誤字脱字はできるだけ直していこうと思います。
地霊殿を囲っている門を開けて地霊殿の敷地内に入った。本館の扉を開けて中に入ると広い玄関に出た。
そこには二人の人物が立っている。
背中から黒い羽根を生やして手に葉団扇を持った文と大きな緑色のバックを背負う河童のにとりが二人で私たちを待ちかまえている。
「…待ちくたびれましたよ……霊夢さん」
文が言い、私を見た。周りが静かなこともあって文の声はよく響いた。
「…霊夢。あの二人は私と早苗でやるわ…だから、もしこの場所に萃香がいるならば、探して倒してきなさい……私たちじゃ今の萃香は倒せない……。それに萃香じゃなかったとしても外から感じてる殺気は文とにとりの物ではないわ」
永琳が言いながら弓に矢をつがえた。
「…強い相手をすべて任せてしまうようで申し訳ないですが、霊夢さんお願いします……文さんたちは私たちで何とかします」
「…頼んだわよ、二人とも」
にとり達がいない方向から別の廊下に入り、そこから探すことにした。
地霊殿に入る前から感じている殺気、その方向に向けて私は走った。
その殺気はなんだかどこかで感じたことがある気がする。
「……」
しばらく走り、階段を上った。その階に殺気を出している妖怪がいる。踊り場からでて廊下の方に行くと、六メートル先にその妖怪はいた。
「…誰かと思えば……まさかあんたとはね…」
「……」
大きな桶の中に座って私が来た方とは逆方向を見ているキスメがいる。
私が言うと、キスメがゆっくりとこちらを向いた。
その表情はやはり小傘の時と同じ狂気の表情をしている。
「あはは………きゃははははははははははははははははははっ!!!!!」
喉が避けないのかと思うほどの大音量でキスメが天井を見上げながら笑い始める。
だが、すぐに笑うのをやめて桶の中を見回すように下を向いた。
キスメが入っている桶の中から、何か金属を拾うような擦れる音がした。
「死ね……霊夢……しねえええええええええええ!!」
キスメが入っている桶が浮き上がりながら私に向かって突っ込んでくる。
金属製の何かを拾ったと思っていたが、キスメの右手に握られている物は鎌だ。
キスメが鎌を振るい、私の髪の毛を掠った。
私は一度後ろに下がり、キスメから距離を取った。
「ひひひ……きひひひひひひひ……!」
キスメが笑う。愉快そうに、楽しそうに笑った。
「…全く、鈴仙の能力は厄介ね」
お祓い棒を構えた。
キスメはこの幻想郷において下から数えた方が早く、そこまで強くはない。だが、それと同時にキスメはルーミアと同じく人を殺す妖怪だ。
見た目に合わない残虐性などが有名である。人の頭を鎌で首から切断し、自分の桶に入れて持ち帰るのだ。
もう既に彼女の餌食になった人間か妖怪がいるのだろう。よく見ればキスメの顔や手には真っ赤な血がこびりついてる。
「惜しいなあ……もう少しで血の噴水が見れたのに…」
キスメがそう言って笑いながら血で怪しく光る鎌をベロリと舐めた。
霊力でお祓い棒を強化しようとしたとき、それをさせまいとキスメが鎌を振り回しながら突っ込んできた。
私は後ろに下がり、キスメが来るまでにお祓い棒の強化を済ませるための時間稼ぎをしようとした。
だが、背中が壁にぶつかった。逃げ場所もなく、お祓い棒の強化も間に合わない。
「死ねぇ!霊夢!!」
キスメが私の首を掻っ切るために鎌を横から振り切った。
「―—!」
逃げるために体を強化しようとしても、もう遅い。
私は魔力で矢を形成し、弓につがえて文に向けて放つ。
文が扇を振るとカマイタチが発生し、矢が切り刻まれてバラバラになった。
「っち……」
舌打ちが自然と漏れ、新たな矢を魔力で作り出し、文の弾幕をかわした。
相性が悪い、文は風邪を操り、私は風の影響をよく受ける武器だ。
早苗もにとりが扱う不可解な武器に翻弄されている。
「永琳さん!」
早苗が叫びながら私がにとりをよく狙えるように隙を見て体をずらした。
そのときすでに私はにとりに向けて矢を放っている。タイミングは完璧だ。0.5秒もかからずに二十メートル先のにとりの胸を撃ち抜くはずだった。
文が小型の竜巻を巻き起こし、矢を全然違う方向に誘導した。
「させませんよ」
文が私の前に立ちふさがる。
文を中心に風が渦巻いている。まず矢は当たらないだろう。
これ以上にやりにくい相手はいないだろう。文からしたらこれ以上にやりやすい相手もいないだろう。
ドォッ!
