東方鬼狂郷   作:albtraum

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第二十四話をお楽しみください。

チルノ達が頑張ります。


東方鬼狂郷 第二十四話 小さな妖怪と妖精

私の後ろで霊夢が目を閉じて集中し始めた。いったい何をする気なのだろうか。

「させねぇよ!」

 萃香が飛び出した。

 低い体勢で走ってくる萃香の背中に傘を振り下ろした。

 ガン!!

 萃香が手を振り払うと私の傘は簡単に弾かれる。

 やはり、私では霊夢のような攻撃力を出すことはできない。

 そう思った私の肩にググッと能力で大きくなった萃香の拳が横から当たり、肩の骨が筋肉が砕け散った。

「くうっ…!?」

 殴られたのは傘を持っていた右腕で、腕を上げたりするのに使う筋肉が破壊され、とっさに攻撃することができない。

 更に萃香の回し蹴りがわき腹を叩いた。

「がっ……!?」

 地面から足が離れ、景色が流れていく光景を目にしてようやく吹っ飛ばされたということを理解し、地面に衝突した。

 私が地面にめり込み、衝撃で地面がめくりあがりながら陥没した。

「ぐ……なんてやつ…!」

 周りを確認すると村の周辺にいて、何百メートルも飛んでいたことがわかり、今から走って行っても萃香が霊夢を攻撃する前につくのはどう考えても無理だ。私は足が遅い。

 だったらやる事は一つ。傘を豆粒程度に見える萃香に向けてその先端に魔力を溜めた。

 最大までため、レーザーを放つ。あたりが白で埋め尽くされ、光で何も見えない。

 萃香を丸ごと包み込めるようなレーザーだ。だが、魔理沙のように弾幕を極めているわけではない私のレーザーは、せいぜい小さな焼け野原を作るぐらいだ。

 だが、当たれば足止めぐらいにはなるはずだ。最大まで溜めても今の萃香には通用するものじゃないが。

 私は走り出し、博麗神社に向かう。

 ゾクリと悪寒が走る。萃香がこちらを睨んだというのだろうか。

 いや、これは違う。

 私はそう思いながら横に跳んだ。

 巨大な岩が山の斜面、私がさっきまで走っていた場所を高速で通りすぎ、村の方向に転がっていく。

 神社の方向から萃香がスペルカードを使った気配がした。恐らくさっきと同じものだ。

 私は周りに咲いている花に魔力を散布し、花を急速に成長と強化させて、服の繊維のように絡みつかせる。

 ゴォッ!

 大小さまざまな大きさの岩石を適当に魔力で繋ぎ合わせた不格好な岩が飛んでくる。

 最大まで花を強化し、向こうの景色が見えないほどに絡み合う花の茎を高さ数メートルに延ばし、横にも十数メートル伸ばし、カーテンのように展開した。

 まっすぐ伸びていた花のカーテンが大きくゆがみ、萃香が投げた岩が当たったことがわかる。

 最初は勢いよく突き進み、茎を千切らんばかりの威力だったが、私の顔の数センチ手前で勢いが死んだ。

 直径50センチのクモの糸があれば理論上はジャンボ機を止めることができるということを霖之助さんから聞いたことがある。

 ジャンボ機というのは知らないが、何百トンもある鉄の塊で、空を飛ぶと言っていた。

 止める方法が違うとしても、それ以上の強度を持つものを用意して止められないはずがない。

 私は止まった巨石を傘で全力で打ち返した。

 魔力を使って成長させた花たちを元に戻した。

「助かったわ」

 私はそう花にお礼を言い、博麗神社に向かう。

 萃香が自分に飛んできた岩を拳で砕いたらしく、周りには砕かれた岩石が転がっている。

 時間は、まだ三十秒もたっていない。霊夢に向かおうとした萃香に傘で殴りかかる。

 萃香の頭部に綺麗に当たった。だが、萃香はただでは攻撃を食らわないぞと言わんばかりに私の腹を右手で殴った。

「ぐぅ…!?」

 下がろうとした私に、萃香は左手でさらに顔を殴った。

「いい加減にどけ!」

 萃香から放たれる殺気に寒気した。私の感が言っている。それを食らったら死ぬと。

「っ!!」

 腕でガードをしようとしたとき、萃香が大振りの攻撃をするために踏み込んだ、だがその踏み込みに地面が耐えきれずに割れた。

 それにより、軌道がそれて萃香の拳が私の頬をかすめる。それだけなのに、私は胴体から頭が離れそうになるほどの力を感じた。

「…奇跡的に当たらなかったようですね」

 奇跡的に、の部分を強調しながら早苗が萃香に弾幕を放つ。

 萃香はかわすまでもない攻撃だと分かっているらしく、正面から受ける。

 その際に私は萃香から離れた。

「……早苗、手伝いなさい」

 萃香から離れた私は言いながら萃香に傘を向けた。

「…わかっています」

 早苗がお祓い棒を構えた。

「…2対1か……面倒だな。勇儀を呼ぶことにしよう」

 萃香がそう言った。

 それはまずい。

「早苗!」

 私は叫びながら走り出し、早苗も回り込みながらそれに続いた。

 いつになるかわからないが、勇儀に来られたら今でも押されているというのにさらに状況が悪くなる。

「くそっ……!!」

 私は罵りながら萃香に傘を振り下ろした。

 

