IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】   作:シアン

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まず、予定から遅れて申し訳ありません。
土日では書き終わりませんでした。
まあ、それはそれとしてお気に入り44人!
ありがとうございます。
それでは本編を、どうぞ!


脈動する、陰謀

「……ん………ここ、は………?」

 

 ここは、何処だろう。見たことのない景色。

 そもそも見たことのある景色は何?  記憶が混濁している。何も思い出せない。けれど、彼女はそれを不思議とすんなり受け入れられた。

 ただ広い空間。暗く、並ぶポットの発する僅かな光だけが照らす空間。

 彼女は自分が全身濡れていることも、服を着ていないことも気に留めなかった。

 床にできた水溜まり。そこに座ってただ虚空を見つめた。

 足音が近づいてくる。誰かが来たようだ。

 

「初めましてかな、守護者(テスタメント)。私は───だ」

 

守、護者(テスタメント)……?」

 

 

**********************

 

 

「織斑くん、千代紙くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

 朝、クラスメイトに話し掛けられた。最近、一夏とセットにされていることが多い気がする。マッ○のポテトとジュースかよ。あ、メインがない。

 

「転校生? 今の時期に?」

 

 まあ、言いたいことはわかる。今はまだ四月。普通に入学した方が早い。なぜそれをしなかったのか。入学よりも転入は条件が厳しい。国の推薦なしでは出来ない。

 

「そう、なんでも中国の代表候補生なんだってさ」

 

「へえ、中国か」

 

 料理が美味しい国だな。中華料理万歳。

 

「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

 

 いつの間に……前々から思ってたけど、このクラスの人は気配遮断のスキルでもついているのだろうか。入学の日もいつの間にか人がいたし。

 

「このクラスに転入してくるわけではないのだろう? 騒ぐほどのことでもあるまい」

 

 さすがは箒。落ち着いている。あれ、いつの間に近づいたんだ?

 

「どんなやつなんだろうな」

 

「そうですね。少し気になります」

 

 一夏にシアが同意する。まあ、正直気にはなる。代表候補生なんだから、専用機も持っているはずだ。

 中国なんだから……麒麟とかかな。

 

「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか? 来月にはクラス対抗戦があるというのに」

 

 相変わらずの塩対応。一夏に厳しい箒である。

 

「確かにな。一夏、今日も放課後、訓練をするぞ」

 

 一夏の訓練はいつものメンバー(俺、一夏、シア、セシリア、箒)で行っている。クラス代表が決定して以来、ほぼ毎日やっている。

 今は一夏に秘技を伝授している。秘技っていってもたいしたことの無い、高速機動術なんだけど。白式のスペックもあり、もうすぐでものになりそうだ。

 

「クラス対抗戦か……まあ、やれるだけやってみるか」

 

「やれるだけでは困りますわ! 一夏さんには勝っていただきませんと!」

 

 まあ、確かに勝ってくれないと俺の威厳に関わるな。

 

「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」

 

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよー」

 

「ふふっ、頑張ってくださいね」

 

 ちなみに、なぜ幸せなのかというと優勝クラスには学食デザートの半年フリーパスが配られるんだとか。

 シアもそう言うの好きだったな。優勝したら、確実に付き合わされるだろう。甘いもん、あんまり好きじゃないんだけどなぁ。

 

「今のところ専用機を持ってるクラス代表は一組と四組だけだから、余裕だよ」

 

 なら、何とかなるかな? 一夏は俺が鍛えてるし。

 

「──その情報、古いよ。二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単に優勝できないから」

 

 ………誰だ、あれ。なんか小さいやつが壁に寄っかかってる。なんというか、すごく似合わない。無駄に格好付けてますよ感が物凄い。

 

「鈴……? お前、鈴か?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

 

 ふっと笑う。しかし、その笑みも続く一夏の言葉に崩される。

 

「何格好付けてるんだ? すげえ似合わないぞ」

 

「んなっ……!? なんてこと言うのよ、アンタは!」

 

 仮面が剥がれたな。しかし、一夏と妙に親しいな。

 まあ、それは置いといて……後ろを見た方がいいぞ。

 

「おい」

 

「何よ!?」

 

     スパァンッ

 あーあー、失礼な返事をするから……同情はしない。

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

 

「ち、千冬さん……」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ」

 

「す、すみません……」

 

 びびってるなぁ。でも、織斑先生を下の名前で呼んだ。織斑家、家族ぐるみの付き合いなのだろうか?