何の音かと文の後ろに視線を向けた。にとりが先に拳を握った手が付いた機械を早苗に食らわせたのだ。
「か……あがっ……!?」
体を強化した早苗が体をくの字に曲げ、柱に背中から突っ込んだ。表情が苦悶に歪む。
見た目はふざけた形をしているが威力は見ての通り、体を強化していなければ体の半分が神の早苗でも死んでいるのではないかと思うほどの威力だ。
「げほっ……ごほっ!」
早苗がうずくまり、殴られた腹を押えてせき込んだ。
「早苗!」
私が早苗に近づくにとりに矢を撃とうとしたとき、戦闘によりいつもよりも勘が鋭くなっていたらしく、何となく体をずらした。
バツン!
首のあたりに何かが当たった。何かが当たった部分に手を触れると指先に真っ赤な血がついている。
遅れてずきりと傷が痛んだ。
場所や傷の深さからあと二ミリで頸動脈を切られていた。体を二ミリ分ずらすのが遅れていれば大量出血で死んでいたところだ。
「……」
私がカマイタチで私の首を切った文を睨むと文の表情に恐怖がわずかに垣間見えた。
その反応が遅れるだろう瞬間を狙い、矢を手から離せば飛んでいくだけの状態の場所に魔力で作り出した。
ふしゅっ!
空気を切り裂くいい音がして矢が放たれた。
「無駄です!」
文が扇を振ると矢が風に薙ぎ払われてどこかに飛んでいく、私は大きく前に踏み出しながらもう一度矢を放つ。
文が扇で突風を巻き起こし、また矢をどこかへ飛ばした。
三度目の矢を放った時、それを予期していた文が速攻で矢を吹き飛ばした。
「いづっ!?」
だが、文の扇を持っている右手には手の甲から皮膚と肉と骨をまとめて貫き、手のひらから矢が突き出ている。
「な……いつの間に!?」
文は驚いているが簡単な話だ。二本作ってわずかな時間差で連続で放っただけという単純な方法だ。一本目はダミーで、風が止まった後を二本目の矢が進んだのだ。
扇を持っている右手が震え、扇を持つことが困難になった文は扇を床に落とした。
カランッ
木の乾いた音がして扇が床に落ちるのと同時に私はポーチから二本の鉄の棒を両手に持って取り出した。
「さあ、やりましょうか」
私が言うと文が左手をこちらに向けた。カマイタチをいくつも飛ばしてくる。
それを私は迂回しながらかわし、文に近づいた。
バシッと腕に衝撃を受けた。カマイタチが当たったらしい。でもカマイタチで切断されるほど鉄は柔らかくはない。
それを無視して文の方へ進んだ。
文が一度体勢を立て直そうと羽を広げて飛ぼうとしたとき、予想以上に私の到着が早かったらしく、やばいという表情を見せた。
広げた両方の羽に私は容赦なく鉄の棒で殴った。
「あああああああああああああっ!!?」
文の左の羽は折れたが右の羽はせいぜいひびが入った程度となってしまう。だが、文の機動性を奪えたのは大きい。
「……ぐう……ぁぁぁ……!!」
相当痛いのか文は苦しんでいる。
「あら、そんなに痛いなら私が治してあげるわよ?料金はきっちりと取るけどね」
私が言うと文は私を睨み、左手をこちらに向け、カマイタチを放つ。
バババッ!!
複数のカマイタチが私の服と皮膚を裂いた。
避けられたカマイタチを避けずに受けた私に文が驚き、うろたえた。
「あなたのカマイタチは鋭いけど、急所にでもあたらない限り致命傷にはなりえないわ」
私が言いながら、文の左腕を何度か軽く殴りつけた。
たったそれだけなのに、文の左腕はだらりと力なく肩からぶら下がった。
「なっ…!?」
更に右腕、両足を左腕のように各部分を何度か殴った。
それだけで文の手足は力をなくし、体を支えることができずに文は地面に倒れた。
「な……なにを……!?」
「…ああ、私は特殊なツボを刺激して魔力の伝達を狂わせて動けなくさせただけよ」
私は鉄の棒をしまいながら文に言い、早苗の方向を見た。
「ごほっ…!」
柱に叩きつけられた、口の中が血の味がし始めた。
見た目はおもちゃのように見える機械はかなり厄介そうだ。
にとりさんがこちらに向かってくる。無防備な状態をさらさないように立ち上がった。
「くらえ!」
にとりさんが私に向けてさっきの拳を伸ばしてくる機械で攻撃を仕掛けてきた。
「っ!!」
「私が体をわきに投げ出して逃げると、紙一重で拳が柱を粉砕した。
拳が柱をやすやすと貫通していることから、それを受けてよく死ななかったなと我ながら感心した。
「せい!」
私はにとりさんに向けて弾幕を連射した。
だが、にとりさんはショットガンのような形状をした銃を構えて発砲した。
「ショットガン!?」
こんなものまで持っているのかと思いながら必死に逃げた。
ドン!