 透明に近い萃香の体を形成していた粒子の集合体が消えさった。連絡するときに萃香は体の一部を霧状化させて、密度の低い自分を作って連絡するのだ。

「博麗神社にこい…ね」

 勇儀が呟きながら走り出そうとしている。

 場所は中央の村の近くだ。

「みんな……止めようよ……殺されちゃうよぉ…!」

 大妖精が泣きそうな顔で情けない声で言った。

「駄目だよ、大ちゃん…アタイ達があいつを足止めしないと、霊夢のところに行っちゃう。馬鹿なアタイでもわかる。今の萃香は強い。私たちじゃあ触ることもできない。だけど、あいつなら倒せなくても足止めぐらいならできるかもしれない」

 チルノが走り出そうとしている勇儀を見た。

「そーなのだ。私たちは私たちのできることをしないと……あいつにダメージを与えることができれば、小さなことでも絶対にマイナスにはならないと思うのだ」

 私もチルノの意見に賛成した。

「でも、ルーミアちゃん……」

 大妖精はそれでも渋っている。それも当たり前だろう。

「大ちゃん。どうせ私たちは見つかったら殺される……一回休みがあるとはいえ、死ぬのは怖い。…でも、チャンスがあるなら私たちは戦わないと…何もしなければ、私たちは負ける」

 私が言うと渋々大妖精がうなづき、チルノと共に勇儀の前に飛び出した。

「あん?」

 勇儀が自分の進行方向に出て通さないようにする私たちを見た。

「さいきょーのアタイがお前を倒す!!」

 チルノが立ち止まった勇儀に指をさして叫んだ。

「チルノ!いきなり挑発してどうするのさ!」

 私が言うと、チルノが自信満々の笑みを浮かべた。

「アタイは、さいきょーだからさ!!」

 答えになっていない答えを叫ぶと、チルノの周辺が急激に温度が下がり、手元に数メートルはある巨大な氷を作り出し、勇儀に向かって投げつけた。

 勇儀はそれを走ることによりかわし、こちらに向かってくる。

「チルノ!攻撃を続けて!」

 私は言いながら勇儀の側面に回り込む。

 頼みの綱はチルノだ。いつも言っている幻想郷最強は自称だとしても、弱い妖怪や妖精の中では文句なしの最強クラス。勇儀との実力は私と大妖精、チルノを合わせても届くことはないが、心強いことに変わりはない。

 私は援護するために、闇を操って勇儀に目が見えない状態にさせた。

 自分を中心に球状の黒い壁が広がり、勇儀が包み込まれた。

 私自身も目が見えなくなるが、勇儀もそれは同じであり、いつもこの中で過ごしている私からしたら、生きている物などは見なくても相手の位置くらいわかる。

 土を踏みしめる音がする。

 これは、私の方向に向かってきてる。

「!?」

 チルノの方向に行くと思っていて少し油断していたかもしれない。反応が遅れた。

 目の前にいるのに見えず、さらにそれがこちらに向かって攻撃をして来ようとしている。ものすごく怖い。

 頭を抱えてしゃがんだ時、パンチでもしたのだろう。空気のうねりが頭の上を通過した。

 私はたまらず、その場から能力を解きながら離れる。

 足がもつれて転びそうになった時、勇儀に足を払われた。

 パァン!

