IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】 作:シアン
言い訳させてもらえるなら、現実が嫌になるほど忙しくて…」
夕音「にしても、時間かかりすぎだろ」
シアン「うぐっ……!? いや、一時期は辞めようかなとか思ったけどさ…」
シアラ「でも、続けるでしょう?」
シアン「うん、さすがに投げ出すのも、と思って。久しぶりに書いたら楽しかったし」
夕音「まあ、更新続けるならそれでいいか」
シアン「そう言うわけで、皆さん。これからもよろしくお願いしますっ!!」
「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ」
土曜日、俺達はアリーナで自主練にいそしんでいた。IS学園は土曜日も授業はあるが、それも午前中で終わり、午後は放課後ということになっている。ただし、土曜日はアリーナが全解放となっているため、ほとんどの生徒が自主練をする。今日のメンバーは俺、シア、一夏、シャルル、凰、セシリア、箒だ。綾は専用機がまだ無いので、お休みだ。因みに、博士が造っているのですぐ届きそうだが。
「そ、そうなのか? 一応わかってるつもりだったんだが……」
「うーん、知識として知ってるだけって感じかな。一応、何回かは勝ててるみたいだから、全く知らないって事はないみたいだけど……」
「まあ、今までも夕音達に教わってたからな…」
「だね。でも、夕音は試合ばっかりやってたみたいだから…」
とまあ、こんな感じで今はシャルルが一夏にレクチャーしている。正直、俺やシアより教えるのがうまい。俺もシアも今まで我流で戦ってきた分、感覚で操作している部分が大きいのが原因だろう。
なので、話し合いの結果、細かい説明はシャルルに任せることにした。
ちなみに、話し合いの場が荒れたのは言うまでもない。荒れたのは箒と鈴音なのだけど。箒は語彙能力が低いのか擬音ばかりだし、鈴音は感覚感覚言ってるだけでわからないし。付け加えると、セシリアは理路整然としすぎてわけ分からん。だと言うのに、全員自分は教えるのがうまいと思っているから厄介なのだ。
しかし、今日は人が多い。ここ第三アリーナは俺や一夏、加えてシャルルまでいるものだから、使用希望者が続出し人が明らかに多い。他のアリーナはすいてるはずだ。俺達に興味の無い人達は大喜びだろう。
さて、俺は装備の見直しをするか…。この間、サイコガンダムと戦ってわかったが、装備のバランスが悪い。具体的にはブレイドドラグーンが多すぎた。
現在、24機を装備しているものの戦闘中持てあますことがあったのだ。なら、その分近接戦闘などに集中力を割きたい。
バススロットに楯から外したブレイドドラグーンを放り込み、半分の12機にして空に飛ぶ。
目を閉じてブレイドドラグーンの操作に集中する。何も無い虚空を幾度となく切り裂いて、今までより細かい動きをさせることが出来たことに満足する。微かな燐光を振りまくブレイドドラグーンは、俺を囲うように宙を舞う。その光に確かな力を感じ、息をつく。
そこでふと、周りが騒がしいのを感じた。
「ねえ、ちょっとアレ……」
「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」
「まだ本国でのトライアル段階だって聞いたけど…」
視線を移すと、そこには黒いISがいた。乗っているのは銀髪の女子、先日転校してきたラウラ・ボーデヴィッヒだった。
(確かドイツ代表候補生、だったか…)
転校してきて以来、誰とも話さないいささか愛想に欠ける奴だ。しかし、自主練か…?それにしちゃ雰囲気が違うが……。
「おい」
短い声が響く。開放回線で話しかけてているのだろう。相手はもちろん…
「……なんだよ」
一夏だ。まあ、初日のいざこざからわかっていたことだが。
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」
「イヤだ。理由がねえよ」
「貴様になくても私にはある。貴様さえいなければ、教官が大会二連覇を成し遂げていただろう事は容易に想像できるだろう……だから、私は貴様の存在を認めない」
と、言うことらしい。要するに、織斑先生の強さに惚れ込んでいるのだろう。まあ、強い人間に惹かれる気持ちはわからないでもない。
だが、過去にIFはない。ありえもしない過去で人の存在を否定するような事はあってはならない。
「さあ、戦え」
「また今度な」
「ふん。ならば──戦わざるを得ないようにしてやる!」
瞬間、ラウラの漆黒のISの右肩の実弾砲が火を噴く。
ゴガギンッ!
