IS 女神と少年の物語【作者の受験により投稿停止中】   作:シアン

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今回は長めです。
では、どうぞ!


駆ける幻影、自責の念

 それから、一ヶ月。任務も特になく、平和な日々を送っていた。

 

 二ヶ月。初の任務である、情報収集の任務があった。緊張しつつも、何とか成し遂げた。そこから得た情報を追い、更に任務を遂行した。

 

 三ヶ月。情報収集を繰り返し、やがて、1つの場所へたどり着いた。そして……

 

 

成層圏ぎりぎりを光学迷彩を付けてシアと共に移動している。この三ヶ月間、情報収集を繰り返し敵の実体を掴んだ。今向かっているのは、その本拠地。ISの無人機を研究、製造している場所だ。国はドイツ。

 束博士が造り出したIS。その無人機造ったならば、大きな進歩かも知れない。が、問題は、件の研究施設に沢山の子供が連れ去られていることだ。

 表向きは病院、それも、1年前から始まった、金のない家庭の子供たちの為の病院。つまり、スラムなどに住む子供のための病院、と言うことになっている。

 しかし、未だに病院から出てきた子供はゼロ。1年経っているのにもかかわらず、だ。

 これはおかしな話だ。治療に1年かかることもあるだろうが、全員がそうであるはずがない。

 このことが表すこと、それはつまり…子供たちは人体実験に使われている可能性がある、と言うこと。

 この可能性を裏づけたのが、先の任務で入手した、病院の内部構造だった。

 

『もうすぐで、目標だよ。気を付けてね』

 

 博士からコアネットワークに通信が入る。

 

『はい、わかりました、束博士』

 

『もちろんだ、必ず生きて帰るよ』

 

『あはは、ゆーくんは大袈裟だね。でも、油断はしないでね。情報では、無人機が六体居るらしいから』

 

『了解了解。それじゃ、行ってくるよ。シア、準備は?』

 

『大丈夫。いつでも行けるよ』

 

『よし、行くぞ!』

 

 目標のポイントに到達したので、下降を始める。雲を突き抜け、地上が見える。目標の研究施設を目でも確認する。

 

『ドイツ軍のIS部隊が演習をやってる。見つかると厄介だから、ブースターを使うのは、木の陰に入ってからのがいいかな。それでも隠しきれるかわからないけど』

 

『『了解』』

 

 自由落下で降りてるから、スピードのコントロールがきかないが、問題無いだろう。

 地表が見る見るうちに近づいてくる。

 

『カウントするぞ。………3…2…1…いまだっ』 

 

 減速による強烈なGが襲って来るがISなので問題ない。

 レーダーで先方の動きを観察する。

 

『動かないな…気付いてないのか、気付いてるのか、判断できないな』

 

『取り敢えず、進もう。もうすぐで目標なんだし』

 

『ああ』

 

レーダーで先方の動きを観察しつつ、進むことにした。目標はこの先にある渓谷の端にあるはずだ。

 念のため、ブースターは使わずPICで移動する。光学迷彩も忘れずに。

 

 ものの十分で目標に到達した。情報ではこの崖の内部に研究施設が有るはずだ。

 ここまでは、ドイツ軍に動きは無い。一旦、ISを解除して入り口から乗り込む。服は博士特製の防弾服で、至近距離でショットガンを撃たれでもしない限りダメージは無い。衝撃は受けるだろうが。

 手押しドアを開けて、内部へ侵入する。内部は電気も点いておらず、昼間だというのに薄暗く、気味が悪い。内部はなかなか凝った作りで人が居れば病院として機能しそうな程だった。

 監視カメラやガードロボットのも警戒しつつ慎重に進んで、地下へ進む扉の前まで来る。この三ヶ月の潜入のせいか、隠密行動はお手の物だ。

 目的の扉には手術室と書いてあった。皮肉なものだ。この先で行われているのは、手術ではなく改造なのだから。

 ここでISを起動。扉を破壊し、研究施設に侵入する。

 まず、見たのは巨大なポットだった。中には、人影が見える。それが、無数に並んでいる。1つのポットに近づいて中を見ると、少女が入っていた。他のポットを確認すると全く同じ顔の少女が入っている。

 

『クローンか…!』

 

 なんてことを。命を人工的に増やすなど…!

