好きな東方キャラクターは?と聞かれて幽香が好きというとドМか、と言われて解せぬ。
ここに何を書いたらいいかいまだによくわからないです。
意識が戻り、私は目を開けた。
治療中に何度も見た白い天井が視界に映し出された。ということは永遠亭にいるというので間違いはなさそうだ。
顔を傾けて周りを見ると私が治療を受けていた台があり、周りには最低でも四十は薬の瓶が転がっている。
部屋に置いてある椅子に永琳は座った状態で壁に背中を預けて寝ている。
「……」
時計を見ると現在の時刻は午前六時を指している。
起き上がってみたが体には異常はなさそうだ。途中で声帯も治っていたため、胃の方も永琳が薬で治したのだろう。
恐るべき永琳の薬である。
「………」
私は起き上がり、ベットを抜け出した。いつもの白と赤の巫女の服ではなく、病人が着る服を着ている。巫女の服は血や埃で汚れてて衛生的によくないということだろう。
「……」
私は一度、部屋から出ることにした。
部屋の外に順番待ちの長椅子が置かれており、座ったまま壁にもたれて寝ている早苗がいる。
フランの姿はないが、おそらく別のベットで寝ているのだろう。
「……」
「…起きたのね」
「…ええ。ありがとう……助かったわ」
診察室の入り口に立っている永琳が言った。
「…私はどれぐらい寝ていたの?」
「……治療を終えてから五時間と言ったところね」
永琳が時計で現在時刻を確認しながら言う。
「…治療にはどれだけの時間がかかったの?」
「八時間から九時間……もっとかも」
表情には出さないが、かなり疲れている感じが雰囲気で伝わってくる。
「…疲れた顔してるわ……私はいいから休んで」
私が言うが永琳は首を横に振った。
「何を言っているの?患者はあなたよ?重症患者を放っておいて寝られるはずがないでしょう?」
「…それで倒れたら意味がないでしょ?……薬のおかげで私は大丈夫だから休んで」
「そういうわけにはいかないわ。…薬はありとあらゆるものを飲ませた…細心の注意は払ったけど、下手をしたら体の中で混ざり合って予想もしない副作用だってあるかもしれない。だから、霊夢…あなたはしばらく安静にしてなさい」
「…なにかったら呼ぶわよ」
「……駄目よ。怪我のダメージだって抜けきってない。立っているのがやっとの人間をほうっておけない」
バレていたか。
「……足、震えているわ」
永琳が言うと私は今頃になって足が震えて今にも倒れてしまいそうだということに気が付いた。
「薬で無理やり治したから体の負担が大きいのよ…今は眠りなさい」
「…でも、その間に敵が来たらどうするのよ……」
そういってなかなか考えを変えない私の鼻と口を永琳は、何かの薬品をしみこませた布で覆った。
寝起きで頭の回っていなかった私は思いっきり薬品の蒸気を吸い込んだ。
特殊な薬でも使ったのだろう。息を吸い込んでからわずか数秒足らずで体に力が入らなくなり、永琳の支えがなければ倒れてそのまま寝ていたかもしれない。
「……すごく……危ない絵面です」
いつの間にか起きていた早苗の呟き声が聞こえてきたが、私は意識をつなぎとめることはできなかった。
「……」
「気分はどう?霊夢」
睡眠から目覚めた私は看病していた永琳に声をかけられた。
「…なんだか……体がだるいわ」
「薬のせいよ、それももうじきなくなるわ。そしたら完治よ」
永琳がカルテに何かを書き込みながら言った。
「…永琳…敵は来た?」
「来てない…。でも、探し回ってるみたいよ」
「…そう。早苗は?」
「今は寝てもらってるわ」
「…フランは?」
「…薬で眠らせてある」
「……」
それから三十分後、私の体からだるさが消えた。
「これで、もう大丈夫よ」
永琳が私に巫女の服を手渡した。
「ありがとう。……それにしてもすごい薬よね。ズタズタになった臓器まで治るなんて」
「それはね……本当はね胃はとっちゃおうと思ってたの」
なんとも聞き流せない単語があり、永琳に聞き返した。
「え?」
「薬を適当に飲ませてたら混ざり合って、たまたまできた効果で声帯と胃が治っちゃったのよね…運がいいわね、霊夢」