「……こんな密集空間でいきなり戦闘を始めようとするなんて、ドイツの人はずいぶん沸点が低いんだね」
しかし、その実弾はシャルルのシールドに弾かれる。流れるような動作で《ガルム》を展開し、銃口をラウラへ向ける。
「貴様……フランスの第二世代ごと──」
「おっと、そこまでだ」
俺は銃口を向けつつ、
「俺の友人に手を出すんだ、俺を相手取る覚悟があると受け取るが、どうだ?」
「……ふん、命拾いしたな」
そう言うと、ラウラはアリーナに戻っていった。命拾いしたのはどっちなのか…
「大丈夫、一夏?」
「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとな2人とも、助かった」
「それは何よりだ。しかし、こんな場所でいきなり戦闘をけしかけてくるとは……予想外だな」
「だね、周りに人も居るのに…」
周りの生徒達はあっけにとられて状況の把握も出来ていない様子だった。
「まあ、時間も時間だ。そろそろ切り上げよう」
見れば時計は4時を回っていた。アリーナも閉められる時間だ。
「そうですね、更衣室も混んでくるでしょうし、切り上げましょうか」
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シャルルside
「…………。はぁっ……」
時間は過ぎ去り、午後5時。自室に戻ったシャルルは一人ため息をついていた。
アリーナで一夏が一緒に着替えようと言ってきた時の自分の態度は不自然では無かっただろうか。一夏の口振りだと、男子は一緒に着替えるのが普通だ、と言うことになる。それを断って、不自然に思われてないだろうか…。そう思うと、自然とため息が出てくる。
それに加えて、一夏や夕音達に嘘をついている罪悪感が込み上げてくる。
(だめだ…考えてても仕方ない。シャワーでも浴びて気分を変えよう)
シャルルはクローゼットの中から着替えを取り出すと、シャワールームに向かうのだった。
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夕音side
「ふぅ……」
俺はいつも通り、自主練習が終わり自販機で買ったアクエ●アスをラウンジで飲んで一息付いていた。いつもならシアも一緒だったりするのだが、今日は先にシャワーを浴びる、ということで部屋に戻っている。
(しかし、あのラウラは……やっかいだな…)
同じクラスメイトとして仲良くしたいが、いかんせん問題がありすぎる。あれは手段を選ばないタイプだ。恐らく、一夏を潰すために如何なる手段を用いるだろう。
(何とか対策を練らないとな……っと、織斑先生?)
ふと、廊下の曲がり角から織斑先生が姿を現した。何かを探している様子だが…
「あぁ、千代紙。いいところに」
「珍しいですね、織斑先生がこんな所に来るなんて」
「実はデュノアに渡し忘れていたプリントがあってな。探していたのだが丁度良い、千代紙、届けてもらえるか?」
「わかりましたよ、届けます」
「そうか、頼んだぞ」
「任されました。じゃあ、俺はこれで」
「あぁ、引き留めてすまなかったな」
「いえ、休憩してた所なんで大丈夫ですよ」
そう言って、俺はラウンジを後にした。
さて、私は今何処に居るでしょうか? ここでーす、ここ、ここ。ここで御座います。正解はシャルルと一夏の部屋の前でした!………うん、虚しいな。
と言うわけで、織斑先生から受け取ったプリントをシャルルに渡すべく部屋まで来た。のだが……
「シャルル、居るか?」
……………返事がない、ただの屍のようだ。いや、ドアはもとから生きてないけど。
そう、居ないのだ。一夏は山田先生に書類だか何だかを書くために職員室だし……
「どうしたもんか……」
試しに、ドアノブをひねると…
(あれ?開いてる…?)
普通にドアが開いた。鍵閉めてないのか……。
ドアを開けると、一つわかったことがある。
(そうか…シャワーだったか)
微かに水音が聞こえた。シャワーを浴びているのなら聞こえなくて当然だろう。
とりあえず、テーブルにプリントを置くことにした。だが、無言で出ていくのも気が引ける。一応、声をかけて置くか。ドアが開く音から察するに丁度シャワーからあがったようだ。
「シャルル」
「い、一夏!?」
「あー、驚かせてごめん。千代紙だ」
「ゆ、夕音? 何でこの部屋に居るのかな!?」
「いや、織斑先生にプリントを渡すように頼まれてな。部屋の鍵も開いてたし、とりあえず、テーブルの上に置いておいた」
「そ、そうなんだね! ありがとう!」
「お、おう。勝手に入って悪かったな。でも、何でそんなに慌ててるんだ?」
「あ、慌ててない慌ててない! 大丈夫だよ!」
「そうか?……っと」
ふと、ベッドに放置されたバスタオルが見えた。ああ、持って行くの忘れたのか。
「シャルル、バスタオル無いから慌ててるのか?」
「へ? あ、そ、そうだよ!」
「やっぱりか。ベッドの上に放置されてるし……今届けるよ」
「え、ちょっ!?」
そう言ってベッドの上のバスタオルを拾って脱衣所のドアを開ける。すると……
「は……?」
「あっ……」
そこには『女子』が居た。金髪碧眼、日本人ではない。バスタオルを申し訳程度に体に巻いて、必死に胸を隠そうとしている。なるほど、俺はどうやら部屋を間違えたらしい(錯乱)
