原作キャラと似ていないと思うので、そのあたりはご了承ください。
命蓮寺からの続きです。
十数分後。
博麗神社についた。
「お風呂が沸くまで時間がかかるし、それまでに軽く手当を終わらせちゃいましょう」
魔理沙の血まみれの服を脱がせ、私の予備の服を着させてから言った。
「わかったぜ」
魔理沙が私の前に置いた椅子にこちらを向いて座った。
魔理沙の右腕を掴み、二の腕を見た。だいぶ深いが霊力の作用ですでに血が止まり始めている。
「だいぶ深そうね」
「…そうか」
「消毒するわよ」
魔理沙がうん、とうなづくのを確認して消毒液を二の腕にかけた。
「~~~~~~っ!!」
これだけ深い傷だ。かなり痛いのだろう、歯を食いしばって耐えている。
すぐに風呂に入るため包帯はまかずにガーゼを傷口に当て、布で軽く縛った。
「これでよし」
「ありがとう。霊夢」
「どういたしまして、でもあんたが小傘に後れを取るなんて珍しいわね…。まああの状況じゃあ仕方ないけど」
「……ああ……。なあ、霊夢…一つ聞きたいことがあるんだ」
魔理沙が思い出したように言った。
「何かしら?」
「…なんで死体を見てあんなに平然としてられたんだ?」
「……そうね…見慣れているのかな…たぶん」
「…見慣れてるってどういうことだよ」
「小さいころから親の異変解決の光景を見てきた。……どんな妖怪にも容赦はせずに殺していた。…妖怪と言っても見た目は人間に近いし、私が死体に見慣れているのはそのせいかな…」
「……そうか…」
「ところで魔理沙」
そろそろお風呂が沸くはずだ。
「何だぜ?」
「服を脱ぎなさい」
「…………………え?」
魔理沙はたっぷりと時間を使ってようやく一言放った。
「聞こえなかったはずないでしょ?早く服を脱ぎなさい」
私が言うと魔理沙は目に見てわかるぐらい顔を赤くしていく。
「お風呂よ。そろそろ沸いただろうし、入りましょうか」
「そ…そうだな…じゃあ、風呂に入ってくる」
魔理沙が椅子から立ち上がり、予備の自分の服を持って脱衣所に向かった。
「魔理沙。怪我してるんじゃ洗いづらいでしょう?手伝うわ」
「なっ!?大丈夫だよ!この程度のけがだったら時々負って慣れてるから大丈夫だよ!」
魔理沙が耳まで真っ赤にして言った。
「それじゃあ、時間がかかるでしょ。つべこべ言わないで手伝わせなさい」
問答無用で魔理沙を抱きかかえて脱衣所に入った。
「さあ。とっとと服を脱ぎなさい!」
「わかったから!服を引っ張るな!自分で脱ぐから!」
魔理沙が目尻に涙を浮かべて顔を赤くして叫ぶ。
「仕方ないわね」
掴んでいた服を離した。
すぐに魔理沙が服を脱ぎ、タオルで前を隠してお風呂に向かった。
女の子同士だし、今更恥ずかしがらなくてもいいのに…。
「そこに座って」
魔理沙に座る場所を促し、桶にお湯を組んで魔理沙の頭にかけた。
綺麗な金髪も含めて体中血まみれだ。少し乾いたせいでお湯をかけただけでは落ちなさそうだ。
霖之助さんから貰ったシャンプーを手に付けて、泡立てて魔理沙の髪の毛に付けた。ゴシゴシとさらに泡立て、髪にべっとりと付いた血を落としていく。最後にお湯をかけてきれいさっぱり洗い流した。
「れ…霊夢…あとは自分でできるから…大丈夫だぜ?」
「いや、背中はやりづらいでしょ?遠慮しないで私に任せて」
石鹸でタオルを泡立てながら魔理沙にそう言った。
「そ…そうか…」
魔理沙の合意も得られたところで首筋、肩、背中、腰回り、上腕、手、指に至るまで丁寧に洗った。
「…魔理沙って帽子をかぶってたりしてるから時々忘れるけど、意外と小柄よね」
「そうか?」
「ええ。私よりも身長が低いしね……それよりも魔理沙」
「なんだ?」
「早くこっちを向きなさいよ」
「へ?」
魔理沙は驚きで硬直している。
「へ?じゃなくて、前も洗うから早くこっちを向きなさい」
「い…いや…前は自分でやるよ」
「何言ってんの?背中を洗ってるんだから、ついでに前も洗っても手間は変わらないわ」
魔理沙をこっちに向かせようとグイグイと体を引っ張った。
「大丈夫だから…!待って……!やめ…!やめろぉぉぉ!!」
魔理沙が涙目で叫んだ。
まったく。少し前までは一緒にお風呂に入ったこともあるのになぜ今更恥ずかしがるのだろうか。
魔理沙にお風呂から追い出された後、小傘の様子を見に戻ってみる。
小傘はまだ気を失っているようだ。
……。
しばらくここで待つことにした。
「う…うぅ……」
待ち始めてから十分ほどたった時、小傘が唸った。
「小傘、起きて…小傘…!」
小傘を揺らしてみた。
