「ハッ・・・ハァ・・ハッ・・カハッ・・・・・ハァ」
くそ・・・ついてねぇなぁ
こんな世界にこんな場所で生まれちまった時点で
俺がついてねぇのはわかりきったことだったが・・・まぁそれはいい
取り敢えず今の状況を確認しておこう
そうでもしなければやってられねぇ
周囲の風景は荒廃しきったビル街
嘗ての栄光と今の現実・・・それらを顕著に表したような
まさに今の人類に相応しい風景
そのなかで俺は今出せる限りの全力を振り絞って鬼ごっこをしている
勿論ただの鬼ごっこじゃあない
命がけの「本物の」鬼ごっこだ
俺を追いかけてくる鬼役はオウガテイル・・・と呼ばれているらしい化け物
その数・・・実に6匹
鋭い牙に強靭な足 鬼の顔貌のような模様の入った尾
そして俺の身長を優に越えるサイズ
まぁこの時点で普通の人間じゃ太刀打ちできねぇのはわかるだろうが
奴らの恐ろしさはそんな外面的なもんじゃない
攻撃が一切効かないのだ
これは別に比喩表現でもなんでもなく本当に一切の攻撃が効かない
例えば拳銃やライフル 爆弾 ナイフ
極東に古くから伝わる刀なんかも当然効かない
拳でのステゴロなんざ論外だ
つまるところこいつらに出会えば人類に残される選択肢は逃げる隠れるの1択
だが人間の脚力は高が知れてる
走る速度は奴らの方が圧倒的に速い
故に奴らに見つかれば喰い殺されるのが運命・・・・・・
俺達人間に知性がなければな
幸い俺は道具を扱うことのできる人間だ
持っている鞄の中に奴らにも通用する閃光手榴弾 スタングレネードが3つある
コイツを使ってこの場を乗り切る
俺は恐怖を押し隠して隠れていたコンクリートの残骸から飛び出る
それと同時にスタングレネードを奴らの目の前に投げる
上手く掛かってくれたのは1・・2・・3・・・4匹か
残りは2匹
取り敢えず逃げる
さっきも言った通り奴らと戦う方法を普通の人間は持っていない
当然俺もだ
故に出来るのは逃げることのみ
角を右に曲がった瞬間そばにあった建物の中に入る
そして息を殺す
周囲に目を配る余裕がなくて咄嗟に飛び込んだが
幸い中は無人で奴らもいないらしい
壁越しに奴らの息使いが聞こえる
心臓が忙しなく動く
まだ生きているということを強く実感する
「・・・ふぅ・・・・・・」
思わず息が漏れる
奴らはどうやら俺を見失ってくれたらしい
時間にしてたった数分・・・
そのたった数分の生存を今日も奴らから勝ち取った
今日も・・・生き残った・・・・・・
地獄みたいなこのクソッタレな世界で
今日も俺は
生き続ける