 

「また後でくるからね! 逃げないでよ、一夏!」

 

「さっさと戻れ」

 

「は、はいっ!」

 

 二組に猛ダッシュする、凰鈴音。……あいつは何がしたかったんだ?

 

「……一夏、今のは誰だ? 知り合いか? えらく親しそうだったな?」

 

「お、織斑くんっ、今の女の子と仲いいの? どういう関係なの?」

 

 クラス中から質問の嵐が吹く。全員、凰鈴音がなんで帰ったのかを考えろよ。

 

    スパパパパパパンッ

 

 織斑先生の出席簿アタックは全員に等しく与えられた。

 俺とシア、それに一夏とセシリアは席に着いていたので無事だ。

 

「席に着け。馬鹿者ども」

 

 あれ、これでこのクラスで出席簿アタックをくらってないのはシアとセシリアだけになったのか?

 

「あぁ……これが千冬様の……」

 

 恍惚とした表情の奴がいるんですが。Mまでいるのかこの学校は。腐女子はいないといいなぁ。

 標的にされることは目に見えている。

 あれ、今俺フラグ建てた?

 

 授業中、箒の方で何度か打撃音を聞いたが気のせいだろう。

 

 

**********************

 

 

「お前のせいだ!」

 

 うん、気のせいなわけないよね。というか、一夏が八つ当たりされていた。女子とは理不尽なものである。

 

「なんでだよ……」

 

 箒は気難しいからな。俺が今まで見てきた女子の中でもダントツでだ。まあ、見てきた女子なんてほぼいないけど。

 

「まあ、話ならメシ食いながら聞くから。とりあえず学食行こうぜ……夕音達も行くよな?」

 

「もちろん。他に飯食う場所ないからな」

 

 他のクラスメイトも数名着いてきて、学食まで移動する。

 俺は券売機でたぬきうどんを買い、シアは親子丼、一夏、箒、セシリアはいつも通りの日替わりランチやきつねうどんを買う。

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

 そして、今朝の女子、凰鈴音が目の前に立ちはだかる。いや、小さいから立ちはだかるとは言いにくいけど。……何がとは言わないよ?

 

「あー、すまない。どいてくれないか? 凄く邪魔なんだが」

 

 道の真ん中に仁王立ちとか、邪魔以外の何物でも無い。

 

「あ、す、すみません」

 

 凰鈴音が横にどいたので、おばちゃんに食券を渡す。ちなみに、凰鈴音はすでにラーメンの盆を持っていた。

 

「それにしても久しぶりだな。ちょうど丸一年ぶりになるのか。元気にしてたか?」

 

「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、たまには怪我病気しなさいよ」

 

「どういう希望だよ、そりゃ……」

 

 また、独特な奴がきたな。しかし、また面倒くさそうなんだが。

 

「ゴホンゴホン! 一夏、注文の品が来てるぞ」

 

「おっと……向こうの席が空いてるな。行こうぜ。にしても、鈴、いつ日本に帰って……」

 

 ぞろぞろと移動する俺達。あれ、人数が増えてないか? なんか、違うクラスの面々も混じってる気がする……。いや、気のせいだろう。

 けど、あの凰鈴音という女子……

 

『……なあ、シア。嫌な予感がするんだが……』

 

『……ユウもですか? 私もなんだか嫌な予感がします……』

 

 一夏と凰が話している間にコアネットワークで、密かに会話をする俺達。なんか、もう本当に嫌な予感しかしない。

 

「一夏、そろそろどういう関係か説明して欲しいのだが」

 

「そうですわね。一夏さんはこちらの方と付き合っていらっしゃるの?」

 

 席に着くなり箒が一夏に質問し、セシリアもそれに続く。

 

「べ、べべ、別に私は付き合ってる訳じゃ……」

 

「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ。ただの幼なじみだよ」

 

「…………」

 

