東方鬼狂郷   作:albtraum

27 / 33
第二十六話をお楽しみください。

読みずらいのは勘弁してください。


東方鬼狂郷 第二十六話 アリス・マーガトロイド

「ふん。博麗の巫女とはいえ…所詮は人間だ…鬼にかなうわけがない」

 倒れている私に萃香がそんな言葉を投げかけ、私の頭を踏んだ。

「ぐっ…!」

「さあ、殺してやる……もう話すこともない」

 萃香が言い、足に力を込め始めた。

「……魔理沙も死んだんだ……お前も奴と共に死ね!!」

 私の頭が踏み砕かれる寸前。

「…誰が死んだって?」

「………は…?」

 その声に世界が制止したんではないかと思うほどに萃香たちの動きが止まった。

 そして、動きの止まった萃香をいくつものレーザーが貫く。

「…ま…魔理沙さん!!」

 魔理沙の姿を見た早苗が泣きそうな顔をして叫んだ。

 体のあちこちを貫かれた萃香が離れた。私から萃香が離れた時、魔理沙が瓶を萃香に投げつけ、殺傷範囲内に入ったと同時に瓶を撃ち抜いた。

 ドォォッ!!

 青白い光をまき散らしながら瓶が爆発して萃香を巻き込んだ。

「…大丈夫か…?霊夢」

 魔理沙が私に手を差し出し、私はそれを掴んで立ち上がった。

「ええ。それよりも来るのが遅いわよ」

 傷を何とか治して私が言うと魔理沙が言った。

「ヒーローは遅れてくるもんだからな」

「…魔理沙さん……生きてるんですよね?……幽霊じゃないですよね!?」

 ヨタヨタと歩み寄ってきた早苗が魔理沙の肩を掴み、がくがくと揺すった。

「ああ、幽霊じゃない……ちゃんと生きているぜ」

 魔理沙の近くに寄って来たさとりや幽香が存在を確認するように魔理沙に触れた。

「…どういうことだ…!!……お前は殺されたはず…!……アリス人形は私がこの手で捨てただろうが!」

 傷を修復させながら萃香が魔理沙を怒鳴った。

「…確かに……私のアリス人形は、捨てたな」

 魔理沙はそこまでいうと言葉を切った。

「宴会の時にアリスから貰った私のアリス人形を戦ってるときに魔理沙に持たせたのよ」

 魔理沙が言う前に私が言った。

「で…でも、いつやったんですか!?……それに裏に埋めてきたのって」

 早苗が質問攻めしてくる。

「殺す直前よ。私が魔理沙の胸倉を掴んで引き寄せた時に、こう…こっそりとね……埋めてきたのは魔理沙の死体の真似をした人形ね」

「……わ…私たちまで騙す必要ないじゃないですかぁ!!」

 早苗が叫びながら私を揺らす。

「仕方ないじゃない。情報が漏れたら困るからね」

「…そうだぜ…早苗。騙すなら味方からってな」

 魔理沙が言うと早苗が魔理沙を見て言った。

「だましてた方はいいかもしれませんけど、私はすごく落ち込んだんですからね!?…どうせ騙された方が悪いっていうことなんですよね!?」

「違う。私も騙されてた方だぜ」

 魔理沙がそういうと早苗が驚いた顔をした。

「え?じゃあ、魔理沙さんは本当に殺されると思ってたわけですか?」

「…ああそうだぜ……本当。お前にはかなわないよ…霊夢」

 魔理沙がこちらを見ながら言った。

 彼女は今、こう思っているのだろう。何らかの情報などに基づいて私は全て知っていて自分に人形を持たせて殺されたことにしたんだと。

 それは違う。

「あのねぇ。あの時、私が理論的な理屈を考えて行動してと思う?」

「思うぜ」

 魔理沙がうなづくと、早苗たちもうんうんと顔を縦に振る。

「あんたら………、魔理沙が私のことを本気で裏切るわけがない……そこに理論的な理屈なんてない。そう私はそう思ったからやったのよ」

 私が言うと魔理沙が少し顔を赤らめた。

「そ…そう思ってもらえていたなんて、ありがたいんだぜ」

 魔理沙が嬉しそうに言ったとき、萃香がスペルカードを使った。

「鬼神『ミッシングパープルパワー』」

 萃香がスペルカードを殴って砕き、霊力で体を大きくした。

「…それよりも、魔理沙…なんでさっきマスタースパークを撃たなかったの?あの角度なら私には当たらなかったはずだけど」

「…そ……それは…」

 魔理沙が何か言おうとしたとき、萃香が殴る体勢に入った。

「いつまで話してんだぁ!」

 萃香が上から私に拳を叩きつける。

 私たちはバラけて萃香の拳をかわした。

 ドガッ!!

