IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】 作:シアン
夕音「お前、絶対バカだろ。只でさえ更新遅いのに新作に手を出すとか」
シアン「仕方ないじゃん、書きたくなったんだから!」
夕音「うるせえ、反省してろ」
シアン「すみませんでした(五体投地)」
夕音「ていうわけで、今回も遅くなりましたがお楽しみ下さい!」
綾の怒りは決して正義感から来る物ではなかった。綾は元々サイコガンダムと言う殲滅兵器、そして黒いISを駆って1年の専用機持ちを殺そうとした。その後、夕音の養子となる形でIS学園に来たわけだが、その時の不安は相当の物だったのだろう。何せ、自分が殺そうとした相手が居るのだ、何をされても文句は言えない。しかし、その不安が一瞬で消えるほどに綾は温かく迎え入れられた。綾にとって、箒やセシリア、鈴音は恩人と言える存在なのだ。綾も幼いなりに深い感謝を持っていたのだろう。
今回、その恩人が殺されかけると言うのは綾の目にに様に映ったのか……
まあ、形はどうあれラウラを止められたのだから良しとしよう。恐らく、ラウラのISの損傷レベルはCを超えているだろうが、別段気にするようなことではない。そう、気にしたら負けだ。
アリーナに立ちこめていた煙が徐々に晴れていく。そして、
煙の中から黒い影が飛び出した。
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(私は……負けたのか……)
負けてしまった。先程、自らが『ブルー・ティアーズ』や『甲龍』を蹂躙したかのように。いや、それよりもひどかった。相手に傷一つ付けられないまま終わったのだから。
(このまま、終わるのか……?)
いやだ。そんなことは認めない。私は誰よりも強くなった。そう、強くなったのだ。毎日血の滲むような訓練を重ね、『強さ』を『力』を手に入れた。それなのに……それなのに……!
(このまま、這いつくばって……教官にどう顔向けすればいい……!? また、捨てられる。独りになってしまう……)
教官に、織斑千冬に捨てられることを考えた瞬間、何かに支配させるかのような感覚を覚えた。それと同時に力を得た気がした。だが、支配されようとも構うものか。それで、力が手に入るなら。
沈みゆく意識の中で、強く願う。
(まだ、終われない……!)
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煙から飛び出した影は、一瞬で綾に接近すると、勢いよく綾を吹き飛ばした。不測の事態に対応しきれず、地面に叩きつけられた。
「かはっ……!?」
ISが衝撃を殺してくれるとはいえ、軽減しきれない衝撃が綾の体にダメージを与えた。
だが、空中へ向けた目が『それ』を捉えた瞬間、その痛みも感じなくなった。
『それ』は黒かった。そして、その形はかつて世界最強と謳われ、今なお歴史に名を刻まれた『暮桜』であった。
綾はその名、その形を知っていた。束博士にその映像を見せられたからだ。剣1本で世界の頂点に座した、その機体の映像は頭に目に焼き付いていた。
綾が『黒い暮桜』を見て硬直していると、突如、それは景色から消えた。
直後に衝撃。
地面にいた綾を勢いよく蹴り飛ばす。
「うぁ……!」
更に、それは加速すると自らが吹き飛ばした綾に追いつき通り、抜けざまに
「くっ……ぁぁああああ!」
だが、綾も黙ってやられるわけではない。機体を反転させると、斬撃の勢いすら利用して回転、遠心力を乗せた一撃を叩きつける。
砂ぼこりが舞い、2人を覆い尽くす。果たして───
黒い暮桜はその剣を難なく受け止め立っていた。大技を受け止められた隙を見逃すはずもなく、剣を弾くとひざ蹴りを腹部へ見舞うと、反撃の為に展開されたサブアームを切り落とす。
再び鋭い斬撃。何とか剣で受け止めたが、慣性までは防げずに壁に吹き飛ぶ。
もうもうと立ち込める砂煙を突き破り、剣を振り上げた黒い暮桜が目の前に現れる。剣を上げようとも、間に合わない。
絶望が綾の視界を染め上げようとする、その時。
天使は降臨した。
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「綾っ……!」
ユウが鋭い声を上げ、他の皆は息を呑んだ。現れたのは黒い暮桜。あまりに予想外の出来事に、とっさに体が動いたのはユウだけだった。
一瞬で|IS<<羅雪>>を展開し、神白でエネルギーシールドを切り裂こうとする。
そこで、ようやく思考が追いついた私は、ユウ!と声を飛ばす。