「……何というか…」
「それよりも霊夢」
永琳が真剣な顔つきで私を呼び、こちらを向いた。
「…何?」
「巫女って本当に下着を穿いていないのね」
とりあえず永琳を力いっぱい殴っておいた。
「…冗談はさておき、…フランとの戦い…あなたらしくもない戦い方だったわね」
数十種類の薬品のラベルを見ながら種類ごとに分けて、永琳が棚に瓶を戻していく。
「……不意打ちを貰ってからの戦闘なんだから…仕方ないじゃない」
「それもそうね…」
永琳はうなづきながら、ポーチに薬を補充した。
「…永琳、…フランは狂気の能力にやられてたと思う?」
「…それはないわね」
永琳がきっぱりと言った。
「…フランが情緒不安定というのは聞いていたけど、昨日のは理性がきちんと残ってて…自分の課せられた目的を理解していた。霊夢の話からすると、小傘やキスメの様子とは違う。……わかってるはずなのになんで私に聞いたの?」
永琳が空になった瓶を洗い流しながらいい、水道の蛇口から流れる水を止めた。
「……なんとなく…ね」
「!…霊夢さーん!!」
起きている私に気が付いた早苗が飛びついて来る。
「へ?」
ベットに座ったままだった私は突っ込んできた早苗とベットから転げ落ちた。
「すごく心配したんですからね!…治療中に凄い量の血を吐いてましたし、死んじゃうんじゃないかと思いましたよ!!」
「…心配かけたわね」
「本当ですよ!次こんなことがあったら許さないですからね!!」
早苗が真っ赤になって叫んだ。
「…霊夢。ここから近いし、霖之助のところにはいくの?」
「…ええ。…行くわ」
私は巫女の服に着替えようとした。
「……」
こちらをじっと見つめている早苗に私は言った。
「…あの、出て行ってくれないかしら?」
残った札の枚数を確認し、お祓い棒を持つ。
「治ったからと言っても、無茶は禁物よ」
札を巫女服の中にしまい、立ち上がった時に永琳が部屋に入ってきて言った。
「…相手次第ね」
「無理はしないって約束して、次はこんな綱渡りみたいなのはごめんだし……次があるとは思わないで」
次、同じことがあっても助けられる保証はないということか。
「わかったわ……でも、相手次第では無茶をすることになる可能性もあるわ」
「…ええ、わかってる。でも、無理をしなければならないと感じたら逃げて」
「…引き際が大事なことぐらいわかってるわよ」
「……私の薬も万能じゃない。……死人は治せない」
医者である永琳のその言葉は余計に私の骨身にしみた。
「…ええ」
私はそう言いながら外に向かった。
時間は少し戻り、霊夢と魔理沙が北の村に向かっているころ。
「ふむ」
僕は読んでいる本に栞を挟み、机に置いた。
「…これは……珍しいお客さんだ」
「ああ。…目的は買い物ではないがな……霖之助」
僕の店のドアを開けた萃香が言い放つ。
いつもの陽気な雰囲気を感じさせない威圧的な態度だ。
「買い物でないなら、何の用かな?…言っておくけどお菓子は出さないよ……お茶ぐらいなら出すけどね」
僕はそう言いながらお湯を沸かすため、隣の部屋の台所に行きってやかんに水を入れ、かまどの炎の熱を受ける部分にやかんを置いてかまどの中に火をつけた。
「……それで?…僕に何の用だい?」
「私が異変を起こしたのは知っているだろう?」
萃香がニヤリとした表情で言った。
「ああ。そうなのかい……どおりで今朝は新聞が窓を突き破らなかったわけか」
本を読んでいた時のように椅子に座った。
「たいして驚いていないな」
「そうかな?これでも驚いている方だよ……そろそろ要件を言ったらどうだい?……言っておくけど道具を作れというのならば、二日以上の猶予とそれ相応の料金もしくは作るものと同じぐらいの価値のある物を持ってこなければ引き受けないことにしたんだ。…例外はあるけどね」
「そうか。…だが、私は物を作ってほしくて来たわけじゃない」
「?」
「お前は私と霊夢、どっちにつく?」
やっぱりそう来たか。
