誤字脱字はできるだけなくしていこうと頑張ります。
ガツン!
「…あ?」
キスメが私の頭がまだ体についていることに驚いている。
そりゃあそうだ。
私は後ろに下がった時、壁に背中が付いていた。
キスメは私の首を落とそうとするばかりで壁が見えておらず、結果的に私の首を切断する前に壁に鎌が突き刺さり、鎌を振り切ることができなった。
「せぇい!」
キスメの胸にお祓い棒を叩きこんだ。
「があっ!?」
キスメが桶ごと吹っ飛びながらひっくり返り、桶の中身をあたりにぶちまけた。
大量の血と十人分の頭部が床に転がった。
キスメの服が血によりさらに赤く染まった。
「くひひ………」
笑うキスメにすぐに近づいた私は掴みかかった。
胸倉をつかみ、赤く染まっている巨大な桶から引きずり出した。
キスメに背負い投げをするようにして床に叩きつけ、札をキスメの頭に付けた。
「封」
私が詠唱すると電力供給の無くなった機械のようにキスメは動かなくなった。
「…はあ…」
ため息にも似た安堵の息を吐いた。次からはこんなギリギリの戦いはしたくはないものだ。
一度立ち上がろうとしたとき、気絶したはずのキスメが上半身を起こし、私の肩に噛みついた。
「なっ……!?」
ギチッとキスメが私の肩を食いちぎろうとして私にキスメの歯が食い込む。
霊力で体を強化していなければ、鎖骨や上腕骨の一部を噛み砕かれていたところだ。
とっさにキスメの頭部を掴み、引きはがした。
強く噛みついていたのだろう。キスメの歯が合わさり、ガチンと音を立てた。
その横っ面にお祓い棒をぶち込む。だが、キスメはそれを鎌で受け止めた。
キスメがお祓い棒を振り払い、私から離れながら額についた札に触れた。札に弾かれるのを無視して掴んで剥がした。
札からバチバチと静電気のようなものが出ていたがキスメが札を捨てると札はひらひらと床に落ちた。
キスメがニタリと笑い、私に鎌で斬りかかってきた。
それを私はお祓い棒で跳ね返す。
どちらの武器も強度が高く、武器が合わさるごとに火花を散らした。
私は段々と加速していくが、キスメは反応はしているが体が付いてこれていないように見える。
「……」
キスメの腹をお祓い棒で二回全く同じ場所を殴った。
「ぐえっ…!?」
私が殴った衝撃でキスメが体勢を崩し、尻もちをついた。
すぐにキスメは立ち上がろうとしたが、足がもつれてバランスを崩して倒れた。立ち上がれるわけがない。
「私の霊力をあんたの体に流し込んだ。あんたは立ち上がれないわ」
いつもならこんなことはできないだろう。だが、今回はキスメが霊力で体を覆って強化していなかった。
なぜ戦闘時に体を強化するか、理由はいくつかある。
一つ目は外敵に攻撃された際に身を守るということ。反撃したり逃げたりなどのことがしやすくなるメリットがある。
もう一つは、正式なルート以外で体に合わない霊力を体に流し込まれないようにするためだ。
体に合わない霊力を体に流し込まれると少量ならば具合が悪くなる程度だ。
量が多くなると、キスメのように体が動かなくなったり、意識を失ったりする。それよりも多いと最悪の場合は死亡する。
量の調節が難しく、感でやってみたがうまくいったようだ。
何かわめいているキスメの頭にお祓い棒で一度殴り、気絶させた。
「…ふぅ…」
今度こそキスメを気絶させ、私は息をついた。
私の息遣いとキスメの呼吸音以外聞こえなくなるが、二人分の足音がこちらに向かってくるのが聞こえてきた。
早苗がこの現場を見ないように早々に移動することにした。
キスメを掴んで小脇に抱えた。
キスメの桶も持っていこうとしたが、あの赤く染まった桶を持っていく気にはなれない。申し訳ないが桶は置いていくことにし、今来た道を戻り始めた。
「霊夢さん!」
早苗は私が階段を降りたところを小走りで近づいてきながら言った。
「二人とも、…大丈夫?」
「ええ、何とかね……こっちは結構危なかったわ」
確かに永琳の言う通り、かなり服などはボロボロで傷も多数見える。
「霊夢さん……殺気の正体はキスメさんだったんですか?」
「ええ。鈴仙の狂気の能力にやられたみたいよ」
「…たぶんこの場所に萃香はいないと思うけど、中を確認してみましょう」
三人で数十分かけて地霊殿中を探し回ったが誰も見つかることはなかった。
「…一度全員を連れて神社に向かいましょう」
すべての階と部屋を調べ終えて私は二人に言った。
「…そうですね。今回はくたびれました」
早苗がうなづき、今来た道を永琳と並んで戻り始めた。
二人の傷は完全には治っておらず、かなり手ひどくやられたようだ。
