テイルズオブヴェスペリア ~転生者は錬装士(マルチウェポン)~   作: 奏

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第十相

 

 

 

帝都から飛び出した俺達は現在、ハルルの町の途中にある北のデイドン砦にたどり着いていた。

そこには多くの騎士達が俺達の目に入る。

 

「私たちを追ってきた騎士でしょうか?」

 

「どうかな。ま、あんま目立たないようにな」

 

「そうだな、…………ま、無理だろうけど」

 

そもそも、この二人を見てると目立たないイメージがわかないんだよなぁ。

 

「はい。私もフレンに早く追いつきたいですから」

 

「んじゃ、さっさと砦を抜けますか」

 

そう言って歩き出そうとするユーリの肩を掴んで止めた。

 

「ん?なんだ?リオ」

 

「あちらをご覧ください」

 

つかまれたことに気がついたユーリがこちらを振り向くが、俺はそのまま右方を指差す。

 

俺の指の先、そこにはエステルが出店の本に釘付けになって読んでいる姿があった。

 

「本当にわかってんのか?」

 

「恐らくはな…」

 

 

カンッカンッ!!

 

突如、鐘の音が激しく鳴り響くと砦の中が慌しくなる。そして砦の向こう側からは砂を巻き上げながら此方へと向かってくる魔物の群れがいた。

 

砦の外にいた人達は、急いで砦の中に入っていくそして騎士が急いで門を閉じようとしている。

 

「早く入りなさい!!門が閉まるわ!!」

 

砦の上にいる女性の声が響く。

 

「矢だ、矢を持ってこい!」

 

「早く門を閉めろ!!」

 

「くそっ!やつが来る季節じゃないだろ!」

 

「主の体当たりを耐えればやつら魔物は去る!訓練を思い出せ!」

 

 

騎士の指示で、騎士達は魔物の群れに矢を放つ。イノシシのような魔物の群れはそれでも勢いを殺さず砦へと一直線に向かってくる。

そして人が一通り砦に入る。だが、騎士は気がつかない。一人の少女と一人のケガをしている男性がまだ砦の外にいることを。

 

 

「……よし、退避は完了した!扉を閉めろぉ!」

 

「閉門を待ちなさい!まだ残された人が……」

 

 

女性は騎士の指示を止めようとするがどうやら魔物の足音によって掻き消され声が届いていない。エステルは魔物達を見て驚きの表情を浮かべる。

 

 

「あれ、全部、魔物ですか……」

 

「帝都に出て早々にとんでもないもんにあったな」

 

 

「って!?おい、ユーリ!」

 

 

そう言ってユーリとラピードは門に向かって走り出しっていた。目立たないようにするんじゃなかったんかい!

 

 

「グルルルルッ!」

 

「な、なんだ、おまえ!うわっ、うわっ!やめろ!」

 

 

ラピードが門を閉じようとしている騎士を威嚇する。騎士が手を離したことで門の閉門は止まった。

俺もユーリとエステルの所に向かおうとする。

 

 

「エステル、おまえはここで待って……っておい!エステル!」

 

 

エステルはユーリの言うことを聞こうともせず真っ先に倒れている男性へと走っていく。

 

 

「ユーリは女の子を!」

 

「……はいはい」

 

 

ユーリは呆れた顔で頷いて女の子のもとへと走る俺はユーリの後を追っていく。エステルは足にケガをした男性駆け寄る。

 

 

「た、助けて……立てなくて……ひっ……!魔物が、魔物が……!」

 

「大丈夫ですよ」

 

 

エステルは得意の治癒術で男性の足を治療する。ユーリの時の様に男性の足へと光が集まり照らすと男性は驚きながら何事もなかったかのように立ち上がる。

 

 

「……あ、た、立てる」

 

「早く避難してください」

 

 

そう促されて男性は走って門に向かう。それに続いてエステルも門へ走った。

後ろからユーリが女の子を抱えて門に入ると同時に俺もその後から門の中へと入り込む。

 

 

「お人形!ママのお人形!」

 

 

少女が人形がないことに気づいて泣き出すとエステルは外を探しに行こうとするが俺が止める。流石に見当たらないものを探すほどの時間はない。

 

 

「は、放してください!」

 

「ほい、これだろ?」

 

「え?」

 

 

俺はそう言って人形を懐から取り出した。

 

そのままエステルが唖然としている間に門が閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとお礼を申していいか…」

 

「怪我まで治してもらい、本当にありがとうございます」

 

俺達はあの助けた女の子の母親と怪我を治してもらった男性に礼を言われていた。

 

 

「い、いえ私達は…」

 

「お兄ちゃん達!ありがとう!」

 

 

女の子がお礼を言い終えると母親と男性は各自がいるべき場所へと帰って行く。

 

 

「……みんな無事で本当によかった…」

 

 

エステルはそう言うと、突然、ぺたリと座り込んだ。

 

 

「あ、あれ…?」

 

「安心した途端にそれかよ」

 

「あはは、お疲れさん」

 

 

ユーリと俺は笑いながら一緒に座った。

 

 

「結界の外にはあんなに凶暴な魔物がいるんですね…」

 

「あんな群れで来られると、結界が欲しくなるよな」

 

「だが、結界魔導器も貴重品だからな~」

 

