誤字脱字はできるだけ直していこうと思います。
今回の話はみんなが頑張ります。
「行くわよ」
私が寝室から茶の間に戻りながら言うと、早苗がわかりましたと返事をしながら立ち上がった。
「……十分休みましたし、行きましょう!」
「早苗が先ほどとは打って変わって元気いっぱいに言った。
「…ちょっと量が多かったかしら?」
永琳が何か注射器のようなものをしまったのは見なかったことにする。
ちょうどキスメの体を洗い終え、小傘が脱衣所から出てきた。
あらかじめ敷いておいた布団に、小傘は私が渡しておいた寝間着を着せたキスメを寝かせた。
「…行くの?」
「…ええ、……小傘」
「?…何?」
私が呼ぶと小傘はこちらを見た。
「いや、何でもないわ」
私は言いながら縁側に移動して、ゆっくりと飛んだ。
「「?」」
永琳と早苗が私を追いながら、不思議そうに首を傾げた。
しばらく飛ぶと山の斜面を切り開いて作られた天狗の屋敷が見えてきた。中規模の村ぐらいの大きさはるだろう。
「…見えてきたわね」
天狗は昔は数が多く、このぐらいの大きさでも足りなかったらしい。でも、天狗が産む子供のほとんどが女の子で、少しずつ数を減らして現在では三十人程度しかいないと聞く。
それでも、三十人もいるのならば気配というものがないのはおかしい。隠れているのだろうか。
大きな正門から中に入ることにした。
横開きの扉を開き、中に入った。
「うっ……」
早苗がうめいて鼻を覆った。
この場所にも強烈な血のにおいが充満している。
私は臭いが強くなる方向、正面に進んだ。
「二人は別のルートに進んで、敵がいるかもしれないから用心して、弾幕かなんかで騒いでくれればすぐに行くわ」
私はそう二人に告げて進んだ。
前進すればするほど血の匂いが濃くなり、むせ返るほどの血の匂い。
「……」
角を曲がったあたりから、ちらほらと乾いた血の跡が廊下の端などに見られた。
更に何度か曲がった先に、茶色に乾いた血だまりの跡が多数みられた。
死体は運んでしまったらしく、一つも見当たらない。
乾いた血だまりを避けて歩き、さらに奥に進み、二階と地下に続く階段を見つけた。
二階と地下に行けるらしい、どちらからも血の匂いがする。少しの間悩んでいたが、私は地下に降りることにした。
燃えた形跡が新しい壁に立てかけられている松明を取り、横の台に置かれているマッチ箱から一本のマッチを取り出し、箱の側面についているやすりで火をつけ、その炎を松明に付けた。
松明はゆっくりと燃えていくが、すぐに炎は大きくなってオレンジ色の炎で当たりを照らした。
四メートルほどまでしか松明の光は届かず、その先は墨汁をばらまいたように真っ暗だ。
階段から石でできており、適当に削ったような感じがして歩きづらい。
暗い階段を下り切るとさらに暗い少し広めの廊下に出た。
周りを見ても松明で照らす範囲外は、まるでルーミアの能力で暗くなっているのではないかと思う程に暗い。
相手から見れば暗闇で松明を持った相手など、いい的だろう。
じっとりとお祓い棒を握る手と松明を握る手に汗がにじんだ。
「……」
とりあえず周りに警戒して私は近くの壁にゆっくりと近づいた。
何に使われていて何があるか知るためだ。
「……これは…牢屋?」
木の状態やかぶっている埃の量からして、作られたのはこのごろではなさそうだ。
おそらく、初代から先代の博麗の巫女がいた時代に使われていたものだろう。
何か大きな問題を起こさせば天狗全体の問題となってしまうため、起こした問題が小さなことでもこの中に入れて罰したのだろうか。
だから、天狗は規則を守って今まで生きてくることができたのだろう。
牢屋を調べると、一部使った痕があるのに気が付いた。
真新しい血痕が飛び散り、牢屋内を埋め尽くしている。
床が岩のタイルかと思っていたが、一つの大きな岩だと分かった。この辺一帯の地中は巨大な岩石があるらしく、それの中を削り出して作られているのだ。
これならば天狗の怪力でも逃げるのは難しいだろう。
かたい岩石を削るのは至難の業だ。だから階段でも凹凸が多く、歩きづらいと感じたのだ。それに牢屋内なども岩でデコボコしている。
次の牢屋に進んだ。側面の岩の表面が一部崩れていて、床に様々な形をした石が転がっている。それと他のと比べて小さめの血だまりがある。
次の牢屋は何かをされた形跡はない。だが、誰かが入っていた形跡はある。
牢屋の外の壁に松明がたてかけており、それに持っている松明で火をつけた。
たてかけてあった火のついた松明を手に取った。光源が二つに増えるがやはりあまり変わらない。
私は持っていた片方の松明を進行方向に投げた。
二十メートルほど松明が回転しながら飛んでいく。松明の炎が空中にオレンジ色の線を引いた。
ガンッ!
