テイルズオブヴェスペリア ~転生者は錬装士(マルチウェポン)~   作: 奏

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過去編ラストです


第六相

「邪魔だ!」

 

 

俺は手に持つ双銃を構え魔物に打ち込む。そして横から来る魔物には双銃に付いた刃で切り伏せる。

 

そうして急ぐように地面を駆けながら目的の場所へ着いた俺を待ち構えていたのは、魔物の群れによって荒れ果て崩壊してゆく街の光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        =S=

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、ジュディスの誕生日から数日たったころヘルメスはまた研究を再開し始めた。しかし今では以前のような性格はなりを潜め、俺が初めてこの家を訪れたばかりの時の様な表情が戻りそれと同じくして顔色も日に日によくなっていった。そのためもう心配はないと思った俺とジュディスは今日の早朝にヘルメスを送り出した。

 

そしてジュディスはいつものように学校へ行き、俺は日課を済ませバウルのいるバルビュサ山へと訪れていた。

 

 

───!?───

 

 

「バウル?どうしたんだ?」

 

バウルのいる洞窟で軽くくつろいでいると突如バウルが脅えるような表情になり、思わず声をかけるとこちらをまっすぐ見つめてくる。まるで俺に何かを伝えようとしているようだが俺はジュディスのように会話まではできないので何を伝えようとしているのかはわからなかった。

 

 

──……ッ!!──

 

 

「お、おいバウル!?」

 

 

バウルが何を伝えようとしているのかを探ろうとしているとバウルが突然何かを感じ取ったかと思うと勢いよく洞窟を飛び出して行ってしまった。先ほどのバウルの表情からしてただ事ではないだろう。俺の中で不安が募っていく。

 

俺はその不安に突き動かされバウルの後を追って急いで洞窟を出ると目の前に”ソレ”がいた。本来ならばテムザの山頂までは上ってこないはずの生き物、魔物だ。なぜ魔物がいるのか、  

 

  なによりもなぜ”ここ”まで来れているんだ?

 

それは同時に俺の中で最悪の答えを導き出す。………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”この場所はたとえ魔物でもテムザの街を通らなければ来られない”

 

 

 

 

 

 

 

 

その事を理解した瞬間、俺は手に双銃を取り出してそこにいた全ての魔物に弾丸を撃ち込んでいた。魔物はそのまま全て倒れるが、今の俺はそんな事など気にもせずそのまま全速力でテムザの街へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

    =S=

 

 

 

 

 

 

 

 

それは突然だった。リオと分かれた後ジュディスは集会所に向かったが、その後にたまたま必要な教材を忘れていた為に家へと取りに帰ってきていた。

 

 

「?」

 

 

本棚から教材を取り出そうとするとなにか聞こえたような気がした。そして突如自分を襲う奇妙な感覚、肌が強張りぴりぴりと痛みさえも伴いそうな嫌な感じがする。

 

そしてその気配は家の外から来ているように感じた。そしてなるべく音を立てないように忍び足で窓に近づいて外の様子を伺うと自分の目を疑った。というより最初は見たものが理解できなかった。

 

まるで牛のような大きさで黒い鱗のようなもので覆われた体をした生き物が通りにいた。それも一匹だけではない。

 

 

「(あれって魔物!?)」

 

 

それは自分にとって衝撃の出来事だった。そもそもジュディスの知る限りこれまでにテムザの街に魔物が入り込んだことは一度も無かった。しかし現に今は実際に街中へと侵入しているのだ。

 

 

そしてこれからどうするべきかを必死に考えていると魔物のうちの何匹かが唸りながら自分がいる家へと近づいてくる。そして突如家の扉を破壊して中に入ってきたのだ。

私は自分の体が総毛立つのがわかった。すぐさま私は父の書斎に逃げ込むと扉を閉め外の様子を伺う。どうやら魔物の目当ては家の食品のようですぐに厨房へと入っていく。

 

