次からはそんなことがないように気を付けます。
今回は霊夢さんが頑張ります。
フランが私に向けて握る手の速度がゆっくりに感じた。
「どっかーん!」
フランの能力はありとあらゆるものを破壊する程度の能力。
少し前に見たフランの能力は、本当に様々なものが爆発し、粉々になっていた。
私もそうなるのだろうか?
カラン…
お祓い棒が床に落ちて甲高い音を出した。
「……っ!」
しかし、いつまでたっても私は爆発しなかった。外したのだろうか。そう思ったころ。
バギャッ!!
私の中から何かが破裂したかのような音が響き渡る。
「え…?」
私の外傷に変化はない。つまり、体内。
「……ごぼっ…!!」
胃から上がってきた大量の血が口から洩れた。私の口から流れた真っ赤な血が床に落ちて小さな血だまりを作った。
「ああああああああああああああっ…!!?」
気絶しそうなほどの激痛に絶叫し、私は膝から崩れ落ちて倒れそうになる。
「私はこの頃気が付いたんだぁ。少しずつ能力の加減ができることにさぁ」
近づいてきたフランが倒れそうになった私の髪の毛を乱暴に掴んだ。
「霊夢さん!」
早苗が上から降りてお祓い棒でフランに攻撃しようとした。
だが、フランがレーヴァテインを振り回したことにより、早苗はなぎ倒された。
「ぐあっ!?」
辛うじてお祓い棒で受け止められたらしいが、踏ん張りがきかずに遠くに飛んでいき、ふすまを破って見えなくなった。
「くくっ……胃を壊してみたけどどう?」
フランがこっちを見ながら私の髪をもち上げた。
「ごほっ…」
私は血と一緒に胃の一部と思われる肉片を吐き出した。
「何も言えない?私は声帯を壊して覚えはないよ?」
フランが私の喉を掴み、私を壁に押し付ける。
「うぐっ…」
「ふふっ」
フランは私を壁にさらに強く押し込み、私の体は歪む木の壁に押し込まれ始めた。
「うぅ……!……あああっ!」
私は十数枚の札をまとめてフランに投げつけた。
「ば………ごぼっ……!」
爆と唱えようとしたとき、フランが手のひらをこちらに向かって握っている。
声帯を壊されたらしい、私は血を吐き出した。
私を掴んでいるフランの手が血で汚れた。
「じゃあ、…連れて行かないといけないし、失神する程度に血を抜いてあげるわ」
私をフランが噛みつこうと口を首筋に持ってきて開いた。
「……っ!」
私は霊力を使って体を強化し、首を絞めているフランの腕を自分から放させた。
「おっと」
フランが私から離れ、レーヴァテインを作り出した。
「……!…ごほっ…」
フランと対峙したとき、私はまた吐血した。
血を流しすぎたらしく、力が入らない。
「……!」
足から力が抜け、左ひざを地面に打ち付けてしまった。
「……げほっ…」
口をぬぐい、私は何とか立ち上がった。
「霊夢さん!」
早苗がフランにお祓い棒で殴りかかる。フランは持ったレーヴァテインを何度か振り、早苗のお祓い棒と打ち合った。
火の粉が散り、少し離れた場所にいる私にも熱がわずかに伝わってくる。
「永琳さん!」
早苗が叫ぶとどこからか永琳が放った矢が突き刺さった、と思っていた。
飛んできた矢にフランが勘づき、それをキャッチした。
「なっ!?」
矢をキャッチしたフランはその矢を上から早苗の肩に突き刺した。
「がっ……!?」
早苗が肩をかばいながらフランから距離を取った。
「くっ…」
早苗が弾幕を放ち、フランを寄せ付けないようにした。
「ほらほらほらほら…どうしたのー?」
フランが素早い動きで上下左右に動き、早苗を翻弄し挑発する。
「くっ…!」
早苗がレーザーなどを撃つが、フランにはかすりもしない。
「……っ」
私は鉛のように重たい体に鞭を打って立ち上がり、フランに向かった。
早苗の弾幕をかわすのが飽きていたらしいフランがつまらなさそうにしていたが、私が立ち上がり自分の方に向かってきていることに気が付き、こちらを見て笑った。
「あははっ!…遊ぶならやっぱり霊夢とがいいわね!」
フランが早苗の方を見ていないのに弾幕をかわし続ける。
「……!」
「さあ、始めましょう!」
フランが大きく踏み込み、天狗のような素早さで走ってくる。何もしなければ、一秒以内にフランのレーヴァテインで体を貫かれるだろう。しゃがんでお祓い棒を取っている時間はない。
私は足を上げ、下に落ちているお祓い棒の端を踏んだ。
ガン!
