第六話をお楽しみください。
「神社に帰るころにはちょうどいい時間帯だろうし、夕ご飯にしましょう」
「そうね。…私は永遠亭に輝夜がいるから一度戻ってそっちで夕食を済ませる」
永琳が言った。
「わかったわ。…じゃあ早苗は私が矢守神社に運ぶから先に帰ってていいわ」
「大丈夫?空も持ってるし矢守神社まではいくわ」
「大丈夫よ。このぐらい一人でできるわ。それよりも早く帰って体を休めなさい」
「……ありがとう…。じゃあ、二時間後に博麗神社で」
永琳が私に早苗を預けて永遠亭の方向へ飛び去った。
私も早苗を矢守神社に運ぶため、方向を変えた。
早苗をおんぶし、空を小脇に抱えて持った。早苗の意識がなく、前かがみでないと後ろに倒れてしまうため、前かがみになって飛んだ。
「……」
先ほど永琳にも言った何か引っかかるところ、それについて考えながら飛んだ。
「………霊夢さん……すいません…私……」
しばらくして意識を取り戻した早苗がだらりと投げ出されていた腕を持ち上げ、落ちないように肩にしがみついた。
「大丈夫よ。もうすぐ矢守神社につくわ」
「…ありがとうございます……もう大丈夫ですよ」
早苗がそういうのでとりあえずおんぶしていた状態から解放した。
「大丈夫?顔色が優れていないみたいだけど」
「……すいません。…あんな現場を見たのは初めてで……」
「仕方ないわよ、あんなところを見たんだから……」
もし分けなさそうにする早苗をなだめるように言った。
「……あとはひとりで行けます。いつ集まればいいんですか?」
「二時間後だけど、大丈夫なの?」
「……はい…気分を落ち着かせてきます」
真っ青な顔をした早苗は矢守神社に向かって飛んで行った。
「…私も早く帰って結界から魔理沙を出さないと」
まあ、起きていればの話だが。
二十分ほどかけてようやく博麗神社についた。
「魔理沙ー…起きた?」
魔理沙を呼びながら寝室に向かった。
「おう…起きてるぜ」
障子を開けると、結界の中で布団から上半身だけを起こしている魔理沙が言った。
「傷はどう?」
「集中的に治したから……あと一時間もあれば大体全開だぜ」
魔理沙が自信満々に言った。
「よかった。もう…心配させないでよね」
「悪い悪い」
魔理沙が言いながら私に微笑んだ。
「今日は朝から何も食べてないし、何か食べましょうか」
私が言うと魔理沙がパッと笑顔になった。
「そうだな!…それと…そいつどうしたんだ?」
私が小脇に抱えている空のことを指さしながら魔理沙が言った。
「さとりも萃香の側だったでしょう?それで戦いを挑まれたから、封印して連れてきたの……今は気絶してるけど時期に目を覚ますわ」
「…そうか」
「じゃあ、ご飯にしましょう」
私がいい、結界を解除すると魔理沙は立ち上がり、一緒に台所に向かった。
空は来客用の布団に寝かせた。
お米を研ぎ、釜に水と一緒にいれてかまどに火をつけた。
みそ汁などを作り、ご飯が炊ける少し前に野菜を切り、肉を焼いて皿に盛りつけた。
料理をしているうちにちょうどよくたけたご飯を茶碗の上に盛り付け、魔理沙の席の前に置いた。
「いつも悪いな霊夢」
魔理沙は私が座るのを待って手を合わせた。
「「いただきます」」
言い終わると魔理沙は箸と茶碗を持ち、待ちきれなかったといわんばかりに机に並べられた料理にがっついた。
「さすが霊夢!うまい!」
「…ありがと」
しばらく当たり障りのない話をしていたが、魔理沙が沈んだ表情で言った。
「……すまなかった…霊夢……私は…あの時何もできなかった」
「…そんなことないわよ…実際、魔理沙が咲夜にレーザーを撃ってなかったら、私は攻撃を受けてたし、それに私こそ魔理沙が怪我をするまで何もできなかった」
「けがは私の力不足だ……霊夢のせいじゃない…」
「「……」」
しばらくの間、食卓が静かになる。居心地の悪いような雰囲気がながれ、自分を自分で傷つけているような会話にそれが拍車をかける。
「…じゃあ、…どちらも悪くないってことにしましょう」
「…ああ。霊夢ありがとう…」
「…ええ。こちらこそ」
しばらくまた沈黙が続くが、お互いになれないことをしてちょっと恥ずかしい気もするが、居心地の悪いものではなかった。
「……なあ、霊夢」
魔理沙が外を見ながら私に言った。
「…どうしたの?」
「見ろよ。夕日がきれいだぜ」
魔理沙が茶の間の間から開けられた障子から外を眺めながら言った。
魔理沙の見ている方向を見るとオレンジ色に輝く太陽が半分ほど山に隠れている。
空と雲をオレンジ色に変え、今日一日の役目を終えて沈んでいく。
「そうね…」
これまであまり意識して夕日など見ていなかった。だが、なかなかきれいなものだ。
「…霊夢みたいにきれいだな」
魔理沙が頬をわずかに染めてニヤリと笑いながら言った。
魔理沙の不意打ちともいえる言葉に鼓動が早まり、顔が熱くなるのを感じた。
魔理沙め。私が驚いて恥ずかしがる姿を見て楽しむつもりだろうがそうはいかない。
「そうかしら?魔理沙の方が綺麗よ?」
「んな…!?」