 鋭い音がして私は足を蹴られていたと分かった時、無防備な姿を勇儀にさらしていた。

 勇儀の顔がすぐ目の前に見え、私は恐怖を顔に貼り付けた。

「ひっ……!!」

 腹に勇儀の拳が直撃した。

「ああああああっ!!?」

 私は絶叫しながら岩に叩きつけられた。

 岩が粉砕して粉々になるが、私は何とか動いて崩れる岩の下敷きにならずに済んだ。

「ルーミア!」

 チルノが私の方向を見て心配そうな顔をするが、戦いに集中してと目線で伝えると、チルノは楽観視できないこの状況に緊張した表情を見せ、氷の剣を作り出す。

「…うぶっ……!」

 私は我慢することができず、大量の血を含んだ胃液を吐き出した。

「はぁ…はぁ…」

 口元をぬぐうと、服の袖に血がこびりつくが気にしている暇はない。

「…ほお、雑魚妖怪のくせに意外と頑丈だな」

 勇儀が続けて私に走って来た。

「…っ!」

 いくら力を入れても私の足は少しずつ動くが、遅すぎる。

「ルーミア!」

 チルノが私と勇儀の間に割って入り、氷の剣で勇儀を切り付けた。

 斬られた勇儀の皮膚から血が流れる。

「いいね!もっと抵抗しろ!」

 勇儀が笑いながらチルノが上から振った氷の剣を踏み砕く。

「アタイの力を見せてやる!」

 チルノの周りの気温がガクンと下がり、草などに霜が付き始める。

 私はこの現象をよく知っている。チルノを中心に一定の範囲を氷漬けにする技だ。

「ちょっ!?」

 私が逃げようとしても既にチルノを中心に衝撃波に似たものが出た。それに触れたとたんに草や木、地面が凍り付き、勇儀も例外なく凍り付いた。

「ルーミアちゃん!」

 大妖精が私に飛びついてきた。

 伸ばした指先が触れると大妖精の瞬間移動の能力で二人の居場所が変わり、チルノの技の範囲外に出ることができた。

「大丈夫!?…ルーミアちゃん!」

 大妖精が私を心配そうにのぞき込む。

「…大丈夫…だよ」

 私はできるだけ自然にふるまい、チルノの方向を見た。

 チルノの技を間近で受けてなお勇儀は体を覆う氷を砕いた。

「アタイの氷が!?」

 チルノが言いながら後ずさる。

「チルノ!妖精たちと同じ感覚で戦っちゃだめだ!!」

 私は言いながら大妖精の静止も無視して走り出した。

 今、チルノを失ったらこちらのもともと低かった勝率はさらに低くなる。

「見切った!?」

 チルノがなぜ疑問形と言いたくなる叫び声をあげ、勇儀の右腕を地面から延ばした氷に氷漬けにした。

 それにより、勇儀のパンチが一時的に止まり、時間を稼ぐことができた。だが、所詮は妖精の作る氷。ひびが入るとあっさりと割れた。

 だが、私が近づくのには十分な時間はあった。

 正面から馬鹿正直に勇儀の左手のパンチを迎え撃とうとしているチルノを突き飛ばしながら、私は闇を操る程度の能力を発動した。

 私を中心に黒い球体が発生して巨大化、勇儀を飲み込んだ。

 この中にいる限り、私の姿は見えていないはずだ。いきなり動けば当たらないはずだ。

 勇儀の拳が向かってくる軌道上にいた私は横に動くと、さっきまでいた場所の地面から破砕音がして、大量の土が巻き上げられた。

 そして、勇儀の右手に腕を掴まれる。

「なっ…!?…見えないはずじゃ…!?」

 ずっと同じ場所にいればそうなったのもわかる。だが、私は掴まった。おそらく、勇儀に誘導されたのだろう。

 私が言ったとき、勇儀が左手を地面から引き抜く音が聞こえた。

「やめ…!」

 勇儀の拳が脇腹に直撃した。

「あがっ……!?」

 攻撃を受けて闇を操る能力が解け、私を掴んでいる勇儀がしゃがんで目線を同じ高さにして見下すような目線で見てくる。

「ルーミア!」

 チルノが氷の剣で勇儀を切り付ける。だが、勇儀が右手を振っただけで右手に当たった氷の剣は砕けた。

「まだまだぁ!!」

 チルノは氷の剣を二本持っていたらしく、勇儀の肩に突き刺した。

 ズブッと剣先が勇儀の筋肉を切り分けて進む。しかし、それはすぐに止まった。

 勇儀が剣を掴んで砕いたからだ。

「友情はいいねぇ。その意志に免じて苦しまずに殺してやるよ」

 勇儀が私の腕を放し、その手でチルノを殴ろうとした。チルノは剣を作れておらず、あと数秒後には殴り殺される。

 私を放した勇儀の腕に拳を突き出す寸前に噛みついた。

 私という重りにより予定よりも拳の振りが遅く、瞬間移動してきた大妖精によりチルノが消え、勇儀が振った腕に噛みついていた私は食いちぎり、パンチの勢いを利用して勇儀から離れた。

「妖精と雑魚妖怪のくせにいいコンビネーションで戦うなぁ」

 そう言った勇儀の腕の肉を咀嚼して飲み込んだ。

「……」

 口元についた血を拭う。

「さてと、準備運動も終わったし、そろそろ終わらせるか」

 勇儀が歩いてこちらに向かってくる。

「チルノ、私が囮になるから勇儀に攻撃して」

「さいきょーのアタイに任せて!」

 チルノが自信満々にうなづき、氷の剣を作り出した。

「大ちゃんは私たちを援護するという感じでいいかな?」

「う、うん!」

 私が言うと、大妖精はうなづいた。

 私はそれを見てチルノと二方向から勇儀に向かった




明日も投稿すると思います。

次もチルノ達が頑張ります。
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