早苗も元気そうに見せてはいるが、見かけ以上にボロボロで痣などが痛々しい。
にとり達がいた場所に戻ると、二人とも倒れて気絶している。
二人がにとりと文を持ち上げ、地霊殿から外に出た。
来た道を戻り、しばらく歩くと鬼たちが倒れている場所についた。
帰りだからと言っても気は抜けない。そこを襲われる可能性だってあるのだ。用心深く洞窟に入り、警戒しながら地上に向けて歩いた。
途中に倒れているチルノたちをつれていこうとした、だが既にいなくなっている。気絶してから軽く二時間以上たっている。意識が戻っていても不思議ではない。
「…チルノ達…いないですね」
早苗が札で明るくした部分を見回しながら言った。
「これだけ時間もたってるし、起きたんでしょう」
それからもしばらく進むと少しずつ洞窟の終わりが見えてきた。光でわずかに洞窟内が照らされるところまできた。
太陽の光が強くなってきて、数時間ぶりに外に出た。数時間ぶりに見る空や景色はいつもよりも明るく映った。
「…眩しいですね」
早苗が今まで暗いところにいたせいで眩しいのだろう。目を細めながら言った。
私はそれを聞きながら周りを見回した。誰かがいる気配は今のところしない、大丈夫だろう。
目が光になれ始めたころに上を見上げて太陽の場所を見た。
だいたい真上に太陽があり、現在の時間は正午だということが分かった。
「…一度、三人を神社に連れて行ったあと、霖之助さんのところに行ってみましょう」
「霖之助さんのところですか?でも、あの方は戦わないんじゃないですか?」
確かにそうだ。霖之助さんは争い事が苦手ということで、戦うことはないだろう。
「そうね、霖之助さんは戦わないわ。でも、知恵を貸してくれるかもしれない。私たちが知らないことも知っていることが多いからね」
私もそれで何度か霖之助さんから話を聞いたことがある。
「…そうですね。…それとほかの方はこの異変の解決を手伝ってくれる人はいなんでしょうか?」
早苗が言うのもわかる。幻想郷にはもっと戦える人物がたくさんいる。
「いないでしょうね。自分たちがまきこまれない限り、干渉してくることはないと思うわ」
私が言いながら移動を開始した。
「皆、仲と良かったと思ってましたが、そんなことはなかったんでしょうか?」
私の後ろを飛びながら早苗が呟いた。いろいろなことで会って話したり、宴会などで一緒に騒いだのだ。助けてくれてもいいじゃないかと思う早苗の気持ちはわからなくはない。
「…まあ、私も鈴仙たちが巻き込まれてなければ、干渉しないつもりだったからその辺は何も言えないわね…」
永琳が呟いた。
「でも、こうして手伝ってくれてるじゃないですか。それに比べてほかの人は白状過ぎないですか?」
「…それは違うわよ」
私が言いながら早苗の方を肩越しに見た。
「何でですか?実際にほかの方は私たちの手助けをしてくれないじゃないですか」
「……私は自分が困ったときのために周りの人と付き合いを始めたわけじゃないわ。それに、早苗の言い方だと、ほかの連中が安全圏にいる前提の話でしょう?もし、何らかの理由で従うしかなかったとしたら?」
「……従うしかないって…いったいどんな状況なんですか?」
早苗が考え込みながら言った。
「……人質を取られてるとかかしら?」
永琳が言った。
「…さあね。…でも、そういうのも視野に入れた方がいいのかもね……向かってきたら潰すのには変わりないけど」
私が言いながら博麗神社と同じくらいの高さまで高度を少し上げた。
「…霊夢」
永琳が文を担ぎなおしてから私に話しかけてきた。
「…何?」
「…萃香はあなたを殺すと言っていたのよね?」
「ええ」
私は永琳に聞かれ、朝の萃香との会話を思い出しながらうなづいた。
「萃香はあなたを殺して何がしたいのかしら?」
「私が知ると思う?」
萃香の私を殺した後の目的など皆目見当も使いない。私を殺して博麗大結界をどうにかするのかとも思ったが博麗大結界は関係ないと言っていた。結果的に関係があるだけだと。
「…そうよね。でも、萃香がこの異変を計画したのは十年や二十年前じゃないわ。もっと前…最低でも二百年以上前よ」
「……二百年以上というと……初代博麗の巫女がいたころね」
私が言うと永琳がうーん唸った。
「初代博麗の巫女と何かあったのかもしれないわね……今はそれは置いといて…なんで萃香が二百年以上も前からこの異変の計画をしていたってわかったの?」
「勇儀と比べると萃香の魔力量が多かったって言ってたじゃない?」
「言ったわ」
「どんなに頑張っても、どんな方法を使っても十年や二十年で先天性の魔力の持ち主がそこまで魔力の量を増やせるわけがないわ」