不意打ちを予期していなかったのか魔理沙の肌がいつものように耳まで赤く染まっていく。
「あら。魔理沙…耳まで赤くなってるわよ?」
私も顔が赤くなっているだろうが、何も言い返せないでいる魔理沙を見て口角が自然と上がる。なんというか。可愛くてついいじりたくなってしまう。
恥ずかしがる魔理沙を見ていた時、視線を感じた。
その方向を見ると案の定。永琳と早苗がニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。
「のぞきなんて趣味悪いわよ……!」
私が絞り足したような声で言うと魔理沙が頭の上にはてなマークを浮かべるが、なぜ私がそう言ったかすぐに理解することとなった。
「ラブラブねぇ。お二人さん」
その言葉に魔理沙が飲んでいたみそ汁を変な風に飲み込んだらしくせき込んだ、私も顔から火が出るのではないかと思うほど顔が熱くなるのを感じた。
「いやー。いいですねぇ。沈んだ雰囲気からお互いに謝るというらしくないことをして、
恥ずかしくて雰囲気がすこしなごんだところで…顔を赤くしながら――」
早苗が相変わらず腹の立つニヤニヤとした顔で解説を始めようとした。
「「解説するなあああああああああああああああっ!!」」
私と魔理沙は二人同時に机に突っ伏した。もし恥ずかしさで死ぬことができたら恥死にしてるところだ。
聞かれていたという恥ずかしさに私も魔理沙もしばらく顔を上げることができなかった。
「いやー、王道は良いものですね。久しぶりにこんなニヤニヤできる場面に出くわしましたよー」
別れるまでは病人みたいな青白い顔をしていたのに、そんな様子は微塵もない。
「お前はもうしゃべるなぁ!」
魔理沙が目尻に涙を溜めて叫んだ。
「で、どこに行くんだ?」
魔理沙が縁側に腰かけている私の隣に腰かけて言った。
「そうね……だいぶ時間もたってて、メンバーも増えてると思うけど…幽香はいなかったみたいだし…太陽の畑に行ってみようと思うわ」
「そうだな…幽香がいればかなりこっちも力をつけることができるな」
魔理沙が大きな満月を見上げながら言った。
「ま、来るか来ないかは幽香次第だけど」
私と魔理沙の会話を聞いていた永琳が後ろからお茶を啜り、言った。
「……まあ、私はどちらにもつかないとか言って断られちゃいそうですけどね…」
早苗が割と幽香なら言いそうなことを言った。
「そうでないことを祈るしかないわね」
私は肩をすくめながら言い、立ち上がった。
「……そろそろ行くか…」
魔理沙も座ったばかりではあるがすぐに立ち上がり、立てかけてあった箒を持った。
「さ、行きましょう」
私を先頭にして少し距離のある太陽の畑に向けて速足気味に飛んだ。
「…霊夢」
魔理沙が私の横まで加速しながら飛び、正面を見たまま私を呼んだ。
「ん?どうかしたの?」
「…なんだか難しそうな顔をして考え事をしてるなと思ってな」
「別にちょっと考え事をしてただけよ」
「…そうか」
飛び始めてから四十分ほど経過した。太陽の畑が見えてきた。
「見えてきましたね…でも、なんだか争った跡がりますね」
早苗の言う通り、幽香が精魂込めて育ててきた花たちが半分以上がなぎ倒され、半ばからちぎれているのもあり、それらが地面を埋め尽くしように落ちている。
降りると、予想以上に太陽の畑は荒れ放題だった。
ところどころ地面がえぐれていたり、陥没している部分などもある。
「幽香が戦ったということね」
永琳が近くに落ちていたヒマワリを拾った。土で汚れて茎が千切れていて、壮絶な戦闘があったことを表していた。
幽香が自分の庭をここまで放っておくわけがない。
しかし、周りを見ても幽香の姿はない。ということは、幽香は負けてしまったのだろうか。幽香が負けるなんて想像つかない。
「…幽香ー」
私が名前を呼んでは見るがもちろん反応はない。
「…家の中にはいませんね」
早苗が窓から部屋をのぞき込みながら言った。
「あれ?幽香のベットで寝てるの…リグルじゃないか?」
早苗同様に窓からのぞいていた魔理沙が言い、壁に空いた穴から中に入っていく。
「寝てるみたいだぜ?起こして聞いてみるか」
魔理沙が言いながらリグルを揺するが全く起きる気配がない。
「…魔理沙、寝てるんじゃないわ…気絶してる」
永琳が鍵の開いている窓を開けて家の中にいる魔理沙に言った。
「もしかしたら何か知ってるかもしれないわ……博麗神社に連れて行きましょう」
私が言うと魔理沙がおうと返事をしてリグルをベットから起こした。
「……魔理沙、早くこっちに来て」
「どうした?霊夢」
「…奴ら、たまたま居合わせたというより、待ち構えていたみたいだから」
私が言うとリグルを抱えて魔理沙が壁の穴から永琳と出てきた。
「戦いはさけられなさそうだな」
魔理沙が言い、私と対峙している二人を見た。
「どうせ大人しく帰ってはくれないんでしょ?勇儀、それに美鈴」
私が言うと勇儀は自信に満ちた笑みを浮かべ、美鈴は無表情を決め込んだ。
誤字脱字はできるだけ治していこうと思います。
明日も投稿すると思いますので、宜しくお願い致します。