お祓い棒が回転しながら浮き上がり、私の顔のあたりで上昇をやめた。
私を素手だとなめてかかっていたフランの顔は驚きを示している。
私のすぐ近くに迫っていたレーヴァテインをお祓い棒で叩き消した。
「なっ!?」
フランの目が見開かれた。
「……っ」
私はフランを一瞬の間に数度、頭や胸を殴った。
「かあっ!?」
フランが殴られた影響で吹っ飛ぶ、だが、後ろに吹っ飛ぶときにフランは私の腕を掴んだ。爪が食い込み、骨がきしむような力で掴まれる。
「……!」
今度は私が目を見開き、フランがそれをみて笑った。
すさまじい力で引っ張られ、フランと宙を舞った。
すぐに地面に向かって落下し始めるが、だいぶ上に飛んだらしく、目の前にある天井にフランを掴んで力いっぱい押し付けた。
「がはっ!?」
錨を下された船のように私とフランは急停止し、フランが天井の木を破壊しながらめり込んだ。
だが、フランが飛行能力を使い、私を掴んだ状態で数メートル下の床に全力で突っ込んだ。
「…………!!?」
フランの時には比べ物にならないほどの木が折れ、木片がまき散らされた。
私が赤い血を吐血し、それを見てフランが嬉しそうにしながら私を掴んだまま立ち上がった。
「……」
辛うじて持ったままのお祓い棒で殴ろうとしたとき、反撃を受ける前にフランがボールを投げるようにして振りかぶり、私を投げた。
壁がすごいスピードで流れていく、横の壁に軽くぶつかってしまった私は変にバランスを崩して飛ばされてしまい、もみくっちゃになってどっちが右でどっちが左かとっちが上で下かわからなくなった。
ドゴオッ!
木の壁を簡単に破壊して畳の床を転がり、ふすまを突き破ってようやく止まった。
「……」
床が見える。あおむけで倒れているらしい。
段々と視界がぼやけていく。
血を流しすぎたのか、すごく眠い……どうしようも…無いぐらい…眠い。
立ち上がらない私を誰かが持ち上げた。この状況では金髪で幼い姿をした吸血鬼の少女しかいないだろう。
背中から生えている飛ぶことに適さない、ダイヤのようなものがいくつもくっついている形をした羽。それを揺らしてフランが飛行しようとした。
だが、私が突き破ったふすまから現れた早苗がフランに殴りかかる。だが、それをわかっていたフランが早苗をレーヴァテインで切り付けた。
「……」
フランに抱えられた私は意識が朦朧として見つけることしかできない。
フランが邪魔者がいなくなった時点で上を見上げ、手のひらを向けて握りこむと天井が爆発するようにして破壊された。
それを何度か繰り返すと空が見えた。
「…じゃあ、行こうか」
フランが私を運ぶために空を飛んだ。
早苗が私を呼ぶ声がした気がした。
「……」
空けた穴から外に出たフランが天狗の屋敷から離れようとしたとき、フランはいきなり大きくバランスを崩した。視界の端に刺さった矢が見え、狙撃されたのだと分かった。
バランスを崩してその高度を一時的に保てなくなったらしく、フランが急降下した。だが、永琳の矢はそれを見越したかのように第二射がやってくる。
フランはレーヴァテインを使って迎撃するが少し狙いが外れたらしく、レーヴァテインは矢に当たらなかった。
矢はそのまま進み、私の右肩を貫いた。
「……!」
フランはレーヴァテインを振った。それにより体勢が変わり、本来は当たるはずのなかった場所にいた私の位置がずれ、私に刺さったのだ。
だが、そのおかげで曇りがかかっていたような意識が覚めた。
すぐさま私を抱えるフランの手を振りほどいた。
「なっ!?」
即座に胸倉をつかみ、地面に向けて投げ飛ばした。
ドオッ!
