白眼の老人シリーズ   作:守幸 支

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今回は少し自信作です!
頑張ってみましたので、暇つぶしにどうぞ!


第3話「電話」

高校二年の春。

朝からかなり肌寒い日が続いていた。顔を洗うのでさえ、痛みを感じるほどだった。俺は、あまりお湯で顔を洗う事をしない。

顔を洗っていると上から髪が落ちてきた。

一本だけ。かなり長い。ふと天井を見上げる。だが、なにもない。蛍光灯が眩しいくらいに光っている。見上げた天井には髪が出てきそうな穴や、隙間などはない。それに俺の家族には、母以外女はいないし、母はここまで髪が長くはない。

髪を拾い、(なんだこれ)と思いながら、見ていると、ピピピッピピピッ。携帯が鳴った。知らない番号からの電話だ。通話と書いている緑の丸を押す。

 

俺「もしもし?どなたですか?」

 

?「.....」

 

俺「ん?イタズラなら切りますよ?」

 

?「......」

 

俺は電話を切り、髪をゴミ箱に捨てた。

「なんだっただよ」と呟きながら、歯磨きを始める。虫歯ができたのか奥歯がしみる。口をゆすぎ、学校の制服に着替える。うちの高校は携帯は持ち込みOKだが、使用してはいけなかったから、電源を切ってリュックに入れる。リュックを背負い自転車に乗り学校へ向かう。

 

 

学校での昼休み。

タクミに今朝の出来事を言ってみたところ「なんだそれ」と笑われ流された。

リュックから携帯を取り先生にバレないよう隠しながら、電源を入れる。

画面が光ると、鳥肌が、ゾゾゾっと俺を襲う。

不在着信が30件ほどあった。

タクミが俺の顔を見てか、異常さに気づき携帯を覗き込んでくる。

「キッショ、呪われたか?」とタクミが冗談混じりで言ってきた。

 

俺「冗談じゃねぇよ、めんどくさい」

 

タクミ「めんどくさいなのかよ!なんか他にもっとあるだろ!」

 

タクミが面白い返答を期待したのかツッコンできた。俺は携帯に目を戻しよく見てみると一件だけ留守電が残っているのに気づいた。留守電を聞く。

 

『.....、ザーッザーッザーッ』留守電の大半が砂嵐やノイズのような音だ。

だが、留守電を聞いていると、女の顔が脳裏に浮かんでくる。どこかで見たことある顔だ。

ハッと思い出す。「一年の時に同じクラスだった、大原だ。」タクミは、頭の上に?を浮かべている。

 

俺「これ聞いてみるか?」とタクミに先ほどの留守電を聞かせると?が増えた。

 

俺「お前大原って覚えてるか?」

 

タクミ「ああ、一年の時に一緒だったやつか」

 

俺「うん、これ聞いてたらな、そいつの顔が頭に出てくるんだ。」

 

タクミ「なんだそれ、生き霊でも飛んできてるのか?」

 

俺「生き霊みたいなのは感じないけど」

 

俺はタクミとそんな話をしていると、チャイムがなった。

 

 

放課後。

この日は日が落ちるのが早く、6時にはもう、かなり暗く、ボールが全く見えなくなってしまい、今日の部活は終了。部室棟に戻り、みんな制服に着替え始め、数人は携帯を触っている。一、二年で、次の夏の合宿についてのミーティングを始める。三年生は、受験生という事で、合宿が禁止されている。ミーティングも、そこそこに切り上げ、みんなで下校する、校門を出たらみんなリュックから携帯を取り出し、各々ゲームをしたり、友達と連絡を取ったりしている俺は携帯を見るのが少し嫌だった。理由は、まあ、わかるだろう。

その日は携帯の電源をつけず家に向かう。

そのまま家には帰らず、公園で冷たい風に体を撫でられながら電話の事を考えていた。大原自体あまり話した事がない奴で一年のオリエンテーション合宿で同じ班だったぐらいだ。何をされたのか、なぜ大原なのか、なぜ今なのか考える。だが、考えても考えても答えには辿り着けず、知らない土地にガイドなしで、旅をしている感じだ。

頭を抱えていると、ピピピッピピピッ。携帯が鳴る。

一層強い風が俺の背をなぞる。『俺は携帯の電源をつけてない。』携帯を確認しても、画面は真っ暗なのに、音だけなっている。

電源をつける。

[不在着信50件]

