Harry Potter Ultimatemode EXシナリオ 作:純白の翼
1889年。その島は、何の前触れも無く空中に現れた。人々はそれを、夢幻島と呼んだ。
その島には、1人の男が住んでいた。その名は、ヴァイル・ファウスト。闇のサイバーエルフと呼ばれるダークエルフを付き従えていた。
ヴァイルは、全ての魔法界に破壊と混沌、殺戮と恐怖を齎した。人々は、ヴァイルを『狂神』と呼び、恐れた。
だが、世界各地からヴァイルに抵抗する者が現れ始めた。その中でも最強と呼ばれた4人がいた。ルーカス、アグネーゼのフィールド夫妻、ロック・ブート、ハイタカ。人々は、彼らに最後の希望を託した。そして今、最後の決戦の火蓋が切って落とされたのだった。
「大丈夫か?皆。」
「俺はピンピンしてるぞ!」
「ルーカス。私は大丈夫だわ。」
「私も、問題ありません。」
「アグネーゼ。光を灯してくれ。」
「良いわよ。
アグネーゼが、魔法を唱えた。辺りが明るくなる。ここは、夢幻島の神殿。ヴァイルが根城にしている場所だ。
「とうとう、ここまで来たのか。ヴァイルの所まで。」
「何か冷たいわね。心まで凍りそう。」アグネーゼは、ルーカスに寄り添う。
『クーックックックックック!クヒャーッハッハッハッハッハ!ルーカス!そして、そのおまけ共!ようやく、我が神殿に辿り着いたか!』
「その声……ヴァイル・ファウストか!?どこにいる!」ルーカスが吠える。
『来るが良い。我が居場所まで。最上階で待っているぞ。』
「皆!行くぞ!」
ルーカス、アグネーゼ、ロック、ハイタカは神殿を突き進んだ。ヴァイルの下僕と思わしき敵もいたが、難無く退けた。
『さあ。渡るが良い。もう少しだ。』
またヴァイルの声が聞こえた。
「……ルーカス。罠かも知れないわ。」
「来いと言ってるんだ。だったら、こっちから行ってやるまでさ。そうじゃないと、マーシャやレイチェル、ラルフに危機が及ぶ。俺は、魔法戦士である前にあの子達の父で、アグネーゼ。君の生涯のパートナーでもあるんだ。」
「で、でも……」
「ヴァイルの奴は、楽しんでるんだよ。ここを怯えながら渡って、俺達が来るのを。」
「だな。」ロックが口を開いた。そして、先に進む。
「あの悪魔の考えそうな事ですね。」ハイタカも静かに言った。
「ですが、今の私のコンディションは最高ですよ。奴の手に掛かって殺されてしまった神人族の、私の同胞の魂が、躍動しているのですから。」
ハイタカも前に進む。
「アグネーゼ。約束だ。全員で生きて帰るんだ。俺達が、地上に行きる人達の最後の希望で切札になっているんだから。」
「ええ。」
「それに……」
ルーカスは、剣を取り出す。黒と金を基調とした派手なデザインだが、どこか神々しさを感じられる両刃の剣を。
「このモルスブレードが光を失わない限り、必ず勝てる!」
「モルスブレード。一段と輝いているわね。」
「さあ。行こう。ヴァイルの所までもう少しだ。」
「ええ。必ず、生きて帰りましょう。」
最後に、ルーカスとアグネーゼも来た。
『クーックックックックック!感じるぞ!自分が負ける筈が無いと言うその感情を!それを、今すぐにでもへし折ってやりたい位だな!!!特に……そこにいる女の感情は最高だ。これが、人間の恋愛感情と言うものか!我には持ってないものを持っている!』
そして、4人はヴァイルのいる最上階に辿り着いた。その玉座に、ヴァイル・ファウストはいた。やや褐色の肌、何の色も混じっていない白い長髪、見事に鍛え上げられた筋肉質な肉体が、ヴァイルの強さを物語っている。その上からマントを羽織っていた。
