テイルズオブヴェスペリア ~転生者は錬装士(マルチウェポン)~ 作: 奏
「そういえばリオは戦えるよな?」
俺達は騎士達に見つからないように気配を殺しながら先へと進んで行くとユーリが話しかけてくる。
「まっさか~俺なんて戦力にはならな……」
「その割にはさっき向かってきた騎士を一瞬でのしてたよな」
「なら聞くなよ」
そんなやり取りを交わしながら俺らは出口へと足を進める。
が、不意にした男の声に気付き、俺達は壁の影に身を寄せた。そして、その声がした方向に目をやる。幸い、俺達には気づいていないようだが。
「もうお戻りください!」
「今は戻れません!!」
「例の件につきましては、我々が責任をもって小隊長に伝えておきますので…」
二人の騎士たちが取り囲むそこには随分と綺麗な身なりをした少女がいた。結ばれた淡い桃色の髪を揺らしながら彼女は騎士たちに反抗する。
「そう言ってあなた方は、結局は何もしてくれなかったではありませんか!」
そう言うと少女は近づこうとした騎士に向かって剣を向ける。
「それ以上近づかないでください」
「おやめになられたほうが……お怪我をなさいますよ」
「剣の扱いは心得ています」
騎士たちが軽く脅すような物言いにも少女はひるむ気配がなかった。しかしそれが合図かのように騎士は剣を鞘から抜く。
「致し方ありませんね、手荒な真似はしたくありませんでしたが……」
「おい、いたぞ!!こっちだ!」
その声を聞いた騎士たちが集まってくる
「お願いします!どうしてもフレンに伝えなければならない事が!」
その事を聞いたユーリは突然、壁の影から飛び出す。ちょ、ユーリ!?
「はぁ!」
「ぐはぁ!」
「ごふっ」
「フレン!?…私を助けに……え?」
少女に一番近かった、二人の騎士が何らかの衝撃で吹き飛ぶ。その一つに見覚えがあったのか、一声叫び背後を振り返る。
だが、そこにいたのは彼女が脳裏で思い浮かべていた人物とは違った人物だった。戸惑いを隠せないように大きく見開いた澄んだ黄緑色の眼に映るは黒く長い髪、鋭く光に照らされた黒い瞳。
そして、その隣には黒髪の青年と同じ位の背格好をした同じく黒目黒髪の青年の姿。唯一見た目で違うのは髪の長さと容姿位だろうか。
「だ、誰ですか…?」
そう言うと彼女は動きを止め、残りの騎士たちは唖然としながらも、今度は彼らに向けてユーリが剣を持ち身構える。
「ユーリ、飛び出すなら先に言っといてくれよ」
「とか言いつつ、リオだってちゃっかり一人倒してんじゃねーか」
「いやぁ、だってこの騎士俺の事捕まえた人の声だったからつい」
「なら、仕返し出来てよかったな」
「なぜだろうユーリといると間違いなく俺、一級犯罪者になれる気がしてきたぞ?」
そんなくだらない話をしていると残っていた騎士たちが声を上げる。
「貴様達!何者だ!!」
「ったく、こっそりのはずがいきなり厄介事かよ」
「自分から突っ込んだんだけどな、主にユーリが、」
「気をつけろ片方の奴は魔導器を持ってるぞ」
「3対2だ、数でかかれば問題ない!」
騎士たちは束になり俺達に襲い掛かる。俺は先ほど取り出した拳闘武器をつける。まぁ一応Lv20あたりの武器だし死にはしないだろう。ユーリは早くも騎士の一人へと接近して剣を振るうとそのまま騎士は成すすべもなく首もとを峰打ちされ倒れる。
俺も同じくして騎士がユーリの方に意識が向いている間に接近してアーツを叩き込む。
「獅子連撃!」
騎士はそのまま吹っ飛ばされ、壁に激突して動かなくなる。そして最後の騎士のほうを見るとユーリの蒼波を食らって倒されるところだった。
「ふぅ、お疲れ」
「おう、お疲れさん。てかリオの武器って拳闘だったんだな」
「いやいや、それはどうかなっと………ユーリ、一歩手前にジャンプ」
俺がそう言うとユーリは疑問そうにしながらも指示通り手前にジャンプする。
──パリンッ
するとさっきまでユーリのいた場所に花瓶が振り下ろされていた。
「うおっ!なにすんだ!?」
後ろからした音にユーリが驚き振り返ると先ほどの少女だった。
「だってあなた達、お城の人じゃないですよね?」
いやいや、だからっていきなり花瓶で人の頭殴るのは駄目だろ。
「そう見えないってんなら、そりゃ光栄だな」
ユーリがそういうとどこからか大声が聞こえてくる。
「ユーリ・ロ~ウェル!何処だ~!」
「不届きな脱走者め!逃げ出したのは、わかっているのであ~る」
そうの声を聞いたユーリはめんどくさそうにしている。
「っち、またあいつらか、これで完全に脱獄罪追加だな。」
「ユーリ・ローウェル?もしかしてフレンのお友達の?」
「ああ、そうだけど?」
「それよりユーリ、早く行かないと、また面倒になるぞ?」
「あのユーリさん、フレンについてお話が……」
「時間がない、とりあえずはフレンのところに案内すればいいか?」
「あ、はい!」
「いくぞ!」