「? 何睨んでるんだ?」

 

「なんでもないわよっ!」

 

 なんでいきなり切れてるんだ、こいつ。情緒不安定か? でも、幼なじみか……箒とも幼なじみだったよな。

 

「幼なじみ……?」

 

 箒が怪訝そうに返す。どうやら知り合いでは無いらしい。

 

「ああ、ちょうど入れ替わりで引っ越したんだっけ。箒が引っ越して、すぐに鈴が引っ越してきたんだよ。

で、こっちが箒。前に話した、小学校からの幼なじみで俺の通ってた剣術道場の娘」

 

「ふうん、そうなんだ」

 

 じろじろと箒を観察する凰。箒も同じようにじろじろと観察していた。

 

「初めまして。これからよろしくね」

 

「ああ。こちらこそ」

 

 挨拶を交わす二人。睨み合っているが、大丈夫か?

 

「それで、こっちが夕音とシアラ。高校に入ってからの付き合いだ」

 

「あー、ニュースで見たことあるわ。よろしくね」

 

「こちらこそ。お互い仲良くやっていこう」

 

「よろしくお願いしますね」

 

「んで、こっちはセシリア。イギリスの代表候補生だ」

 

「よろしくお願いしますわね、凰鈴音さん」

 

「ええ、よろしく」

 

 セシリアが手を差し出し、凰がそれを握って、握手を交わす2人。2人とも笑顔だった。箒の時と反応が随分違うが……まあいいや。

 

「それでさ、一夏。アンタクラス代表なんだって?」

 

「おう、成り行きでな」

 

「ふーん……あ、あのさぁ。ISの操縦、見てあげてもいいけど?」

 

「そりゃ助かるけど、遠慮しとくよ」

 

「え? 何で?」

 

 キョトンとする凰。

 

「だって違うクラスだろ? クラス対抗戦の前に手の内を明かすのは、いやだしな。それにもう、箒達が教えてくれてるから。今日も放課後、訓練してもらうんだよ」

 

「そ、そう。ならしょうがないわね。じゃあ、それが終わったら行くから、空けといてね。じゃあね、一夏!」

 

 早々にラーメンを食い終えて、引き上げて行く凰。なんだったんだ、一体。というか、自分勝手過ぎやしないか?

 

 

**********************

 

 

「さて、昨日の続きをやるぞ」

 

 場所は第三アリーナ、放課後。俺は一夏に指導をしていた。この場にいるのは俺、一夏の他にセシリアとシア、そして箒だ。

 

「まず、瞬時加速(イグニッション・ブースト)の原理だ。一夏は感覚でなんとなく出来てたけど、原理もしっかり覚えとけよ。役に立つときが来るだろうからな」

 

「おう」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)はスラスターエネルギーを放出して、それをもう一度内部に取り込み、圧縮して放出する。これが簡単な原理だ」

 

「お、おう」

 

「これが意味することは、機体の限界まで何度でも重ねて使えるということだ。白式は2回までなら余裕で使えるだろうな。まあ、今は1回を完璧にしなきゃだけど」

 

 なるほど……と、呟く一夏。わかってるか心配だ。

 

「それじゃあ模擬戦をやろう。習うより慣れよ、だ。セシリア、一夏の相手を頼めるか? 箒は後で近接戦闘の相手をしてもらいたいんだけど……」

 

「わかりましたわ」

 

「うむ、了解した」

 

 そう言って、浮き上がるセシリアと一夏。

 

「それでは、行きますよ!」

 

 

 そうして、戦闘が始まった。結果から言えば一夏の負け。まあ、相手は代表候補生。仕方がない。

 その後、箒とは互角戦っていた。が、それはそれでスペックが生かし切れてないと言うことなのだが。

 とりあえず総じて一夏に言えることは、

 

「一夏さん、もう少し我慢してみてください」

 

 シアも気付いていたようだ。目線で説明は任せたと伝える。

 

「我慢?」

 

「はい。ただがむしゃらに突っ込んでも、相手がセシリアさんみたいな中距離戦闘型だったら、そう簡単に懐に入れてはくれませんから。だから、我慢するんです。我慢して、我慢して敵が焦って隙が出来たら突っ込む。それで、一撃で決める。これが一夏さんの理想的な戦術です」

