IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】   作:シアン

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シアン「我ながら中々早い投稿だと思うんだ」

夕音「まあ、お前にしてはな」

シアン「ストレスが溜まってると早く書けるよね、うん」

夕音「どういうこっちゃ……」


怒りの矛先

 深夜。IS学園の寮の一室、怪しい光に照らされた人影が作業をしていた。

 人影の正体は千代紙 夕音である。彼を照らす光の源は何やら画面のようであった。画面を流れるのは無数の数字やアルファベットの羅列、それが際限なく続いている。

 

「ふぅ……」

 

 ため息を吐き出し、空中に浮いているキーボードと画面をそのままに、おもむろにベッドに倒れ込む。時刻は午前3時を回った所だった。

 今日は月曜日。シャルルが女の子だとわかってから既に一日が経った。俺は土曜日の夜から徹夜でデュノア社に対する切り札を作っている。まあ、穏便に済ませるのならこれしか手がないのだが。

 少し目を瞑った後、ベッドから起き上がり、再びキーボードを叩く。博士は球状のキーボードを使っていた。なんでも、平面のキーボードは指を移動させてる時間が勿体ないのだとか。

 俺もそのような芸当が出来ないわけでも無いが、正確に打ち込むとなるとやはり慣れ親しんだ平面のキーボードのがやりやすい。今回は正確な物を作らねばならないのだから、なおのことである。

 打ち込まれた文字の羅列を目で追い間違いが無いことを確認しつつ、更に打ち込む作業を繰り返した。完成ほもう間近だ。

 そのまま、朝までずっと続けて俺は人生で初めての二徹をした。

 

 

********************

 

 

 

 月曜日の朝、教室に向かっている途中なのだが体がだるい。さすがに二徹は体に響く。さっき鏡で確認したら、ひどい顔だったからなぁ……取り敢えず、ドリンク剤飲んで対処したが、治りきるものでは無い。博士がいかにオーバースペックかが、よくわかる。

 

「ユウ、どうしたんですか? 朝からひどい顔してますけど」

 

「お父さん、大丈夫?」

 

 当然、同室のシアと綾にもバレるわけで……

 

「ああ、大丈夫だよ。まあ、いろいろあってな……」

 

「…そうですか」

 

 しかし、シアは何を言うわけでも無くその場を収めてくれる。言うだけ無駄だと言う事を知っているのだろう。大切な人に心配をかけていることに心が痛む。

 そこに、一夏とシャルルが合流する。シャルルは俺を見たとき、心配そうに目を伏せたが、すぐに挨拶をしてきた。一夏も俺を見たとき少し驚いた顔をしたが、やはり何も言わなかった。出会ってまだ二ヶ月だが、それでも俺達の中には確かな絆が形作られているということだ。

 そのまま、何気ない会話を交わしていたら教室に着いた。しかし、教室に入ろうとしたところで俺達は廊下まで聞こえる声を聞いた。

 

「そ、そそそれって……!」

 

「う、ウソじゃないんでしょうね!?」

 

 うん、普通に面倒ごとの予感しかしない。しかし、時間も時間なので逃げることも出来ない。

 

「本当だってば! この噂、学園で持ちきりなのよ? 月末の学年別トーナメントで優勝すれば織斑君、千代紙君と交際でき──」

 

「俺がどうしたって?」

 

「「「きゃああっ!?」」」

 

 そこに平然と乗り込んで行く一夏。そこに痺れる、憧れるぅ! いや、別にそんなことは無いけど。ていうか、俺の名前も出てなかったか?

 そんなことを考えている内に女子達はそそくさと自分のクラス・席へと戻って行った。

 

「……なんなんだ?」

 

「さあ……?」

 

 

 

********************

 

 

 

 時間は飛んで放課後。第三アリーナには人影が二つ。鈴音とセシリアである。

 

「奇遇ね。あたしはこれから月末のトーナメントに向けて特訓するんだけど」

 

「奇遇ですわね。わたくしもまったく同じですわ」

 

 そのまま視線での牽制が始まる。第三者がいれば火花が見えただろう。

 

「ちょうどいい機会だし、この前の実習のことも含めてどっちが上かはっきりさせとくのってのも悪くないわね」

 

 対するセシリアは……

 

「わたくしは別にどっちが上かには興味ありませんわ。どの道トーナメントではっきりすることですし……でも、模擬戦と言うのも悪くありませんわね。…いいですわ、その挑戦受けましょう」

 

 そう言って、お互いにメインウェポンをコールし、構える。

 直後、

 ドガァン!!

