Harry Potter Ultimatemode EXシナリオ 作:純白の翼
禁じられた廊下の最深部。双子のポッター兄妹とクィレル及びヴォルデモートの戦闘が行われている。この話は、関わった当事者だけしか知り得ない一つの戦い。
私服を着ている少年少女が計3人。倒れている少年は除いてだ。2人の少年の反対側に、少女はいる。目が虚ろになっていて、少年2人に杖を向けているのだ。
「さて、ハーマイオニーを元に戻さなきゃな。」
「ハリーとエリナちゃんは、もっとヤバい奴らを相手してるんだ。俺らもやるぞ、ゼロ!」
ゼロとグラントも動き出す。いつもみたいに、ボコって終わりというわけにもいかない。ハーマイオニーを元に戻し、無力化するのが最大の目的なのだから。ましてや女の子。傷付けるわけにもいかないのだ。
「ハーマイオニー。すまない!
白い光の玉を発射。ハーマイオニーに命中した。少し怯んだが、すぐに体勢を立て直した。
「グラント。俺が呪文を放ったら、ハーマイオニーを押さえつけてくれ。」
「おうよ。任せな!俺、バカだからよぉ。俺の命、今はお前に預けるぜ。作戦立案でお前の右に出る奴はいねえからな。」
「スマン。決して無駄にはしない。全員で生きてここを出るんだ。」
「
ハーマイオニーの杖から死の呪文が解き放たれた。
2人は、閃光に当たらない様に避けた。
「
青みがかかった白い光線を発射するゼロ。威力は極力抑えている。
光線が命中し、吹っ飛ばされるハーマイオニー。グラントが確保に向かっている。一切無傷の状態で、正気に戻すのがこちらの勝利条件なのだ。
殺すのは完全に論外だ。そして仮に傷付けた状態で元に戻しても、医務室までの時間と距離が持つかどうか分からずに死んでしまう可能性があるのだ。
「ハーミーちゃん!頼む!元に戻ってくれよ!」
グラントがハーマイオニーを取り押さえながら説得している。
「そうだ!あんな邪悪な奴に全てを委ねる必要はないんだ!己を捨てるな!ハーマイオニー!!」
ゼロも叫ぶ。ハーマイオニー1人で抗えないのならば、俺達も服従の呪文の縛りから解放出来る様に後押しするんだと思っている。
だが、ハーマイオニーはグラントを投げ飛ばした。グラントに杖を向ける。
「
グラントが叫ぶ。今にも死にそうな声を出しているのだ。
「グラント!」
「ゼロ、来るな!……いいか!ハーミーちゃんは、操られているだけだ!一番苦しいのはハーミーちゃんだ!!本意ではないのに、味方と戦わされるハーミーちゃんが一番つらいに決まっている!!それに比べたら、俺のこの苦痛なんて屁でもねえ!!!何か呪文でも使って、元に戻すのを手伝ってくれ!」
「
服従の呪文を終わらせようとするが、効果が強すぎて、意味が無かった。
「そろそろ終わり……」
虚ろな目をしたハーマイオニーが、グラントにそう言った。グラントは、腹を括る。その時だった。何か聞こえてくる。
「行くのよ。行きなさい。我が最高傑作。お前こそ、最強の存在。」
『何でも良いからここを離れたい。』
グラントは、そう思った。そして、何か変わる感じがした。
「あの至近距離で、死の呪文はマズい!グラントを助けに行こう。でも、少し距離があり過ぎる!もっと、もっと早くだ!」
危機的状況に陥ったゼロ。早くあの2人の所まで。ゼロは、この時点で体が軽くなった事には気付いていなかった。そして、強い風が吹いてる事にも。
ゼロは、瞬時にハーマイオニーに近付けた。ゼロは見た。グラントが別の何かに、いいや、チーターに変貌していくのを。
「グラント。お前は一体…………」
だが、そんな事はどうでも良い。とにかく、グラントが何か攻撃される事は無いのだから安心すべきか。ゼロは、ハーマイオニーの方を振り向いた。
「いい加減目を覚ませ。いいように操られるな。」
ゼロは、ハーマイオニーに面と向かってそう言った。ハーマイオニーは、ゼロに向けて杖を向けている。
「
緑の閃光が、ゼロに襲い掛かる。しかし、ゼロは呪文詠唱と同時にハーマイオニーのすぐ後ろまで移動していた。
「異様に体が軽いな。」今起きている自分の状況に驚愕している。
『何故1年生が、死の呪文を乱射が出来るのか。もしかして、服従の呪文に掛かった時に、特別な魔力放出の操作を受けているのが妥当と考えるべきだろうな。』
そう分析しながら、死の呪文を回避しまくるゼロ。
「
一瞬だった。ゼロの身体に直撃した。
「ゼロ!」グラントが必死にゼロを呼ぶ。もうチーターの状態から戻っていた。
当たれば問答無用で死を与えるアバダ・ケダブラ。普通であればゼロは死んでいるだろう。そう、
今のゼロの身体は、異形となっている。ゼロの身体は、死の呪文をすり抜けたのだ。
「は?俺は、確かに呪文が当たった。本当なら、死ぬ筈。なのに、これは何だ?」
自分の身に起きた事に動揺しながらも、グラントと合流したゼロ。
「良かったぜ。ゼロ!」
「お前に聞きたい事は色々あるわけだが、今はこの状況を乗り切るぞ。」
「この場を離れないと、って思ったら体が動物になれたんだよ。」
「!?グラント。ハーマイオニーを無力化する作戦を思い付いたから、それをやろう。」