砂煙をあげてフランが地面に落ちた。
「……」
数メートル下のフランが立ち上がり、私を見上げて睨みつけた。
私は地面に降りた。
今が夜でなくてよかった。
吸血鬼は太陽の光を浴びると死んでしまうといわれているがそんなことはなく、ただ単に弱体化するだけだ。
不意打ちからの戦いで不利になったということもあるが、これが夜ならばとっくに負けていただろう。
「…クスクス……やっぱり強いね」
フランが言いながら笑い、持っているレーヴァテインを弄ぶ。
「……」
「…ああ、そういえば私が声帯を壊したんだっけ」
フランがニヤリと笑いながら言った。
フランが無言でレーヴァテインを構える。私もお祓い棒を構えた。
フランが飛び掛かってくる。
私は構えたまま待った。フランはレーヴァテインを大きく振りかぶり、上から私に振り下ろした。だが、フランの腕を矢が貫く。
「!?」
フランはレーヴァテインを振っていたため、中断することはできない。矢の影響でフランの太刀筋が乱れ、私はやすやすとかわすことができた。
お祓い棒を再度、魔力で強化してフランの首筋や頭、胸、わき腹を殴打した。
「…か……はっ…!?」
フランが地面に倒れ伏せ意識を失っていくのに連動してレーヴァテインの炎が弱くなっていき、完全に消えた。
「……」
フランの目が閉じられ、眠っているような呼吸から気絶したのがわかる。
「霊夢!大丈夫!?」
私は走ってくる永琳を見た。
「霊夢!?」
私は吐血した。永琳の姿が斜めになっていく。
なぜ永琳が倒れていく?そう思った私は自分が倒れているんだと気づくのに、永琳が私の元まできて抱きかかえられてようやくわかった。
「霊夢さん!」
心配そうな顔をしたさ早苗が私に近づいてきた。
「霊夢がどこをやられたかわかる!?」
永琳がポーチの中をゴソゴソと薬品を探しながら早苗に言った。
「確か、胃と声帯をやったとフランさんが言ってました!」
「わかった」
永琳が瓶に入っている様々な薬を取り出し、その中の一つを開けた。
「霊夢!寝ちゃだめ!…これを飲んで!」
永琳に瓶の口を無理やり口の中にねじ込まれて、中身を流し込まれた。
「……」
何の反応も示さない私を見て早苗がさらに焦りを見せる。
「霊夢!これも飲んで!」
永琳が次の薬を私の口にねじ込み、食堂に流した。
胃の中で薬がもう作用し始めたらしく、ズキズキと痛みだす。
「霊夢さん!寝ちゃダメです!」
早苗が泣きそうな顔で怒鳴ってくるが、どこか他人事のようで頭が働かない。
とても寒くて、とても眠い。
四分の一ほど閉じていた瞼がさらに重くなってきた。眠気はまるで水に入り、どんどんと深いところに潜っていくような落ちる感覚、落ちるごとに知覚できる部分が少なくなっていく。
その感覚が心地よく、意識が薄れ始める。
「霊夢!!」
永琳が怒鳴り、私に平手打ちが飛んでくる。
パン!と頬をはたかれた。
「……!」
先ほどよりも意識が少しはっきりとした。
「霊夢。これを飲んで」
永琳が私の口に流し込んだ不味くて痺れるような薬を私は嚥下した。
自分で飲み込んだことにより、少し意識が戻ったと早苗が少し安堵を見せた。
十数種類の薬を飲まされた後、動けない私を永琳は背負った。
「これは応急処置程度にしかならないわ。今から永遠亭に行って本格的な治療をする。早苗はフランを連れてきて」
永琳は一刻を争うため、早苗を待たずに走り、全速力で永遠亭に向かって飛んだ。
「霊夢!永遠亭につくまで寝ないでよ!」
永琳が叫んだ。
「……」
声を出せないため、私は返事をする代わりに永琳の服をぎゅっと握った。
だが、少ししてすぐにまたあの死の睡魔が襲ってくる。
何とか耐えようとした。でも、いつの間にか私は意識をなくしていた。視界が真っ暗になっていき、永琳が急いでいてかなり乱暴に運んでいるため、揺れるがそれすらも睡眠の心地よさにはかなわない。
場所がいきなり変わった。瞬間移動でもしたような感覚がした。乱暴に診察台に寝かせられたことにより、少しだけ意識が戻った。
「……」
点滴などがぶら下がっていて、その細いチューブが腕に続いている。
「急いでるからかなり荒くなるわよ。かなり強い薬だから覚悟してね」
わずかに意識が戻った私に永琳が言い、注射器を取り出して私の腕に投薬した。
三回目ぐらいまでは覚えてはいるが、そこから先は覚えていない。
だが、治療の最中に何度か意識が戻ることがあった。
その時は胃や喉を中心に激痛が体を駆け巡っていたため、とても意識を保てるような状態ではなかった。
「……!」
七回目に意識を取り戻した時には声帯が治っていたらしく、激痛に叫び声をあげたのは覚えている。
それからしばらくそれを繰り返していたが永琳が治療を終えたらしく、私は起きることなく眠りについた。
明日も投稿します。
気が向いたら見てやってください。