 発砲音と共に、2人の間を弾丸が通り抜ける。

 

「「!?」」

 

 2人は弾丸が飛来した方向を見て、そこに漆黒の機体を見つけた。それは、

 

「『シュヴァルツェア・レーゲン』……ラウラ・ボーデヴィッヒ…!」

 

 セシリアが端整な顔を歪めながら、機体名と操縦者の名を呼ぶ。

 

「……どういうつもり? いきなりぶっ放すなんてイイ度胸してるじゃない」

 

 鈴音も肩の衝撃砲を戦闘状態にシフトさせつつ言う。

 

「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。……ふん、データで見た時の方がまだ強そうではあったな」

 

 確かに、セシリアはフレキシブルを使えない。鈴音もまだ、『甲龍』の力全てを引き出しているとは言えないだろう。だが、ラウラの物言いは自分はデータで見られるよりも強い、と言っているようなものだ。この物言いにはキレるのも無理は無いだろう。

 

「何? やるの? わざわざドイツくん──」

 

「ダメですわ、鈴さん。相手のペースに乗せられます…!」

 

 この言動に、今度はラウラが驚いた。資料を見た限り、セシリアは高飛車で挑発に乗りやすいと思っていたからだ。しかし、今の理性的な行動を見るにデータが古かったと言うことか。

 

「はっ……。2人がかりで量産機に負けるような人間が専用機持ちとは、よほど人材不足と見える。数しか能の無い国と、古いだけが取り柄の国はな」

 

「あんたねぇ……!!」

 

「鈴さん…!」

 

 今にも暴れ出しそうな鈴を必死に抑えるセシリアだが、続くの言葉にとうとう冷静さを欠くことになった。

 

「大した実力もない種馬共を取り合うようなメス共が、ととっとかかってきたらどうだ?」

 

「……わたくしを侮辱する分にはかまいません。けど……けど、夕音さんと一夏さん侮辱するのは…」

 

 今まで必死に抑えていた感情が表層化するのを、冷静に見つめる自分が居ることを感じる。が、直ぐに感情に呑み込まれる。ライフルのグリップを震えるほどに握りしめながら、叫ぶ。

 

「それだけは、絶対に許しませんわ!!」

 

 

 

********************

 

 

 

「さて、今日も楽しく特訓と行きますか」

 

「そうだね。確か今日は第三アリーナが使えるはずだよ」

 

「今日は使用人数も少ないと聞いてる。空間が空いていれば模擬戦も出来るだろう」

 

「それはいいな。トーナメントも近づいてきてるし、一夏も実戦形式で特訓できる」

 

「ユウ、寝不足なんだから無理はだめですよ?」

 

「お父さん、私も着いていっていいの?」

 

 放課後、他愛ない会話をしながらいつものメンバーで第三アリーナに向かっている所だ。綾は昨日、博士から専用機を受け取ったので特訓に参加させることにした。とは言っても、博士よ家の地下アリーナ(博士が隠れ家の時と同じように作った)で試運転兼肩慣らしはしているのだが。

 

「大丈夫だよ。そんな柔に出来てないさ。それと、綾。綾は今日はあくまで基本的な操縦の練習だからな?」

 

「うん、わかってる」

 

 子供は素直でいいね。反抗期など想像したくないものだ。などと、まったく以て関係の無い事を考えていた。

 

「ん? なんだか騒がしいな…」

 

 そう言って、一夏が訝しむように視線を巡らす。確かに、第三アリーナに近付くに従って、騒がしくなっている。廊下を走る生徒まで居るほどだ。

 

「何かあったみたいだな。それも、第三アリーナで」

 

「みたいだね。こっちで先に様子を見て見ようか」

 

 俺の言葉にシャルルが頷き、観客席のゲートを指さす。確かにピットに入るより早く様子を見れる。

 

「誰かが模擬戦をしているみたいですね。でも、様子が──」

 

 ドゴォンッ!