そうして、俺達は騎士たちの目のつかないように城の中を通って行く。
貴族らしき少女を連れ、一つの部屋についた。
その扉を開けると中には誰もいなく、それどころか部屋の隅々まで片付いている。
「やけに片付いてるな…こりゃフレンの奴、どっかに遠出かもな」
俺はそのまま壁に寄りかかりながら、少女とユーリのやり取りを眺めている。
「そんな…間に合わなかった」
「んで、いったいどんな悪さやらかしたんだ?」
「どうして?私、何も悪い事なんてしていません。」
「なのに騎士に追い回されるのか?常識じゃ計れねえな、城ん中は」
ユーリがそう言うと少女は少し黙った後、決心したかのように顔を上げる。
「あの!ユーリさん!」
「な、なんだよ急に」
「あの詳しい事は言えませんけど、このままだとフレンの身が危ないんです!それをフレンに伝えたくて…」
「行たきゃ、行けばいいんじゃないのか?」
「それは…」
そう言うと少女はまたしょぼんとなる。けれどまた何か考え付いたのかまた元に戻る。さっきから見てて面白いな。
そしてユーリはそのままベットに腰掛けながら言う。
「それに俺は出来るだけ早く下町に戻りたいんだよ」
「だったら私も連れて行ってください。せめてお城の外まででもいいので……お願いします、助けてください」
「訳アリなのはわかったからせめて名前位聞かせてくんない?」
そして少女が話そうとした時だった。
突然、閉められていた扉が激しい音を立てながら開いた。しかもそれは本来の開き方ではなく倒れこむように蹴破られたのだ。少女が驚く中、二人は全然物怖じをしていなかった。俺は動じずにその場から動かない。ユーリも窓を見たまま視線を向けようとしない。
そして、その扉の向こう側には双剣を持った一人の男が立っている。
「ノックくらいしろよな」
「どっちがフレン・シ-フォだ?まあいい両方ともオレの刃の餌になれ…」
「ほら、フレンお前、呼ばれてるぞ!」
今まで黙っていた俺はユーリに呼びかける。
「ちょ!?リオおまえ!」
「お前がフレン・シーフォか。オレはザギ…お前を殺す男の名前だ、覚えておけ。死ね、フレン・シーフォ!!
ふう、いやーかなりあいつめんどくさそうだしユーリに押し付けられてよかったよかった。
てゆーか刃の餌になれとか、実際にいうやつ見ると三下臭しかしねえ。てかまじ腹痛ぇwww
そして笑いながら再びユーリ達の方を見ると目の前に刃が迫っていた。
「あぶな!?」
「どうやら先に貴様が死にたいらしいな」
俺はすぐさま拳闘武器を出して防御する。というか何故俺から狙うんだ!!
「リオ、お前さっきの思いっきり口に出して言ってたぞ」
「なるほど」
まさか自分で墓穴を掘る結果になるとは。
そして叫ぶように剣を俺へと向けてくるザギ。
行きつく間もなく、ザギはものすごい勢いで床を蹴り俺に剣の矛先を向けてくる。俺は片脚を後ろにずらす事で剣をすれすれの所でかわす。そして空いている横っ腹に拳を叩き込むが、ザギは残っていたもう一つの剣で受け止める。けれど衝撃までは受け止めきれず後ろに吹っ飛び猫のように着地した。
そんな攻防が続くいて、一定の距離を置いたとき、ザキは言った。
「良い感じだ…」
「いや、俺よりもあそこに座ってる人の方がもっといい感じになれるよ?」
そう言ってユーリを指すがそれでもザギは此方を見たままだった。
「いいな、その余裕も。…ははは!さあ、上がってキタ!!上がってキタ!!良い感じじゃないか!」
「……」
もういいです。憑神出すぞこら。
「まったくフレンもとんでもねぇのに狙われてんな」
そんなのんきな会話をしていらっしゃるユーリさん、まず俺を助けてくださいよ。そうしていると隻眼の暗殺者のような格好をしたやつがザギが蹴破った扉から入ってきた。
「ザギ、引き上げだ。こっちのミスで騎士団に気づかれた」
「うははははっ……!俺はまだ上り詰めちゃいない」
「騎士団が来る前に引くぞ。今日で楽しみを終わりにしたいのか?」
そう言った次の瞬間、隻眼の暗殺者はザギに切り刻まれた。そして此方を軽く見た後、隻眼の暗殺者を引きずりながら部屋を出て行った。
「ここもゆっくりできねぇのな」
「あの、ユーリさん」
「わかったよ、ひとまず城の外までは俺らと一緒だ」
「はい、あの、私エステリーゼって言います。よろしくお願いします。ユーリさん、リオさん」
そういって自己紹介をするエステリーゼ……ん?
「あれ?俺、自己紹介したか?」
「いえ、先ほどからユーリさんがそう呼んでいたので…」
「なるほど、じゃあ改めてリオ・ヒイラギだ。別にさんはつけなくていいから気軽にリオでいいぞ?」
「はい!よろしくです。リオ」
「それじゃあさっさと行くぞ」
そう言って俺達はフレンの部屋を出て女神像へと向かった。
そういえば一週間投稿と言いつつ、詳しい日程を言ってませんでした。
次からの投稿は毎週日曜の深夜0時にしようと思っています。