「うぅ……あれ?霊夢…さん?」
小傘が目を開いた。
「小傘、何か覚えていない?」
「…わきちは…」
「……あんたは命蓮寺にいたのよ?覚えてる?」
「命蓮寺……?」
起きたばかりでまだ頭が回ってないらしいが、徐々に思い出してきたらしく、小傘の様子が変わってきた。
「わちきは…たしか…鈴仙さんに…なにかをされた…?」
鈴仙?狂気を操る程度の能力で狂気を一時的に植え付けられたということだろうか。
「わかった。ありがとう小傘」
「霊夢さん。わちきは…聖さんたちのことは殺してません!」
「…わかってるわ。狂気を植え付けられてたとしても、聖を倒すどころか殺すこともできるとは思えない」
「…うん……それと、魔理沙は…?」
「今はお風呂に入っているわ…」
「…うん。ちゃんと魔理沙に謝らないと…」
「狂気を植え付けられて不可抗力だったわけだから……魔理沙もそこまで怒らないと思うわ」
そう言ったとき、脱衣所の扉を開けていつもの服装に戻った魔理沙が現れた。
「霊夢!小傘の様子はどうだ?」
魔理沙がこちらに向かって歩いてくる。
「…起きたわ」
「そうか。小傘がおかしくなってたのはやっぱりあれか?鈴仙の狂気の能力か?」
「あら、気が付いてたの?」
「そうじゃないかと思っただけだが、やっぱり鈴仙か…」
「……小傘が話があるそうよ」
私が言うと魔理沙が小傘の脇まで歩いていき、座った。
「どうした?」
「…その腕の傷……。ごめんなさい!」
小傘が頭を下げて謝った。
「…別に謝る必要はないぜ?小傘が私に怪我させたのだって狂気を植え付けられてたからだし、対処できなかった私の落ち度でもある」
「…魔理沙……」
「小傘が気にすることじゃないぜ…」
「ありがとう。魔理沙」
「おう。……それと一つ聞きたいが、鈴仙は何か言ってたか?」
「鈴仙さん?…鈴仙さんは特に何も言ってませんでした……でも、その後ろにいた萃香さんが……実験とか何とか言ってました」
「実験?どういうことだ?わかるか霊夢?」
魔理沙が私に聞いてくるが圧倒的に情報が足りない。私は首を横に振った。
「ああ。でも…白玉楼に行くって言ってましたよ?」
「白玉楼に!?」
「うん。……たしか一時間くらい前だと思う」
「小傘助かったわ!魔理沙!いける!?」
「もちろんだぜ!」
「小傘、あんたは動けるようになったらできれば早苗を連れてきて」
「早苗さん?緑の髪の人ですか?」
「緑の髪の奴がたくさんいてどれを想像してるかわからないけど、私と同じく巫女よ」
「あっ。その人ですか」
私が巫女と言わなかったらどこに行くつもりだったのだろうか。
「霊夢行くぜ!」
魔理沙が先に縁側から飛び出し、私もそのあとに続いた。
ひと気のない庭を冷たい風が吹き、砂煙が舞い上がる。
数十分後。
「……誰もいないぞ…」
「…もぬけの殻ね……」
白玉楼中を二人で三十分ほどかけて探し回ったが幽々子も妖夢も見当たらない。それどころか幽霊すらもいないのだ。
「……くそ…!遅かったのか…?」
魔理沙が言った。
「いや。そうでもなさそうよ」
魔理沙に敵のいる方向を視線で促した。
「…咲夜…」
白玉楼の屋根の上には咲夜がたたずんでいる。
「咲夜…。霊夢の強さは知ってるだろう?なぜ萃香の方についたんだ?」
「…私たちにもいろいろとありますので」
咲夜はそれだけ言うと屋根から消えた。
「どこに…!?」
魔理沙が言うが私は居場所が分かった。
「魔理沙!しゃがんで!」
ここからの距離では魔理沙の手を引くこともできない。そのためとっさに叫ぶ。
しかし、後ろ方向にいる魔理沙はしゃがむことができなかった。
なぜなら、魔理沙の首筋には咲夜のナイフが添えられている。
「あんた…そんな手も使うのね」
私は後ろを向きながら言った。
後ろを向く前に咲夜がナイフを私の目に向けて投擲したらしく。残り三十センチしかない。しかし、私はそれを受け流すか取るか弾くか当たるかの選択ができた。
お祓い棒でナイフを弾いた。
「やっぱりあなたは強いですね。後ろを向いた状態でナイフを投げたのに弾くなんて……きちんとした戦闘が始まったわけじゃないですが、既に敗色濃厚ってところですね」
咲夜が二本のナイフを取り出した。
そしてそれを私に投げつけた。
その瞬間既に咲夜はいない。
なるほど。
ナイフは注意を引かせるための物か。
ナイフに当たらないように体をずらし、前方に出た。
咲夜の第三のナイフが上から私のうなじを掠った。
「霊夢!」
上から襲い掛かってきた咲夜に魔理沙がレーザーを放った。
そのレーザーを咲夜はナイフでかっ消した。