 地面が割れ、爆発したんじゃないかと思うほどに土が巻き上げられた。

 魔理沙が箒に乗る前でも攻撃は直撃しなかったものの、風にあおられて後ろにいたさとりにぶつかり、二人で倒れこんだ。

「魔理沙さん…!?」

 さとりと魔理沙が萃香の目の前で倒れてしまう。

 それを見逃す萃香ではない。

 私が走り出そうとしたとき、既に足を上げて二人を踏みつぶそうとしている。

 魔理沙が持っていた箒に霊力を送り、さとりを掴んで無理矢理に飛ぶことにより萃香の踏み付けをかわした。

 空中で箒にまたがり、さとりを後ろに乗せた。

「すまないさとり、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です…それより、魔理沙さん」

 さとりが魔理沙の肩を掴みながら言った。

「…どうした?」

「魔理沙さんは勘違いしていることがあります」

 さとりが言った。

「?」

 

 上を飛んでいる二人の会話は聞こえないが、魔理沙はとりあえず無事のようだ。

 私は見上げながら思い、萃香の方向を見た。

「二人は大丈夫そうね」

 幽香が言い、萃香に向けて傘の先からレーザーを浴びせた。

 萃香の体はかなりでかく、当てられない方が逆に難しいだろう。

「…っち…!」

 萃香が舌打ちしながら幽香のレーザーを消し飛ばし、私に向かってくる。

 萃香の一歩一歩で地震のように地面が揺れた。

「せぇい!!」

 私は空を飛び、萃香が攻撃する前に萃香の頭にお祓い棒を叩きこんだ。

 だが、萃香の体が塵となって消えた。

「また…!」

 私は周りを見て萃香がいないか確認した。

「霊夢!上だ!!」

 魔理沙の焦る声が聞こえる。

「っ!!」

 視界いっぱいに萃香の巨大な拳が広がる。

 メキッ!!

 頭から骨が歪むような異音が聞こえた。

 地面が近づき、爆発音に似た爆音以外何も聞こえなくなった。

 砂煙が舞い上がり、私は爆弾でも投下されたのではないかと思うほどに荒れた地面の中央に倒れていた。

「終わりだ!」

 萃香が巨大化したまま拳を握って上から落ちてくる。

 起き上がろうとしたとき、私の近くに魔理沙が降りてきた。

 さとりは途中で降りたらしく、一緒ではない。

 魔理沙は降りると同時に箒をわきに捨て、ミニ八卦炉を上に構えた。

「恋符『マスタースパーク』」

 魔理沙はあまりスペルカードを使わない。回路を組む際。規格外の量の霊力を流すと著しく効率が悪くなると言っていた。

 彼女がそういうと、霊力を流したミニ八卦炉が起動。中央の白と黒のマガ玉を合わせたような部分から光を帯び始め、それがミニ八卦炉全体に広がる。

 ミニ八卦炉がマスタースパークのエネルギーに耐えきれなくてとけないようにミニ八卦炉を強化したのだ。

 光る小さな球がミニ八卦炉のうえにでき、あとは発射するだけだ。

「吹き飛べ」

 魔理沙がそう呟いた。

 真上に向けられたミに八卦炉からすぐに極太のレーザーは出ない。

 目に見えない熱線がまず放たれる。巨大化した萃香の体すらも包む熱線の大きさに気温が上がり、魔理沙の射線上の空気が陽炎で揺らいでいる。

「があっ!?」

 霊力で体を強化しているとはいえ、萃香の皮膚があまりの高温に焼け始めた。

 彼女いわく、マスタースパークは巨大な光線と熱線の塊であり、その膨大な量の熱エネルギーなどは進む間に空気中に逃げてしまい、最大出力の威力をそのまま相手に食らわせるのが難しいそうだ。だから、始めに射線上を熱線で焼いて温めたところでマスタースパークを放てば、逃げるエネルギーは少なくなるそうだ。

 熱線で射線を焼く理由はもう一つあり、対象者を覆っている霊力をできるだけ剥がすという意味もあるそうだ。

 巨大化した萃香すらも簡単に呑み込む大きさのレーザーが放たれる。

 熱線によりツノがダメージを負い、萃香は塵となって逃げることはできない。

 萃香がマスタースパークに巻き込まれ、見えなくなった。

 魔理沙はマスタースパークを撃つことのできる時間中撃ち続け、徐々にマスタースパークを細くしていき、消した。

「今のうちだ。霊夢」

 冷却するためにミニ八卦炉から温風が出始める。

「ええ。ありがとう」

 私は立ち上がり、魔理沙と共にその場を離れた。

「…いつみてもえげつない威力ね」

 私が言いながら周りを見ると、スペルカードの効果が切れて小さくなった萃香がボトリと前方に落ちた。

「くそ…が…!」

 全身が焼け焦げた萃香が体を修復しながら毒づいた。

「萃香、これで終わりだぜ!」

 魔理沙が手のひらからレーザーを撃ちだした。

 だが、萃香は笑っている。

 なぜ笑っている?