しかし、聞こえていないのか、ユウは更に出力を上げてエネルギーシールドを切り裂こうとする。あまりの出力にエネルギーシールドがバチバチとスパークを散らし始めたが、そこでISを展開した私が肩を掴み、再び声をかける。
「ユウ! だめです、その状態では……!」
「でもっ……!」
振り向いたユウの鬼気迫る表情に、気持ちが揺るぐが、今度は静かに声をかける。
「大丈夫です、ユウ。私が行きますから」
「シア……」
苦悩の表情に変わる。綾を、娘を守れないことに対する悔しさや惨めさを感じているのだろう。だが、今のユウを行かせるわけにはいかない。今のユウには普段見せない疲れが見えている。そんな状態では、なにが起こるか分からないからだ。
「大丈夫ですよ、ユウ」
もう一度、同じように言葉を重ねた後、いつもユウがするように、不敵な笑みを浮かべつつ言う。
「世界最強……その隣に並び立つ者がここに居るのですから」
ユウは少し目を見張ると、小さく笑みをもらした。それから、真剣な表情に戻る。
「わかった……シア、綾を……皆を頼む」
「ええ、任せて下さい」
私は安心させるように微笑み、翼を広げる。羽を使えばエネルギーシールドに一時的に穴を開けられるはずだ。
「待ってくれ……俺にも行かせてくれないか?」
「「一夏(さん)……?」」
そこには口調こそ冷静ではあるが、その目に強い闘志を宿した一夏がいた。
「あれは……あの技は千冬姉だけのものだ。あんな奴に、使わせるわけにはいかない」
「そう言うことか……わかった、行ってこい」
その言葉に一夏さんは力強く頷くと、ISを体に纏った。もともと、誰かの力は借りねばならなかった。そもそも、基本性能からして私の愛機は違いすぎる。防御を貫通できる『羽』も、相手を完全破壊する目的のものであって、ラウラというクラスメイトに使えば確実に死を贈る結果となる。相手の防御を貫通し、更に加減可能な一夏さんなら、適任だろう。
「わかりました。私が隙を作ります、合図を出したら攻撃して下さい」
「ああ!」
そう言って、一夏さんがISを展開したのを確認すると、羽をエネルギーシールドに向けて放つ。羽は円を描くように突き刺さり、その中のエネルギーシールドを消失させる。
ユウが皆を観客席から退避させたタイミングで、2人とも一斉に瞬間加速を使いアリーナへと躍り出た。
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振るわれた刃は、障壁に阻まれた。美しい色の障壁が黒い殺意の侵入を強く拒んだ。
すると、黒い暮桜は大きく後ろに飛んだ。直後、白いISが剣を振り下ろした格好で着地した。さらに、その上空には3対の翼を広げた天使の姿。いや、違う。神々しく、美しい姿のISだ。
「綾、無事ですか?」
「お母さん……!」
その姿に、声に意識しない内に声が漏れた。安堵の涙が綾の頬を伝う。
あれだけの猛攻を受けた綾だが、さすが博士の作ったISと言うべきか、傷は付いているものの、その装甲は破壊されていない。サブアームは切り落とされてしまっているが。
「綾、動けますか?」
「うん、何とか……アンロック•ユニットの補助があれば」
その言葉に私は静かに頷く。
「よかった……綾、アンロック•ユニットを使って、セシリアさんと鈴音さんを回収して下さい。そのあと、守りを固めるのです」
「うん、わかった」
『ロスト•レクイエム』のアンロック•ユニットが回収に向かったのを見て、『シュヴァルツェア•レーゲンだったもの』に向き直る。
それは、こちらを警戒してか、得物を構えたまま動かない。その間に、一夏さんに後ろに下がってもらい、私も両手に槍を呼び出し、構える。
さらに、空中に10本の槍を呼び出し、それに飛ばしたことで戦いが始まった。
それ、『黒い暮桜』は回避するのではなく、突進した。向かいくる槍を自らの体に当たるであろう3本のみを弾く。残りを身を捻ることで躱し、さらに加速する。
勢いを乗せた横凪をくり出すが、私はそれを右手の槍で防御。左手の槍を同じく横凪に振るい、反撃する。しかし、これはつばぜり合いの勢いを利用したバックジャンプで躱される。
再び緊張が高まる。お互い距離を取り、得物を構えたまま動かない。
その中、私はある考えが浮かんだ。そして、私はそれを実行に移すことにした。左手の槍をバススロットを戻し、1本になった槍を両手で構える。
意識を集中させ、瞬間加速を使い肉迫する。勢いよく突き出された槍は黒い暮桜に刺さる寸のところで躱された。それはそのまま前傾姿勢のままの私の背後に回り、斬りつける。が、これこそが私の狙いだった。