「なあっ…!?」
驚愕するのも当たり前だろう。レーザーをナイフで消すなど、火炎放射器を目の前で撃たれ、その炎を素手でどうにかするようなものだ。
空中でまた咲夜が消えた。
「咲夜!やめろ!今、私たちが争って喜ぶのは萃香だけだ!戦わないといけない理由があるなら、私たちがそれを潰す!だからやめてくれ!」
「……その提案はとてもうれしいものです。しかし、私にやられているあなたでは話にならない」
魔理沙の目の前に咲夜が現れ、そう言った。
「…っ!」
魔理沙は現れた咲夜を呆然と見つめるしかなかった。
「魔理沙!」
魔理沙は遠距離での弾幕戦はかなり強い。だが、接近戦は魔理沙がキノコ料理以外を作る並に不得意だ。近中距離で戦う咲夜とは相性が悪すぎる。
魔理沙が持っている箒で咲夜を殴った。
当たる寸前に咲夜は既にいない。
時を止める必要もなかったのだろう。少しかがんだ状態でかわしている。
「…あ…ぐ…ぁ……!」
腹にナイフが刺さった魔理沙がゆっくりと崩れ落ちた。だが、何とかぶっ倒れずに済んだようだ。
魔理沙は自分に刺さったナイフを呆然と見つめた。
「ごめんなさい魔理沙。私たちも後に引けないのです」
魔理沙の後ろから咲夜が手を伸ばしてナイフを引き抜いた。
魔理沙の腹から血がこぼれはじめた。そこを押えていた魔理沙の手が血で染まり始める。
「…うぶっ……」
魔理沙が地面に血を吐き出した。
意識が朦朧とし始めているらしく、魔理沙が前方に倒れた。
咲夜は倒れた魔理沙を回り込んでちょうど魔理沙の頭の前あたりに立ち止まった。
「……咲…夜……もう……やめ………」
魔理沙が自分の目の前に来た咲夜の右足を掴んだ。
「………」
咲夜が左足を上げ、ガツンと魔理沙の頭を踏み抜いた。
「うぐ……!?」
魔理沙は気を失ったらしく、動かなくなった。
「…咲夜……!あんた!」
咲夜を睨みながら私は走り出した。
咲夜もそれにこたえるように両手にナイフを持って私に向かって走った。
「せぇいっ!!」
私がお祓い棒で殴りかかると咲夜は二本のナイフで受け止めた。
だが、すぐに咲夜のナイフが折れ曲がり始める。
「さすが博麗の巫女…!相変わらず化け物並みですね……!」
咲夜がうめくように言った。
咲夜が突如下がりながら折れ曲がったナイフを私に投擲し、新たな数本のナイフも投げてくる。
私はお祓い棒を使い全てのナイフを叩き落とし、後ろを向いた。咲夜がちょうどナイフを手に持って私に突き刺そうとしている手を掴んで止めた。
「後ろに回る癖は治ってなかったみたいね」
咲夜は生物に触れると時間を停止させてても解除されてしまうし、咲夜に触れている限り時間を止めることはできない。この勝負は貰った。
「残念ながらね!」
咲夜がもう片方の手でナイフを逆手に持ち替え、切りかかってくる。
それを私はお祓い棒で殴った。咲夜がナイフを落とした。お祓い棒で殴った手は痺れてしばらく使い物にならないだろう。
「ぐうっ……!」
掴んだ手を捻り、腕を背中の方に回させ、膝の裏を足の裏で蹴り飛ばし、膝を地面につかせた。
「ぐあっ…!?」
「咲夜、あんた何をしたかわかってる?」
「えぇ…!よくわかってるわ…!」
咲夜が言った。
「………やらなければいけないことがあるって言ってたわね?」
「……ええ」
「それはなに?」
「……言えません…」
「言いなさい!」
私が怒鳴るが咲夜は答えない。
「………」
「この…!」
私が咲夜の腕を締めあげようとした。
しかし、横から強い衝撃をくらって横に吹っ飛ばされた。
「がっ…!?」
白玉楼に生えている大きな木までぶっ飛ばされた。妖夢達が春を集めて咲かせようとしていた桜だ。
「くう…!」
「すいません。霊夢さん」
私の周りにはゆらゆらと黒い羽根が落ちてきた。
「文…」
「……咲夜さんを連れ戻しに来ました」
「…わかりました。行きましょう…文……霊夢も時間がなさそうだし」
魔理沙のことか…。
文に連れられて咲夜は飛び去った。
魔理沙の腹のあたりに小さな血だまりができている。
咲夜と文が近くにいないことを確認して魔理沙に駆け寄った。
「…魔理沙!」
魔理沙の傷を確認した。かなり深い刺し傷だ。
魔理沙の顔色が青白くなってきた。
早く手当てしなければまずい。
魔理沙を担いだ。
永遠亭に行こうとしたが鈴仙が萃香のところにいる。永琳も必然的に萃香のところにつくだろう。そのため永遠亭に行くわけにはいかない。
「魔理沙!しっかりして今助けるから!」
私が出せる最高速度で博麗神社に向かった。
明日も投稿すると思いますので、よろしくお願いします。