ご注意下さい。
季節は夏になり、私こと杉花龍一は夏休みだというのに彼女とデートや友達とプールのようなリア充イベントは一つも予定になく目下部活に精を出し暑苦しい青春を謳歌していた。
今日も遅くまで部活で家に着くと疲れた足取りで自分の部屋に向かい扉を開ける。
「あ、龍一くんお帰りー」
「……」
そこには見慣れた能天気な顔をした幼馴染松実玄がなぜか俺の部屋にいた。
「おい、玄さんや」
「なんですかな龍一さん」
「どうしてお前は俺の部屋にいるのかな?」
「え?」
「え?じゃねえよ!!こっちが『え?』だよ!!どうやって入ってきた!?」
「龍一くんに話があるから家まで来たらおばさんがなら龍一くんの部屋で待っててっていうから…」
「あんのババア…思春期の男子の部屋をなんだと思ってるんだ!!玄…」
龍一は夏なのにも関わらず冷たい汗をかきながら恐る恐る玄に絶対に確認しておかねばならない『ある事』を尋ねる。
「なんでしょうか?」
「何か…見たか…?」
「何かって?」
「俺の部屋
「別に何も?」
質問の意味がわかっているかどうかすら不安だがあの玄のキョトンとした顔は多分見ていない、見ていないと信じたい!!そう自分に言い聞かせると少し心が楽になり先程までの心臓の鼓動も徐々に正常なリズムに戻りつつある。
龍一は額の汗を拭い深く深呼吸する。
「そっか見てないならいいんだ、どうしたんだ玄なにかあったn」
「あ、そうだ龍一くん今度ベッドの下にあったおもちが素晴らしいお姉さんのDVD、私にも今度みせ」
「やっぱ漁ってんじゃねえか!!!!」
顔を真っ赤にした龍一が近くにあったWeekly麻雀TODAYを丸めて玄の頭をポカリと叩く。
「痛っ、お、女の子に暴力はいけないのです!!」
「安心しろ今のお前は俺の心に深い傷をつけた悪魔だ。か弱い女の子じゃ決してない!!で、今日はなんで来たんだ?」
「あ、そうそう実はね」
そうして玄は今日赤土さんに実業団の人がスカウトに来たことについて話始めた。
「へ~そりゃあすげえや」
「でしょでしょ赤土さんスカウトだよ!!実業団だよ!!」
「でも、玄はそれでいいのかよ?」
「え?」
「赤土さんがいなくなるってことはこども麻雀倶楽部もなくなるってことだろ?」
確かに赤土さんが実業団入りすることはめでたい事ではあるがそれと同時に『あの場所』がなくなることを指していた。龍一の核心をついた質問に玄はニコリと笑い応える。
「大丈夫、あの場所でまたみんなと麻雀できるそんな気がするんだ。龍一くんも一緒にね」
「玄…」
「じゃあ私行くねバイバイ」
「ま、待てよ玄」
「わわ!!どうしたの龍一君?」
帰ろうとする玄の手を龍一がギュッと掴んで制止する。あまりの突然のことにテンパり玄の顔が真っ赤になっていると龍一が顔を近づけお互いの息がかかりそうなくらいの距離まで詰め寄ってくる。
「玄お前…」
「え?え?りゅ、龍一くん物事には順序がありましてですね、いきなりはひゃぃ!?」
龍一は玄の腰元に手をかけカーディガンの中に手を入れる。するとカーディガンの中から水着の女性がパッケージのDVDケースが出てきた。
「このカーディガンの下に隠したDVDどうするつもりだったのかな?」
「あは、あはは…」
「玄…お座り…」
「はい…」
そのあと私は龍一くんに小一時間ほど説教されたあと追加で五発頭を叩かれたのでした。
◆
そして実業団入りが確定した赤土さんをみんなで送り出すこととなりました。
「「赤土せんせーおめでとう、今までありがとうがざいました」」
「ううんそれはこっちの言いたいこと、ここで麻雀を教えているうちに思い出した。自分がどれだけ麻雀が好きだったかを…だから…こちらこそありがとうございました」
最後は全員で送り出そうとしていたのだがこの場に龍一の姿はなかった。
「でも龍一も薄情だよね、急にドタキャンなんて…ありゃ絶対モテないね」
「仕方ないよ部活が忙しいらしいから」
龍一が来ないことに不満げな憧を玄がなだめる。
「そうなんですか」
「最後はみんなで赤土さんにお別れ言いたかったけどちょっとずつだけどみんな変わってきちゃうんだね、憧も来年は龍一さんと同じ阿太峯に行くんでしょ?」
穏乃の質問に憧は顔をうつむきながら答える。
「うん、やっぱり真剣に麻雀やりたいしそれに…」
「それに何ですか?」
「う、ううんなんでもない!!ジュースとってくる!!」
「憧…?」
憧は話を遮るように和達から離れて行ってしまった。その時和がみた憧の顔は今まで見たことのないほど真っ赤でどこか嬉しそうな表情をしていた。
◆
壮行会開始から数時間後、もうすっかり日が暮れて部活の生徒も残っていない阿知賀女子に龍一は塀をよじ登って校内に忍び込んでいた。
恩師との別れの日だというのにも関わらずいつも以上に部活の時間が長引いてしまいもうこんな時間までみんないないと分かっていてもほんのわずかな可能性に賭けてしまいたくなる。
「こんな時に部活長引くとか!!もう誰も部室にいないよな…おっと!?」
急いでいたせいか突然飛び出してきた人影に気づかず曲がり角でぶつかってしまった。
「きゃっ!?」
顔はあたりが暗いせいでよく見えないが声からして女の子だろう。
ぶつかって尻餅をついてしまった女性に龍一は手を差し伸べる。
「ご、ごめんなさい大丈夫ですか?」
「はい…あれ学ラン…」
ぶつかった女の子は龍一の姿を見て不思議そうな声で尋ねる。
「いやこれは違うんですよ!!決してやましいことをしようと思って阿知賀女子に忍び込んだわけではなくちょっと野暮用があり」
「龍一くん?」
「へ?なんで俺の名前」
自分でも何言ってるのわからない位のマシンガントークの最中に彼女が自分の名前を呼んだことで少し落ち着きを取り戻し、改めて彼女の顔目を凝らしてよく見てみるととてもよく知っている人物で龍一はさっきとは別の意味でテンパり始めた。
「へ?ゆ、ゆゆっゆう宥姉ちゃん!?」
「こんばんわ~」
今週中にタイガーアンドドラゴンの投稿もできるように頑張ります。
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