IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】   作:シアン

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夕音「結局投稿は遅れるのな。更新ペース遅すぎだろ」

シアン「遅れたくはない。けど、ろくにスマホ自体がいじれないんじゃどうしようもないんだ……」

夕音「問答無用だ、早く書け。まだ二巻目も終わって無いんだぞ?」

シアン「わかってるわ! 次回で二巻目は終わるけどねぇ!」



月末トーナメント開幕

 

 

 

「どうしてこうなった……」

 

 騒がしいピットに俺の呟きが掻き消される。

 

「まあ、仕方ないと言えば仕方ないですよ。そもそも、私たちが専用機で出たら大変なことになりますもの」

 

 そう、ことの発端は先週だ。織斑先生に呼び出されたと思ったらとんでもないことを告げられた。なんでも「お前たちも月末のトーナメントには参加さて貰う。だが、それに当たって専用機の使用は禁止する。機体の基本性能が違いすぎるからな」とのこと。

 うん、実際そうではあるのだが、訓練機で戦えはどうかと思う。最初出会ったときならいざ知らず、今の専用機持ちの技術は、日々の特訓で磨きがかかっている。

 今はまだ、機体性能の差を埋めるだけの実力差はあるにはある、はずだ。……あるよな?

 まあ、それはそれとして俺たちに割り振られたのは『打鉄』と『ラファール•リヴァイヴ』。俺が打鉄、シアがラファールに乗って戦うことになった。……まあ、秘策はあるのだが。

 一番の敵となるのは一夏&シャルルのコンビ。それに、セシリア&鈴音コンビだろう。専用機持ちのコンビである。それに加えて、ラウラと箒のコンビも警戒すべき相手ではあるが、俺達より先に一夏&シャルルコンビと当たるので、勝つのはどちらか。

 箒は専用機持ちではないものの、放課後の特訓メンバーであるし、ラウラは元々ドイツ軍の人間だ。コンビネーション的な意味では一夏達に軍配が上がっているが、はたしてどうなるか。

 ちなみに、セシリアと鈴音は事件の後、必死にISを修理した甲斐あってか、今回のトーナメントに間に合ったのだ。ついでに、ペアも組んだらしい。

 事件といば、ラウラだが……先の事件から冷徹さというかそう言ったものがなりを潜め、クラスの面々と交流を持つようになった。ぎこちないながらも、なんとかクラスに溶け込めているようだ。まあ、大体クラスの女子が、一方的にいじくり回してる事のが多いが。

 

「あいつらと当たるのは、たしか、準々決勝と決勝か」

 

「ですね、セシリアさんと鈴音さんが先で、決勝で一夏さんとシャルルさんか、ラウラさんと箒さんです」

 

「ひとまず準々決勝が壁だな……」

 

 そう口にしつつも、頭の中ではシャルル……もといシャルロットのことを考えていた。シャルロットのことを知っているのは、この学校では今のところ俺だけ。出来ることならばシャルロットとは俺が組みたかった。着替え中とか、バレるような場所は沢山ある。

 ペアが一夏だから、心配することもないだろうが。超唐変木は健在だろうしな。いや、むしろラッキースケベでも起こすか……?

 

『間もなく、一回戦、第一試合を始めます。選手の方は準備をして下さい』

 

 思案に暮れているうちに、どうやらトーナメントが始まるようだ。俺たちは第二試合、そろそろ準備を始めるべきか。

 

「ユウ、そろそろです」

 

「ああ、みたいだな。やるからには優勝目指しますかね」

 

「まだまだ、弟子に負けるわけにはいかないんでしょ、お師匠さん?」

 

 いたずらな笑みを浮かべるシアにドキリとさせられる。うん、やっぱり俺のパートナーは世界一可愛い。

 

「当たり前だろ。まだ師匠越えは早いって教えてやろう」

 

 俺は不敵な笑みでシアに答えつつ、席を立った。

 

 

 

**********************

 

 

 

 さて、準々決勝まで余裕で来れた。

 うん、余裕すぎた。

 訓練機同士の戦闘は、技術の差が如実に現れる。この学校で操縦技術は俺たちがトップ。なので、決着はすぐだったのだ。

 

『続いて、準々決勝第一試合を始めます』

 

 さて、まずは第一の壁、セシリア&鈴音コンビだ。セシリアの遠距離支援と、鈴音の白兵戦闘。バランスの取れたいいコンビだと言える。

 だが、それはこちらも同じこと。俺とシアのコンビネーションはこの中……いや、世界中の誰にも負けることはない。共に駆けた戦場は数知れず、その中で培った連携こそが俺達を生かしてきたのだから。