 

「そのためには攻撃を躱したり、いなしたりする能力も必要になってくる。勿論、突っ込むための瞬時加速(イグニッション・ブースト)もな」

 

「なるほど、一撃必殺か……」

 

 そう、一夏の白式はISの中でも攻撃力はダントツで高い。攻撃を当てさえすれば、確実に相手を仕留められるだろう。

 

「さて、今日はこれくらいにするか」

 

「そうですね、時間も時間ですし」

 

 見ればもう5時を回っていた。

 

「よし、6時に学食に集合して飯食うか」

 

「そうですわね」

 

 そう言って、男女に分かれてピットに戻った。

 

 

**********************

 

 

「あ、しまった、タオル持ってくりゃよかった」

 

「忘れたのか? あいにく、俺も2枚は持ってないんだよ」

 

「いや、部屋に戻ってシャワー浴びるよ。箒に頼んで先に入らして貰う」

 

「そうか、悪いな」

 

「いやいや、俺が悪いんだし謝る必要ないだろ」

 

 そんな会話をしていたとき、バシュッと言う音がして、スライドドアが開いて凰が現れる。

 

「一夏、お疲れ。はい、タオルとスポーツドリンク」

 

「サンキュ。あー、生き返る……」

 

「変わってないね、一夏。若いくせに体のことばっかり気にしてるとこ」

 

「あのなあ、若いうちから不摂生してたらいかんのだぞ。クセになるからな。あとで泣くのは自分と自分の家族だ」

 

「ジジくさいよ」

 

「う、うっせーな……」

 

 ふむ、ここに居てもすることがないな。帰るか……

 

「一夏、先に行ってるぞ」

 

「ん、ああ。またな」

 

「おう。シャワー、箒に先に使わせて貰えるといいな?」

 

 そう言ってピットを出た。ドアの向こうが少し騒がしかったけど、まあいいや。

 

 今はアクエ○アスを自販機で買って飲んでから部屋に戻っている途中だ。

 さっき、女子に囲まれて休憩が長引いたのは別の話。

 

「ふぅ……」

 

 部屋に付き、ドアを開ける。

 

「えっ………」

 

 シアの声が聞こえた。それはそうだろう。何故ならシアはバスタオルだけの姿だったからだ。

 俺はというと、ドアを開けたまま、硬直していた。少し前、一夏のことをラッキースケベを起こしそうな奴だと思ったが、まさか俺が起こすとはな。普段、シアと一緒に帰ってきてるからノックするのを完全に忘れていた。

 健康的な肢体が惜しげもなく曝され、シャワーを浴びていたからかその肌は紅潮している。僅かに濡れた髪が艶めかしい。

 

「な、何してるんですかっ!?」

 

 その声と共に飛んできた、ブラシが顔面にクリティカルヒットした。そのまま後ろに倒れて頭をしたたか打ちつける。

 遠のいていく意識の中、前にもこんなことがあったなぁ、と考えていた。

 

 30分後。ベッドの上で意識を取り戻した俺は、シアに謝罪していた。

 

「ごめん。ノックするをのをすっかり忘れていた」

 

「ふんっ、まったく……」

 

「本当にごめん」

 

「……もういいです。そのかわり、今日一緒に寝て貰いますから」

 

 そうか、それで許してもらえるのか……って、ええっ!?

 

「えっ、ちょ、まて。シア、もう一度言って貰えるか?」

 

「だから、一緒に寝て貰うって言ってるんです!」

 

「えっと……本気?」

 

「本気です。それとも……ユウは嫌ですか……?」

 

「嫌ってわけじゃないけど……」

 

 むしろ、それが嫌って言う奴は凄いと思う。

 

「それじゃあ、約束ですよ?」

 

「へいへい、わかったよ」

 

 

 その夜、ドキドキしてしまい結局ほとんど寝られず、翌日の授業で織斑先生の出席簿アタックを何回もくらう羽目になったのは別の話。

 




更に投稿が遅れることになりますが、今後ともよろしくお願いします。
それではまた次回(`・ω・´)ノシノシ
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