 

そして私はその隙に書斎を出て家を飛び出す。恐らくあそこにいたらあの魔物が書斎に来るかもしれないと思ったからだ。私はそのままみんながいる集会場へと走った。

 

けれど途中にはやはり魔物が何匹もいるから気配を頼りに回り道をしながらやっとの思いで集会所に着くと、中にいる大人たちにこの事を伝えようと急いで向かうと何故か集会所の扉が無かった。さっきまでは確かにここには扉が存在して自分でも家へと戻るときに見たはずだった。私はそのまま扉を失った入り口を通り恐る恐る中へと入ると……そこは大量の血溜まりが広がっていた。

 

 

「……おえぇぇ」

 

 

その光景に私は思わず吐いてしまった。さっきまで話していた人達はみんな血を流して動かなくなってしまっている。仲のよかった友達、優しかった先生、そのみんなが帰らぬ人となってしまったのだ。そして気がついたもう一人の家族のことを……

 

 

「リオ……」

 

 

 

そうだ、リオはどこにいるのだろうか……。一瞬もうすでに魔物に食べられてしまっているのではないかと思うが、その考えを否定する。いや否定しなければ心が持ちそうに無いのだ。とにかく今すぐリオに会いたい。

 

 

私はその思いに囚われ集会所を飛び出した。けれどその私を嘲笑うかのごとく外に出るとそこには数十匹の魔物が待ち構えていた。私はもうだめかと諦めそうになり足を止めてしまう。

そのまま魔物達はじりじりと距離をつめてまさに飛びかかろうとした瞬間、突如目の前の視界が何かによって遮られた。そして何かがその魔物に火の玉を吐くとそれが当たった魔物は燃えたまま崖から落ちていった。そして残った他の魔物達を威嚇する。

 

 

「バウル……?」

 

 

バウルがそこにいた。ジュディスと魔物達の間に立ちはだかるように地上すれすれを浮かんでいた。そしてバウルは吼える。腹の底から全身で、その一声は末席とはいえこの世界の頂点に君臨する始祖の隷長の存在を彷彿させる咆哮だった。

 

その声を聞いた魔物達は竦み上がるが、それでも彼らは逃げようとはしない。いや瞳には恐怖と狂気がしっかりと映って見えているがそれ以上にまるで他の恐怖によって支配されているように見える。

 

そして一匹の魔物が動き出すと、それに続くように一斉に全ての魔物が襲い掛かってきた。けれどバウルがそれらを遮る様にして撃墜していく、そのせいだろうか私はいつの間にかバウルから目が離せなくなっていて後ろから来る気配に気がつかなかった。

 

 

───!!?───

 

 

バウルから’後ろ!!’という言葉につられ後ろを向くともうすぐそばまでギラついた牙が迫っていた。バウルはこちらに気がついて向かおうとするがその魔物までの距離が離れすぎていた。そして私は思わず目を瞑ってしまう。

 

けれど次の瞬間に聞こえてきたのは、魔物が私をかみ殺す音ではなく……

 

 

 

 

 

 

「やらせるかよ」

 

 

 

 

 

 

 

私が会いたかった人物の声だった。

 

 

 

 

 

 

     =S=

 

 

 

 

 

俺はそのままジュディスを襲おうとしていた魔物に向けて至近距離から引き金を引く。すると魔物は勢いよく吹き飛びながら頭を弾丸が貫き絶命する。

 

 

「ジュディスだいじょ……うわ!」

 

 

俺が振り返りジュディスの安否を確かめようと声をかけようとしたらジュディスが勢いよく飛び込んできた。

 

 

「リオ!リオ!」

 

 

まるでやっとの思いではぐれていた母親を見つけた子供のように目に涙をためながら俺の名前を何度も呼びつつける。俺はそのまま両手でジュディスを優しく抱きしめていた。そしてバウルも回りにいた全ての魔物を倒すと俺とジュディスの方へと近づいてくる。