「…ふむ。…君は僕が争い事を好まないことを知っているだろう?……僕はこの異変には関与しないつもりだよ」
「私の質問に答えてない。私はどちらにつく?と聞いたんだぞ?」
萃香が僕の机に歩み寄り、机をドン!と手で叩いた。
「…そうか。…僕はできるだけ戦うことはしたくはないんだ。…それに、僕は君の手伝いをできるほどの実力は持ってはいないよ」
僕が言うと萃香が一度離れて窓側に行き、僕に言った。
「そういうことにしてるんだろ?」
「君が何を言っているかわからないな…。僕は元から戦ったりすることは好きじゃない。……戦っているわけでもないのに実力があるわけない。…因果関係さ…原因と結果……僕は戦わないから、弱い。それだけのことだよ」
「…いや。…お前は強いはずだ」
僕の意見を全く聞かずに萃香は言った。
「…へえ。これは光栄だね。あの鬼の萃香にそんなことを言われるなんてね……でも、買い被りすぎさ」
「…風見幽香。あいつはおまえのことだけはさん付けで呼ぶ」
萃香が言いながら商品が並べられている棚に歩み寄る。
「それがどうかしたのかい?」
「私や霊夢でさえ呼び捨てだ……幽香のような奴のことだ、あいつのことだから普通は霖之助、そう呼ぶだろう……だからさん付けはおかしい」
「…さあね。僕が男だからじゃないかい?」
探り合いのような緊迫した雰囲気に胃に穴が開きそうだ。
萃香が何かを言おうとしたとき、僕は立ち上がってそれを遮る。
「…お茶が沸いたようだね」
僕が言いながらキッチンに戻り、急須に茶葉を入れてお湯を注いだ。
「…彼女がそう呼ぶだけだ。とくに呼び方には意味はないんじゃないかな?」
「…そうかもな。でも、たとえお前に実力がなくても、私につかないとは言わせないけどな」
僕に向けて萃香が押しつぶすような重い殺気を向けてくる。
湯飲み茶わんを二つ出し、お茶を注いだ。
「入れたてだ、熱いうちに飲むといい」
僕は言いながら萃香のいる方向に湯飲み椀を置き、自分はお茶を飲んだ。
「…私は猫舌でね。熱いのは苦手なんだ」
萃香が僕を睨みながら言った。
「そうかい」
僕は不本意だと言いたげに肩をすくめて言った。
「そんなことはどうでもいい……どうする?この場所で死ぬか、私につくか」
これ以上にひどい二択などそうそう存在しないだろう。
「……君も知ってる通り、僕は人間のお客さんも、君のような妖怪のお客さんもいる。……僕はどちらにつくという行為はできない。…というか、決められない」
「じゃあ、ここで死ぬか?」
萃香がずいっと前に出てくる。
「……まあ、待ってくれ。…提案なんだが、もしも霊夢たちが僕に攻撃するようなことがあれば、君たちにつこうと思うけど…どうだい?」
僕は一つ萃香に提案をすることにした。
「あ?…提案するのは私であって、お前じゃない!」
萃香が湯飲み椀をはたいた。
ガシャッ!!
壁に当たった湯飲み椀は粉々に砕け、お茶がぶちまけられた。
「そうか……。残念だ……それと湯飲み椀は自分で片づけてくれよ?」
僕が湯飲み椀を割った萃香に言う。だが僕を睨むばかりで萃香は何も言わない。
「…まったく……それで?…ここで僕を殺すのかい?」
割れた茶碗のところに行き、僕は割れた湯飲み椀の破片を丁寧に一つ一つ拾い、回収した。
「……。答えようによってはな……だが、お前のところにもし霊夢が来たら帰らないようにすればいいぞ」
萃香が机の上に座りながら言った。
「…そうか。じゃあ、僕はどうすればいいんだい?」
「このツボの中に盗聴器を仕掛けていく、十分か二十分でこの場所につくだろうから、それまで霊夢たちを足止めしておけ」
「…盗聴器、…僕の人権はむしか」
僕のつぶやきを無視して萃香は言った。
「……まあ、私たちに協力すれば殺さないでおいてやるよ」
「…脅しにしかなっていないが、引き受けよう」
僕はしゃがんでいたが立ち上がり、粉々になった湯飲み椀をゴミ箱に捨てた。
「…じゃあな」
萃香は言い放ち、塵となって消え去った。
萃香がいなくなったことにより緊張が解け、僕はため息をついた。
明日も投稿すると思います。その時はよろしくお願いします。