」

 

「…ごめんな。秋斗…」

 

ゆらは蚊の鳴くような声でそう言った。

 

「何で謝るんだよ…」

 

「私、何もでけへんかった…陰陽師なのに…」

 

陰陽師なのに妖怪に助けられた所為で自信でも無くしてるんだろうな。

 

「謝るのは俺の方だ…もっと早く助けに行ければよかったんだがな」

 

俯いているゆらの頭を撫でながら言った。

 

「あまり自分を責めるな。お前がいなかったら家長さんが一人で苦しむことになったかもしれないんだぞ?お前の存在が家長さんを救ったかもしれないんだ。お前はよくやったよ」

 

「秋斗…」

 

暫く頭を撫でていると、いつの間にかゆらは安心したように眠っていた。

 

「たっく……連れて帰るのは俺なんだぞ」

 

そう呟き、ゆらを背負う。

 

「ああ………重てぇな……」

 

そんな重さが妙に心地よく、俺は鼻歌を歌いながら、家へと帰った。

 

さて、少し寝たらTKG食って登校だな。

 

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