Harry Potter Ultimatemode EXシナリオ   作:純白の翼

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時系列としては、賢者の石編の20話から22話のエピソードに相当します。
20話のトロールの惨殺死体の経緯を描きます。


EX3 滅亡の影

 どこか異質な空間。そこには、右目だけを見せる様な仮面を付けた人物が佇んでいた。

 

「ホグワーツに送り込んだスパイ・ラットからの情報によれば、今ダンブルドアは魔法省に行き、1年生の生徒6人が賢者の石を守りに行く準備をしてるのか。フフフフフ。まだヴォルデモートに動かれては困る。生徒達に有利に働くようにしておくか。トロールは俺の方で皆殺しにしてしまおう。」

 

『ダアト。俺だ。ゲブラーだ。』

 

 組織独自の連絡手段から、ゲブラーと名乗る男が仮面の男に脳内に伝言を伝えに来た。

 

「何すっか?ゲブラー先輩♪」

 

 ダアトという仮面の男は、先程とは打って変わって、陽気な口調でゲブラーに応対する。

 

『リーダーから連絡が幾つかあってな。ケテルが殉職した。あの生意気なキット・パディックによってな。』

 

「ケテルさんが死んだんすっか?」

 

『新たなケテルの後釜が見つかるまで、代行をしろとの事だ。』

 

「ほ、本当に配属されるんすっか?やったー!」

 

『そこで最初のミッションになるわけだがな。今ホグワーツには賢者の石があるのは知ってるよな?』

 

「知ってるも何も…………この僕が運んできた情報ですけどね♪」

 

『まだヴォルデモートに復活されては困る。ヴォルデモートに賢者の石が行き渡らない様にしろ。後はだ。これは無理にやる必要はないんだが。』

 

「何すっか?」

 

『賢者の石、手に入れられるなら、やってくれると助かるそうだ。まあ、ラスボスがアルバス・ダンブルドアだからな。無理だ。全員で行けば何とかなるかも知れんが、無傷では済まされないだろう。』

 

「了解っす。ヴォルデモートに石が渡らない様にする。出来るのであれば、石を手に入れてこい、というわけですね。」

 

『そういう事だ。俺も任務の方があってね。ティファレトと共に、そこに向かわなければいけない。』

 

「そうですか。幸運を祈ります。」

 

『ダアトもな。』

 

 連絡が終了した。

 

「さて。俺も向かうとするかな。」

 

 ダアトは、吸い込まれるようにその空間から消えた。

 

*

 

 ゲブラーとティファレトは、ある小屋の目の前まで来ていた。

 

「しかし、リーダーにも困ったものですね。」

 

 病人の様に青白い肌、全てが常人よりも鋭利な歯を持つ男、ティファレトがゲブラーにそう話しかける。手に持っている刀の刀身を舌で舐めている。

 

「俺の能力が必要になるとはいえ、記憶を抜き取るというのはな。特に死ぬ寸前のお年寄りに対して余りに酷だ。」

 

 艶やかな黒髪をなびかせながら、茶色の目で小屋を見つめるゲブラー。彼は、厚ぼったい瞼をしていた。

 

「イングランド南西部。コーンウォール島のデボン州。エクスマスの西端とは聞きましたがね。本当にここなのでしょうか?」

 

「間違いない。マグルが滅多に立ち寄らない場所の小屋。ここに、ニコラス・フラメルは住んでいる。アロホモラ!」

 

 扉を開けた。そこには、老夫婦がいた。

 

「だ、だr…………」

 

武器よ去れ(エクスペリアームス)!」

 

麻痺せよ(ストゥーピファイ)!」

 

 小屋の主、ニコラス・フラメルは武器である杖を取り上げられ、その妻ペレネレは失神させられた。杖は、ティファレトが回収した。

 

縛れ(インカーセラス)!」

 

 ニコラスは、今度は縄で縛りつけられてしまった。

 

「何者だ!」

 

「ニコラス・フラメルだな。我々は、アンタを殺しに来たわけじゃない。」

 

 ゲブラーが返した。ただ何の感情も無く、この結果が当たり前という表情をしているのだ。

 

「あなたの記憶をいただこうと思いましてね。賢者の石を作った記憶を。」

 

 ティファレトが、大きくて奇妙な刀を振り回しながらそう言ったのだ。

 

「別にアンタの協力も同意もいらない。記憶をいったん抜き取り、それを複製するだけだからな。」

 

 ゲブラーが静かに言った。ニコラスは思った。記憶を抜き取り、それを複製するだと?そんな魔法は聞いた事が無い。だが、この2人組は只者ではない事は本能で分かった。何とかこの場を切り抜けなければ。命を取らないとあいつらは言っているが、本当かは疑わしい。

 

「わしの記憶だけをいただいたとしても……それは無理な話だ。」

 

「何故そう言い切れる?」

 

「賢者の石は……ダンブルドアと一緒に作った物だ。ダンブルドアからも抜き取らないと、石は作れん。」

 

 しかし、2人はクスクスと笑った。

 

「な、何がおかしい!?」

 

「いいや。嘘が下手糞だと思ってな。」ゲブラーは、まだ笑いをこらえられない様だ。

 

「あなたは御年665歳。アルバス・ダンブルドアは110歳。これは何を意味しますかね?ゲブラーさん。」

 

「分かり切った事を。世界にたった1つだけ存在する賢者の石が共同開発したものだというのであれば、ダンブルドアが生まれるまでの555年をどう生き抜いたか矛盾が生じてくるわけだ。人間の寿命なんて精々100年前後。魔法使いの場合は137年程だ。」

 

