Harry Potter Ultimatemode EXシナリオ   作:純白の翼

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このエピソードの主人公は、スネイプです。彼の視点で『賢者の石』第11話までが描かれます。


EX1 罪と罰

 我輩の名前はセブルス・スネイプ。1960年1月9日、スピナーズ・エンド生まれ。いまは、ホグワーツ魔法魔術学校の「魔法薬学」担当教授であり、スリザリンの寮監でもある。

 

 一時期、闇の帝王の配下として死喰い人になっていたが愛しい人を危険に晒してしまい、自分の愚かさに気づいてアルバス・ダンブルドアが率いる不死鳥の騎士団に寝返った。だが、その努力も虚しく、彼女は殺されてしまった。夫であり、我輩が最も憎んだ男と、そいつの容姿を受け継いだ息子と共に。生き残ったのは、愛する者によく似た女の子、エリナ・ポッターだけだった。呪いを受けた彼女を、闇の帝王の魔の手から護るべく、我輩はリリーの遺志を引き継ぐと誓った。

 

 それから10年程の歳月が経つ。突然、ダンブルドアの呼び出しがあった。なんと、エリナ・ポッターの双子の兄、ハリー・ポッターが生きているとのことだった。あの憎きジェームズ・ポッターによく似たアイツか。奴に何度も苦汁を舐めさせられた過去が、一気に蘇ってくる。そして、ダンブルドアは我輩とマクゴナガル教授に対してハリー・ポッターを守るようにと言う指令を出した。

 

 1991年9月1日。新入生が入ってくる。早速見つけた。目がメガネだが、他はリリーで額に傷があるエリナ・ポッターと、メガネの顔にリリーの目を持つ少年を見つける。おそらく、アイツがハリー・ポッターだろう。しかし、メガネを掛けていない、髪は清潔感溢れる様に整っているという違いがある。それに、奴に比べると随分と穏やかで、人の良さそうな表情をしていた。悔しいが、メガネよりはある程度マシと認めざるを得ない。

 

『リリー……』

 

 組み分けの儀式は、かなりの番狂わせだった。ハリー・ポッターに関しては、予想通りグリフィンドールだった。しかし、エリナ・ポッターはハッフルパフに組み分けされた。

 

 水曜の午後、ハッフルパフとレイブンクロー合同の1年生の魔法薬学の時だ。エリナ・ポッターに質問した。6年生でやる内容なので、当然答えられる筈もないが。

 

「教科書がチンプンカンプンで、分かりませ~ん。」

 

 なんと、本当にリリーとジェームズ・ポッターの娘かと言う程の極度のおバカだったのだ。我輩の出した問題を答えられないのはまだしも、本来扱っていくべき1年生の教科書が全く分からないと来た。しかも、この後のおできを治す薬でも所々でミスを引き起こしかけ続け、そのたびにゼロ・フィールドが必死にフォローしていた。これには流石の我輩も頭が痛くなる。

 

「ポッター。君はふざけているのか。」

 

「ボクは、至って真面目ですけど。」

 

 目と目が合った。トラウマが再発する。

 

「全部、顔はリリーなのに、目が……目が……ポッターああああああ!!!うわぁああああああああああああ!!!!!」

 

 そこからは何も覚えていない。次に目が覚めたのは、医務室だった。マダム・ポンフリーの話では、地下牢の窓ガラスを体当たりで割って、勢いよく飛び降りたそうだ。一日入院することになって、木曜日の授業は中止になった。

 

 翌朝。今度は、グリフィンドールとスリザリンの合同授業がある。あの憎きメガネに良く似たポッターを見なければならないかと思うと、虫唾が走る。

 

 だが、その認識は改められることになる。予想の斜め上を行く結果となった。ハリー・ポッター。あいつは、あまりにも大人び過ぎている。メガネとは、中身が全く別物だ。何もかもが。

 

 我輩が出欠の時にポッターに皮肉を言った直後、恐怖と自らの死をイメージした。何故こんなことが!?それに、この魔力の質は!!?この時は、何も分からなかった。だが、この時点でも我輩はハリー・ポッターを過小評価していたようだ。それを悟ったのは、我輩の質問に答えた直後に聞こえた木霊が原因だ。言葉の一つ一つが、我輩の心にグサリと突き刺さってくる。

 

『俺が何も知らないとでも思っているのか?良くもぬけぬけと教師なんて続けやがって。』

 

 そう聞こえた。何だ今のは。いや、それよりも、グリフィンドールに減点の口実を与えなければ。しかし、ポッターはそれも難無く答えた。そしてまた、木霊が聞こえてくるのだ。

 

『知っているんだよ!お前が予言をヴォルデモートにネタバレしたことを!それが原因で俺の両親がヴォルデモートに殺された事も!!そして何より、俺たち兄妹の人生を歪ませたことも!!!』

 

 ち、違う。我輩は涙が枯れる程に後悔している……だからこそダンブルドアに……

 

『さぞいい気分だったろう!?お前は、俺の母がどうやって死んだかも知らないだろうね?いいや、知りたくもないわけだよな。お前にとって、俺の母リリー・ポッターは蔑むべき穢れた血なんだからな。母は、俺とエリナの命懸けの命乞いをして、ヴォルデモートに嘲笑われながら虫ケラのように殺されたんだよ!全部お前が引き起こした事だ!お前のせいだ!!俺は未来永劫、お前を味方だとは思っちゃいない。何故なら、お前は俺の母の仇だからだ!』

 

 もうやめてくれ!!もう十分だ!!!我輩が悪かった。それは本当だ。一部だけとはいえ、闇の帝王に報告をした。それが、最大の不幸だった。我輩の所業で最悪の結末を迎えてしまった。だが、リリーへの態度は絶対に違う!決して、蔑む気なんて全くなかった。自分のプライドを優先してしまった故の過ちなんだ。我輩は……私は……僕は……リリー。

 

 それでも、気を取り直して、授業を再開させる。もう、ポッターに関わるのはやめよう。質問の度にアレでは、こちらの身が幾つあっても足りん。

 

 授業が終わると、すぐに部屋にこもる。あれは、ポッターがやったのか。誰にも、漏れる筈が無いのに何故。我輩に心の傷を負わせるのに、なぜあの事を!?どこまで知っているのだ?それに、僅かに見えたポッターの心。尋常ではない憎悪が見えた。一体何をされたらそうなるのだ。ポッターよ。

 

 極めつけは、ポッターのあの魔力。魔法界全体で見れば、相当な量とも言える。だが、突出して高いわけではない。闇の帝王やダンブルドアと比べたら、少ない方だ。また、同級生と比べると、純粋な魔力の量ならばイデゥン・ブラックに軍配が上がる。

 

 問題は、魔力の質だ。極めて上質と言われたらそれまでだが、そんな次元の話ではない。感じ取れたのは、闇の帝王を凌駕する冷たくて暗い、禍々しい魔力の質。敵対者に恐怖心を与え、死をイメージさせるほどだ。

 

 改めて決意した。ポッターからは、決して見放さないようにすると。何に対して憎悪の感情を持っているのか。そこまでは分からないが、知る必要がある。闇に堕ちないように。悪に取り憑かれない様に。それと同時に、エリナ・ポッターを全力で守る。それがリリー、君を救えなかったこの僕のせめてもの罪滅ぼしなのだから。

 




『再会と因縁の章』の賢者の石、第11話まで読むのを推奨します。
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