 

「あの時の事が思い出されますわね、夕音さん」

 

 クラス代表決定戦の時、セシリアと言い合った時のこと。たしかに、今の構図は訓練機と専用機の戦いだ。

 

「そうだな……じゃあ、俺達を倒して見せろよ? イギリス代表候補生セシリア•オルコット」

 

「ええ、油断も手加減もいたしませんわ。私達の本気で迎え撃たせてもらいますわ!」

 

『千代紙夕音、シアラ•シルバーベル ペア。セシリア•オルコット、凰鈴音 ペア──戦闘開始』

 

((私達忘れられてない?))

 

 鈴音とシアラがシンクロしたのもつゆ知らず、戦闘開始のアナウンスが流れ、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

「でりゃぁ!」

 

 鈴音の青竜刀が俺の刀を捉える。ガギィンという金属音が響き、何度目かの鍔迫り合いになる。

 鍔迫り合いは単純にパワーの勝負、訓練機と専用機では格が違う。こればっかりは技術の問題ではない。

 

「ちぃっ」

 

「さっきまでの威勢はどうしたのかしらねぇ!」

 

 両手に握る青竜刀での猛攻。いなし、防ぎ、撃墜だけは真逃れる。セシリアはシアが抑えてくれているが、流れ弾がさっきから流れてきてる。

 

(さて、ここは連携の見せどころだな……)

 

『シア、外れてくれ!』

 

『了解!』

 

 コアネットワークで手短に言葉を交わす。それだけで、目的は伝わる。

 

「くぅっ……!」

 

 シアが被弾し、僅かな隙ができる。それを逃すセシリアではない。スターライトMkIIによる渾身の一撃、訓練機ではとても耐えられない。

 ──当たればの話だが。

 シアが本当に体制を崩していたのなら、確実に仕留められた。が、被弾が意図的なもの、体制が崩れたふりならばどうか。

 

「なっ……!?」

 

 当たるはずがない。シアはいとも簡単にそれを躱す。

 躱された一撃は、遮る物無く同射線上にいた鈴音に直撃する。

 

「きゃぁ!? セシリア、何すんのよ!?」

 

「まだまだ連携がなってないな」

 

 被弾した背中ががら空きだ。素速く回り込んだ俺は、握る刀を振るう。

 セシリアの一撃と俺の振るった刀は、『甲龍』のシールドエネルギーをごっそりと持っていく。

 

「同射線上には入らない。連携の基本だぞ?」

 

 左手に滑空砲をコールし、撃つ。完全に体勢を崩した鈴音に防ぐすべはなく、あっさりと『甲龍』のシールドエネルギーを全損させた。

 

「鈴さん!?」

 

「よそ見は厳禁だよ、セシリアさん」

 

 撃墜された鈴音に気を取られたセシリアを、ブレードに持ち替えたシアが攻撃する。

 

「い、インター──」

 

「遅い!」

 

 防御を赦す事無い決定的な連撃。更にブレードを装甲に食い込ませると、ダメ押しとばかりに、両手にコールしたハンドガンを密着させ連射した。

 如何に訓練機と言えども、ISはISなのだ。攻撃は『ブルー•ティアーズ』のシールドエネルギーを削りきった。

 

『試合終了。勝者、千代紙夕音、シアラ•シルバーベル ペア』

 

 同時、試合終了のアナウンスが入る。どうやら、これで準々決勝は決着らしい。なんとも呆気ない幕落ちである。

 

「残念だったな、二人とも。俺達の連携は年季が違うんだ」

 

「ぐぅ……訓練機だったのに……!」

 

「そう簡単には、負けてあげられませんからね」

 

「さすがは夕音さんとシアラさんですわね……動きが違いますわ」

 

「まあ、お前達は少し前まで怪我してたしな。しょうが無いさ」

 

 そう言って、倒れる鈴音に手を差しのべる。はあ、と息をつくと鈴音はその手を取って立ち上がった。

 

「次は負けないからね!」

 

「いつでも掛かってこい」

 

 鈴音の言葉に不敵な笑みで返すと、鈴音は満足したようにピットへと戻っていった。

 

 

 

**********************

 

 

 