「つまりです。賢者の石は、あなた1人作ったという事ですよ。それは不変の真理というわけになるのです。」

 

 ニコラスは動揺した。バレた。せめて、そこまでして石を作りたい理由だけは聞いておこうと思った。

 

「お、お前達は私の記憶を複製して、賢者の石を作る。それから何をする気だ?」

 

「アンタの作った技術を使い、全ての、世界中の魔法界を滅ぼす。変化を恐れ、進化を拒んだ愚かな魔法族を皆殺しにする。」

 

「或いは、変わらざるを得ない状況にまで追い込みます。」

 

「しょ、正気か貴様ら!」

 

 だったら尚更だ。製作の記憶を見させるわけにはいかないと決心する。

 

「何を以って正気と定義するのか。それは分からんがな。だが、アンタに理解して貰おうとは思っちゃいない。我々の崇高な目的もな。」

 

「いただきますよ。あなたの記憶を。全て複製させていただきます。」

 

「や、やめろぉ……やめてくれーーー!!!」

 

「問答無用だ。」

 

 ゲブラーの目が茶色からメタリックレッドに、更にライムグリーンに変色した。

 

「久しぶりに左目の力を見られますね。」

 

「メリモルト!!」

 

 ゲブラーの左目が禍々しく光った。左手を伸ばし、ニコラスの頭からUSBメモリによく似た物体が現れた。

 

「ニコラス・フラメルの全ての記憶ですか。」

 

「調べてみようか。このメモリを使って。」

 

 ゲブラーは、メモリ専用のデバイスを取り出した。魔法界でも使えるように開発された、組織の特別製だ。メモリを差し込んでニコラスの記憶を調べてみる。

 

「中々見つかりませんね。」

 

「検索エンジンを掛けてみるか。」

 

 賢者の石をワードにし、再び検索する。すると、幾つか発見した。だが、時間が掛かりそうだ。

 

「今度は、製作。」

 

 もう1つのキーワードを入力する。1件だけ該当した。

 

「早速見て見るかな。」

 

 該当した記憶を見る。そこには、賢者の石の詳しい製作過程や、分かりやすい解説が細かく記憶されていたのだ。

 

「ビンゴですね。」

 

「これだけコピーしておこう。ついでに、我々と出会った記憶は全て削除する事としようか。」

 

「それは名案ですね。ゲブラーさん。」

 

 賢者の石の製作の記憶だけを複製した。もう1度確認すると、大本の記憶と違和感は一切無かった。その結果を満足そうにして見ながらも、自分達と出会った記憶はデリートした。

 

 残ったニコラスの記憶のメモリを、再び彼の頭の中に埋め込んだ。これで、次目覚めた時は、綺麗さっぱり何も覚えてない筈だ。

 

 ゲブラーはティファレトと目を合わせる。ティファレトが頷いた。もうここに用は無い。去ってしまおう。2人は忽然と消え去った。

 

 ニコラスが再び目を覚ました後は、それまでのやり取りを忘れていた。後でダンブルドアが訪問し、石を壊そうという決意に踏み込むのは、また別の話となる。

 

*

 

 しばらく時間が遡る。それは、ハリー達6人が禁じられた廊下に行く数時間前の話。賢者の石を守る仕掛けが満載である。その中の1つ、トロールが守護する部屋。そこに、ダアトは現れた。

 

 トロールが唸り声をあげる。そして、ダアトに襲い掛かる。棍棒で殴り殺そうとするが、ダアトはすり抜けてしまった。

 

「所詮トロールなんてそんなものだがな。力だけしか取り柄が無い。」

 

 ダアトは、少し後ろに下がった。そして、杖を振り上げる。

 

無数の槍よ(フラミーア・マキシマ)!!」

 

 ダアトの周囲に、数え切れない位の槍が出現した。それらは、トロール目掛けて発射された。流石にマズいと感じたトロールは避けようとする。が、8割はトロールに突き刺さった。

 

 トロールは、悲鳴を上げる。痛みに対しての絶叫を。1度にここまで傷付けられたのは初めてだったからだ。

 

「痛いか。すぐに楽にしてやろう。」

 

 ダアトは、杖をトロールに向ける。トロールは、それをただじっと見ているだけしか出来なかった。

 

「死ね。切り裂け(セクタムセンプラ)!」

 

 トロールはバラバラにされた。無数の槍も落ちている。

 

「さて。ヴォルデモートが有利になるまで静観するとしますか。」

 

 吸い込まれるかのようにダアトは消えた。

 

*

 

 賢者の石を巡る攻防が終わってからの時間。ダアトは、ダンブルドアが回収し損ねた賢者の石の僅かな破片を回収した。正確には、スパイ・ラットから受け取ったものであるのだが。

 

「ヴォルデモートは復活せず、逃走。奴も我々も、石そのものは手に入らなかった。俺が手に入したのは破片だけ。だが、面白いものが見れたな。ゼロ・フィールド、グラント・リドル、そしてハリー・ポッター。あの3人の力の一端が覚醒するところを同時に見られるとは。」

 

 仮面の下は見えないが、その表情は笑っている事は容易に想像がつく。

 

「フィールド家の特殊能力、あいつの最高傑作、ウイルスの新たな適合者か。どういう因果か分からんが、あの3人に新たな力が宿るなんてね。よりによってあの一族の…………今後の展開、更に面白い事になりそうだ。こうして見ると……フフフフフ。アハハハハハハハハ!!!」

 

 ダアトは高笑いした。そして、スパイ・ラットにこれからも報告宜しくと伝える。最後に、禁じられた廊下の最深部から吸い込まれるように消え去ったのだった。

 

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