 

 シアの言葉を遮るように爆発音が観客席を揺らす。全員が視線をアリーナに移す。そこには……

 

「あれは……!」

 

 煙を裂くようにして飛び出してきた二つの影。それは……

 

「鈴! セシリア!」

 

 一夏が二つの影の名前を叫ぶ。そう、そこに居たのはボロボロの甲龍とブルー・ティアーズ。すなわち、鈴音とセシリアだった。決定的なダメージこそ負ってないものの、シールドエネルギーが残り少ないのは火を見るより明らかだ。

 そして、煙が晴れていくと共に姿を現したのは漆黒のIS。『シュヴァルツェア・レーゲン』だった。こちらは無傷でこそないものの、ダメージらしいダメージが無いように見受けられる。 

 鈴音とセシリアは目配せをした後、再びラウラへ向かっていく。二対一、前衛の鈴音と後衛のセシリア。だと言うのに、押されているのは2人の方だった。

 

「くらえっ!!」

 

 鈴音が『甲龍』の衝撃砲(正式名称 第三世代型空間圧作用兵器・衝撃砲《龍咆》)を最大出力で放つ。訓練機程度であれば、一撃の下に沈められるであろうそれをラウラは片手を向けるだけで、迎え撃った。不可視の弾丸。それはラウラに当たることは無かった。

 覇眼で衝撃砲の行方を見た俺は、驚くべき瞬間を目にする。鈴音が放った不可視の弾丸はラウラの前、ラウラの掌の目の前で霧散したのだ。

 

「無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな」

 

「くっ! まさかこうまで相性が悪いだなんて……!」

 

 会話はまるっきり聞こえないが、鈴音が毒づいたのはわかる。先程の現象をかんがみるに、あれは『シュヴァルツェア・レーゲン』の第三世代型兵器と見て間違いないだろう。そして、それは恐らく……

 

(……AICか……)

 

 AIC、それはアクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略称だ。空間にエネルギーで作用を与え、その部分を停止させる結界だ。大体の原理はほぼ衝撃砲と同じ、それ故に衝撃砲とは相性が圧倒的に悪いのだ。

 見れば、ラウラはワイヤーのようなもので捕まえた鈴音を振り子の原理でセシリアにぶつけた所であった。ラウラは『瞬間加速』を使い、一気に鈴音の懐に入り込む。

 

「そう簡単に、やられてたまるか……!」

 

 対する鈴音は防戦一方ではらちがあかないと見たか、機体の損傷を覚悟で連結した双天牙月による回転連撃を行った。本来であればするべきではない行動だが、だからこそラウラの意表を突く攻撃だった。

 

「何っ…!?」

 

 両腕から出力したプラズマ刃で咄嗟に身をかばう。だが、防御は隙を生むものだ。

 

「これでっ……!!」

 

 セシリアの背後からの狙撃。タイミングは完璧。いかにラウラといえどもに避けきれない。

 

「くぅっ…!」

 

 ラウラは左肩のレールカノンを虚空に向け放ち、その反動で機体を射線上から後退させた。セシリアの狙撃はラウラの脚部装甲を掠めて、アリーナの壁に激突した。

 体制を崩したラウラに鈴音は追撃する。双天牙月の連結を解くと二刀流による攻撃を叩き込む。

 が、不自然な格好で鈴音の動きが止まる。見れば、ラウラが鈴音へテを向けている。

 

「まずっ……!?」

 

 時すでに遅し。ラウラのレールカノンが火を噴き、鈴音を吹き飛ばした。

 

「鈴さん!?」

 

「他人の心配をしている場合か?」

 