 準決勝はすぐに決着し、決勝となった。上がってきたのは一夏とシャルルのペア。一回戦でラウラ達と戦ったが、それに勝利したのだ。ラウラ達も奮戦してはいたものの、やはりコンビネーションの差が出た。

 ラウラ達のコンビネーションも即興にしてはよかったが、一夏達の息ピッタリのコンビネーションには敵わなかったのだ。

 

「やっぱり、お前達だよな……本気でやるか」

 

「訓練機でも、やっぱり夕音達は凄いな。セシリア達との試合も見たけど、動きが全然違った」

 

「そりゃどうも。つっても、お前達に勝てるかはわからないけどな」

 

「僕らも手を抜くつもりはないからね」

 

「ええ、私達も本気でやらせてもらいますから」

 

 そう言って、お互い得物を構え直す。

 

『決勝戦、千代紙夕音、シアラ•シルバーベル ペア。織斑一夏、シャルル•デュノア ペア──試合開始』

 

 アナウンスと共に、激戦が始まった。

 

 

 決勝戦は白熱を極めた。どちらも譲らず、両者互角の戦いだ。

 しかし、それも時間の問題。訓練機は専用機に比べもともとのエネルギーが少ないため、長時間の戦闘になればなる程不利になる。まあ、『白式』も燃費の悪さで言えば、全IS中トップクラスなのだが。

 

「うおお!」

 

 振るわれる刀を、クロスさせた得物で受け止める。パワー型の白式の攻撃はおいそれとして受け止めきれるものではない。スラスターを全開で噴かすが、それでも後ろに追いやられる。

 一夏は刀を振り払ってこちらを弾き飛ばす。そのまま追撃を仕掛けてくる。攻撃を受け止めるだけでは埒が開かない。ここらが仕掛け時だろう。

 

「はあああ!」

 

「っ──!」

 

 裂帛の気合と共に振るわれる刃を、俺は体を捻り、横に移動することで回避する。

 

「なっ……!?」

 

「まだ詰めが甘いな、一夏!」

 

 俺が受け止めるものとして得物を振るった一夏の体勢は大きく崩れた。

 その横っ腹を蹴り飛ばし、両手の刀を投げる。返す手でバススロットからコールした刀も投げつける。

 

「──!」

 

 それに対し一夏は瞬間加速でこちらに突っ込んでくる。

 いい判断だと思った。あの局面に対して、懐に飛び込むという選択に至ったのは成長と言える。

 だが、まだ甘い。

 そこに至ったのはいい。が、それは途中過程であって、最優の選択ではなかった。

 

「はぁっ!」

 

「ぐぁっ!?」

 

 再び突撃を躱し、今度は腹を蹴り上げる。吹き飛ぶ一夏に対し、俺は左手を突き出す。

 本来、『打鉄』の左腕には武装など付いていない。が、こいつはただの『打鉄』ではない。

 織斑先生には、確かにこの『打鉄』で出場しろと言われた。

 けど、誰も改造してはいけないとは言ってないだろ?

 だから、手を加えた。とは言っても、機体の本体に施したのは、両腕の装甲を展開させて、ワイヤーアンカーの射出を可能にした程度だ。基本のスペック向上はしていない。つまりは、腕に武装が少し追加されただけの打鉄。訓練機に変わりは無い。

 

「はっ!?」

 

 左腕装甲から射出されたワイヤーアンカーが、白式の腹部装甲に突き刺さる。そして、勢いよく腕を振ってこちらに引き寄せると、左脚で再び蹴りを見舞った。

 しかし、ここで一夏は俺の予想を超えた。一夏の振るった刀がワイヤーごと俺の左脚部装甲を切り裂いたのだ。

 蹴りは不発、切り離された脚部装甲の爆発で吹き飛ばされる。

 

「ちぃっ」 

 

 吹き飛ばされる中、右手のワイヤーアンカーを一夏に向けて投げた刀に射出する。ワイヤーが刀を絡め取り、巻き戻して刀を掴み取った。

 

「驚いた。あの反撃は予想外だ」

 

「そう簡単にやられるわけにはいかないからな……っ!!」

 

 一夏がワンオフを起動して、お互いの得物を構え直す。残りエネルギーから見て、これが最後の剣戟となるだろう。

 

「「っ────!!」」

 

 ──交錯する。

 

 

 

**********************

 

 

 

「そこだよ!」

 

「甘いです!」

 

 一夏と夕音が激闘を繰り広げている中、シアラとシャルルも激しい勝負を繰り広げていた。お互い支援を得意とし、バススロットの容量が多いラファールに乗っているのだ。銃弾が嵐のように飛び交っていた。