「ほう。貴様が、ルーカスか。モルスブレードと共鳴した人間と言うのは。」
「ヴァイル。覚悟しろ。お前やダークエルフに殺されたり、人生を破滅させられた人々の無念、このモルスブレードと我がフィールド家に代々受け継がれる3本の杖に込めて、返させて貰おう!」
「ほう。お前のその力。成る程な。4絶神のものに限りなく近い。フッ、エリザベートもいい仕事をするものだ。どうして貴様如きに、シャルナクが大いに興味を持ち、そして気に掛けるのかが分かった様な気がする。」
「?何を言って……」
「気にするな。只の独り言だ。さあ、決着をつけるとしよう!」
マントを脱ぎ捨て、戦闘態勢に入るヴァイル。ルーカス、アグネーゼ、ロック、ハイタカも臨戦態勢を取る。
「皆!来るぞ!気を付けろ!」
「
ヴァイルの虹色の眼が、妖しく光った。
「何だ?」
「気を付けて下さい!何かもやもやした黒いものが、私達に襲い掛かろうとして来ています!」
ハイタカが叫んだ。その直後、ハイタカ以外の3人が吹っ飛ばされた。
「キャァッ!」
「アグネーゼ!」壁に衝突しそうになったアグネーゼを、ルーカスがしっかりと支えた。
「ならば、これはどうかな?」
ヴァイルは、右手からキマイラを造り出した。
「どうなってんだ?こいつの能力。」ロックは、キマイラと交戦を始める。
「
アグネーゼは、杖から粉砕呪文を繰り出す。それは、見事ヴァイルに直撃し、彼は粉砕された。
「やったかしら?」
だが、ヴァイルのいた周辺からは火、水、風、土が存在していた。
『おかしい。アグネーゼの唱えた魔法が直撃した時は、あんなものは無かったのに。』
ルーカスが舌打ちしながらそう思う。4つの物質が交じり合い、やがてそれはヴァイルの姿に戻った。
「コイツ、自然物化能力まで身に付けている!?」
「自然物化に動物変化、そしてウイルスモード。この3つの力は、ある一族に私が与えたもの。やがて、3つに別れたがね。」
「何だと!?」初めて聞く事柄に、狼狽えるルーカス。
「ルーカス!とにかく!今は、ヴァイルをぶっ潰す事だけを考えろ!奴の発言に関しては、後から考えても遅くはない!!!」
キマイラを撃破したロックが、ルーカスに喝を入れた。
「あ、ああ……」
「ルーカス。ヴァイルを攻略する為には、モルスブレードの奥義を使った方が良さそうです。」
「分かっている、ハイタカ…………クロックディバイド!」
ルーカス以外の全ての時間が止まった。
「ぶっつぶれろおおおおおおおお!!!」
武装解除、失神、爆破、粉砕、その他諸々を短時間の間に繰り出すルーカス。30秒後、ルーカス以外の時も、再び動き始めた。
「グオオオオオオオッ!!!」
一気に攻撃を受け、態勢を立てるのが難しくなったヴァイル。
「ダークエルフよ!奴らを道連れにしろ!」
空中を漂っていた禍々しい雰囲気を放つサイバーエルフにそう告げるヴァイル。ダークエルフは、ルーカス、アグネーゼ、ロック、ハイタカの周りを動き始めた。
「何をする気なんだ?」
「私達を道連れにする気なのかもしれません。」
「皆。それなら、俺の魔力の波長に合わせてくれないか?打ち消せるかも知れない。」
「分かったわ、ルーカス。何もしないよりは、だいぶマシね。」
アグネーゼ、ロック、ハイタカは、自らの魔力をルーカスの物を同調させる。しかし、ダークエルフの力を打ち消すには至らない。
「フハハハハハ!その程度の力では、ダークエルフを打ち破れんよ!」
ヴァイルが嘲笑した。
「まだだ!パワーを上げてやる!」