「私の知らない方法で効率よく魔力の底上げできる方法があると思っていたのだけど、そうじゃなかったのかしら」
「ええ。どんな方法を使っても無理よ」
「……一応個体差みたいなのはあるんじゃないですか?」
早苗が言うが永琳が否定した。
「なくはいけど、食物連鎖の頂点にいるような鬼がそれ以上強くなることはないと思うわ。弱い妖怪なんかが強くなるために進化するみたいなことはあるかもしれないけどね」
「……なるほど……」
早苗がうなづいた。
「…そもそも、二百年でそこまで増やすのだってすごいことよ」
「そうね……」
私もうなづき、あれこれと考えてみるが答えは出ない。
そこから数十分の移動をしてようやく博麗神社が見えてきた。
「戻ったら少し休ませてくれない?今回の戦いは少し疲れたわ」
永琳が私に続いて博麗神社に降りて言った。
「…わかったわ。そのうちにリグルから話が聞けるなら聞いてみるわ」
茶の間に入ると私たちが出て行ったときのままだ。
「…」
「霊夢!お帰り!」
「…小傘?」
茶の間に入ると台所の方から小傘が歩いてきた。
「どうしてここに?」
「んーとね。森の中にいるよりもこの場所にいる方が安全かなと思って」
「そう。でもどうしたの?早苗を呼んで来てからだいぶ時間たってるけど」
「私は一回自分の家に帰ったんだけど、不安でこっちに来たの」
「……まあ、たぶん安全だと思うわ」
私はそう言いながらキスメを連れて風呂場に向かった。
「どうしたの?」
小傘が私に言い、こちらに来た。
「…キスメは血だらけだから、洗ってからじゃないと寝させられないでしょう?布団が汚れちゃうわ」
「私がやっておくよ」
「……そう?じゃあ、頼むわ」
抱えていたキスメを小傘に託して脱衣所に案内した。
小傘がお風呂場の脱衣場に入り、扉を閉めるのを確認してから茶の間に戻った。
リグルはまだ眠ったままだ。
「霊夢さんは休まないんですか?」
座り込んだ早苗が机に突っ伏す体勢のまま私に言ってきた。
「…そうね、そのうち休むわ」
私は言いながらリグルの横に座り、肩を掴んで軽く揺すってみた。
「うーん……」
リグルが眉間にしわを寄せてうなった。
「リグル。起きて」
更にリグルを揺するとゆっくりと目を開けた。
「…あれ?霊夢さん?」
寝ぼけているリグルは大きくあくびをしながら起き上がった。
「おはよう」
私が言うとリグルがおはようございますと頭を下げた。
「…リグル。寝起きで悪いんでけど、昨日のこと何か覚えてる?」
リグルに聞くとうーんと唸った。
「昨日は、ミスティアの店に行ったのは覚えてるんですけど……ああ、そのあといきなり誰かに殴られて、いつの間にか暗いところに連れてこられてました」
「…その場所はわかる?」
「はい。わかりますよ…虫を使ってどこにいるか探ったので……そしたら、天狗の屋敷にある地下の牢屋のようなところにいました」
「天狗?…わかったわ」
確かに天狗の屋敷は広い。大人数で隠れるにはもってこいの場所だ。
「ありがとう。リグル……もう一つ聞いていいかしら?」
「?」
「なんで太陽の畑にいたの?」
「…萃香さんに幽香さんと戦って来いって言われたんですが、かなうわけもないので断ったら、鈴仙さんが来て……鈴仙さんの目を見てから記憶がないんですよ」
リグルは思い出しながら言った。
「そう……ありがとう。……次のいく場所が決まったわよ」
休んでいる永琳と早苗に言った。
「ちょっと…待ってくださいよ……まだ休んだばっかりなんですよ?」
早苗の表情はなんだか疲れ切っている。
「…そうね…じゃあ、もう少し休みましょう」
私は札を文たち三人を一人ずつを囲うようにして貼り付けた。
「封………これでよし」
私は三つの結界が張られたのを確認して一度寝室に戻った。
私は棚から使った分の札を取り出し、座って水分などをとって私は霊力を少し補給した。
「…霊夢…霖之助のところにはいくの?」
少ししてからこちらに歩いてきた永琳が私に言った。
「…天狗の屋敷に行ってからにするわ」
「…わかった。霊夢…もし萃香がそこにいるなら激戦になるわ……あなたも休んで」
「ええ。わかってるわ」
私は言いながらコップに入っている水を煽った。
「……」
目を閉じて私は自分の中に意識を集中する。体の各器官に異常はないか軽く調べた。
それだけの作業だけで約三十分が経過している。
私は大きく息を吸い込んで深呼吸し、気を引き締め直す。
立ち上がり、ふすまを開けて茶の間に向かった。
たぶん明日も投稿すると思います。よろしくお願いします。
低クオリティでも許してください。