壁にぶつかり、火の粉が大きく散った。
周りを松明が照らしてくれたことにより、約二十メートルの距離の間には五つの牢屋が左右にある。すべてを調べている暇はない。私は踵を返して今来た道を帰った。
霊夢がいなくなったことにより、牢屋の中や廊下が照らされなくなった。
霊夢がもう少し進んでいればもしかしたら気が付いたかもしれない。牢屋の中に入っていて霊夢が来たところを、奇襲をかけようとしていた人物に、
その人物が目を開けるとうすらと赤い色が闇の中に浮きあがった。
「…」
天狗の社会は縦社会で長がいるはずだが、その長はどうしたのだろうか。
今回の天狗の長は鬼のことが大嫌いで、そんな人が萃香に手を貸すとは思えない。
岩の階段を駆け上がり、水の入っている桶に松明を入れた。
ジュウッ!
松明の炎の熱で水が少し蒸発し、蒸気が上がった。
木の階段を上り、今度は二階に行った。
時々、天狗が殺されたような血の跡がある。
長がいる部屋は屋敷の一番奥の部屋にいる、そう文から聞いたことがある。
私はそっちに向かうが、奥の部屋に行くごとに死体があっただろう、血の跡が多くなっていく。
「…」
何か気配を感じ、耳を澄ましてみると話し声のようなものが聞こえる。遠すぎて何を話しているかまではわからない。
お祓い棒に霊力を込め、体を強化した。壁の近くにより、曲がり角を曲がる手前で止まった。
相手も感づいたらしく、動きを止めた。どんな攻撃が飛んでくるかわからないが、離れた場所にいて相手が遠距離系の武器を持っていることが予測できる。
近距離ではこちらの方が有利だ、近距離に近づくまでが勝負だ。
「……」
…遠距離の武器?
「……もしかして、永琳と早苗?」
「…霊夢さんですか?」
早苗のおそるおそるといった感じで聞いてきた。
「…なんだ、紛らわしいわよ、二人とも」
私は言いながら曲がり角を曲がると永琳が向けていた弓を下していたところだ。
「こっちのセリフよ…霊夢、危うく撃ち抜くところだった」
永琳が言いながら霊力で作り出した矢を消した。
「次からは気を付けるわ……二人ともいるってことは」
「ええ、あの鬼嫌いの天狗の長が萃香たちに手を貸すとは思えなくてね」
まったく同じ考えに至ったらしい永琳が言った。
「……どうだったの?…いなかった?」
「…やっぱりいなかったんですが、たぶん死んでます」
早苗が少し顔を青くしている。
「……そう。…ここまで来るのに結構な数の天狗が死んだ形跡があったわ……かなりの数やられたみたいね」
「……なるほどね。……この屋敷に天狗どころか萃香達すらもいないということは……」
「…ばれたかもね……」
私が言いながらため息をついた。
「……私たちが来るの…なんでばれちゃったんでしょう」
早苗が言いながら考え込んだ。
「……可能性としては椛じゃない?」
私が言うと永琳と早苗がそれだという表情をした。
「…そういえばあの子は千里先まで見る能力を持ってたわね」
「…………無駄足だったけど、せっかくこの場所まで来たわけだし…霖之助さんのところに行ってから、神社に戻りましょ………」
「…霊夢?」
「…霊夢さん?」
私が変なところで言葉を切ったため、二人がこちらを見た。
ビギッ…!
早苗の真上にある天井が歪み、爆発した。
「早苗!!」
私はとっさに早苗を押した。
ドオッ!
粉々に砕け散った天井から何者かが落下してきた。そして、早苗を押した私の腕に炎のような剣を突き立てた。剣はやすやすと私の腕を貫通して床に刺さった。
「―—―っ!!」
すぐに炎の剣が引き抜かれた。
「ぐ……フラン……!」
天井を破壊したフランが天井から私の前に降りた。フランが手に持ったレーヴァテインを見て言った。
永琳が早苗を連れて少し下がった。
「…惜しい…もう少し遅かったら串刺しにできてたのに…」
そう言ってフランはレーヴァテインを私に構えながら笑う。
「…やってくれたわね……フラン」
私は右腕をかばいながら言い、握りしめようとしたお祓い棒を落としてしまった。手がしびれて持っていられなかった。
「…あはは……あははははははははっ!」
フランが笑いながら私に当たらない程度にレーヴァテインを突きつけた。
揺らめくレーヴァテインの炎が私をじりじりと焼いた。
「じゃあ、遊びましょう?」
私に向けてフランがレーヴァテインを振った。
「…!」
私は札を取り出し、左手でレーヴァテインの軌道上に滑り込ませていった。
「反」
バチン!