「ルーカス!このままだと、アグネーゼに多大な負担が!!!」
ハイタカが大声で言った。
「私は構わないわ!ルーカスお願い!やって頂戴!」
「分かった!」腹を括ったルーカス。魔力を、さらに増幅させた。
「小癪な!」
「行くぞヴァイル!ダークエルフ!!」
4人の限界までに引き上げられた魔力は、ダークエルフの力を打ち消し、ヴァイルを消滅させた。その衝撃に耐えきれず、ルーカスを除く3人は吹っ飛ばされてしまった。
「……やった。終わったんだ!」
急いで、仲間の所に駆け寄るルーカス。
「ロック!」
「俺がこの程度で死ぬかよ!」ロックは、何とか元気そうだった。
「ハイタカ!」
「私も大丈夫です。あなたの持つ3本の杖も回収しました。さあ、アグネーゼの所へ。」
「ああ。取り敢えず、預かっといてくれ。」
3人は、アグネーゼの所まで来た。アグネーゼは、腹部が貫かれて満身創痍状態だ。
「アグネーゼ!」
「……ついにやったわね、ルーカス。こ、これで地上も平和になる。」
息絶え絶えになりながらも、愛する夫にそう語り掛けるアグネーゼ。
「もう終わったんだ!帰ろう!」
「……ごめんなさいね。もう、一緒に帰れないわ。」
「何を言ってるんだ!諦めるな!」
「私の中の魔力が破裂して、お腹を貫き通したのよ。もう、喋るのがやっと……」
「あ、アグネーゼ!」
「……ルーカス。あなたと一緒に……もう1度地上に立ちたかった……それで、マーシャにレイチェル、それに生まれたばかりのラルフを抱きしめたかった……」
涙を流しながら、それが心残りだという気持ちを露わにしたアグネーゼ。その時だった。夢幻島の神殿が崩壊を始めた。ルーカスとアグネーゼ、ロックとハイタカとで分断してしまった。
「おい!神殿が崩れ始めたぞ!ハイタカ!スイルグを使ってくれ!」
「無茶言わないで下さい!2人が遠過ぎます!!今使ったら、置いてけぼりにしてしまいます!!!」
「く、クソ!何とかならねえのか!」
「ロック、ハイタカ。」
ルーカスが、静かな口調で2人に話しかける。
「先に戻ってくれ。ヴァイルとダークエルフはいなくなった。地上の人達に伝えて欲しい。出来るのは、お前達しかいない!」
「ルーカス、あなたはどうするつもりですか?」
「俺は、アグネーゼを置いてはいけない。分かってくれ。」
「……」悔しそうな表情になるハイタカ。
「行くぞ。ハイタカ。」
「ロック!?」
「ルーカスは行けっつったんだ!4人で帰れないなら、俺達2人のとる行動は1つだ!」
「良いでしょう。ルーカス、あなたもご無事でいて下さい。スイルグ!」
ロックとハイタカは、神人族秘伝の空間転移魔法を使い、地上へ一瞬で戻って行った。崩れゆく神殿には、既に事切れたアグネーゼに、そんな彼女に優しく寄り添うルーカスの姿があった。
「……アグネーゼ。これからは、平和な時代がやってくるんだ。俺達も、出来るならそんな時代に生まれて来たかったよなぁ。アグネーゼ。俺は、君をずっと愛している。」
こうして、ヴァイルとルーカスの戦いは幕を閉じた。夢幻島は、海へ落下した。ヴァイル・ファウストは死に、その姿を2度と人々の前に現す事は無かった。
ダークエルフは、ロックとハイタカにより確保され、2つに分離された状態で、別々に封印された。もう2度と、ダークエルフに力が悪用されない事を願って。
後に、この世界全てを巻き込んだ戦いは『夢幻島大戦』と呼ばれる様になったのだった。
展開があるゲームに似てはいますが、これはフィールド家はそのゲームのシリーズの主人公一族が元ネタとなっているからなのです。