 しかし、止まっている時間は無い。侵入はもうばれているだろうが、防衛などされるのは避けたい。

 

『そんな……こんなことって…!』

 

『シア、気持ちはわかる。けど、早く進まないと』 

 

『うん、分かってる』

 

この研究施設は完膚無きまでに破壊しなければなるまい。こんな技術は残してはおけない。

 その後も、また違う少女の入ったポットを何個も見た。

 脳だけが入った小型のポットが何個も並んでいる部屋もあった。それを見る度にやるせない気持ちが募っていく。心の内にふつふつと怒りがこみ上げてくる。

 程なくして、最深部に到達した。ここまで、研究員を一人も見ていない。シェルターに避難しているのだろうか。

 が、目前には広いエリア。そして、怪しくモノアイを光らせる6機の無人機。破壊対象だ。すぐに潰す。

 

 6機の無人機は先制攻撃とばかりに、巨大な左腕のビーム砲を放ってきた。

 俺とシアは難なく回避し、反撃に出る。光学迷彩を切り、両手の武装をビームライフル(蒼穹白雪)を呼び出し、狙撃する。シアもクレッセントボウを呼び出し、応戦する。

 しかし、無人機も簡単にはやられてくれない。回避して、再びビーム砲を撃ち込みながら、接近してくる。

 それを回避しつつ、左手の武装をビームサーベル(白月)に持ち替え、近くの無人機に斬りかかる。

 

「うおおぉぉぉお!」

 

 回避出来ないと踏んだのか、巨大な左腕を持ち上げガードしようとするも、白月はそれを切り裂き、零距離でビームライフル(蒼穹白雪)を撃つ。僅かに機体をよじったのか、胸部に直撃とはならなかったものの右腕を吹き飛ばし、武装解除する。が、頭部に搭載されたスピア・ニードルを悪足掻きの用に連射してくるも、レールガン(赤雪)を展開し無人機のコアを破壊する。この間僅か七秒。この分ならすぐに終わるだろう。

 見れば、シアもラースで無人機のコアを破壊したところだった。

 

「次は、お前だっ!!」

 

バススロットから対艦刀(神白)を取り出し、2機目の無人機に投げつける。腹部にビーム刃が食い込み、無人機の動きが停止する。右手のビームライフル(蒼穹白雪)もバススロットにしまい、無人機に刺さっている、神白を掴み振り抜くと、上半身と下半身が分かれる。更にブレイドドラグーン(白銀穿牙)で追撃し、バラバラに解体する。

 同じISとは言っても、片や今の技術を詰め込んだだけのIS。片や女神が創り束博士が改造したIS。性能の差は歴然だ。

 だが、今の技術を詰め込んだだけとは言え、やはりそれなりの性能は有る。背後を取られ、ビーム砲を受ける。ブレイドドラグーン(白銀穿牙)で防げたが、衝撃はそれなりだった。下から、接近する機体も見える。

 

「ちっ」

 

 覇眼を使い、攻撃を見極める。

 眼前の機体が放つニードルをビームシールドで受けつつ、ビームライフル(蒼穹白雪)をコールし、下の機体に向けて撃ち牽制する。

 そのまま、眼前の機体にビームシールドを押し当てニードルを詰まらせる。頭部が爆発により吹き飛び、四肢もブレイドドラグーン(白銀穿牙)で破壊する。

 下の機体が放ったビームを機体を捻って回避するが、下に目線を動かしたとたん、覇眼がとんでもないものを捉えた。それは…

 

「───っ!!」

 

それが何かを確認した瞬間、俺は、シアのもとに機体を動かした。

 

 

──────────────────────

 

 

シアside

 無人機をラースで斬りふせる寸前だった。

 突然、ユウに突き飛ばされた。羅雪のスピードが全て乗っていたから、勢いを殺しきれない。吹き飛ばされている中、ユウの顔を見る。

 笑っていた。こちらを見て安堵したように笑っていた。

 壁に激突する寸前、ユウが光に呑み込まれて見えなくなる。白い、ただ白い光だった。

 そのまま、壁に激突する。背中に衝撃が伝わってきたが、そんなものを意識している余裕はない。

 

「そんなっ…ユウーー!!」

 

 光に呑み込まれた思い人の名を叫んだ。

 

 

──────────────────────

 

 

千代紙夕音side

「さすがに無茶だったかな」

 