攻撃とは隙を生むものだ。いかに熟練の戦士だろうと、攻撃の瞬間は隙を見せるのだ。それはISだろうと変わらない。
さらに、私には黒い暮桜がそう動くことがわかっていた。『シュヴァルツェア•レーゲン』が『暮桜』に変貌したのは、VTシステムが原因だ。これは過去のモンド•グロッソの部門受賞者の動きをトレース、つまり、コピーするシステムだ。本来はIS条約により全ての機関においても研究•開発•使用が禁止されている。
それがシュヴァルツェア•レーゲンに積まれていたのだろう。おそらく、巧妙に偽装されてだが。
確かに、ヴァルキリーである織斑千冬の動きをトレースすれば、確かな『力』をもっだろう。だが、トレースするからこそ、オリジナルが見た動きを見せれば、その時と同じ動きをするのは必然であった。
今の両手で持った槍の突撃は、かつてモンド•グロッソにおいて、織斑千冬の対戦相手の1人が見せた動きを真似たもの。ならば、その時の織斑千冬と同じく背後に回って斬りつけるのわかっりきっていたのだ。だからこそ、対策はできるし、動きを罠にもできた。束博士に散々見せられた映像がここで役に立つとは思わなかったが。
剣を上段に構えた黒い暮桜に、地面から杭のごとく槍が殺到する。地面から生えた槍は黒い暮桜の動きを一時的にではあるが完全に封じる。
だが、まだ充分ではない。
一時的な行動封じにはなるが、まだ一夏さんに交代するには充分ではないのだ。
私は翼を羽ばたかせつつ、上空へ。ホバリングしつつ、バススロット内の槍を一斉に呼び出し、射出する。
雨のごとく槍が降る。目標は動きを封じられた黒い暮桜、ただ一点。
無数の槍が到達する直前、黒い暮桜は動きを封じていた槍を破壊する。横に飛び退き槍の雨を躱した。続いて瞬間加速を使い、こちらへ接近してくる。地面に刺さった槍はまるで華のようであった。
私は武器をクレッセントボウに持ち替え、引き絞り、光の矢を放つ。フルパワーの三連射。3つ光の矢はそれぞれが不規則な軌道を描きながら、黒い暮桜に向かう。
しかし、システムとはいえども織斑千冬の動きをするそれは、その全てを回避し、剣を構えて突進する。
私はエネルギーフィールドを展開し、その時を待った。
そう、突き上げるように放たれた極太のビームを。
極太のビームは黒い暮桜だけでなく、私自身も巻きこみ、視界を白く染め上げる。
「一夏さん!」
「お、おう!」
光の柱が消えるタイミングで、零落白夜を発動させた一夏さんが突っ込む。
ダメージにより、身動きが取れない黒い暮桜は、なすすべ無くその刃を受け入れた。切り裂かれた黒い暮桜は瞬時に消え去り、ラウラ•ボーデヴィッヒが空中に投げ出される。
武装をしまった一夏さんは、彼女を優しく受け止めたのだった。
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相変わらず、予想外のことをやってのける。シアの戦闘を見ていた俺はそう思った。
シアの機体は比較的支援型で、俺が前衛となるのが常であった。前衛と言うのは思考を挟むような隙は一切無く、言わば感覚によって機体を操るようなものだ。(俺の場合は女神の加護のおかげで余裕があるのだが)
対照的に後衛と言うのは常に思考を巡らせて前衛をタイミングよくサポートするのが役目。つまり、限られた装備でどうサポートするかが鍵となるため、柔軟な思考が必要とされる。
今回の戦闘は、まさにその柔軟な思考の現れだと思えた。
シアが放った三連射。黒い暮桜はそれを難なく回避したのだが、それはシアの目論見どおりだ。シアの狙いは地面に刺さった大量の槍だったのだから。
大量の槍には、本来ISエネルギーを雷に変換する能力が与えられているが、今回はそれを切っていた。
従って、大量の槍にはISエネルギーが飽和する。行き場のないエネルギーは本来ならば暴発する。そう、本来ならば。
例えば、そのエネルギーに方向性を持たせればどうなるか。飽和したエネルギーは方向性に従いエネルギー砲となる。
今回、その方向性を持たせたのがシアの翼だ。シアの翼から射出される羽は、対象のエネルギーを吸い取る効果がある。その羽の集合体である翼がその機能を最大にしたならば。槍に飽和していたエネルギーは、翼のある方へと導かれるように光の柱を形成する。
これが先程の原理だ。しかし、目の前でやられれば理解できるが、その発想はなかった。
およそ、発想の転換においてシアには敵わないな、と思う俺だった。
もっと……もっと速く……!
執筆を……!
頑張ります、はい