弾丸は散弾のようで、とっさに伏せてなければ私にもいくつかの弾が当たっていたかもしれない。
何か物に当たるとそれにダメージを与えて消えてしまうという弾幕の性質上、今私が放った弾幕はほぼ全て消えている。
本当にやばい。その銃があれば攻撃と防御を同時にできるということだ。
ガシャッ!
ポンプアクションのショットガンの次弾が装填され、私が逃げながら再度放った弾幕に向けて発砲した。
ドパン!
すべての弾幕が消された、だがそのうちに柱に逃げ込むことができた。
永琳さんも文さんと交戦中で援護は期待できそうにない。
「こんなものを持ってるなんて……反則だよ……」
私は言いながら柱から顔を出すと、それに気が付いたにとりさんがショットガンのフォアエンドを引いて次弾を装填した。
「っ!?」
すぐに顔をひっこめたおかげで顔を撃ち抜かれずにすんだ。
ガシャッ!
にとりさんがまたフォアエンドを引き、散弾を私のいる柱にばらまいた。
「くっ」
削り取られた石などが飛び散る。だが、しばらくは散弾から身を守ることはできそうだ。だがこの場所に釘づけにされて逃げられない。
にとりさんの隙を伺おうとしたとき、柱を破壊した拳が私の脇腹を抉った。
「…あ……が……!?」
柱越しで威力はだいぶ分散したはずだが、それでも車に引かれたのではないかと思うほど私の体は宙を舞い、床を転がった。
「…ごぼっ……!」
床に血を吐き出した。
「く…う…っ!」
仰向けで倒れていたが私は震えておぼつかない手足を使って立ち上がろうとした。
「…終わりだ」
いつの間にか接近していたにとりさんがショットガンを頭に突き付けていた。
「…!」
私が顔を上げるとちょうど銃口が私の額で止まった。
にとりさんが問答無用で引き金を引いた。
かち…。
ショットガンは発砲音をまき散らすのではなく、弾切れを知らせる乾いた音を発した。
「こんな時に…!?」
にとりさんが驚き、目を見開く。
私はそのすきにお祓い棒でにとりさんを殴りつけた。
「ぐう…!」
にとりさんが怯み、後ろに下がった。
「運のいいやつだ」
にとりさんが言いながらショットガンの弾丸を取り出し、装填した。
「にとりさん、今…あなたは私を撃つときに弾が切れたのは奇跡的な偶然だと思っていますか?」
「当り前だ」
にとりさんはそう言いながら私にショットガンを向けた。
「それは偶然ではありませんよ」
「はぁ…?」
にとりさんはフォアエンドを引いて次弾を装填しようとした。しかし、排出されるはずだった薬莢が詰まって装填不良を起こした。
「……!」
にとりは装填不良を起こしたショットガンを驚いたまなざしで見た。
「……さっきの奇跡が偶然ではなく、必然だということを証明してみましょう」
私は言いながらにとりさんに向かって歩いた。
「偶然に決まってる!」
にとりさんがショットガンを捨てて拳を打ち出してくる機械を操作する。
まともに食らえば死んでしまうような威力の拳の作り物は、私に当たることなく柱にめり込んだ。
「なっ!?」
五メートル以内の距離で当たらないとは思わなかったらしいが、すぐにまき戻そうとしたが、柱が壊れた際に飛んだ石が挟まって取れなくなり、機械が沈黙した。
「…奇跡的になにかにひっかがってしまったようですね」
私は言いながらにとりさんの肩を掴んだ。
「この程度の奇跡ならば、詠唱なんてしなくても私は能力を発動するだけで奇跡を起こせます…」
ほかの機械を出される前ににとりさんの頭部をお祓い棒で殴った。
当たり所がよかったらしくにとりさんは気を失い、崩れ落ちて床に倒れた。
「…よくやったわね。早苗」
ところどころ切られた後のあるボロボロの永琳さんが私に言った。
「永琳さんもお疲れ様です」
「……ありがとう。…それじゃあ、傷を治療して霊夢のところに行きましょう」
永琳さんが言いながらまたあの薬を出した。
「また……それを飲まないといけないんですか……?」
「当り前でしょう?」
永琳さんに渡された飲み薬がいっぱいに入っている湯飲み茶碗を見下ろした。覚悟を決めて一気に飲み干した。
「おぇぇ……やっぱりまずいですよ…」
私が舌を出しながら言うと永琳さんは笑いながら私と同様に一口で飲み干した。
「……霊夢さん…大丈夫でしょうか…」
「霊夢が負けるはずがないわ」
永琳さんがそう言いながら霊夢さんが行った扉に歩いて向かった。
「…ですよね」
私もそれに続いた。
たぶん明日も投稿すると思います。その時にはよろしくお願いします。