周りに火花のようなものが飛び散り、フランのレーヴァテインを弾き飛ばしてくれた。
「ぐっ!」
本来ならば地面などに設置して使うものであって、こういう使用方法でないためどうなるかわからなかったが、作用反作用の法則のようなものにより私にもフランのレーヴァテインの威力の衝撃を食らった。斬撃よりはましか。
片腕が使えないだけでかなりバランスがとりづらく、あやうく倒れそうになった。
フランが私に向けて跳躍した。
私は体の強化を即座に済ませた。
「あははははははははっ!」
フランが笑いながら私にレーヴァテインを振り下ろした。
それにあたる寸前、私はフランがいる方向に進んだ。私に当たるはずだったレーヴァテインは地面に突き刺さり、木製の床を焦がした。
私は飛んでいるフランの足を掴み、床に向けて振り下ろした。
「せぇい!」
ゴシャッ!
床にたたきつけると、木の板が私の霊力で強化した攻撃力に耐えられなかったらしく、フランを中心に木が割れて床が抜けた。
数メートル下の一階にフランとともに落ちた。
落ちる最中にフランが体を起こして足を掴んでいる私に手を伸ばし、頭を掴んだ。
「!?」
フランが私の頭を強く握った。
「ああああああっ!?」
頭蓋が歪み、すさまじいほどの激痛が神経を通じて脳に送り込まれた。
私はフランの手を左手で掴んで引き離そうとしたとき、一階の床に到達し、ろくな受け身を取らなかった私とフランは床に打ち付けられた。
「ぐっ…!」
私はすぐにフランの手をどかそうとしたがフランが一歩早く、私の体は宙に浮いていた。フランが空中に飛び、私を持ち上げたのだ。
「なっ…!」
フランが天井に床のように降り立つと同時に、私にやられたように私を天井に振り下ろした。
「…がはっ……!?」
天井が今のフランの攻撃で更に破壊された。フランが私を手放したらしく、私は重力に従って破壊された木片と一緒に床に落ちた。
床に倒れた私はすぐに起き上がろうとした。だが、体が予想以上に動かない。
体を強化してもこれだけのダメージだ。これ以上の傷を負うことは避けた方がいいだろう。
左手を使って体を持ち上げて起き上がろうとしたとき、私の上から何かをけるような小さな音が響いた。
全身の筋肉を使い、とっさに体を半回転させて体の位置を三十センチほどずらした。
ドン!
フランのレーヴァテインが私の腹があった位置の床に根元まで深々と突き刺さり、ぎりぎりだったということに冷や汗が滲む。
フランは多少驚いた顔をしたが、顔に狂気の笑顔を張り付けた。
体勢の問題で間近にあるすぐには動けないフランの顔を、私は左手で横から殴った。
私の拳がフランの頬にめり込み、廊下のすぐ横の壁に背中を打ち付け、倒れる。
今のうちに私はすぐさま立ち上がり、フランから距離を置いた。
「やっぱりこういう遊びは楽しい…」
フランが笑った。
「……あんたは鈴仙にやられたのか…平常時なのかわからないわね」
フランは情緒不安定で時々こういう風になることがあるという。
「さあ?…どっちでしょう?」
会話で時間を稼ごうとしたとき、フランが立ち上がって私に向けてレーヴァテインを投擲した。
車輪のように回転して飛んでくる剣状のレーヴァテインを私は何とか避けることができた。
体を投げ出すようにしてかわしたため、少々バランスを崩して壁で背中を打った。
「くらぇ!霊夢!」
素早い動きで私にとびかかってきたフランが新たに作り出したレーヴァテインを振り下ろした。
「爆!」
とっさに詠唱すると、今壁に貼ったばかりの札が爆発する。その爆風を利用してフランに飛びついた。
「ぐっ!?」
空振りに終わったレーヴァテインを持っている右手を私は左手で殴打し、右手の骨を折った。
「ぐうぁ…!」
反撃させる暇を与えず、着地した私は下から突き上げるようにフランを殴った。俗にいうアッパーだ。
体を強化した一撃にフランの体は浮き上がる。
顎を殴られたことにより、顔が上を向いていてこちらを視認できていない。
なれない左手で殴ったせいで、体が右寄りに傾いている。左足を軸にして体を時計回りに回転させ、左足のかかとをがら空きとなったフランの腹にぶち込んだ。
「あがぁっ!!?」
木の壁を破壊して壁の向こう側の部屋にフランは転がり込んだ。
「霊夢さん!お祓い棒を!」
早苗が上の階から私にお祓い棒を投げた。
「ありがとう早苗!」
私はお祓い棒を受け取るために手を挙げた。
「…きゅっとして……」
その言葉は、私を凍り付かせるのに十分だった。
「――っ!!!」
私に手のひらを向けている。
逃げよとしても体が動かず、今からではもう遅いと思った。
「どっかーん!」
フランが満面の笑みを浮かべて手のひらを握った。
「霊夢さん!!」
早苗の絶叫があたりに響き渡った。
低クオリティでも許してください。
明日も投稿します。
見てやってください。