【完結】Fate/Epic of Gilgamesh 作:kaizer
この前に一話更新分がありますので、未読の方はそちらからお読みください。
「──ようやくたどり着いたか。まったく、
星を覆い尽くす
大気圏の高層にまで達する
その中でもひときわ高い建造物から突き出た、正方形のプレートのような空間。そこに着陸した黄金の舟から、一人の
「ほう、これがこの
風になびく黄金の髪。飾り気のない黒のライダージャケットに、首元にはネックレスというラフな格好だが、この男が着ればそれですら至上の一着のように見える。
美しさと、それ以上に絶大な存在感を纏わせた男は、舟が乗る正方形のプレート──
──軌道上にある巨大戦艦。
──幾何学状の、自在に空を駆ける装置。
──二足歩行から触手型まで、あらゆる外見を持つ多種多様な種族たち。
──豪快に動く機械人形や、物資を転送する紋様といった、科学でも魔術でもない文明。
地球とはまるで異なる、まったく違う理の下に発展した惑星。新しい世界を目にした男は、開拓者の喜びに目を輝かせていた。
「冒険に繰り出すのも、我が蔵を完成させて以来か──いや、完成など世迷い言であったな! たかが星一つ、種族一つの財を収めた程度で満足するなど、
ヤツらへの土産となる宝も見繕わねばな。クク、セイバーの驚く顔が目に浮かぶわ!」
星の裏側まで満ちる無数の塔は、まるで終わりが無いようだった。その中に数え切れぬほどの未知の生命が、知識が、技術が存在する事実に、男の心が弾む。
故郷の星では大英雄であっても、この星では名も知れぬただ一人の生命。新たなるステージで第一歩を踏み出し、ここから全てが始まるのだという悦びに、男の口端がつり上がる。常に「上」に立ち続けた男にとって、なんのしがらみもなく「下」から歩き出すというのは、それ自体が心躍る体験であった。
「我が往くは星の大海──まだ見ぬ新世界よ、このギルガメッシュを愉しませるがいい!」
星の風を味わうように、両手を広げる黄金の男。愉悦に唇を歪めた男は、空に響く笑い声を上げる。すべてを見通す瞳の先には、無限の世界が広がっていて。
──英雄王の、新たなる叙事詩が始まった。
***
Fate/Epic of Gilgamesh
完
これにて完結です。
休載が続いた時期もありましたが、9年間の長きに渡り、ご支援ありがとうございました。
ここまで読んでくださった皆様に、感謝を。