 傍から見れば、シャルルがシアラを押しているように見えるだろう。しかし、実際はそうではない。

 確かに、弾をばらまき牽制しているのはシャルルだが、その銃弾は掠りもしていない。まるで、弾がシアラを避けるようだ。

 対して、シャルルには複数の被弾箇所があった。シアラはシャルルほど弾幕を張っていない。だが、その分的確な射撃により確実にダメージを与え続けていた。

 

(あの銃……装填数からして、もうすぐ弾切れするはず……)

 

 シアラが使用しているのはラファールの基本装備のハンドガンだ。故に、シャルルもその装填数を知っている。

 リロードには遅かれ早かれ時間がかかり、隙ができる。ならばそこを叩く。シアラも高速切り替えができるようだが、ラファールのもう一つの基本武装である狙撃銃は既に使い切っている。彼女に銃はもうない。

 そして、シアラが最後の一発を放った。シャルルはそれを左腕のシールドで防ぐと同時、武装をショットガンに持ち替え、瞬間加速で接近する。

 今のエネルギー残量ならば、数回斬りつけられても、こちらのショットガンの連射が相手のシールドエネルギーを削りきる方が早い。

 そして、瞬間加速は放課後の特訓で未だ見せていない奥の手。一夏は使えるのを知っていても、僕が使うとは知らないはずなのだ。

 衝撃が襲った。

 重い衝撃だった。まるで、壁にぶつかったかと思うほどの衝撃だった。

 

「なにが……!?」

 

 そして、衝撃の正体は……。

 それは本来あり得ない武装。

 『打鉄』の滑空砲だ。

 訓練機の武装には、基本的に専用機のようなロックがかけられていない。つまり、認証なしで使えるのだ。

 そう、この武装は、夕音が準々決勝で使ったものその時から作戦は始まっていたのだ。無意識の内に、滑空砲という武装の持ち主を夕音だけに、特定させたのだ。もっとも、ラファールが打鉄の装備を持っているなどと、予想する人間は居ないだろうけど。

 

「でも……!」

 

 滑空砲は連射ができない。そして、まだ加速するエネルギーはある。

 瞬間加速は使えない、が距離はあと少しで射程に入る程だ。

 そして、射程に入った瞬間、引き金を引く。近距離で絶大な威力を発揮するショットガン。射程ギリギリではあるが、それでも散らばる弾一つ一つが猛威を振るう。

 だがしかし、これに対しシアラは予想外の行動に出た。

 

「えっ……?」

 

 滑空砲を投げ付けてきたのだ。

 銃弾が鋼鉄を引き裂き、火薬を蹂躙し、爆発が起こる。

 煙で視界が遮られ、視覚情報が煙で埋め尽くされる。

 咄嗟に、盾を構えて防御の姿勢を取った。

 防御など、用をなさなかった。

 

 ──衝撃は背後からやって来たのだから。

 

 

 

**********************

 

 

 

 機体と機体が交錯した。

 何の衝撃もなく、一切速度を落とさず。

 一夏が振るう刃を俺はバレルロールにより、回避してそのまま通り過ぎた。

 標的が最初から違ったのだから。

 向こうで起こった爆発。俺の標的はその向こうだ。

 

「なっ──!?」

 

 一夏の声が聞こえる。驚いているのだろうが、彼は喪失していたのだ。

 これが、タイマン勝負でないことを。

 更に加速して、俺の標的、シャルルを捉える。防御姿勢を取るシャルルに、勢い全てを乗せた切り上げを見舞う。

 刃はラファール•リヴァイブ•カスタムIIのシールドエネルギーを余すことなく削りつくした。

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 滑空砲が爆発を起こした後、すぐに機体を加速させた。その先に居るのは、一夏さんだ。

 作戦通りだった。滑空砲に爆薬を多量に入れ爆発させたことも、常に互いが見える位置で戦闘して目の前の相手だけに集中させることも。確実に仕留めるには、この方法がいいと判断したのだ。

 ユウとすれ違う。視線が絡み合う、その一瞬。口はしが緩んだ。

 前傾姿勢の一夏さんの背中に蹴りを入れる。吹き飛ぶ一夏さんに、リロードしたハンドガンを速射した。

 放たれた銃弾は限界にあった白式のシールドエネルギーを完全に消失させた。

 




もうほんと、すみません…
よかったら、ブクマとか感想とかお願いします!
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