 凄まじいエネルギーの奔流の中で思う。ブレイドドラグーン(白銀穿牙)のエネルギーフィールドを発動させているが、長くは保たないだろう。

 あの時、床の下に臨界状態の巨大ビーム砲を見たのだ。研究員が居なかったのは、元からこの施設をこうして破棄するためだったのだろう。

 確かにこうすれば、証拠はすべて消せる。万が一、侵入者が生き残ってもこれの犯人に仕立て上げられる。

 エネルギーフィールドが軋み、歪み始める。

 死ぬつもりはないが、やばいかも知れない。少なくとも重傷を負うことは間違いない。

 けど、まあシアを守れたんだ。それで、良しとしよう。

 エネルギーフィールドが破壊され、ビームシールドを展開する、俺に光が迫って来た。

 装甲が破壊されていく。凄まじい奔流に足が持って行かれそうになる。

 

「う…おぉぉぉぉおおおっ!!」

 

 雄叫びを上げ、自らを奮い立たせる。意識を繋ぐ。

 されど、光は終わりを見せない。

 震える機体。限界は更に近づく。

 されど、負けない。この力はそんな柔なものじゃない。

 そうさ、博士の言う「凡人」の兵器に負けるほど、弱く出来てねぇんだよっ! 

 そして、終わりは唐突に訪れる。

 光は収束し、景色が戻ってくる。色が戻ってくる。そこに、「白」を見つけて、俺は心から安堵した。

 だから、気付けなかった。白い光から逃れていた無人機だった物に。

 

 

──────────────────────

 

 

無人機side

 下半身、及び左腕損失

    →目標の破壊不能。

 

 頭部、損害ゼロ 

    →スピア・ニードル起動

   目標を攻撃。

     全残存エネルギー、スピア・ニードルへ。

      一本生成が、限界。

 

     装填。     

           発射。

 

    ガ、ガガッ 

 

命中 、確に

 

 

──────────────────────

 

 

千代紙夕音side

「ぐっ、あ」

 右眼に、鋭い痛みがはしる。眼が開かない。いや、見えないのか。

 

「くそ、がっ…!」 

 

シールドエネルギーが残っていなか、ったからだろう。無人機の攻撃を防げなかった。

 博士の造り出した「アブソリュートエンジン」のより、シールドエネルギーは回復するが、先の巨大ビーム砲により回復が追いつかなかった。

 

「ユウっ」

 

シアの声が聞こえる。痛みを堪えつつ何とか答える。

 

「大丈夫だ。それよりドイツ軍が動き出した可能性が大きい。早く離脱しよう」

 

「でも、その怪我じゃ」

 

「大丈夫だと言っている。行くぞ」

 

 激痛がはしる。でも、ここに居れば確実にドイツ軍に見つかる。それは、束博士の存在が公表される危険を意味する。それだけは、避けなければ。

 

「…わかった。けど、無茶はしないで」

 

 それこそ、無茶だ。飛行するのすら無茶なのだ。無茶をしなかったら、現状、何も出来ない。けれど、口にはしない。心配をかける訳には行かないから。

 

「ああ、わかっている」

 

 そう言って、回復したシールドエネルギーを使い脱出する。シアはそれに追随する。

 正直、帰れるかは不安だった。

 

 

**********************

 

 

 目を開ける。最早、見慣れた天井だ。

 あの後、どうなったのか、あるいは、どうやって帰ってきたのか記憶がない。

 確かなのは、ここが博士の隠れ家だということだけだ。

 視界が半分無くなっていることに、改めて右眼が無くなったのだと実感する。

 体中包帯で巻かれていて肌が見えるのが顔の左半分と首、右足と右手だけという有様だ。かなりの重傷で体を動かす事すらままならない。やっとのことで体を起こす。

 帰ってきて、何日経ったのか。寝ていたのがどの位なのかもわからない。

 

「うぅん…」

 

 死角となった右側から声が聞こえた。首を動かしそちらを見る。

 シアがいた。その事が無性に嬉しく思えた。自分の隣にいてくれた事がとても嬉しかった。

 ベッドに突っ伏すように寝ていた彼女が目を覚ます。顔を上げて、目が合う。

 

「おはよう、シア」

 

「ユ、ウ…?」

 

 

──────────────────────

 

 

シアラside

「おはよう、シア」

 

 いつの間にか寝ていたようだった。目を覚まして顔を上げたら、ユウが起きていた。

 

「ユ、ウ…?」

 