 

 

「バウル、ありがとな約束どおりジュディスを守ってくれて」

 

そういいながら片手でバウルの頭を撫でる。バウルは当然だともいいたげな表情で軽く鳴く。

 

「それで、これからどうするの?もう街は魔物だらけだし…他のみんなもたぶん…もう…」

 

いつの間にか泣き止んでいたジュディスが不安そうに聞いてくる。

 

 

「ひとまずここを離れてどこかに避難を……!!」

 

「う…そ…」

 

──!!──

 

そういいかけたとき俺達は思わず固まってしまった。空の蒼い部分は黒く塗りつぶされ、地面は見えなくなるほどの魔物の大群が此方に向かって押し寄せてきていたのだ。

 

 

「リオ!早く逃げなきゃ」

 

「……」

 

「リオ?」

 

 

恐らく今からバウルに乗って逃げても空を飛ぶ魔物達に追いつかれてしまうだろう。そして何よりジュディスを乗っけている時点でバウルは本気の速度はだせない。なら俺達に残されている手段は一つだけだろう。いや、正確には俺だけか……

 

 

「ジュディス…お前はバウルに乗って先に行ってろ。」

 

「え?……!!、そんなのだめよ!今、リオをおいてったらきっとあの魔物達に殺されちゃう!!」

 

「でも、二人では恐らく逃げ切れないぞ?」

 

「なら、私も残る!リオを置いてなんてそれに一人はもうやだよ!」

 

はぁ、これはある程度予想できたけど……

 

「ごめんな、ジュディスでもここだけは譲れないわ。 ムミンリィ」

 

「あっ………」

 

そういって俺はジュディスに眠りの呪文を使い眠らせる。そして気を失ったジュディスをバウルの背中に預けた。

 

「わりぃ、バウルまたジュディスのこと頼むわ。約束頼むぜ?」

 

バウルの表情はまるでこれでいいのか?と聞いてくるように見えた。

 

「ま、これが最善だしな。それじゃあ早く魔物の群れが来る前に行け!」

 

そういうとバウルは俺の目をじっと見た後、気絶したジュディスを背中に預け勢いよく飛んでいくその姿は一瞬で小さくなる。すると先行してきた空にいる魔物達が離れていこうとするバウルを視界に捉え動き出そうとする。

 

俺はそのまま武器を変え銃剣を取り出す。

 

 

「轟雷爆閃弾」

 

 

そして追いかけようとする魔物に向かってアーツを打ち放つ。光を帯びた弾丸はそのままその魔物を飲み込んで敵を一瞬にして蒸発させた。

それが合図となったのかほとんどの魔物が俺を標的としたようだ。そしてバウルが飛んでいった方角を見るともう既に姿は見えなかった。

 

 

「これで一応、安心かな。っとそういえばジュディスに言うの忘れてた」

 

 

俺の口の端が自然とつりあがるのがわかる。そして俺は自分の中にある力を呼び起こす。

 

 

── 来い ──

 

 

 

死の恐怖と呼ばれた憑神

 

 

 

── 俺は ──

 

 

 

そして最初にモルガナから作られし第一相の碑文

 

 

 

── 此処にいる!!──

 

 

 

その名は──

 

 

 

「スケェェェェィス!!!」

 

 

俺の言葉に反応して姿が変っていく。全体的に白い体をした人型になり背中からは六枚に分かれた翼とも剣ともいえるような浮かんでいる。両手首には白い眼球らしきものが取り付けられていてそれはまるで天使とも悪魔とも取れるような容姿をしていた。

 

 

「俺はそう簡単に死なねーよ」

 

 

そう言って俺は魔物の群れへ向かっていった。

 

 

 

 

これが世界各地で魔物が大群になり暴れだし後に人魔対戦と呼ばれる事になる。

 




次回から原作スタート

11月8日修正 非難→避難
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