ゼロは、作戦を伝える。2人は、行動を再開する。グラントは、アナコンダに変身した。ゼロは、走った。走るというよりは、風の様に移動しているわけなのだが。
『体が軽くなってから、俺の周りに風が吹いている。風を操るのか、あるいは風そのものになれるのか。死の呪文が貫通しても生きてたって事は、おそらく後者か。風を操る力も試すか。』
杖を持ってない左手で、風を集め、圧縮させる。そして、発射しハーマイオニーの足元に当てた。これで、魔法を使おうとしたハーマイオニーを牽制する事に成功したのだった。
「グラント、今だ!」
アナコンダ状態のグラントがハーマイオニーを拘束した。極力ダメージを与えない程度に、それでいて何も行動出来ないレベルで縛り上げた。
「ハーマイオニー!負けるな!クィレルとヴォルデモートに負けるな!」
グラントもシャーと言いながらハーマイオニーに必死に語り掛ける。
*
頭の中に漠然とした幸福感のみが残る『最高に素晴らしい気分』となっていたハーマイオニー。ずっとこのままでいたいと感じていた。
「ああ。一生この感覚でいたいわね。幸せよ!」
何も感じなくて良いと思っている。しかし、声が聞こえ始めた。自分を呼ぶ声が。
「誰なの!?」
ハーマイオニーは、辺りを見渡す。だがいない。声がはっきりと聞こえる。元に戻れとか、そんな言葉だった。そうしている内に、記憶が蘇り始めた。
禁じられた廊下の最深部まで仲間と来た事。エリナが賢者の石を手に入れた事。その直後にクィレルが来た。クィレルは、魔法で自分を狙った。最初のはロンが庇ってくれた。次は自分が当たった。だから今、ここにいる。
戻らなきゃ。戻って、石を守らなきゃ。そう思ったハーマイオニーは、声の導きによって今いる場所からの帰還を遂げる事が出来た。
「!ここは!」
ハーマイオニーは、辺りを見渡す。ボロボロになったゼロとグラント。壮絶な戦いを物語っている損傷した最深部。聡明な彼女なら、すぐに気付いてしまった。これは、自分がやったのだと。
「良かった。元に戻れて。」ゼロが倒れる。
「ハーミーちゃん。お帰り。」グラントが仰向けになって眠った。
あまりのショックにハーマイオニー自身も気を失ってしまった。
*
ダンブルドア視点
あの戦いの一部始終を見る事になった。予想以上に奮闘してくれた。本来ならばクィレルも死ぬ予定だった筈なのじゃが、ハリーとエリナの完全な味方になった。それは喜ばしい事ではあるが、ハリーにはエリナを道具のように扱い、高みの見物をしておったと認識し、わしに対して不信感を持ってしまった。
確証は無いが、ヴォルデモートを完全に滅ぼすにはエリナは一度死なねばならんかも知れぬ。出来ればこの仮説は当たって欲しくないものじゃ。仮に当たってしまったら、ハリーは完全にわしを拒絶するだろう。そして、もしこれで破壊神にでもなってしまったらと思うと……
ヴォルデモートが復活するまでの間にハリーを、そしてアランの信頼を勝ち取らなければ。アルフレッドや、ジェームズにリリーを始めとする犠牲者を死なせてしまった贖罪をし続けなければならぬ。わしがお前の下に行く、その日まで。そうじゃろ、アリアナよ。
そして、もう一つの戦い。ミス・グレンジャーは操られていたとはいえ、友を傷つけた罪悪感に囚われてしまった。元々責任感の強い彼女の事じゃ。いつまでも引きずっていく事じゃろう。そう言う忌まわしい記憶は消しておこう。1年生であの経験は、あまりにも残酷過ぎる。それに、ミスター・フィールドやミスター・リドルは気にしてない。寧ろ、そういう行動に出たら庇う気でいるからのお。
気になるのは、ミス・グレンジャーと対峙した2人じゃ。ゼロ。彼は、自らの身体を自然物である風に変えて戦っておった。あれは、フィールド家の人間の中でも限られた者しか発現しなかった『自然物化能力』じゃ。極力傷付けない様に風の力を最小限に抑えておったが、その気になれば天候にも影響を及ぼせる。フォルテにこの事を伝え、そのコントロール能力を身に付けさせよう。
もう1人のグラント。金髪だという事を除けば、若い時のトムに良く似ておる。同じ姓を持っている。少々暴力に訴えるが、何もかもがあの者と正反対じゃ。ちゃんと対等な友を持ち、義理堅い。これからも見守ると決めたが、大丈夫じゃろう。そう思っておった矢先にこれとは。動物に変身する力が出て来た。1種類だけではなく、2種類も。もしかしたら、それ以上あるかも知れぬ。それに、あの変身の仕方。まるで体の作りを、変身する動物のものに変えている。変身というより、変化と言った方が正しいか。
なぜ彼がこの力を持っているのか。早急にヴォルデモートとの関連性を調べ、彼の素性を解き明かさねばならぬ。そして、保護しなければ。
やるべき課題が多過ぎる。思わず倒れそうになる。しかし、これからの未来の為に今は耐えなければ。新たな決意を胸に秘め、倒れている全員を医務室に運ぶ準備を始めた。
ゼロ、グラント視点での賢者の石をめぐる戦い。いかがでしたか?賢者の石編、第22話とセットで読んでみてください。