 声がもれる。包帯で右眼がおおわれた顔で、微笑んでいた。

 視界がぼやける。たまらず、抱き着こうとして、体を止める。自分のせいでこんなにも傷つけたのに、触れる事なんて出来ない。そんな権利は、ない。

 嬉しかった。帰ってきてくれて。

 けれど、私はもう、触れる権利はない。

 そう考えた途端、この部屋に居ることが、つらくなった。

 彼を傷つけたお前がなぜここに居る? と、そんな言葉が聞こえてくる気がした。

 ここに居てはダメだ。そう思って、部屋を出ようと、立ち上がる。

 「シア?」と、ユウの声が聞こえた。けれど、それに答える事すら出来ない。声を聞いて胸が苦しくなる。

 

「っ───」

 

 走って、部屋を出る。ドアを勢いよく開けて廊下を走る。何処か一人になれる場所を探して。

 

 

──────────────────────

 

 

千代紙夕音side

「シア?」

 

 そう声をかけた途端走って部屋を出て行ってしまった。

 勢いよく開けられたドアがけたたましい音を上げる。それはまるで、彼女の心を表しているようで、いつまでも耳に残った。

 追いかけなければ。そう思っても、動かそうとすると身体が悲鳴を上げる。身体が動くのを拒む。

 彼女がなぜ、出て行ってしまったのかは、わからない。けれど、彼女が傷ついているのは、わかる。

 なら、やることは決まっているだろう。痛みを堪えつつ何とかベッドから降りる。点滴を支えにして、歩き出す。

 何処にいるのかは、わかっている。そこに向けて歩いていく。

 

 

**********************

 

 

「うぅ、ぐす…うぁぁ、くぅ」

 

「やっぱり、ここに居たか」

 

「え、あ…ユウ…?」 

 

 ここは、ガラクタ部屋。博士が造った部品やら、試作品やらが置いてある、人が滅多に来ない部屋だ。

 シアの隣に座ると、シアが声をかけてくる。

 

「何で、わかったんですか…?」

 

俯きながらそう聞いてくる。

 

「この世界に来てもう、四カ月になるんだ。その間、ずっと一緒に居たんだぜ? シアのことは、シアの次位にはわかってるつもりだよ」

 

「…一番って、言わないんですね」

 

「自分の事は自分が一番よくわかるもんだからな。それでだ、シア、俺にはあの時シアが部屋を出て行った理由がわからん。けど、傷ついているのはわかるんだ」

 

「………」

 

「俺が何かしたんだったら、そう言ってくれ」

 

「違う…違うよ…私が、悪いんだ。あの時、私が巨大ビームに気づけてれば、ユウが傷つく事も無かった。私のせいでユウが傷ついたんだ…だから……」

 

「あれは、俺が勝手にやった事だろう。シアが気にすることなんて、ない」

 

「でも、怖かった。帰るときも、無茶してたの知ってるんだ。無茶しないで、なんて言って……結局は私のせいなのに。帰ってきて、ユウが倒れた時このまま目を覚まさないんじゃないかって、もう帰って来ないんじゃないかって、思って…」

 

 吐露は続く。 

 

「だから、ユウが目を覚ましたとき、嬉しかった。帰ってきたんだって思って。でも…だめだった。私が傷つけたのに、触れる権利なんてないって…。聞こえるんだ、何でお前がそこに居るんだ、って声が」

 

「シア…」

 

「だから、私は…っ!?」

 

 聞いてるのがつらかった。だから、言葉で表すよりも行動で示した。

 シアを抱き寄せて、顔を上げさせて、その唇に自分の唇を合わせた。涙で濡れた瞳が見開かれている。

 腕の中で、強張っていた体から力が抜けていく。

 ゆっくりと唇を離して、瞳を見つめる。

 

「ユウ……」

 

「シアが気に病む必要なんて無いんだ。あれは、俺がしたことなんだから」

 

「でも…」

 

「でも、もない。シアは悪くない。それでいいんだ。だから、言わせてもらうよ。ただいま」

 

「ユウっ……!」

 

細い腕が体に回されて、痛いほどの力がこめられる。

 というか、怪我のせいで激痛がはしってる。けれど、今は大して痛いと思わなかった。

 

 

 

 

 この後、部屋に戻る途中束博士に見つかり、絶対安静って言ったでしょ!!と、こっぴどく叱られたのは別の話である。

 




やばい、話のストックが無くなった。
なので、少し更新が遅くなります。
すみません! 
次回からはIS学園編に入ろうと思います。
展開急で、ごめんなさい。
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