「そうですよね…魔導器を生み出した古代ゲライオス文明の技術がよみがえればいいのに……というか、リオはいつの間にあのお人形見つけてたんですか。私、探しに行こうとしてたんですよ?」

 

「いや、ユーリの後ろで俺って今、必要性なくね?とか思ってたら偶然見つけてな」

 

「お前、後ろついてくる時そんなこと考えてたのかよ」

 

 

ユーリ達とそんな話をしていると騎士がやってきた。

 

 

「そこの3人、少し話を聞かせてもらいたい」

 

 

だが、騎士が話し掛けるとほぼ同時に、遠くから別の声が聞こえた。

 

 

「だから、なぜに通さんのだ!魔物など俺様がこの拳でノックアウトしてやるものを!」

 

「簡単に倒せる魔物じゃない!何度言えばわかるんだ!」

 

 

そちらに目を向けると緑のフードを目深に被った男が騎士ともめている。

フードの男のそばには、大剣を背負った大柄な男と三日月型の武器を持った少女が立っている。

 

 

「貴様は我々の実力を侮るというのだな?」

 

 

フードの男が言うと、大柄な男は大剣を抜き上へと掲げる。

 

 

「や、やめろ!」

 

 

騎士の警告を聞かずに男は大剣を振り下ろす。すると周りに風が巻き起こった。

 

 

「邪魔するな!先の仕事で騎士に出し抜かれたうっぷんをここで晴らす!」

 

「おい!」

 

「これだからギルドの連中は!」

 

 

俺達に話し掛けていた騎士も身構えていた。

 

 

「あの様子では、門を抜けるのは無理だな」

 

「そんな…フレンが向かった花の街ハルルはこの先なのに」

 

「騎士に捕まるのも面倒だ。別の道を探そう」

 

「んじゃ、ちょっとした抜け道を使おうぜ」

 

「リオは砦の先に行く方法知ってるのか?」

 

 

ユーリが俺の話に耳を傾けようとすると先ほどの砦で叫んでいた女性が俺達に話し掛けてきた。

 

 

「ねぇ、あなた、私の下で働かない?報酬は弾むわよ」

 

 

そう言って金が入った袋を掲げる女性に先ほどまで話していたユーリは無言で目を反らす。

 

 

「社長(ボス)に対して失礼だぞ、返事はどうした」

 

「名乗りもせずに金で吊るのは失礼って言わないんだな。いやぁ、勉強になったわ」

 

「おまえ!」

 

 

女性と一緒にいた男性は、ユーリの態度に怒り、ユーリに詰め寄ろうとするが、女性が止める。

 

「予想通り面白い子ね。私はギルド『祝福の市場(ギルド・ド・マルシェ)』のカウフマンよ。商売から流通までを仕切らせてもらってるわ」

 

「ふうん、ギルドね…」

 

 

ユーリがカウフマンのギルドという言葉に少し反応する。

すると、地響きが起こる。

 

 

「私、今、困ってるのよ。この地響きの元凶のせいで」

 

「あんま想像したくねえこど、これって魔物の仕業なのか?」

 

「ええ、平原の主のね」

 

「平原の主?」

 

「今さっきの魔物達の親玉だよ」

 

 

エステルがカウフマンに尋ねると、代わり俺が答えるとカウフマンが俺の声に反応する。

 

 

「って、あら?よく見たらリオ君じゃないこんなところで会うなんて奇遇ね」

 

「リオ、知り合いですか?」

 

「昔、護衛の仕事でな」

 

「んー、てことは彼がそっち側にいる限りは交渉しても勝ち目はなさそうね…」

 

 

カウフマンは俺達に聞こえないように何かを呟く。がユーリが痺れを切らしたのかカウフマンに言う。

 

 

「わりいけど、俺達にも急ぎの用があるんで、そろそろ行かせてもらうぜ」

 

「…ええ、そうね、呼び止めてごめんなさいね」

 

 

エステルはカウフマンにお辞儀をした後ユーリと砦の出口へ向かう。そして俺も向かおうとすると後ろから声がかかる。

 

 

「ねえ、貴方なら平原の主を倒せるんじゃないかしら?”黄昏の錬装士”君」

 

「おいおい、一応その正体知ってるのドンとあんただけなんだからあんま言いふらすなよ?」

 

「そうね前の護衛の時もそう言う条件だったわね」

 

 

カウフマンは俺を見据えながら言う。

 

 

「ま、今回は旅の仲間が最優先だから商売の話はまた今度な」

 

 

俺はそう言って背中越しに手を振りながらユーリたちのいる砦の出口へと向かった。

 

 

 

 

   =S=

 

 

 

~ギルドについて~

 

 

ユーリ「さっきのお姉さんギルドの人間だって言ってたな」

 

エステル「『祝福の市場(ギルド・ド・マルシェ)』のカウフマンさん、ですね」

 

リオ「ギルドにでも興味持ったかユーリ?」

 

ユーリ「いや、確かに興味がないわけではないんだが具体的にはギルドって何をするんだ?」

 

リオ「いろいろだな。商売だったり、魔物と戦うことだったり、ま、実際見てみればわかるだろ」

 

エステル「この先もギルドの方々に会う機会があるかもしれませんしね」

 

ユーリ「そうだな、けどあのお姉さん見たいに、押しの強いのは、ちと勘弁だけどな」

 

 

 

   =S=

 

 

 

 

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