 そして、鈴音の撃墜に気を取られたセシリアに『瞬間加速』によって接近したラウラのプラズマ刃とワイヤーとブレードが一体と化した武装が次々と叩き込まれる。

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

 次々と叩き込まれるラウラの拳に、足になすすべ無く撃墜される。しかし、ラウラは攻撃の手を止めなかった。このままISが強制解除されれば、命に関わる。

 ラウラの無表情が確かな愉悦に歪む。

 その時だった。今までアリーナ内に注目していたせいで、直前まで誰も気付けなかった。綾がISを緊急展開させ、アリーナと観客席を隔てるエネルギーシールドに手を添えるのを。

 

「これ以上、やらせないっ!」

 

 綾が叫ぶと同時、これまでアリーナからの攻撃をすべて防いでいたエネルギーシールドが消失する。

 隔てる物が無くなり、綾はまっすぐにラウラへ突貫する。

 

「ふん……感情的で直線的。絵に描いたような愚図だな」 

 

 ラウラが手を掲げAICを発動させる。しかし、

 

「そんなもの!」

 

 綾の機体の四つのアンロック・ユニット。それらが十字を組むように綾の前に踊り出て、AICの効果を受け停止する。だが停止したのはアンロック・ユニットであって、綾自身ではない。

 アンロック・ユニットを躱すようにラウラに接近した綾は今までの慣性を全て乗せた蹴りを放つ。

 

「かはっ…!?」

 

 勢いに逆らえず、地面に激突するラウラに綾の猛攻が浴びせられる。

 両手にハンドガン、サブアームにマシンガンを呼び出しフルオートで撃つ。更に、ラウラの集中が途切れたことで解放された四つのアンロック・ユニットから太いビームが放たれた。

 だが、そう簡単にやられるラウラではない。地面を滑るように移動し、攻撃を躱すとレールカノンを速射しつつ綾に接近する。

 レールカノンをアンロックユニットを使って次々と防ぎ、腰だめから放たれたラウラの手刀をハンドガンから持ち替えたビームサーベルで受け止める。その手首を二本のサブアームで掴み、さらにビームサーベルを装備したサブアーム二本で攻撃する。

 

「墜ちろっ……!」

 

「まだだっ!」

 

 振り上げたサブアームがAICによって止められる。

 だが、アンロックユニットがビームを放ちラウラの右肩部装甲を破壊する。その衝撃でレールカノンが本体と分離する。

 

「ぐぁっ…!」

 

 綾は腹部を蹴りつけると、サブアームを使ってレールカノンを回収。爆発の勢いを利用して距離を取った。

 そして、流れるような動作でレールカノンを構えた。シュヴァルツェア・レーゲンの《レールカノン》を、だ。

 本来、ISの装備にはロックが掛かっており、操縦者の許諾なしには扱うことは出来ない。だが綾のISは、綾が操縦する『ロスト・レクイエム』はその限りではない。『ロスト・レクイエム』のワンオフは一度触れれば許諾なしで自由に装備が使えるのだ。その名も《強制解除》。先程のエネルギーシールドを消失させたのは、彼女がエネルギーシールドの操作権を奪ったためだ。サブアームによって、相手の装備を奪いやすく同時に複数の武装を扱える彼女の機体らしいワンオフである。

 

「これで…終わりだぁっ…!」

 

 綾が撃ったレールカノンは、シュヴァルツェア・レーゲンに寸分違わず命中し、その装甲を蹂躙した。




ここで、軽く綾の専用機の紹介をしたいと思います!


機体名 ロスト・レクイエム

武装
ライブズ
粒子ハンドガン。フルオートとセミオートの切替が可能。エネルギーを弾丸として発射する。

プロメテウス
ライブズとの合体により様々な効果をもたらすバレルの総称。ロングレンジ対応、電磁加速、レーザー砲対応など様々な種類を持つ。

アマツ
アンロック・ユニット。楯としての機能も持ちつつ、巨大レーザー砲が着いており攻撃も可能。見た目はOOライザーの肩パーツ。

ラウンダー
ミニガン。こちらもエネルギーを弾丸として使用する。

Nブラスト
バズーカ。弾丸は実弾のプラズマグレネード使用。

シルヴィ
ビームサーベル。白月と同型で出力も同じ。

武装はその他にも様々な種類がある。

ワンオフ
強制解除(アブソリュート・パニッシャー)
武装及び全ての機械の支配権掌握。
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