 そう思ったとき、その答えが分かることとなった。なぜなら魔理沙のレーザーが消えた。

 消されたと言っていいだろう。

「……」

 初めは勇儀を疑った。だが違う。

 魔理沙のレーザーを消した人物がゆっくりとこちらを見た。

「…嘘だろ……!?」

 魔理沙が目を見開き、呟いた。

「……アリス…」

 アリスの周りには数体の人形が萃香を守るように浮遊している。

「こんなこともあろうかと、あらかじめ狂気を植え付けておいてよかったよ」

 萃香が笑いながら言った。

「お前っ!!」

 魔理沙は頭に血が上っているらしく、今にも萃香に向かっていきそうだ。

「魔理沙、落ち着いて…」

 私が言うと魔理沙は手を閉じて怒りを鎮めるために深呼吸した。

「殺せ」

 萃香が言い、森の中に消えた。

 アリスが戦闘態勢に入る。

「霊夢、萃香を追ってくれ」

 魔理沙がアリスを警戒しながら言った。

「…駄目よ、魔理沙…あんたを一人にしたらどうなるかわからない」

「今回ぐらい信用してくれよ……」

 魔理沙が呟くように静かな声で言った。

「信用とかそういうのじゃないわ……あんたが心配なのよ」

「霊夢。私たちが追う……できるだけ急いで頂戴」

 話を聞いていた幽香が私に言った。

「ごめん……よろしく」

 魔理沙が言うと萃香を幽香たちが追う。

「霊夢、レミリアたちを解放してやってくれ……あいつらは大丈夫だ」

「ええ……そうね」

 私は短く答えると、結界を解除した。

「……霊夢」

「…やるわよ…相棒」

 私が魔理沙に言うとハッとして私を見た。そんなにじろじろと見られると私も恥ずかしいのだが…。

「こんな時に言うなんてズルいんだぜ」

 魔理沙が少し涙声で言いながら霊力を手のひらに集中させた。

 アリスの指がわずかに動いた気がする。

 パァン!!

 鞭のようなものが何かを叩いたような音。

 アリスの細く、ワイヤーのようによく切れる鋭い糸が魔理沙に振られたのだ。

「がっ……あああああああああああああっ!!?」

 一瞬過ぎて何が起きているかわからないほどに早い攻撃だった。

「魔理沙!!」

 魔理沙の足元に彼女の右腕が落ちる。

 アリスが笑いながら指を動かして人形を操り、人形の剣を私たちに向けさせた。

「いてぇじゃねぇか…アリス…!」

 魔理沙が言い、痛みに耐えながら腕を拾い、切断面と切断面をくっつけて霊力を使って傷をいやした。

 少し妖怪が混じったからできる芸当だろう。

「大丈夫…?…魔理沙…アリスは今までの奴とは違う…絶対に油断しないで」

「わかってる…やるぞ」

 魔理沙は腕が動くかどうか確認しながら言った。

「霊夢!…それに魔理沙!?」

 レミリアたちが私と死んだと思っていた魔理沙がいることに驚きの声を上げている。

 アリスが私と魔理沙に向かって数体の人形で斬りかかって来た。

「手伝う気があるなら萃香を追って!!」

 私は言いながら一体目の人形の剣を弾き、二体目の人形は直接叩く。

 魔理沙は私に背を向けた状態で私の後方からくる人形にレーザーをぶっ放す。

「どこに行ったの!?」

 レミリアが言った。

「騒ぎを追えばわかるわ!」

「…ここ以外で?」

 レミリアが言ったとき、遠くで幽香のレーザーの光が輝くのが見えた。

 どこにいるかわかったレミリアたちは移動を開始した気配を感じる。

「霊夢……確か、鈴仙の狂気を植え付けられた奴は一度気を失うと狂気は抜けるんだよな?」

「ええ…そうよ。アリスを早く正気に戻してあげましょう」

 私が言うと魔理沙はうなづき、二手に分かれた。

 魔理沙がアリスの気を引こうとレーザーで自分に向かってくるアリス人形を撃ち落とし、アリスにもレーザーを放つ。

 そのすきに私は足音を極限までなくして走り、あと一歩でお祓い棒が届く距離となった時、私は何もせずに後ろに下がった。

 なぜ攻撃しなかったのか、違和感を感じたのだ。アリスが簡単に魔理沙に気をひかれすぎでないかと。

 そう思ったとき、アリスが残念そうにこちらを向いた。

「……!」

 私は息をのんだ。さっき私があと一歩で射程圏内に入るか入らないかと思っていた場所、その辺りに太陽の光をわずかに反射するアリスの糸があったのだ。

 しかも、ちょうど私の首がある位置だ。最大まで強化していなかったとはいえ、魔理沙の腕をいとも簡単に切断していたんだ。私の首など簡単に取れていただろう。

「…これはやっかいそうね…!」

 目の前に迫ってきたアリス人形をお祓い棒で殴り、私は呟いた。

 




明日も多分投稿すると思います。

いまだにこの場所に何を書いたらいいかわかりません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。