「なんだこれ、めんどくさいなぁ」とため息混じりで言っていると、電話がかかってきた。また、あの番号だ。俺は電話に出る。

 

俺「もしもし、大原か?」

 

?「シーッシーッシー」息をテンポ良く吐く音がする。

 

俺が「お前、何やってんだ」と言おうとした瞬間『気づけ気づけ気づけ気づけ気づけ気づけ気づけ気づけ』と訴えかけてくるかのような、【必死】と言う感情が乗った声。

 

俺「うるさいぞ」

 

?「.....」

 

俺は拉致があかないと判断し、電話を切った。その後は寒いのもあって帰った。

 

次の日の昼休み。

俺は、大原の居るクラスへ行き、友達数人と昼飯を食べている大原を発見。俺の視線に気づいたのか。大原はこちらを見るとすぐに友達の方へ首を戻し、うつむく。俺は、御構い無しに大原に近づいていく。大原の友達は、ヒソヒソと何か話し始めた。大原の背後に立ち「大原」と呼んでみたところ、肩をビクッとさせこちらを向き「は、はい」と弱々しい声で返事をする。

 

俺「ちょっと、話あるんだけどいいか?」

 

大原「は、はい」

 

俺は大原を引き連れ3階と4階の間の階段で話す。数人が俺たちを覗いているのには気づいていたが、無視した。

 

俺「何やったんだ」

 

大原「え、え?」

 

俺は大原に携帯の画面を見せ「この番号お前だろ?」と問う。大原は「そうです、けどなんで知ってるんですか?」

 

俺「いやいや、お前から、ずっとかかってくるんだけど」

 

大原「え?私かけてませんよ?と言うかユキネくんの電話番号知りません」

 

俺「じゃあ、なんでかかってくるんだ?」

 

大原「わかりません」

これも拉致があかないと思い話を切り上げようとした時、「あの〜」と大原が話しかけてくる。

 

大原「あの〜、連絡先交換しませんか?」

 

別に断る理由もないから連絡先を交換する。交換し終わるとお互い教室に戻る。

 

教室では、タクミが、不服そう顔で俺を見る。無言でタクミとの飯の時間をすっぽかした事を怒っているようだ。「すまんすまん」と平謝りで流すとあっさり許してくれた。

 

放課後、家。

俺は、大原に挨拶程度のメールを飛ばす。すぐに返信が帰ってきた。

 

大原〔ごめんなさい!少し話があるので電話してもよろしいですか。〕

 

俺は、承諾し、電話をかける。

 

俺「もしもし、話ってなんだ」

 

大原「本当にごめんなさい。実は...」と淡々と話し始めた。

 

「実は、さっきは恥ずかしくて言えなかったのですが、あなたの事が一年生の時から好きで、ネットで見つけた恋のおまじないと言うのを見つけて、やってみたんです。それをしたら、3日後にユキネ君が私の所に来たから....」と沈んだ声で言う。

 

なるほど、タクミが言っていた生き霊というのは半分あっているみたいだな。ここ最近の大量の不在着信は、そのおまじないのせいだ。そのおまじないは恐らく、おまじないではなく、呪術だ。軽い呪術でよかった。それと一度あった、「気づけ」と言う【必死】と言う感情が乗った言葉、こっちは生き霊だ。

俺がこの件の原因がわかり、心がすっきりした。

すると電話の向こうから声がした。

 

大原「あの〜、私、ユキネ君が好きです、付き合ってください!」

 

【緊張】や【勇気】などいろいろな感情が混ざった声が俺の鼓膜を振動させ脳に届く。聞いているのは、耳なのだが、なぜか心にしみる。

 

俺「気持ちは、とても嬉しいけど、ごめんなさいだ」

 

大原は「ははは」と笑い、「ですよね、本当にごめんなさい、出来れば仲良くしてください」と言われた。「もちろん」と答え電話を切る。

 

次の日。

タクミに一件を話すと「お前みたいな不良顔がモテるんだな」と予想外の変化球を投げてきた。言葉のキャッチボールに変化球を投げて来るとは、こいつらしい。

 

それ以降は、奇妙な電話もなく、普通の日常が戻ってきた。

 

 

『だが、洗面所の落ちてくる髪は毎日一本ずつ落ちてくる。』

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