「……すまない…」
そして、俺はバスタオルをその場に静に置くと、回れ右をして部屋を出ようとして……
「きゃあぁぁぁ!?」
「ぐはっ!?」
背後から高速で飛来した物体に後頭部を直撃され、倒れ込むこととなった。
「……うぅ……」
「あっ、夕音……起きた…?」
目を開けると、金髪碧眼の女子がこちらを覗き込んでいた。後頭部がズキズキと痛む。たんこぶでも出来たのかも知れない。痛みで意識がハッキリしてきて、状況を把握する。
さっき、脱衣所で件の女子の裸を見てしまい、部屋を出ようとした所で後頭部に何か投げつけられた。恐らく意識を失っていたのだろう。
「あぁ…大丈夫だ…っ!?」
そして、ようやく今の状況を理解する。ベッドに寝かされていた、それはいい。だが、膝枕されているのだ。起きたらいきなり膝枕だ。驚かないわけが無いわけで……加えて視界に入った双丘が更に俺を動揺させた。ガバッと勢いよく体を起こす
「あっ……」
「ごめん、ほんとごめん……」
動揺ついでに土下座した。何やってるんだ、俺は…。
「あ、いや…その……だ、大丈夫だからっ」
顔を赤くしながら声を上げる女子。というか、気絶する前のやり取りからもわかるが……
「ごめん……それで、君は…」
「…そう、だよ…僕はシャルル・デュノア。ううん、ここまでバレたら隠す意味も無いか……僕はシャルロット・デュノアだよ」
「シャルロット・デュノア……名前まで変えてたのか…」
「うん、今まで騙しててごめんなさい…謝って、許される事じゃ無いけど…」
「いや、大丈夫だけど…それより、何で男装を?」
「それは、その……実家からそうしろって言われて…」
「実家っていうと…デュノア社から?」
「そう。僕の父がそこの社長。その人から直接の命令なんだよ」
「命令、か……親なんだよな?」
「僕は、愛人の子だから…」
愛人の子。その言葉にチクリと胸が痛む。
「引き取られたのが二年前。お母さんが亡くなった時に父の部下がやってきて、色々検査したらIS適応が高いことがわかったから、非公式だけどデュノア社のテストパイロットをやることになってね」
ゆっくりと言葉を紡ぐシャルロット。思い出したくもないような事だろうに、それをぽつりぽつりと吐き出していく。
「父と会ったのは二回、会話も数えるほどしかないかな。普段は別邸で暮らしてるんだけど、一度だけ本邸に呼ばれてね。あの時はひどかったなぁ。本妻の人に殴られたよ。『泥棒猫の娘が!』ってね。参るよね。お母さんもちょっとくらい教えてくれればあんなに戸惑わなかったのにね」
シャルルは愛想笑いを浮かべるが、その声音も乾ききっていた。
その姿は余りにも儚かった。
「そうか……男性の操縦者ともなれば広告塔になる…」
「うん、デュノア社は経営危機に陥ってたから」
経営危機。デュノア社は世界トップクラスのISシェアを誇っている。だが、それは第二世代型のリヴァイヴの話だ。加えて、元々リヴァイヴは第二世代型の最後発。データも不足しているのだろう。
「それに、男装していれば日本の特異ケースに接触しやすいだろう……ってね」
「なるほど。俺達のデータを盗んで来いって命令か」
確かに、俺や一夏のデータを取れれば第三世代型の開発に大きな進展がうまれるだろう。
「まあ、そんなところ。でもばれちゃったし、僕は本国に呼び戻しだろうね。デュノア社は倒産か他企業の傘下に入るか……まあ、僕にはどうでもいいことかな」
「……」
「ああ、なんだか話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとう。それと、騙しててゴメン」
頭を深々と下げるシャルロット。その姿を前に、俺は……
「お前はどうしたい」
「えっ…?」
言い放つ言葉など、選ばなくていい。ただ、思ったことを口に出せばいい。
「お前はどうしたいんだ、シャルル」
「どうしたいって……僕に選択権はないよ。どの道、本国に…」
「そういうことじゃない。何がしたいのかを、聞いてるんだ」
「そんなの…決まってるよ……ここに居たいよ。皆、優しくて僕を受け入れてくれて…」
「…………」
「でも、でも、無理なんだよ……言ったでしょ? 元々選択権なんて無いんだから…」
俺は静かに考える。第三世代型の開発。そのためには俺や一夏の情報が必要……まてよ。そもそも俺達のデータである必要はあるのか…?
そこに思い至った時、俺の口元には不敵な笑みが浮かんでいた。
「シャルル、知ってるか? IS学園はどの国家のものでも無い。本人の意思で無い限り外部からの介入は不可能なんだ」
「そ、それは知ってるけど……結局、問題の先送りで…」
「だから、その間に俺が何とかする」
「えっ…?」
「三日だ。三日で俺が何とかする」
「三日って……そんなこと…」
「信じろ、俺が必ず守るから」
「………わかった、夕音を信じる。だから、お願い……」
「ああ、任せろ。必ず、お前を守ってみせる」
そう言って、シャルルの頭をくしゃくしゃっと撫でる。
シャルルは驚いた顔をした後、笑った。
「ありがとう、夕音」
「これからの更新、どうなることやら……」
「ちょっと、心配ですね…」
「うん、2人とも平然とここに居るけど、ここ僕の場所だからね?」